2013.6.28

2013年6月20日、経済産業委員会にて質疑を行いました。

この日は電気事業法改正法案の審議で、電気事業連合会(経営者)や電力総連(労働組合)の方に原子炉廃炉費用や電力社員兼自治体議員の問題について、参考人質疑を行いました。

議事録

○山田太郎君

 みんなの党の山田太郎でございます。

 まず、八木参考人に御質問したいと思うんですけれども、先ほど資金調達の経営環境の問題ということをおっしゃられていました。プラス、多分、総括原価方式の問題もあると思っているんですが。実は、原発の資金調達の裏返しになると思うんですが、不透明な部分というのはこの電気の原価という問題が非常に大きくて、今回の事故も含めて様々な議論があるかと思っております。そういう意味で、多分、安定的な資金調達又は総括原価方式でもって利用者の方に支持をされるためにはその辺を明らかにしていくということが必要だと思っています。

 その点で二点ほど大きくお伺いしたいと思うんですけれども、一つ、廃炉の問題ですね。例えば浜岡原発なんかは、一号炉、二号炉、御案内のとおり二〇〇九年に廃炉ということで、大体三十年とか三十一、二年使った原発を廃炉にするということになりました。この廃炉の費用というものは電力料金に上乗せされるというふうにお伺いしているんですけれども、例えば浜岡の場合はどれぐらいの金額が電気料金に上乗せされているのか。もう一つは、原子炉を造るときの、この廃炉のことを考えてコスト計算とか収支計算というのを元々されているのか否か、その辺を一点お伺いしたいというのが一点目でございます。

 二点目、スムーズな資金調達と総括原価方式に関しても支持を得られるために、やっぱり一つ一つの原子力発電所、仕組みも違うでしょうから、個別の問題というのがあるかと思います。そういうことであれば、例えば一つ一つの発電所ごとの原価構造を廃炉も含めてはっきり示されると、こういうお考えはないのかどうか。是非、八木参考人の方にまずお伺いしたいと思います。

○参考人(八木誠君)

 お答え申し上げます。

 まず、廃炉に関する費用の御質問でございますが、基本的に私ども廃炉に当たって必要な費用ということでまいりますと、例えば原子力発電所を解体するための解体引当金というものがあります。これは、ある一定の年限で一定の運転利用率の下で回収させていただいて、電気料金として御負担いただくということになっておりますが、現在は原子力発電所の稼働率の低下という問題が起こっておりますので、この引き当て額の不足が生じるというような問題が生じてまいってきております。

 そのほか、原子力発電所というのは、建設当初に巨大な投資をしておりますが、その後もいろいろと安全対策等々安全に維持するためのいわゆる設備改修を実施してきておりますので、仮にどこかで廃炉という時期を迎えたときでもかなりの残存簿価を抱えるということで、この残存簿価をどう処理するか。あるいは、御承知のように使用済燃料というのを冷却しておりますので、この使用済燃料の処理をどうするかというようなことで、廃炉にかかわる費用という意味では、こうした、まず発電所の解体に伴う費用、それからあとは、実際は廃炉に当たって廃棄物とかいろいろ出てまいります、当然のことながら。例えばコンクリートの瓦れきとか、こういったものの処理をする費用等々ございまして、そういう意味では廃炉全体の費用というのを、今例えば浜岡の例という御指摘でございましたが、他社の発電所のことで私ども承知しておりませんので、ちょっとお答えは差し控えさせていただきますが、廃炉コスト全体については今お示しをできる状況ではございませんで、各社が発電から廃炉措置をきれいに完了するまで円滑な事業運営をするための必要な会計制度の措置を是非実施していただきたいということで今お願いしているところでございます。

 それから、原価構造を明らかにという御質問でございますが、原子力発電所等に係るトータルの費用等々については、会社の中のいわゆる会計等にお示しをしておりますが、個々の発電所についての費用会計については今現時点では明らかにしておりません。これはできるだけ、御指摘は、電力会社のいわゆる会計の透明化をもっと図りなさいという御趣旨だと御理解をしておりますが、我々としてもそういう方向性については理解できるところでありますので、できるだけ事業の透明性、会計の透明性の方向に向かって今後検討はしてまいりたいというふうに思います。

 以上でございます。

○山田太郎君

 是非、再稼働にせよ、脱原発にせよ、今原発の経済性の問題というのは安全性の問題とともに重要な問題になっていると思っていますので、電事連さんとしては積極的に是非情報を出していただければというふうに思っています。

