国連女子差別撤廃委員会のマンガ・ゲーム販売停止勧告【第63回山田太郎ボイス】


国連女子差別撤廃委員会について、来年3月の再勧告を踏まえて、外務省及び内閣府からレクチャーを受けました。前回、ゲームやアニメの規制勧告を受けており、今回も対応によっては、再度同様の勧告がなされる可能性があります。

以下、時系列に沿ってご報告します。

先日お会いした「子どもの売買、児童売春、児童ポルノ」に関する国連特別報告者のマオド・ド・ブーア・ブキッキオさんと、今回の国連女子差別撤廃委員会とは別組織です。

6年前の勧告(2009年8月)

日本は2009年8月に女子差別撤廃委員会より以下の勧告を受けています。その中では

  • 委員会は,これらのテレビゲームや漫画が「児童買春・児童ポルノ禁止法」の児童ポルノの法的定義に該当しないことに懸念をもって留意する
  • 女性に対する強姦や性暴力を内容とするテレビゲームや漫画の販売を禁止することを締約国に強く要請する

など、表現の自由と相反する勧告がなされています。この報告を機に日本での表現規制が進んでいくこととなります。

女子差別撤廃委員会の最終見解(仮訳)

  • 35.委員会は,「児童買春・児童ポルノ禁止法」の改正によって,この法に規定する犯罪の懲役刑の最長期間が延長されたことなど児童買春に対する法的措置が講じられたことを歓迎する一方,女性や女児への強姦,集団暴行,ストーカー行為,性的暴行などを内容とするわいせつなテレビゲームや漫画の増加に表れている締約国における性暴力の常態化に懸念を有する。委員会は,これらのテレビゲームや漫画が「児童買春・児童ポルノ禁止法」の児童ポルノの法的定義に該当しないことに懸念をもって留意する。
  • 36.委員会は,女性や女児に対する性暴力を常態化させ促進させるような,女性に対する強姦や性暴力を内容とするテレビゲームや漫画の販売を禁止することを締約国に強く要請する。建設的な対話の中での代表団による口頭の請け合いで示されたように,締約国が児童ポルノ法の改正にこの問題を取り入れることを勧告する。

日本の改善状況報告(2014年9月)

それに対し、日本は2014年9月に改善状況についてまとめて、報告をしています
P8の「3.女性に対する暴力に関する情報」(37~)の中で回答しています。(この中でTVゲームなどについての記述はありません)

参考:女子差別撤廃条約実施状況 第7回及び第8回報告 (仮訳)

女子差別撤廃委員会からの再質問(2015年7月)

2015年7月に国連からの再質問を受けています。この中では(上記の回答にないためか)再度、わいせつなゲームやアニメについての販売禁止についての記述があります。

List of issues and questions in relation to the combined seventh and eighth periodic reports of Japan

7.Please indicate the measures taken to ban the sale of video games or cartoons involving rape and sexual violence against girls and women and to raise awareness among the producers of such materials, in line with the Committee’s general recommendation No. 19 on violence against women. Please also indicate the measures taken to address the mass production, distribution and use of pornographic videos in which women are targets of sexual violence, as well as the portrayal of sexualized commercial images of women.

この問題の指摘についての、日本政府としての解釈についても検討中で回答出来ない、また、政府としての仮訳も作っているが公開していないなど、政府が表に情報を出さない形で、この件を回答しようとしていることが見て取れます。もちろん、この情報も政府のHPでは公開されておらず、国連のページを引用しています。

今後のスケジュール

  • 11月中旬 List of issue についての日本政府の回答
  • 来年2月末~3月頭 国連によるヒアリング(日程未定)
  • 来月3月4日 国連による日本への勧告

いずれにしても、6年前の勧告以降、表現の自由の制限を巡る議論の際には、この勧告が必ず出されてきました。今回のブキッチオさんの来日と無関係とも言い切れないところもあり、今後も日本の状況について説明していくと共に、状況を注視していきます。