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「軍政国家に資本主義の波」―最後の経済秘境・ミャンマーの今―

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Asia Biz Inside vol.3 「軍政国家に資本主義の波」―最後の経済秘境・ミャンマーの今―
参議院議員山田太郎のアジアビジネス・インサイドレポート
~沸騰するアジアビジネスの現場から~

2013年04月11日

 皆さんは「ミャンマー」という国にどういう印象をお持ちだろうか?「軍事政権で怖い国だ」「北朝鮮と変わらない独裁政権」「世界最貧国とされていて飢餓が発生している」「民政化されて2年、まだまだ商売にならないのでは」という印象を持っている日本人も多いのではないだろうか。

ミャンマーは本当に軍政国家か?はたまた、敬虔な仏教国か?

皆さんは「ミャンマー」という国にどういう印象をお持ちだろうか?

「軍事政権で怖い国だ」「北朝鮮と変わらない独裁政権」「世界最貧国とされていて飢餓が発生している」「民政化されて2年、まだまだ商売にならないのでは」という印象を持っている日本人も多いのではないだろうか。

しかし、訪問して分かることは、これらは大きな誤解だということ。

まず、ミャンマーを訪れて感じるのは、「敬虔な仏教国」であるということだ。ミャンマーのどの街にもパゴダ(仏塔)がある。

このパゴダの近くを通る時は、皆、手を合わせてお祈りをしてから過ぎ去っていく。

丁度、私が乗ったタクシーがパゴダの近くを通る時、運転手さんが両手を合わせて拝んでいた。その瞬間、ハンドルから手を離すので運転が危なかったが。

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Photo1:ヤンゴンの中心地にあるシュエダゴン・パゴダ。真ん中の仏塔は約100メートルの高さで頂上には、76カラットのダイアと4300個の宝石が埋め込まれている。国民の寄付で作られたとか

そして、敬虔な仏教徒なのか、20年以上も鎖国状態で外国の文化に擦れていないのか、市民は穏やかで揉め事を好まない。モノを買ってつり銭をごまかしたり、モノを盗んだりというようなこともなく、とても治安がいい。同じ仏教国からか、ミャンマーは、日本人にとって非常に親しみやすく、対応も気持ちがいいのだ。

ここは、亜熱帯地域の国だから食物は豊富だ。だから、最貧国だと言っても飢えているなんてことはない。

賃金の安いミャンマー

この国が最貧国と言われるのは、賃金の安さにある。この国の一般工員の平均月収は日本円に換算して約5000円足らず。年収わずか6万円といったところで、お隣のバングラディシュよりも平均年収は低く、世界で最低ランクだ。

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Photo2:ヤンゴン市内を走る市バス。ほとんどが日本からの中古のバスだ。中には行先が日本でそのまま残っているバスもある。車も約80%以上が日本の中古車だ。中古車の価格は日本より高い

今、この人件費の安さに注目して、各国のモノづくり企業がどんどん進出してきている。賃金の安さばかりではなく、ミャンマー人は手先が器用で細かい仕事にも慣れている。ミャンマーで売られている装飾品やお土産を見ても、この国の人のきめ細やかさあhすぐに分かる。

ミャンマーのこれらの特徴をとらえて、日本からも多くの縫製工場が多数進出し、操業を開始している。日本で販売されているシャツの約30%、背広の約25%がこのヤンゴン郊外の工場で作られているのだ。

「でも、ミャンマーは最貧国だから日本からのモノは売れないだろう」と思うのは、大間違い。ヤンゴンには、高級デパートが数店あるが、すべて日本と同じぐらいの値段で売られている。

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Photo3:ヤンゴンの中心地にあるデパート。品揃えが豊富でなんでもそろっている。特に、子供向けの商品が充実。最上階には、映画館が。映画の値段は日本円で約30円

このデパートには、日本の「100円ショップ」が進出してきているが、品揃えは日本と同じ。実は、ヤンゴンでは180円で販売されている。つまりミャンマーのほうが高いのだ。それでも飛ぶように売れている。

