2023.4.26

内閣委員会〜フリーランス新法〜(2023年4月25日)

〇山田太郎君 自由民主党の山田太郎でございます。

 今回の法律、実は自民党の党内でもいろいろけんけんがくがく議論がありまして、フリーランスの定義とかいろいろあって一回保留になって今回提出されたというものであります。

 その中で、私も党内で随分議論をしてきましたので趣旨等は分かっておりますし、大変、UGC、ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツの時代ですね。まあ一人で活躍する方も増えてきています。逆に言うと、高齢者でいわゆる退職後フリーランスという方々もいらっしゃいます。

 一方で、もう一つ今日最大のテーマになるのは、子育てとか介護において、どうしても通常の働き方ができないという方がフリーランスになるというケースもありまして、どちらかというと、今日はその運用面において、きちっと、そういうどうしても弱い立場に置かれている個人事業主、まあ一人で働いているフリーランス、これをどう守っていくのか、こういったところの課題について質疑させていただければというふうに思っております。

 まず、この特定受託事業者ということですが、実はこの適用範囲が非常に狭くて、この概要書の説明にもありましたけれども、要は一人で働いているということなんですね。従業員がいてもいけないし、一緒にやっていてもいけないと。たった一人でやっている場合のフリーランスをサポートしようということですが、実は、その確認というのは意外とというか非常に難しいのではないかという課題があると思っていまして、これ、業務委託の発注者が本来この法律の適用となる特定受託事業者であるかどうかどう確認するのかという辺り、それをどう想定しているのか、あるいは立証というか証明をどう担保しているのか、教えていただければと思います。

〇政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。

 発注事業者が取引先であるフリーランスが、あっ、失礼しました、発注事業者の取引先であるフリーランスが従業員を使用しているか否かということについて、発注事業者による確認というのがあるわけですけれども、これについては、フリーランスに対して業務委託を行う時点で確認を行っていただくことを想定しております。

 具体的には、電子メール等での確認など、取引慣行上過度な負担とならず、立証等を容易になし得る方法で入手した情報で従業員の有無を判断すれば足りるとする運用を想定しております。

 このような従業員の有無の確認方法については、本法案が成立した場合には、施行までの間にガイドライン等の形で対外的にお示しすることとしたいというふうに考えております。

〇山田太郎君 一々、取引スタートするときに、それ、あなた一人でやっていますかということをどうやって聞くのかというのは運用上難しいと思うんですが、一方、該当しないにもかかわらずそうだよと言ってしまうケースとか、該当するにもかかわらず該当しないというふうに答えた場合どうなっちゃうのか、この法律でもってその適用はどうなるのか。

 一方で、その回答が虚偽であることが判明した場合に業務委託契約等が解除されるのかどうか、その辺りもお答えください。

〇政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。

 本法案は、特定受託事業者に該当するか否かを従業員の有無という客観的な基準をもって判断することとしております。そのため、従業員を使用している受注事業者については、発注事業者への回答内容にかかわらず特定受託事業者に該当することはなく、本法案は適用されないということになります。また、従業員を使用していない受注事業者については、発注事業者への回答内容にかかわらず特定受託事業者に該当し、本法案が適用されるということになります。

 その上で、発注事業者の行為自体としては本法案の規定に違反するものであったとしても、受注事業者が発注事業者に対して従業員の有無について虚偽を述べたことが明らかであると認められる場合については、公正取引委員会等は勧告や命令の措置は行わないことを想定しております。

 なお、特定受託事業者が従業員の有無等について虚偽を述べた場合の業務委託契約の解除に関してでありますけれども、本法案は特段の規定を置いておりませんで、解除等の可否は民法の規定や当事者間で合意された契約内容によることになるというふうに考えております。

 このような本法案の適用関係については、発注事業者及び受注事業者の双方にしっかりと周知する必要があるものと認識をしておりまして、本法案が成立した場合には、施行までの間にガイドライン等の形で対外的にお示しすることとしたいというふうに考えております。

〇山田太郎君 つまり、明示ではなくて実を取りましょうということなんですが、じゃ、一方で、途中から従業員がいなくなってこのいわゆる法律に適用するということになった、一人になったから、実はこれ、当初の契約した段階では二人でやっていた、あるいは誰かを雇っていたんだけれども、その人がいなくなったということで一人でやっていたという場合には途中からも適用になるのか、この辺りいかがでしょうか。

