2023.3.15
内閣委員会〜こども政策・新サイバー犯罪条約・クレジットカード会社に対する規律・ゲーム行動症と引きこもり〜(2023年3月9日)※未定稿
〇山田太郎君 皆さん、おはようございます。山田太郎でございます。
本当に、四月一日からこども家庭庁、こども基本法始まるんだなと、私も大変この問題コミットしてきて、感慨深げであります。
思い起こせば、二〇二一年一月に、当時の菅総理に直接談判をした。そして、直後二月に、ここにいる自見議員始めとして、一緒に自民党の若手とも立ち上げつつ議論してきました。そして、国会でも去年いろんな議論をさせていただいて、与野党いろいろ合意の下にここまでできたということであります。現行、小倉大臣を始めとして総理も、本当に一生懸命現場に、本当に駆けずり回るような形でもって見ていただいて、こどもの政策を何とかしていかなきゃいけない、こういう思いは非常に感じます。
ただ、少し子育てとか少子化に議論も寄ってるところがあると思ってまして、一方で、困難を抱える子、困難を抱える家庭ということについてももう少し議論は必要なのではないか、まあこういうところでもあります。そういった意味で、少し私の方はその部分について、大臣始めとして、まず最初質疑させていただきたいと思っています。
障がい児手当等の所得制限
まず最初、障がい児手当等の所得制限の話からいきたいと思います。
児童手当の所得制限撤廃、私必要だというふうに思っておりますが、一方で、この所得制限は、障がい児福祉まで及んでいる問題であります。様々な手当があるんですが、実はこれかなり大きくて、重度障がい児が所得制限の世帯に生まれると、制限が全部が掛かるか掛からないかで月十四万円、年額百六十八万円もこの手当が違うということであります。そして、所得制限も非常に複雑な制度になっていまして、特別児童扶養手当だと所得制限五百七十万、障がい児福祉手当だと七百万、補装具支給制度は八百三十万、通所の所得制限は八百九十万ということであります。
実は、この障がい児の児童手当と言われる児童福祉の手当は、障がいを持たない家庭に支給される児童手当よりも厳しい基準での所得制限になっちゃっているんですね。これ、やっぱりおかしいというふうに思ってます。国会内外でもこの手当の、児童手当の所得制限撤廃問題、議論されてますが、より急いでこの障がい児福祉に関する所得制限、これも撤廃するべきだというふうに思っています。
実は、この障がい児童を育てるこの当事者にアンケートをした結果もあるんですが、この制限が理由で受給を諦めたり、医療、介護、発達障がい等の利用回数を制限しているというような事例も挙がっています。
我々与野党の方でもやっている議連で呼んだケースでは、親御さんを呼んだケースでは、小児麻痺の女の子が今まで購入した装具品等に関してやっぱりすごく差があります。いろんな工具品買うと年間百万弱するんですが、出費が三万七千円で済むのか、その百万円分負担するのか、そういったところでも問われています。あるケースだと、具体的に、補装具を一台分二百六十八万円、これが保障されるかされないかといったところもあります。特別児童扶養手当、障がい福祉手当がもらえるかもらえないかで十一年間で七百九十万も違ったということがあります。
そして、私自身、大変心打たれたのは、この娘が母親に言ったのは、お母さん、大きくなってごめんねと、こういうふうに言われました。毎回買い換えなきゃいけないから、大きくなるたんびに私が母親や父親の負担になっているんじゃないか、こういう声を、悲痛な声があるわけであります。
こども基本法では、全てのこどもについて、適切に養育されること、生活を保護されること、愛され保護されること等の福祉に関する権利が等しく保障されることが基本理念と明記されてます。こういう論点からいっても、まず心に、ここに光を当てて、いわゆる障害がい者の手当に関する所得制限、一日も早く撤廃するべきだというふうに考えておりますが、これ大臣、御答弁いただけないでしょうか。
〇国務大臣(小倉將信君) まずは、山田議員に、こども基本法の成立、さらにこども家庭庁の設置に向けて御尽力をいただいてきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。
その上で、まず原則として、各制度においては所得制限を設けるかどうかは個々の制度の目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断されるものと考えております。
山田議員が紹介をいただいた各制度、現在のところは厚労省の所管ではございますが、その上でそれぞれ解説を申し上げれば、まず特別児童扶養手当につきましては、精神又は身体に障害を有する児童の生活の安定に寄与するとともに、これらの児童の福祉の増進を図るとの目的に照らして必要な範囲で支給しており、障害児の父母の所得や扶養親族等の数を踏まえた所得制限額の設定、補装具費支給制度については、高所得者には全額負担いただくこととしておりますが、それ以外の場合は過剰な負担とならないように所得に応じた自己負担額を設定、障害児支援に関する福祉サービスの利用に際しては、いわゆる所得制限が設けられているものではなく、過剰な負担とならないよう所得に応じた自己負担額を設定といった仕組みとなっているものと承知をいたしております。
