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なぜ今、ASEANなのか? ASEAN統合の衝撃!

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Asia Biz Inside vol.7 参議院議員山田太郎のアジアビジネス・インサイドレポート
~沸騰するアジアビスの現場から~

2013年06月12日

2015年ASEAN統合の衝撃!

毎日の様に、日本の新聞の経済欄では、東南アジア諸国連合(ASEAN)の記事が載っている。特に、ミャンマーに関する記事が多いのに気づくだろう。では、なぜASEAN、特にミャンマーが注目されるのか?

「ASEAN統合」という観点からこの地域の地理を見てみると、その理由が理解できる。

ASEANは、タイ、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ブルネイの10か国です。この10カ国が2015年(一部の国は2018年に統合)すると、人口は6億4000万人(2015年予測)になる。EU27カ国が5億3000万人、米国、カナダ、メキシコが参加する北米自由貿易協定(NAFTA)で4億5000万人と比較しても大きな人口を持つことになる。この大きな人口を持った地域がこれから著しい経済発展をしていくのだ。

しかも、このASEANの統合は、非関税貿易の撤廃や投資の自由化という観点では、いま話題になっている経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)と言った経済連合と比べて、よりタイトな経済連携を行いる。ここにASEANはアジア最大級の経済圏が生まれるということになる。

ASEANと中国との関係

アジア最大の経済圏は中国そのものだが、その中国から見てもASEANは大きな地理的利点をもつ。

中国は、世界最大の人口を持つ国として、今後も内需を中心に大きな発展をしていくと思われる。そんな大きな中国も実は、中国側の立場にたって見てみると、面する海を見てみるとあまり自由な海を持っているとは言えない。黄海も韓国、朝鮮半島に阻まれている。日本海は日本列島に阻まれ、沖縄諸島、台湾と囲まれている。また、南沙海域は、フィリピンや、かつて中越戦争をしたベトナムに阻まれている(図1)。

図1 地図をみると中国があまり自由な海を持っていないのが分かる
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こう見ると、何故、中国が尖閣列島や南沙諸島の海を欲しがっているのかが分かる。

そして、中国にとって自由な海に出ようとしても東南アジアの大きな半島にぶつかる。しかし、中国は太平洋やインド洋への出口として昔から東南アジア各国との関係を作ってきた。特に、軍事政権だったミャンマーとは、唯一の支援国として中国雲南省からミャンマーに抜けるルートで多くの物資を提供してきたのだ。国境付近での水力発電所の開発なども積極的に行ってきた。

つまり、中国のインド洋、アンダマン海に抜けるルート=南北回廊として中国とミャンマーのルートが期待されているのだ。さらに、中国がアフリカからの天然資源を確保し、アフリカへの設備の輸出を行うためにもこのルートは注目されている。

日本の自動車業界とASEAN

一方、トヨタをはじめとして、日本の自動車メーカー勢も、タイとインドネシアはこれまで海外の自動車生産の重要拠点であった。近年のASEANの成長に合わせて、ASEANを市場としてとらえ、この2カ国での生産拡充を行っている。この生産拡大が多くの下請け企業も誘って、ASEAN全体に産業移転の拡大が起こっている。

これまでのASEANの最大の貿易港は、シンガポール港だった。しかし、もしベトナムから直接タイまで物資が輸送できれば、コストも日数も大変に有利になる。また、タイで生産された物資がインドやアフリカに向かうためには、タイからミャンマーへのルートも重要である。これらがASEANの東西回廊なのだ(図2)。

図2  ASEANの南北回廊と東西回廊
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ASEAN各国をこの南北回廊と東西回廊で結ぶ。そして関税が撤廃されてモノや人の行き来が活発になってくる。アジアとインド、アフリカの物資がこの回廊を行き来する。これがASEAN統合の姿なのだ。

まさにミャンマーがそのASEANの入口として大きな期待をされていることが理解できる。ミャンマーは、2014年からASEAN議長国になる。ASEAN統合は、ミャンマーが正しく軍政から民政に移管できるかが鍵になると、ASEAN諸国も見ているのだ。