〇政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。

 本法案では、発注事業者が業務委託をする時点のみならず、問題となる行為のあった時点、この二つの時点で受注者たるフリーランスが従業員を使用していない場合にのみ従業員を使用しないものというふうにされると考えております。

 業務委託をする時点で受注者たるフリーランスが従業員を使用している場合には、業務委託の途中で従業員を使用しなくなったとしても特定受託事業者には該当せず、本法案は適用されないということになります。また、業務委託をする時点で受注者たるフリーランスが従業員を使用していない場合であっても、業務委託の途中で従業員を使用する場合には特定受託事業者には該当しないということになり、やはり本法案は適用されないということになると考えております。

〇山田太郎君 結構これ、明示とか、時点の問題とか、実を取るとか、結構複雑なんですよね。だから本当にこれ適用、ガイドラインでどれだけやっていけるのか、ちょっとここしっかり運用を詰めておく必要があるんじゃないかなというふうに思います。

 次に、この法律の背景、もう一つは、やはりその育児とか介護によってどうしても正規の社員として働きにくい人が一人事業主、フリーランスになるケースということもあるということで、今回、継続的業務委託に関しては特定委託事業者が育児、介護と両立して業務を行えるよう配慮しなければいけないと、こういうことになったんですね。

 じゃ、ところで、その配慮の具体的内容というのは何なのか。

 それからもう一つが、育児、介護と両立して業務を行わなければいけないような業務というのは具体的にどんなことを想定されているのか。

 で、もう一つ、三点目なんですが、どれぐらいの期間以上のものを継続的業務委託というふうにしているのか。

 そして四点目は、それに対して配慮の申出をしたんだけれども、発注者に応じられなかった場合、応じてもらえなかった場合、不利益な取扱いを受けた場合、どのような相談が可能なのか、あるいは、具体的に相談した場合にこの法律がどのような救済を想定しているのか。

 それぞれお答えいただければと思います。

〇政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。

 本法案では、特定受託事業者が育児、介護等と業務を両立できるよう、特定業務委託事業者に対し特定受託事業者からの申出に応じた必要な配慮をしなければならないこととしております。

 特定業務委託事業者の配慮の内容としては、例えば、妊婦の母性保護や健康管理のため、妊婦健診の受診のための時間を確保したり就業時間を短縮したりすること、また、育児、介護を行う時間の確保のため、育児、介護と両立可能な就業日、時間とすることといったことが考えられます。

 特定業務委託事業者に対して育児、介護等と両立して業務を行えるよう申出を行わなければならないような特定受託事業者業務としては、例えば講師やインストラクターなど、決まった時間や場所で働く特定受託事業者が考えられ、これらの者について、就業日や時間を変更したり、オンラインで働ける、働いたりできるようにするといった配慮が想定されます。

 継続的業務委託として育児、介護等への配慮義務の対象となる取引の期間につきましては、内閣官房のアンケート調査において、契約期間が一年以上の場合には仕事の掛け持ち数が減ることにより特定の発注事業者への依存度合いが高まる傾向が見られること、また、一定期間以上の取引関係があることで当事者間で働き方を調整できる関係性が生まれると考えられることから、これらを参考として設定することとしております。

 育児、介護等の配慮の申出に伴う特定業務委託事業者の対応について、例えば特定受託事業者の申出に対し理由なく取り合わないなど、特定業務委託事業者が配慮義務を適切に履行していない場合には、特定受託事業者は厚生労働省にその旨を申し出て適当な措置をとるべきことを求めることができます。また、こうした申出を契機として、都道府県労働局におきまして、当事者双方の話をよく聞いた上で、必要に応じ、特定業務委託事業者が配慮義務を適切に履行するよう助言、指導を行うこととしております。

 育児、介護等への配慮の申出により特定受託事業者が一方的に契約内容を不利益に変更するなどのトラブルに発展した場合には、フリーランス・トラブル一一〇番に相談し、法律上取り得る対応等についてアドバイスを求めることも可能でございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした相談が可能であることをしっかりと周知し、特定委託事業者への育児、介護等への配慮が適切に行われる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