障害児支援につきましては、地域社会への参加、包容を推進する観点に立って、こども家庭庁が所管する子育て支援施策を含め、障害児の生活全体を総合的に支えていく視点が重要と考えております。
いずれにいたしましても、取りまとめ、こども政策強化に関するたたき台の取りまとめに当たりましては、社会全体の意識を変え、子ども・子育てを応援するものとなるよう、個別の施策ではなく、ライフステージを通じた施策のパッケージをお示しをする必要があると考えております。
私どもも、関係府省会議を開催するだけではなくて、総理とともに各地域をお邪魔をいたしまして、こども政策対話を実施をしております。福井県では、実際に障害児を育てていらっしゃる保護者の方からも御意見を伺いました。
今後も幅広く議論を進めていきますことから、現時点では予断を持って個別の施策の是非を述べる段階にはないと考えておりますが、引き続き様々な意見に耳を傾けながら、三月末を目途として子ども・子育て施策として充実するこの内容を具体化してまいりたいと思っております。
不登校対策
〇山田太郎君 いろいろ答弁でありますので役所が作ったものも一部、大臣、読まれたんだと思いますが、気持ちはですね、現場見ていられれば、これはまず何とかしなければいけないというところは通じていると思っていますので、是非ここを、是非光を当てるよう急いで早急にやっていただきたい。
その上で、ただ、調査が進んでいないんですよね。どれぐらいの人たちが、どれぐらいお金が掛かっているかとか、世帯別でないと分からないとかですね。実は、もしこれが手当、いわゆる所得制限撤廃になった場合、幾らぐらい財源必要なのか、これについてもかなりやってきたんですが、実際はその統計がなくて分からないってことなので、そこは含めてですね、財源論の話もあるでしょうから、しっかりやっていただければと思っています。
次に、不登校対策について行きたいと思います。済みません、大臣、子供の質問が少し続きますが、お付き合いいただけると幸いでございますので、よろしくお願いします。
不登校も大変今、大問題だと思います。不登校の児童生徒二十四万、長期欠席を含めると三十万人というふうに言われています、過去最高ということであります。選択肢がこれ不登校のこどもたちについても必要なんですが、実は不登校特例校って二十一校しかないんですね。そして、受入児童の定員はたった千八百人ということであります、三十万人に対して千八百人なのかと。
そして、最も問題なポイントは、高校であります。高校の不登校特例校は、公立はゼロ、私立は四校しかありません。進学先、多くが通信制ということになって、その通信制を出た子の半分ぐらいの子たちはその先どういう形で進路をしたかは不明というところでもあるんですね。
そして、もう一つ、その不登校に対する事業としての予算、不登校生徒に対する支援事業というのは、予算二・六億円といったところにとどまっております。この子たちが、貧困の連鎖というふうに直接的には言いたくはないんですが、やっぱりかなりこれから厳しい状態を抱えるという中で、やはりここは予算も含めて対応していくべきなんだと思います。
そういう意味で、もう一つ、ソーシャルワーカーなんかも非常に重要だというふうに思うんですが、そのソーシャルワーカーの実態をいわゆる文科省が令和三年で実態調査しているんですが、何と、このソーシャルワーカー年間配置ゼロ日というのが二九・七%、小中で。三割が実はスクールソーシャルワーカー来たことないと。そして、年間九日から一日というのを入れると、二四・五ということですから、年間たったの九日というのが半分以上になっちゃっているわけです。現実的に本当にこれでスクールソーシャルワーカーが機能しているのかということであります。スクールソーシャルワーカーの数も三千人足らずでありまして、これではいわゆるソーシャルワーカー中心とした不登校対策をきめ細かくやっているとはとても思えないと思っています。
文科省さんが担当だと思いますが、この対策で増え続ける不登校問題が解決できるというふうに本当に考えていらっしゃるのかどうか、お答えください。
〇政府参考人(寺門成真君) お答えを申し上げます。
不登校の問題につきましては、委員御紹介の現状でございますので、私どもといたしましても、多くの児童生徒が学びの場から置き去りにされているということにつきましては、教育の根幹を揺るがす大変憂慮すべき問題だと考えてございます。
こうした状況を踏まえまして、これも委員御紹介くださいましたけれども、来年度の予算におきましては、不登校特例校の設置準備に関する支援経費を新たに計上するとともに、スクールソーシャルワーカー、またスクールカウンセラーの配置につきましては、不登校対策の重点配置校の数を三千九百校増の一万六千二百校と拡充をいたしております。また、新たにオンラインを活用した広域的な支援体制というものを整備する予算も御審議お願いしておりまして、こういった施策を充実してまいりたいと考えてございます。
