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付加価値は製品に、標準Platform急げ【第62回山田太郎ボイス】

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山田太郎の製造業は高度な情報産業だ!vol.2

20151021_オートメーション新聞Industry4.0の事例を学ぶために南ドイツに到着。BMW、ダイムラー、ジーメンス、ボッシュ、SAPの各社の工場現場や本社オフィスに加え、ドイツ機械工業連盟(VDMA)、ドイツ連邦経済エネルギー省なども訪問、各社の役員やIndustry4.0推進責任者クラス、政府高官との意見交換を重ねてきた。

今回は2点ほどポイントを絞って、ドイツで何が起こっているのか触れていきたい。まず、Industry4.0が革命(レボリューション)なのか改善(エボリューション)なのかという点だ。ドイツでも見解は分かれているが、私は、まだ革命段階にはないが、早い段階で革命となるだろうと考えている。

Industry4.0は彼らも認めるようにあくまでもコンセプトでしかない。しかし、デジタル化の進展により、新たなビジネスが多く生まれる。今は、サービスの分野やBtoCの分野に偏っているこの流れは、間違いなくモノや生産の分野に入り込んでくる。この変化にモノ作りが応えるためにはIndustry4.0が必要なのだ。ドイツ政府も当初はこの革命をいわゆる考える工場の推進、人と機械の協業という狭い範囲で捉えていた節がある。しかし、産業の水平、垂直の両方向のバリューチェーン全体にそのフォーカスを当て始めた。この戦略は明らかにアメリカのIoT(Internet of Things)の動きを意識してのことだ。

山田先生_ドイツ経済エネルギー省にて
ドイツ連邦経済エネルギー省 Industry4.0の責任者と

ドイツのメーカー役員が言っていた「Industry4.0が競争優位をもたらすのではない、新しいビジネスモデルを作ったものが競争優位をもつのだ。Industry4.0はそのきっかけでしかない」最近、ドイツの工場を見学した日本の視察団からは、ドイツの工場現場は日本と比べて在庫も多く、ラインの構成もたいしたことないから、大丈夫だという声を聞く。しかし、工場の生産の現場を見るだけでは、分からない。Industry4.0の本質を全く見ていないと言える。

Industry4.0を実現するためには、柔軟で効率的な生産活動をおこなう必要がある。その前提となるのが標準化だ。この標準化はビジネスレベルとオペレーションレベルで考える必要がある。ドイツの標準化は、後者のオペレーション部分で大きく進んでいる。

日本の工場現場では、各種センサー、PLCやハードウエア間のプロトコルの規格の組合せは膨大に存在し、効率的な生産ラインの再構築を行う場合、多大な障害になる。グローバルに工場を水平展開する場合、これらが標準化されたときのメリットは大きいだろう。ドイツは、PLCはジーメンスに合せ、ロボットはKUKAに合せるなど、業界のデファクトスタンダードに合せることで標準化が進んでいる。

一方のビジネスレベルでの標準化はどうだろうか。ネットワークの中で様々なシステムと連携させるためには、品目(Parts Number)レベルでモノと情報を一致させなければならない。工場や顧客、製品によって、同じものを違う名称で呼んでいたり、異なる品番をつけていたりすることなど、日本の現場はスパゲッティ状態だ。部品構成や部品表(BOM)だけでなく、図面のあり方なども含め、こういったビジネスレベルでの情報連携に関する基礎的なプロジェクトは、日本同様、実はドイツもほとんど進んでいない。

日本は、セットメーカを中心に品目や部品表の体系を整備している、言わばケイレツによる垂直統合を整備している企業群があるが、そこが差別化であり競争優位になっているという思い込みも少なからずある様だ。囲い込みこそ価値がある、その考え方は間違っている。付加価値はあくまでも製品につけなければならない。

ドイツでは、産業を挙げてこの問題を解決するべくVDMA(ドイツ機械工業連盟)がこの分野の標準Platformの構想を進めている。具体的なPlatformができれば、中小企業は大手企業別にプロトコルを個々に合せる手間とコストがなくなる。まさに中小企業が解放され製品や部品の付加価値創造に集中することができる。

今、ドイツは産学官一体で自分たちの標準で中国を取り込むことに力を注いでいる。そういった国家間の競争や国内でのIndustry4.0に対応した法整備、中小企業への展開など国レベルでの競争が始まっているのだ。今回の視察のレポートも含め、次回以降の連載で詳しく触れていきたい。(参議院議員 山田太郎)

オートメーション新聞 2015年10月21日号)