〇山田太郎君 ちょっと今の答弁ですごい気になったんですけれども、これ、妊婦さんとか、まあ妊婦さんの場合は割と分かるというか、介護の場合というのは、うちはこれ介護あるので今回こういう契約にしますと事前に言っていた言っていなかったということもあると思うんですが、後から、契約上の、結ぶときは何もなくて、介護が実はあるのだということで、どうしても休みたいというか、この業務が今日はできませんとか、いわゆる契約上そのことは書いてなかった、あるいは契約時にその介護であるとか妊婦の状況であるとかということが明示されてなかったとしても適用されるのかどうか。それによって、例えば少し業務を減らした場合に、あるいは減額の措置とかというのは、これ具体的にどうなっていくのかなというふうに思うんですけど、これどういうふうになるんですかね。

〇政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。

 介護の場合につきましても、契約の後であっても、事情につきまして申出をすることによって本法案は適用されることになります。

〇山田太郎君 いや、そうすると、ごめんなさい、嫌らしい言い方すると、いや、実は介護がということで、後からそれを盾に、まあ逆に言うと、悪用ではないですけれども、弱い人を今日守るという立場でこれ質疑はしているんですが、逆に取られる可能性とかもあると思うんですけれども、その辺の担保、逆に、そういうことをちゃんとしておかないと、企業は怖くて一人フリーランスを雇うのやめておこうと、何でもかんでも介護と言われれば通っちゃうのかということにもなりかねないと思うんですけど、その辺りはどう担保していくんですかね。

〇政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。

 具体的な配慮の中身、内容につきましては、この法案が成立した場合におきまして、厚生労働大臣が定める指針におきまして具体的な内容につきまして定めた上でしっかりと周知をしてまいりたいと考えてございます。

〇山田太郎君 ちょっと何となくそういう意味で生煮えなところがあるんじゃないかなと思いますが。

 一方、次、ちょっとハラスメントについてもお聞きしていきたいと思います。

 同じ問題抱えていると思うんですけれども、今回も、ハラスメントに対しても体制整備ということで、どんな内容がハラスメントに当たるのか。いわゆる労働者のハラスメントというのはいろいろ整備されていて分かりやすいんですが、業務を委託している、請け負っているという中でのハラスメントというのは具体的にどういったものなのかなと。どんな措置をとるのか、どのようにして例えばそのことを知ることができるのかとか、逆に、そういうハラスメントを受けた場合、発注者である相手企業の一体誰に言えばいいのかと、発注しているフロントの窓口というか担当者にハラスメントされちゃったときに具体的に誰に対して相談をすればいいのか、その辺、教えてください。

〇政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。

 まず、ハラスメントに当たる内容につきましては、例えば、セクシュアルハラスメントにつきましては、性的な言動により特定受託事業者の就業環境を害する行為や、性的な言動に対する特定受託事業者の対応により、その者に係る業務委託の条件について報酬の減額等の不利益を与える行為を想定しておりますけれども、具体的には、妊娠、出産等に関するハラスメントやパワーハラスメントも含めまして、既存の法令における、既存の法令を参考に、厚生労働大臣の定める指針においてお示しすることとしております。

 また、ハラスメント対策のため特定業務委託事業者が講ずべき措置の内容につきましては、ハラスメント行為を行ってはならない旨の方針を明確化し、従業員に対してその方針を周知啓発すること、ハラスメント行為を受けた者からの相談に適切に対応するために必要な体制の整備をすること、ハラスメント行為が発生した場合の事後の迅速かつ適切な対応を想定しており、具体的には厚生労働大臣の定める指針でお示しすることとしております。

 また、特定受託事業者が特定業務委託事業者側のハラスメント対策の内容や相談窓口をどのようにすることができるかということにつきましては、例えば特定受託事業者への発注時に周知することなどが考えられますが、関係者の意見を聞き、特定業務委託事業者及び特定受託事業者の実情に即した周知方法を厚生労働大臣の定める指針等でお示しすることを検討してまいりたいと考えております。

 これに加えまして、フリーランス・トラブル一一〇番におきましても、業務に伴うハラスメント行為について、特定受託事業者からの相談に応じ、弁護士が取り得る対応等のアドバイスをしており、こうした相談窓口の周知や利用勧奨を通じまして、国としてもハラスメントのない就業環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。

〇山田太郎君 何となく、相談は、相談窓口から弁護士を紹介すると、だから自分で勝手に訴訟してくれというふうにも聞こえかねないんですけれども、もうちょっと踏み込んで対応がこの法律でできないのかなというふうにも思っています。