加えて、現在、文部科学省では、個々の児童生徒の状況、不登校の状況に応じまして支援を受けられるようにする体制の整備、また一人一台端末の活用によるデータに基づく不登校の兆候の早期発見、早期支援、さらに、安心して学べる学校づくりによる予防的な不登校対策の推進を柱とする誰一人取り残されない学びを保障するための不登校対策につきまして、年度内に目途にまとめるべく、こども家庭庁の御協力もいただきながら、有識者の知見も伺いながら検討を進めてございます。
文部科学省としては、安心して学べる学校が、場所になるように、必要なことから、あっ、必要なことを順次実施することにいたしまして、そのような施策の充実を図らせてまいりたいと考えておるところでございます。
〇山田太郎君 済みません、大臣、これも聞かれたと思うんですけれども、不登校問題難しいのは、文科省だけじゃできない問題です。学校に来なければ文科省としてはもう手も出せません。厚労マターというところもあります。まさに行政のはざまに落ちてしまった問題であります。
特に、高校が義務教育でない以上、私は義務教育にするべきじゃないかって議論はもうするべきだと、全入時代になっていますからこれは国会で大きな議論をするべきだと思いますが、それは譲るとしても、高校の問題というのが非常に大きくて、これ、学校行っていなければこれはもう文科の教育に入らないんですね。そういう意味で、ここも、もうこども庁、こども家庭庁が担務考えていくしかない領域だと思っていますので、これは引き続き大臣にもお願いしたいというふうに思っております。
不適切な指導
さて、次は、不適切指導といったところについても質疑させていただきたいと思います。
安全な生徒指導を考える会というのがありまして、実は、行き過ぎた生徒指導によってこどもを自殺で亡くした遺族の皆さんがつくった団体があるんですね。私、二〇二二年の昨年の夏以降、一緒に寄り添ってきまして、この指導要綱、指導提要というのがあるんですが、教師がどういうふうに現場で教えていくべきかということに関して、この不適切な指導を取り上げて書いていただくということになりました。
本当に、これは文科省さんともかなり四つにやらせていただいて大きく動いたわけでありますが、現実的に、現場に行くと、どうしても熱血教師だったりとか、あとは通達をするとは言うんですけれども、そういう先生に限って残念ながら見ていないとか、ネットで公開するとか言っても、そういう先生ほど使っていないとか、そういう課題があると思っております。
一方で、この生徒指導提要では校則に関する記述も大幅に拡充されまして、要は地毛証明の問題ですとか下着チェック、これはもう人権侵害じゃないかというふうに思うところもありますし、校則が本当に必要かどうかということについても絶えず見直していくんだということは、これは踏み切りましたので大変評価できることだと思います。
ただ、こども基本法の理念からいっても、やはりこの不適切指導の禁止ということに関して、文科省から教育委員会並びに各学校長に徹底した通達をして、本当にこれによって苦しんでいるこどもたち、そして命を散らすこどもたちが一人もいなくなるように是非やっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇政府参考人(寺門成真君) お答え申し上げます。
教師による不適切な指導ということにつきましては、不登校や自殺のきっかけになることがありますことから、いかなる事情に際しても決して許されないというふうに考えてございます。
委員御紹介のとおりでございまして、昨年十二月に改訂されました生徒指導提要の中で必要な対応というのを具体的に明記しまして、不適切な指導と取られる例を具体的に示してございます。
文科省といたしましては、今後、この通知の趣旨、改訂の中身等につきましてしっかり現場に周知をしていくことが大変重要であるというふうに、委員御指摘のように思ってございますので、例えば、新年度明けの各県で生徒指導の中心的な役割を果たす担当者向けの研修会等においての説明等々、適時、引き続きしっかりと学校現場への浸透を図ってまいりたいと考えてございます。
〇山田太郎君 次に、本当にこども基本法というのはすごい大きなインパクト、効果があったんだなと。四月一日からスタートでありますが、やっぱりこれを受けていろんな法律の整備が行われてきました。
去年の十二月、民法から懲戒権の規定なんかも削除された。もちろんこれは前提ですごく議論してきたことでありますが、ただ、残念ながら、学校教育法の中での懲戒権、親の体罰は禁止されたんだけど、教師の体罰は許されるのかと、こういう間違ったメッセージにもなると思っております。
この学校における教師の懲戒権というものに関して見直しをするべきではないかというふうに思いますが、この辺りいかがでしょうか。
〇政府参考人(寺門成真君) お答え申し上げます。
