秋の行政事業レビュー2021②「子どもを見守るためのデータ連携」「教育現場のオンライン化」を検証


2日間にわたり、秋の行政事業レビューが行われていました。行政事業レビューとは、国の約5,000のすべての事業について、Plan(計画の立案) – Do(事業の実施) – Check(事業の効果の点検) – Action(改善)のサイクル(「PDCAサイクル」)が機能するよう、各府省が点検・見直しを行うもので、いわば「行政事業の総点検」とでもいうべきものです。今回の「秋のレビュー」に私は、レビュアーとして出席しました。

2日目の後半は「子どもを見守るためのデータ連携」「教育現場のオンライン化の推進」について検証しました。

まず、「子どもを見守るためのデータ連携」の主な論点は以下です。

  • 「貧困状態の子供の支援のための教育・福祉等データ・ベース」の構築に向けて、どのような取組に着手しているか。これまでの取組で判明したことは何か。ボトルネックとなっていることは何か。
    •  潜在的に支援を必要とする子供を把握するためには、どのような情報が必要となるのか。
    • また、子供の見守りを実現するためには、子供だけでなく、親の状況の把握も必要ではないか。例えば、妊娠中や出産前後の情報など、母親に関する情報も併せて把握する必要はないか。
    • 効果的な支援につなげていくためには、「要保護児童等に関する情報共有システム」など、関連する他のデータ・ベースとも連携していくことが有効ではないか。
    • 必要なデータを収集・連携する上での課題は何か。同様の取組を進めている地方自治体はどのように課題を克服しているのか。
  • 地方自治体が導入・利用しやすい形でデータ・ベースの整備を支援するためにはどうすればよいか。
    • 今後整備が進められる地方自治体の基幹業務システムとの連携についてどう考えるか。
  • 速やかな給付を実現するために、口座登録法に基づく公的給付支給等口座をどのように活用していくか。
  • 社会的な課題の解決に向けてデータの連携・活用を図ろうとする取組について、デジタル庁が果たすべき役割は何か。

 

現在内閣府では、「貧困状態の子どもの支援のための教育・福祉等データベース構築に向けた研究会」がスタートし、以下の内容で検討が進んでいます。

これらの内容について評価委員の方々からは、以下のような的確で厳しい指摘がありました。

・内閣府のもとでいつ誰が運用する想定なのか。果たしてできるのか。

・データの段階がバラバラで目的が異なるデータが並んでいる。目的の整理が必要。

・どれだけ人間の手入力の負担を減らすことができるのか。学校現場にこれ以上の負担をかけないために、どのような想定をしているのか。

・データベースはアジャイル型の運営が必須。

・現在議論中のデータ項目に自治体を超えたものや、税務関係、ハローワーク、児童相談所等のデータが入っていない。もっと垣根を越えて検討すべき。

・データを提供したくない機関に対して、データを提供させる踏み込んだガイドラインを国で作成しないと、実用性があるデータベースにならない。

 

私からは、「このデータベースの議論は論点整理が必要である。虐待やいじめの問題は見守りの論点だが、貧困は家庭や大人の問題で、それぞれ集めている情報も対処も違う。そのデータを使ってどのように政策的に問題を解決するのか、もう一度デザインし直す必要があるのではないか。今はデータの渦に埋もれいている状況。また、文科省もいじめの問題等、生徒指導提要の見直しにもつながる話なので、セット議論してもらいたい。

虐待の問題では、通告受理から結果としてデータを引き継ぐ話と、虐待を探知するとうことは時点が全く違う話である。児童相談所の通告受理後のシステムをつくっても、探知の問題は解決できない。各府省が努力しているのは耀が、抜け漏れだらけの検討になっている。面として、家庭サイド、子どもサイドから見直していく必要がある。」ことを強く主張しました。

 

この子どものデータベースの問題は、府省庁横断のプロジェクトチームを発足し検討していくことが決定しました。私の専門分野でありますので、責任をもってしっかりと推進していきます。

 

後半2つコマ目は「教育現場のオンライン化の推進」について検証しました。
昨年秋から引き継いだ、以下の論点のフォローアップを中心に行いました。

  • デジタル社会にふさわしい授業や教育の在り方を検討し、必要となる教職員の能力向上がさらに検討されるべき
  • アウトカム、アウトプットについては、(中略)所期の目的の達成状況や事業の効果の測定に資する適切な指標となるよう、精査するべき
    • 教職員の能力向上のアウトカム(「教員のICTを活用して指導する能力」)は、1年間で0.1%しか向上していない(平成30年度69.7%→令和元年度69.8%)。能力向上を図る各施策の有効性を検証し、より効果的な方法を検討すべきではないか。
    • 事業効果測定に係る指標として、新たに指標「ICTを活用した授業頻度(ほぼ毎日)を2023年度までに100%にする」を設けたが、ICTを使うことが目的化しており、同指標は不適当ではないか。

文科省は上記のような目指すべき教育改革とGIGAスクール構想、そのロジックモデルを掲げていますが、これについて、すべての評価委員から、大変厳しい指摘が繰り広げられました。

 

・ロジッモデルが全くロジックになっていない。

・プロセスがゴールになっていて、手段ばかりが書かれている。端末を使わせることの枠から抜け出せていない。

・教員不足、地方の人材不足を補う各種規制緩和も併せて検討していく必要がある。

・日本としてどんな人材を輩出したいのか。それが分からない。経年の議論だけではなく、抜本的な改革をすべきでないか。

・先生たちのWell-beingの向上が必要。

私からも、「例えば、英国では、先生は個々の児童生徒に合わせてファシリートをする役割で、教科は教えない。できる児童生徒にはさらに発展的な教材を進め、遅れている児童生徒には寄り添い手厚い指導をする。このような先生のあり方に変えていくべきなのかどうか。そこまで踏み込んだ議論をすべきではないか。常に端末利用率の話ばかりで現在の文科省のTOBEが分からない。そのTOBEを先生にも示していく必要がある。」という強い指摘をしました。

 

デジタル庁政務官として、デジタル時代の教育現場のオンライン化について、あるべき姿をしっかりと議論し、推進していきます。

2日目前半「子どもの貧困とシングルペアレンツ問題」の検証も併せてお読みください。

 

▽全編は動画でご覧いただけます。是非、皆様のご意見もお寄せいただければと思います。

https://youtu.be/5QQtCv0rBfk