 次ですね、労働性の問題に関しても少し質疑していきたいんですが、これ実態としては労働契約に近い形であって、業務委託契約を締結されている場合ですね、いわゆる偽装請負とか偽装フリーランスなんという形になった場合に、この働き手の方は本法でどう救済されるのか、これもどうやって相談していけばいいのか、具体的な救済方法等について教えてください。

〇政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。

 労働基準関係法令の適用につきましては、業務委託や請負等の契約の名称にかかわらず実態を勘案して総合的に判断しており、実質的に労働者と認められる方々につきましては労働基準関係法令が適用され、本法は適用されないこととされております。

 フリーランスと発注事業者等との取引上のトラブルにつきましては、フリーランスが弁護士にワンストップで相談できる窓口としまして令和二年十一月からフリーランス・トラブル一一〇番を設置しており、御指摘のように、労働者性、労働者に該当するかどうかの相談につきましては、弁護士が相談者の方から丁寧に話を聞いた上で、労働基準監督署等の関係機関を紹介する等、適切に対応しているところでございます。

 また、労働基準監督署におきましても、フリーランスの方から労働基準関係法令違反がある旨の申告がなされた場合には、相談者の方から丁寧に話を聞くなどして事実確認を行い、労働者に該当するかどうかを判断していると承知してございます。

 引き続き、労働基準監督署におけます判断が的確に行われるようにするとともに、調査の結果、労働者に該当し、労働基準関係法令違反が認められる場合には、厳正な監督指導が行われるよう、厚生労働省において適切に対応してまいります。

〇山田太郎君 労働性が強い場合にはなんですけど、でも、今の話で解決するかというと、個人事業主として働きたいということでフリーランスとしてやっているんであって、今の話だと、ちゃんと雇ってくださいということになっちゃうと思うんですね。

 そうではなくて、要は、ちゃんと個人事業主、つまり請負なのだと、勝手にその現場で指揮命令を受けて、契約上にない電話を取らされるとか、別の業務をやらされないようにするためにはどうすればいいのか、これは労働基準局に行ったところで、この本法がしっかりと個人事業主とやれる、一人でもちゃんと個人事業主としてやれるということが守られていることには決してならないと思うんですけど、その辺りはどうでしょうか。

○委員長(古賀友一郎君) 速記を止めてください。

   〔速記中止〕

○委員長(古賀友一郎君) 速記を起こしてください。

〇政府参考人(三浦章豪君) お答え申し上げます。

 御指摘のようなケースにつきましては、いわゆる禁止規定の中にあります、例えば元々契約に定められていないような追加の業務を無償でやらせるというような行為は禁止規定の中に入ってくる行為に該当し得る場合があるということでございますので、本法案に基づいて、そのようなことがあった場合にはしっかりと対応していくということになろうかと思います。

〇山田太郎君 しっかりとして対応していくというのが、誰に対して、個人事業主としてこのことは、こんなことやったら請負になっちゃうよと、法律上違反しているんじゃないかということを誰に相談していけばいいのか、ちょっとその辺りをお伺いしているんですけど、もう一度御答弁いただけますか。

〇政府参考人(宮本悦子君) お答え申し上げます。

 御指摘のようなケースにつきましては、まずはフリーランス一一〇番におきまして御相談いただきまして、弁護士の方が相談者の方からしっかりと話を聞いた上で適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

〇山田太郎君 結局、これも弁護士に相談してくださいということなんですよね。

 次に、ちょっともうこればっかりやっていてもしようがないので、ちゃんとここはガイドライン等含めてもうちょっと踏み込んでフリーランスを守る形にしてもらいたいと思いますが。

 次は、ちょっと契約関係とか権利関係の話行きたいと思うんですが、まず、この不当なやり直しを禁止ということなんですけど、どのようなものが不当なやり直しになるのかということと、もう一つ最大のポイントでありますところが、この検収基準というのが請負になると大事になると思いますが、その基準等についてどの程度書面に明示しているのか、あるいは検収を上げない場合、結局一番問題なのは検収を上げないということが一番きつくて、検収さえ上がれば六十日以内にお金払いましょうとは書いてあるんだけれども、結局、これじゃ気に入らないという形になると、結局検収が上がらないということにもなりかねないんですが、その辺りどういうふうに明示していけばいいのか、教えていただけますでしょうか。

〇政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。

 不当なやり直しについての御質問でありますけれども、本法案の第五条の第二項第二号においてやり直しについては規定しておりまして、特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないにもかかわらず、発注事業者が給付を受領した後にやり直しをさせることにより、特定受託事業者の利益を不当に害することをこの不当なやり直しということで規定しております。