委員御指摘の点でございますけれども、さきの国会におきます民法改正の御審議の際に文部科学大臣からも御答弁をしておりますとおり、学校教育法に規定する懲戒権につきましては、学校がその教育目的を達成するために、教育上必要な範囲で叱責、注意、また退学、停学等を行うことを定めた規定でございまして、民法上の規定、懲戒の規定とは趣旨が異なるものから、学校教育法第十一条を見直す必要はないと考えてございます。
ただ一方で、学校教育法十一条で体罰は従来より明確に禁止してございます。決してもとより許されるものではないと考えてございます。これにつきまして、文科省は再三にわたりまして指導してございますし、昨年十二月に改訂をいたしました生徒提要におきましても具体的に例を示して、更に指導の強化図ってございます。これにつきましても、適時、引き続き、機会を捉まえて、各教育委員会等に対して体罰の根絶に向けた指導の周知徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇山田太郎君 ということで、こどもの関する質疑はここまでに少ししたいと思いますが、その他、自殺も、速報値でありますが、五百十二名で戦後最悪であったり、虐待件数、それからこどもの貧困の問題、いろいろ困難を抱えた子に対する支援、サポート、これは非常に重要なことだと思います。
三月末が決して経済対策中心の、政策中心のものにならずに、きちっと子供の目線でもって総理指示の部分もしっかりやっていただきたいと思いますし、こども大綱、これから重要だということは森屋先生の方からも議論ありましたので、お願いしたいと思います。
こどもの質問に関してはここまでですので、大臣の方、もしここで退席していただけるようであれば、ここで結構でございます。
○委員長(古賀友一郎君) 小倉国務大臣は御退席いただいて結構です。
新サイバー犯罪条約
〇山田太郎君 次に、国連決議の中で、いわゆる新サイバー犯罪条約というのがありまして、これについて少し質疑をしていきたいというふうに思っております。
二〇一九年十二月に国連総会の決議で、犯罪目的でのICTの活用に対処するための国際条約、これいわゆる新サイバー犯罪条約と呼ばれていますが、このアドホック委員会の設立が決まりました。そして、何回かの会合を経まして、二〇二二年十一月には新サイバー犯罪条約の統合交渉草案というのが提示されたんですが、この中に、交渉草案の中に創作表現を児童ポルノとして犯罪化する内容、そして小説や録音も児童ポルノに含むといったような内容が含まれています。視聴についても処罰するべきだという内容が含まれています。
一方で、第四回会合では、中国が日本語の、日本の漫画やアニメーションを児童ポルノ扱いすべきだという扱いも述べられていまして、私はこれちょっととんでもないというふうにも思っています。この条約の交渉結果いかんによっては、日本の漫画、アニメ、ゲームが極めて危機的な状態に陥るのではないかというふうに思っております。
もちろん、実在する子供を守るというのは当然でありますが、実在する被害児童がいない創作表現まで規定する条項とか、所持を超えて視聴までも犯罪化する条項は、日本国憲法の二十一条にも抵触する問題であると思っています。こんなことが我が国で起こらないように、表現の自由や通信の秘密、検閲の禁止等が抵触しないような条項に対して、日本政府としてはこの交渉をどのような方向で行っているのか、お伺いしたいと思います。
〇政府参考人(今福孝男君) お答えを申し上げます。
今御質問いただきましたいわゆる国連サイバー犯罪条約につきましては、今委員からも御指摘ございましたとおり、二〇二二年、昨年の二月以降、四回の交渉会合を行ってきております。
今件の条約交渉、起草交渉の場におきましては、日本といたしましても積極的に議論に参加しておりまして、この条約が既存の国際約束との整合性がきちんと確保されること、また表現の自由や通信の秘密を含む人権や基本的自由を不当に制限するような内容とならないこと、また、サイバー犯罪に対処するために有効かつ適切な内容となるよう、ほかの法の支配や人権を基本的価値として共有する米国や欧州を始めとする諸国と協調しつつ、我が国の立場を積極的に主張し、各国の理解や支持が得られるよう交渉に当たってきております。
〇山田太郎君 被害者が存在しない創作表現の規制というのは、我が国では憲法上やっぱり受け入れられないというふうに思っていますし、まさに所持を超えて視聴まで犯罪化するというのは、これはインターネットの自由を過度に制限することになるだろうということで看過できません。
この点については、実は外務省とも相当一緒にやり取りさせていただいて、一生懸命やっていただいているということは存じ上げていますが、改めて、表現の自由と抵触する実在の被害がいない表現規制というのは、これ是非この草案から削除してもらいたいと思っていますし、インターネット上の自由を過度に制限する規制も削除して、そして実現、仮にそれが厳しい状態、国際的な枠組みで議論していますから、その場合は実在の被害がいない表現規制及びインターネット上の自由を過度に制限する規制については留保するということで是非頑張っていただきたいと思いますが、この辺りは、外務副大臣、その意気込み、今交渉に現場当たられていると思いますが、外務省としての意気込み、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(髙木啓君) 山田先生の御質問にお答えいたします。