 もう一つ、次は種岡参考人の方にお伺いしたいと思っています。

 先ほどの御発言の中で、なかなか今回法案の中への参画ができなかったということを御発言されております。ただ、一つ、実は去年ぐらいからも朝日新聞なんかでも報道されていますが、電力社員兼議員という問題もありまして、報道によれば、九十九名の電力社員兼議員がいるということが例えば報道されていると思います。

 その中でも、特に、自治体からの議員報酬と会社からのやっぱり給料の二重取りをされていると、こんなことも例えば報道されている中で、非常に誤解をされかねないというんですかね、一方で、深くいわゆるそれぞれの政策の中に議員が入り込んでいるという問題も指摘されていると思います。その点で、今後どのように考えていかれるのかということを一点。

 もう一つ、今回、労働組合さんとしては再稼働を是非ということをお伺いしているんですけれども、それの最大の理由というんですかね、例えば今回原発の話なんというのを考えた場合には、最も前線でやられてしまうというか、一番リスクを背負っているのはそこで働く方々だと実は思うわけですね。そんな中で、それでも再稼働していく、安全の問題が国会の中でもさんざん取り上げられて、不透明な中で、労働組合の方々がちょっと再稼働していくというのは、本当に労働サイドに寄り添っているのかなというのは一つ正直疑問に思うところがあります。

 そうなってくると、あくまでも今回の再稼働の目的は雇用の確保というところに至ってしまうのかどうか。私どもであれば、例えば雇用の確保であれば新しいエネルギーなんかの開発によって新たな雇用なんかも生まれると、こんなふうにも考えているわけでありまして、本当のところ、今回の組合さんが考えるその辺をお願いします。

○委員長(増子輝彦君)

 山田委員、答弁の時間をお考えになり、質問をお願い申し上げます。

○山田太郎君

 失礼しました。

 じゃ、そういうことで、二点ですね、お願いします。

○参考人(種岡成一君)

 お答え申し上げます。

 最初の御質問でございますけれども、従来、こういう電力システムの改革の論議などの場合は、私ども総合エネルギー調査会の電気事業分科会などのメンバーに入れていただきまして、現場ではその改革を進めるに当たってはどういう課題が起こりそうなのか、問題が起こりそうなのか、そういった点について一緒に検討し、そして法案につなげていく、そういう参画の仕方をさせていただいたところでございますけれども、今回のものにつきましては、電気事業分科会なども開催をされていないという状況の中で、私どもそういったところに参加をさせていただくという機会がなかったというのが現状だというふうに思います。

 それから、議会に議員として選出されております皆さんの賃金等の関係のお話もございましたけれども、これはそれぞれ個別の企業の中で労使でもお話をしながら決めている内容だというふうに思います。例えば、地域の消防団の活動に参加をするときに、その時間、賃金カットするのかしないのか、例えばですね、そういうことも含めまして、公的な仕事をするときにどこまで賃金を支払うのかどうなのか、そういったことについてはそれぞれの個別の労使の中でお話をして経営の判断として決定をされていくと、そういう内容なのではないかというふうに思っているところでございます。

 それから、原子力の再稼働の問題でございますけれども、私どもの組合、今それぞれの現場で、福島第一原子力発電所の事故の教訓を生かして、できることを精いっぱい最大限安全対策の取組を進めている最中でございます。現場の気持ちからすれば、自分たちがしっかりと安全対策を進めてきたことに対して、完成したものについてはなるべく早く万全の体制で国の審査をいただきたい、こういうのが率直な思いだというふうに思います。

 その上で、現在、電力の需給の状況は極めて逼迫をしているわけでございますので、このまま推移をするということになれば化石燃料を使わなければいけない、結果として同じ働く者に新たな負担を強いてしまうということになる。したがいまして、安全性がきちんと確認をされて地域の皆様からも御理解をいただいた発電所についてはきちんと再稼働を果たしていただく、このことがお客様そして多くの働く仲間のためになるのではないかと、こんな気持ちで取り組んでいるところでございます。

○山田太郎君

 時間になりましたので、これぐらいにします。

 柏木参考人にもいろいろ聞きたかったことがあったんですけれども、ちょっと時間切れです。大変申し訳ありませんでした。
 ありがとうございました。