ある調査では、タイ・バンコクの100円ショップよりヤンゴンの100円ショップの方が10倍以上売れるスピードも早いそうだ。

ヤンゴンの若きビジネスパーソン

ヤンゴンでは、ビジネスに成功する若者が沢山いる。多くは、30歳代から40歳代だ。東南アジアの新興国では一般的に資源開発に携わっている一握りの人だけが富を独占する構図になっている。しかし、ここミャンマーでは、建設、ホテル開発、縫製工場、ゴム製品工場、農業関係、中古車デーラー、漁業関係、鉱物資源開発(ルビー、サファイア、石炭、天然ガス)と幅広い分野でビジネスに成功した人がいる。

真面目で、手先が器用で、安価な労働力を背景に成功を収めているのだ。この変化は、テイン・セイン大統領の下、民政化してから2年の動きだ。とても進歩と成長が早いのもミャンマービジネスの特徴である。若者は夜、ヤンゴンにあるバーやオシャレなレストランに繰り出す。どのバーも夜は大賑わいだ。

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Photo4:あるビジネスパーソンの自宅。プール付で、5台以上の外車を所有していた

もちろん、大多数の国民は質素な生活をしている。しかし、その国民に不安感や暗さはない。もちろん飢えもない。賃金の向上を要求して労働交渉や小規模なストライキが行われることはあるが、デモにまで発展することはない(ここは、まだまだ軍が強い政府が抑えているのかも知れない)。

停電の多いミャンマー

ミャンマーの良い面ばかり紹介してきたが、ビジネスをするのに難点をあげるとすれば、停電が多いことだ。水力発電に依存しているミャンマーは、乾季であれば、ほぼ毎日6時間以上の停電がある。国民の生活を優先するため、工場地域が犠牲となり、停電が1日中続くこともある。その場合は、自家発電機で対応している。このため、電気を多く消費するような産業は、インフラの整備を待たなくてはならないだろう。

「電気大臣にミャンマーのロウソク会社が感謝している!」という新聞記事が出て話題となった。それほど電気が来ないことを皮肉った記事だが、一方で政府批判がこのように記事や漫画で堂々と行われるようになった。今のミャンマーは、軍政・独裁のイメージとはまるで違うのだ。

ミャンマービジネス再加速!

ミャンマーのこの数カ月間は、さらに変化と成長が加速していると思われる。

2012年私が訪問している間、民主化リーダーのアウン・サン・スーチー氏は、24年ぶりにミャンマーから出国してタイを訪問することが可能になった。

全日本空輸も2012年の10月に直行便を就航させた。多くの日本人ビジネスパーソンで、予約がいっぱい、満席状態だ。

米国のオバマ大統領は2012年11月、ミャンマーを訪問し、テイン・セイン大統領との歴史的会談を実現した。米国はミャンマーの民主化推進を受け、これまで経済封鎖を段階的に解除してきたが、今後2年間で1億7000万ドルの援助を表明した。政府の対ミャンマー制裁緩和を受け、2013年2月には米国の商工会議所が米企業幹部50人を引き連れミャンマー訪問した。英国のキャメロン首相や韓国の李明博・前大統領も2012年春にミャンマーを電撃訪問している。

結局、ミャンマー進出についてもたもたしているのは日本だけだ。日本とミャンマー政府は、ヤンゴン南部の1200ヘクタールにも及ぶティラワ経済特別区の開発で合意した。私も下見をしてきたが、ヤンゴン最大の港(ヤンゴン港)にも面していて工業団地としては絶好の場所にある。

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Photo5:ヤンゴンの南に約30キロにあるティラワ経済特別区。ミャンマーのテイン・セイン大統領が来日した際、野田前首相と電撃的に開発を決めた工業団地予定地。地ならしはされていてインフラを整備するのみ。海に面していてヤンゴン港は目の前の絶好の土地だ

こんなビジネスチャンスの大きい国ミャンマーに是非、行ってみませんか?
アジアへのビジネスの価値観がまるで変ってしまうこと間違いなしだ。