サイバー犯罪は常に複雑化、巧妙化し続ける犯罪であり、かつ容易に国境を越える犯罪であるため、適切かつ迅速に対応するためには国際的に協調した取組が重要でありますが、同時に、御指摘のように、表現の自由等の人権や基本的自由の確保も追求することが不可欠であると考えております。
政府といたしましては、お尋ねの条約の内容を各国から広く合意を得ることができる普遍的なものにすることによって、世界全体でサイバー犯罪を防止し、対処する能力を高め、自由、公正かつ安全なサイバー空間を確保することを目指すべきと考えております。
お尋ねの条約が、表現の自由や通信の秘密を含む人権や基本的自由を不当に制限するような内容とならず、サイバー犯罪に対処するために有効かつ適切な内容となるよう、法の支配や人権を基本的価値として共有する諸国と協調しつつ、我が国の立場を適切に主張し、各国の理解や支持の獲得に引き続き努めてまいりたいと思います。
〇山田太郎君 ありがとうございます。
本当に、今日は外務省の意気込みもしっかり理解しました。何とかこの問題、解決というか、うまくいくように頑張っていただければというふうに思っています。
新サイバー犯罪条約等に関する質疑はここまでですので、外務副大臣の方は委員長御配慮いただければと思っています。
○委員長(古賀友一郎君) 木外務大臣政務官は御退席いただいて結構です。
クレジットカード会社等に対する規律
〇山田太郎君 次に、クレジットカード会社に対する規律等の問題について、行きたいと思います。
二〇一九年頃から、漫画や同人誌の通信サイトで成人誌、成人向けのクレジットカード決済ができなくなるということが実は相次いでいます。扱っている成人誌は適法なものだったということなんですが、クレジットカード代行会社が成人向け商品の取扱いを中止しないと取引を停止するとの通告を受けて、通販サイト全体でカードの決済停止という事態を避けるため、やむを得ず従ったというケースが広がっています。こういったことがこれ以降、同様で、私のところにたくさん声が寄せられていますが、残念ながら、その問題に直面したほとんどの事業者はカード決済停止という事態を恐れて、なかなか実名での公表というのはしにくい状態も続いています。
昨今、クレジットカード会社による表現規制が続いているというふうにも考えられまして、適法な創作物についても規約等によって取引を禁止したりとか、そのような創作物を取り扱っている事業者に対して、取扱いをやめるか、それとも契約を解除するとかを迫るケースが頻発しているんですが、まず政府はそういった事態を把握されているかどうか、お答えいただけますでしょうか。
〇政府参考人(井俊君) お答え申し上げます。
クレジットカード取引等を規制しております割賦販売法では、安全、安心な決済を確保するために、利用者保護ですとかあるいはセキュリティーの義務を課しているところでございますが、取扱商材の表現内容に関する規制というものは特に設けてはございません。
そのような中で、実際に加盟店の方から、委員が御指摘されたように、クレジット会社から契約の締結を拒否されたりあるいは解除されるといったお問合せ、いただくことは実際ございます。統計的あるいは網羅的には把握しているところではございませんが、そういう形で実態を把握しているという状況でございます。
〇山田太郎君 初めて政府がこの実態は一部把握しているということを認められましたので、問題としては政府も捉えていただきたいと思いますが、一方で、決済インフラの最たるものとしては、通貨とか紙幣等、日本銀行券等あるんですが、通貨による支払いが禁止されている取引というのは存在するのか、これ、ちょっと財務省さん、お答えいただけますでしょうか。端的にお願いします。
〇政府参考人(石田清君) お答え申し上げます。
我が国においては、通貨法において貨幣及び日本銀行券を通貨と定めておりますところ、特定の取引について通貨による支払いを禁止する規定はございません。
〇山田太郎君 一方で、現金お断りの店とかクレジットカード払い限定の店というのは、これ法律上問題がないのか、それも併せてお願いします。
〇政府参考人(石田清君) 貨幣につきましては通貨法、それから日本銀行券につきましては日本銀行法において、法貨、法定通貨としての通用力が規定されているところです。他方で、契約自由の原則の下で、当事者間の合意に基づきまして法貨以外の手段で支払うとすることについても、民法上は有効とされていると承知しているところでございます。
御指摘の現金お断りの店あるいはクレジットカード支払い限定の店につきましては、そうした合意が成立する顧客とのみ取引を行っているものと考えられますので、契約自由の原則を踏まえれば、法貨の通用力との関係では問題がないものと考えております。
