2020.3.13

自民党の知的財産小委員会を開催しました。

3月12日、私が事務局長を務める自民党の知的財産小委員会を開催しました。今回は知的財産権の専門家でもある、弁護士の福井健策先生をお招きし「ハリウッド/動画プラットフォームとの幸福な闘い方」というテーマでお話しをして頂きました。

ハリウッドを相手に交渉してきた先生は、海外のコンテンツと日本のコンテンツの売り込みの現場での人材の問題を的確に指摘されていました。今回アカデミー賞作品賞を受賞した韓国映画『パラサイト』は、アメリカで徹底的に売り込みがされていたそうでが、「日本の映画は毎年売り込みがなく、存在自体が見えない。」という声がハリウッドの現場ではあるそうです。ハリウッドと契約をする場合、契約に不慣れな日本人は、言われるがまま契約書にサインをしているケースがほとんどというのが実態だそうです。そして、その契約の内容はほとんどが「オプション契約」といわれるもので、映画化の予約がされているにすぎない状態の契約であり、オプション契約から実際に映画化されるものは、1-2%だそうです。加えて、映画化交渉がはじまってから実現するまでに20年というケースも珍しくないとのこと。

質疑応答では「資金力や配給力があるところばかりが優位で、日本は常に後手に回るのではないか」という質問に対し、「それでもやっぱり人。交渉すると50%は変わる。要はそこに闘士をもっているかどうか。」と答えられた福井先生の言葉には大変説得力がありました。

しかし、このような『交渉スタッフ』を各社内省で抱えるのは無理があるので、大学での模擬契約交渉などを含むライツ教育や人材バンクが必要であるという貴重な助言もありました。法制面や仕組みばかりに議論が行きがちな知財も、交渉する人間と熱意があるから出来る事と改めて認識しました。

この委員会ではいつも専門的な議員が多く参加しているので、かなり深い議論が交わされています。デジタル時代の新しい著作権に向け、さらに議論を進めていきます。