〇山田太郎君 そうなんですね。
一方で、サイトになると、要は現金以外のクレジットカードでの決済だけというものもあったりします。
一方で、これは経産省さんにお伺いしたいんですが、政府はキャッシュレス決済というのを推進していまして、二〇二五年には四〇%、将来には八〇%を目指しているんだというふうにしています。キャッシュレス決済で取引できるもの、できないものというものについて、クレジット会社を始めとするキャッシュレス決済事業者が勝手に判断すると。そして、同じ店舗においても、キャッシュレスで決済できるもの、現金決済しかできないものというものも出てくるのではないかというふうに思っています。
取引の混乱とか非効率といった問題、あるいはそもそも面倒くさいんでそういうものは取引しないようにしようということになるのであれば、非常にこれもいわゆる取引の自由というものを侵すのではないかというふうに思っていますが、そういったような状況がこのキャッシュレスの問題に関して起こるかどうかということについて、検討会等を含めて経産省では議論されているのかどうか、お答えいただけますでしょうか。
〇政府参考人(井俊君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、政府としてはキャッシュレス決済の推進ということで、今、三二・五%なものでございますので、これを二〇二五年までに四〇%、で、将来的には八〇%を目指すということで推進をしているところでございます。
そのために、私どもの方では、キャッシュレスの将来像に関する検討会というものを設けまして推進策を検討しているところでございますが、そこでは、利用者に対するキャッシュレスのメリットとか、あるいはそのデジタル化に伴う店舗側のメリット、こういった普及策の方を中心に検討をしておりまして、委員が御指摘されたような事項については検討が及んでいないと、こういう状況でございます。
〇山田太郎君 キャッシュレス決済事業者が表現物に関して決済できるもの、できないものというものについて定めるのは、本当に、中身を一つずつ、好き嫌いとかいい悪いとかということで、事実上検閲に近いものではないかと、こういうふうにも考えます。
政府が、あらゆる取引に利用できる現金に代えてキャッシュレス決済を推進するということは、これ、キャッシュレス決済会社が規約等によって特定商品を市場から排除したり、それから表現物の民間検閲を行うということに対する、これあってはならない、私は一定の規律が必要なんではないかと、そういうふうに思っています。
政府としてそのような規律に関する議論、是非進めていただきたいと思いますが、自由な取引の保障という意味においても、是非政府の見解をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇政府参考人(井俊君) お答え申し上げます。
キャッシュレス決済の主要な手段でございますクレジットカード決済については、割賦販売法におきまして、安全、安心な決済を確保するための利用者保護、セキュリティー対策等の規制を行っているところでございます。
その上で、クレジット会社がどのような商材を取り扱う加盟店と契約するかどうか、これにつきましては、様々な種類の店舗が様々なところにございますものですから、現状はクレジット会社の経営判断あるいは営業活動の中で対応していただいているというふうな状況でございます。今申し上げたように、様々な店舗、様々な状況ございますので、取引、取り扱う商品に関するルールについては慎重な検討が必要であるというふうに認識してございます。
いずれにいたしましても、経済産業省としましては、事業者の実態や利用者の声も踏まえながら、安心、安全な決済環境の確保に努めてまいる所存でございます。
〇山田太郎君 これ、実は多くのプラットフォーマー、GAFA等を始めとしたそういった方々、人たちが、企業が全てを牛耳るのではないかというような問題、それから、海外ブランドのクレジットカード会社なんかがいろんな規約を変更していけば、それによって日本の我々国民がいろんなものが取引できなくなるかもしれない、現金以外でも、先ほど財務省等からの答弁ありましたけれども、クレジットカード等だけで取引をしていいというふうに限ることができるのであれば、これは我が国の主権が侵されると言っても過言ではないというふうに思っています。
このプラットフォーマーに関する規制、外資が多い現実も含めて考えるべきだというふうに思っています。改めて、ここも少し御答弁いただけないでしょうか。
〇政府参考人(井俊君) お答え申し上げます。
商品、どのような商品を、取扱いにつきまして、委員御指摘のとおり、クレジットカードが主要なキャッシュレスの手段であるということも踏まえますれば、やはりこれ、先ほど申し上げたように、いろいろな店でいろいろなものが取り扱われて、それはいろんな場所にあるということで、かなり個別具体性が強いというところもございます。そういったところも踏まえまして、これ、今はそれぞれの会社の御判断でやっているということでございますので、そうした状況も踏まえながら、やはり慎重に検討する必要があるんだろうというふうに考えてございます。
〇山田太郎君 このクレジットカードの問題に関しては、政府も今回認識しているという初めての答弁いただいて大変大きかったと思います。これから引き続き、これ、自由な取引を保障していくためにも、質疑というか議論をしていく必要があるかと思っています。
ゲーム行動症とひきこもり
さて、最後に、ゲーム行動症と引きこもりについてお伺いしていきたいと思います。
二〇一八年にICD11でゲーミングディスオーダーというのが収載されることになりました。ちょっと訳語についてはゲーム症、行動障害とかゲーム依存障害、いろいろあるんで固まってはいないんですが、いわゆるゲーミングディスオーダーと。このゲームに関して、様々な悪影響があるのではないかということが言われているんですが、例えばですね、NHKなんか、やめられない恐怖依存症、ゲーム障害は引きこもりの原因だと言っています。その一つに、ゲーミングディスオーダーが引きこもりの原因になっているというような見解なんですが、本当にこれ科学的なエビデンスがあるのかどうか、この辺りの見解、政府の認識、お伺いしたいと思います。
〇政府参考人(本多則惠君) お答え申し上げます。
委員御指摘のゲーミングディスオーダーが引きこもりの原因となっているとの見解に対する科学的なエビデンスについてでございますが、現時点においては承知しておりません。
引きこもり状態にある方は、その背景や置かれた状況が様々ということで、複合的な支援が必要だと認識しております。
〇山田太郎君 そうなんですよね。もちろん、ゲームをやること、それから勉強を阻害しているんじゃないか、これ、教育的な観点からするべきなんであって、医学的な観点からやっぱりそのエビデンスが私は必要だというふうにするべきだと思っています。何でもかんでもゲームを悪者扱いにするべきではないというふうに思っています。
一方で、先ほども少し触れましたが、ブラック校則を盲目的に押し付ける教師の指導が引きこもりの大きな原因の一つであるという指摘がありますけど、この辺りも政府の見解いただきたいと思います。
〇政府参考人(寺門成真君) お答え申し上げます。
引きこもりの原因につきましては、最前の厚労省からの政府参考人の御答弁のとおり、様々なものがあろうかと承知してございますが、委員の御指摘を改めて受けまして、この校則につきましては、昨年改訂いたしました生徒指導提要におきまして、具体的に見直す際のプロセスを明確にするといった事項を盛り込んでございまして、校則が児童生徒のより良い成長のための行動の指針として機能するように不断の見直しを行うことが必要だというふうに考えてございますので、引き続き校則の意義、見直しの必要性などについて周知徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇山田太郎君 そういったような校則については、文科省の号令で一斉の見直しをお願いしたいと思っています。
そして、この引きこもりとかゲーミングディスオーダーについて、その支援と称して強制入院が行われているという例もあります。引きこもりに対する入院治療とかゲーミングディスオーダーに関する入院治療を行っている医療機関がありますけれども、それらの入院治療に関しての医学的な有効性のエビデンスというのがあるのかもお答えください。
〇政府参考人(須朋之君) お答え申し上げます。
御指摘の引きこもりですとかゲーミングディスオーダーにつきましては、その原因に精神疾患が存在したり精神疾患が併存する場合もあると考えられますため、入院治療がなされることもあると承知しております。
私どもといたしましては、現在、厚生労働科学研究等におきまして、いわゆるゲーム障害の診断、治療法などについての調査研究を実施しております。引き続き実態の把握や必要な対策に資するよう、まずは知見の集積を図ってまいりたいと考えております。
〇山田太郎君 今御答弁いただいたんですが、その引きこもりとかゲーミングディスオーダーが問題というよりも、精神疾患が問題なんではないかというふうに思うんですよね。そんな中で、きちっと精神疾患をしっかり原因、理由として入院治療がされるということについては、これはまあ、それは入院治療の一つのやり方だというふうにも思っています。
で、この引きこもりやゲーミングディスオーダーに関する強制入院って本当に、本人の不利益もありますけれども、やっぱりそれに同意した家族と本人の深刻な家族関係の悪化というものも招いています。そういった意味で、まさに精神疾患を中心にしっかりその問題は、治療するなら治療ということだと思うんですけれども、このひきこもりやゲーミングディスオーダーによってエビデンスがない中で入院治療が行われているといった問題、これ改めて、本当にいいのかどうか、御答弁いただけないでしょうか。
〇政府参考人(須朋之君) 御指摘のとおり、こういった入院治療につきましては医学的知見に基づいて行う必要があると考えておりまして、現在、専門家の協力を得まして調査研究を行っているところであります。
〇山田太郎君 医学的知見が必要だということを御答弁いただきましたが、一方で、国立病院がそういうことをやっているという嫌いもあるんですが、もし国立病院が、関係者あるいは国立病院がそういうことをやっているということであれば、当然指導するなり調査をするということをお願いしたいんですが、これはいかがでしょうか。
〇政府参考人(須朋之君) 国立病院も含めまして、あらゆる医療機関、医学的知見に基づいて医療行為を行うということでございます。
〇山田太郎君 もしそういう事実があるとするのであれば、その調査をしてほしいということを質問したんですが、それはいかがでしょうか。
〇政府参考人(須朋之君) 繰り返しになって大変恐縮でございますが、現在、厚生労働科学研究におきまして、ゲーム障害の診断、治療法などについて調査研究を実施しております。実態の把握、それから必要な対策を含めまして、知見の集積を図ってまいりたいと考えております。
〇山田太郎君 実態の把握ということで、是非そういう、もしおかしなことがあれば把握していただきたいというふうに思っています。
今日の質疑全般ですね、こども家庭庁、こども庁ができる、そしてこども基本法ができるということで、本当に四月一日から大きな節目を迎えると思っております。
ただ、繰り返しお願いしたいのは、困難をやっぱり抱えている子、困難を抱えている家庭、これは一日も早くその問題を解決するべきだというふうに思っています。私も、当時、菅総理に最初に提唱したときは、まず、もう自殺もこれだけ多い、虐待もこれだけ多い、本当にこういう状況でいいのかと。自民党の内部の恥ずかしいお話をすれば、大変自民党、これまで少しマッチョな政党であったというのは間違いないんですが、この三年間、相当空気、風紀も変わってまいりました。やっぱり、こどもにおいては右も左も与野党もないのではないかと。将来のやっぱり宝ということでもありますし、是非こういった問題、しっかりやっていきたい。
ただ、こどもを直接守ればいいだけではありません。こどもたちが大切にしているものというのがやっぱりあると思うんですね。そういう意味で、実は新サイバー犯罪条約の話を今回取り上げましたのは、やっぱり自分たちが大切にしている漫画、アニメ、ゲーム、もうこの議員の先生方の中にもそれをこども時代に見て育った先生方もたくさんいると思います。いろんなエロ、グロ、暴力シーンもあるかもしれませんが、清濁併せ持って子供たちは大人になっていきます。法律で規制していないのであれば、そういったものは自由にやっぱり子供たちが見れるべきだと思いますが、それをいつの間にか、我々自身も、小さい頃はそんなもの、少し触れていたり見ていたりしていろいろ考えさせられたのに、大人になると聖人君子のように駄目だとか、禁止する、これは私はおかしいというふうに思っています。
そういった意味で、そういったものを全面的に禁止していこうというような新サイバー犯罪条約が、実はロシアが元々提唱して、中国なんかも加担しながら作られている。別の目的なのではないかというふうに思うぐらい国連の中で議論していますので、それはこの子供たちのためにも何とか防がなければいけないというふうにも思っています。
それから、クレジットカード会社、これも非常に、立場はいろんな人たちからいろいろ言われるんでよく分かりますが、やっぱりもうもはや準公共の分野、公共の、つまり通貨に代わるようなものとしてクレジットカードが存在している。そこが決めた規約によって、やっぱりこういうものはいい、駄目だ。そして、それが多くが国際ブランドは外資系だったりします。そうすると、我々、国の主権も侵されているのではないか、こういう表現物がそれによって流通できるとかできないということになるのであれば、大変なことだと思っています。
若者たちもその問題を非常に注視していますし、政府にもそういう課題があるということを認識しているということを改めて今日初めて聞くことになりました。
そして、ゲーム、いろいろ、御家庭、御意見はあるんだと思います。うちの子はゲームをやる、で、勉強しねえというのは、それは教育上の問題として議論するべきなのであって、いわゆる体に悪い、医療が悪いということを、エビデンスを持たずに、それを理由に親なり、学校なりが禁止していくというのはおかしい。きちっと話合いをするというようなことが重要ですし、もし治療という領域で、精神疾患で必要になれば、そこをちゃんとエビデンスとして捉えていくべきだということだというふうに思っています。
いずれも、全て今日は通じて、こどもに関する周辺部分かもしれませんが、こどもたちが大切にしていたもの、そして我々も、いつの間にか大人になりましたけど、こどもの頃大切にしていたものをやっぱり守るということもこども政策全般においては私は重要な問題だと思っていますので、今日はこんな質疑をさせていただきました。本当にありがとうございます。
私の質疑、これで以上にしたいと思います。ありがとうございます。