 そのため、特定受託事業者が業務委託時に定めた内容を仕様どおりに成果物の作成、提供を行ったにもかかわらず、特定受託事業者に追加で発生することとなった費用を支払うことなくやり直しをさせた場合には、不当なやり直しとして勧告等の対象となり得るというものでございます。

 また、第三条に規定する取引条件の明示義務ございますけれども、こちらにおける給付の内容には、その品目、品種、数量、規格、仕様等を明確に記載する必要がございます。その明示に当たっては、作成、提供すべき成果物の内容あるいは仕様を特定受託事業者が正確に把握できることが、できる程度に具体的に明示する必要があるというふうに考えております。

 したがって、検収の際などについても、検収に関連しても、まず、この三条での取引条件の明示の段階で具体的にどういった成果物が求められているのかということをしっかりと示していただくということが重要だと考えております。

〇山田太郎君 検収が、私も商売していたときになかなか検収が上がらないということがありまして、やっぱりこれを発注する側だって、やっぱり品質を担保したいので、悪気がなくても厳しく検収が上がらないケースがあったりすると思うんですが、そうするとずっとただ働きになっちゃったりするんですね。これが一番、もうハラスメント以上に厳しいというふうに思っていますので、ちょっとこの辺はしっかり、ガイドラインを含めて、対応を今後していただきたいと思います。

 次ですけれども、今回、いわゆる下請法の見直しではなくて、今回のフリーランス新法と言われるものになったんですが、私は、これ下請法の見直しというのもあってもいいんじゃないかなというふうに思っています。これはなぜかというと、今回は一人でやっている人しか守られないんですよね。一人雇っているとか、何人かでやっている、まさに、それだってフリーランスの形態でもありますし、極小の企業は発注側が資本金一千万円以下であれば下請法が適用にならないということで、まさに守られる法律がなくて空白になってしまうかと思います。

 そういう意味で、これ併せて、資本金にもよらないで下請法が適用できるように見直せないかどうかと。ただ、小さい会社と小さい会社同士が、いわゆるかなり厳しい状況にしても、動かなくなるといけませんので、例えば従業員とか売上げによった適切な要件を導入するなんということも考えられると思うんですけど、この辺りいかがでしょうか。

〇政府参考人(品川武君) お答え申し上げます。

 下請代金法でございますけれども、これは独占禁止法の優越的地位の濫用の補完法としまして、優越的地位が類型的に認められやすい取引につきまして、独占禁止法に比較して、簡易かつ迅速に対処をするということを可能とするため、資本金区分等により適用対象を明確化しているものでございます。

 委員御指摘の従業員数でありますとか売上高につきましては、資本金の額と比較しまして、事業年度等に応じて比較的短い期間で数値が変動するという性質がございます。また、事業者の外部から数値を確認することが容易ではないというところもございます。

 下請代金法におきましては、資本金区分の代わりに従業員数や売上高を基準とした場合に、比較的短い期間で変動する数値を採用することになりまして、発注者だけではなくて、中小規模の受注者から見ても取引先が適用対象となるか否かの予測可能性が低下するなど、規制の安定性を損なうことになりかねないというふうに考えてございます。

 このため、公正取引委員会といたしましては、下請代金法については安定した基準である資本金区分等により適用対象を明確化することが引き続き適当であると考えてございます。

〇山田太郎君 その答弁、おかしいと思うんですよね。

 というのは、例えば消費税法は、納税義務の免除については売上げ一千万円以下というのが基準なんですよ。それから、会社法も、大企業については資本金五億円以上又は負債額二百億円以上を基準と。これ、いずれも事業年度等において頻繁に変動するかと思います。

 一方で、今回の本法も、いわゆる業務委託の相手方である事業者であって、従業員を使用しないものという、まさに従業員数をポイントとしているわけでありますから、こちらの法律は、なかなか、向こう側の相手がどんな状況で雇っているのか雇っていないのか、本当に一人かどうかというのは外形的に分からないのに、下請法に関しては、ほかの法律では売上げ等の基準を取っているものがあるのに、何で下請法だけはそこにこだわられるのか、もう一度答弁いただけますか。整合性が取れないと思います。

〇政府参考人(品川武君) ただいま委員から御指摘のありました税法でありますとか会社法の関係でございますけれども、こちらにつきましては、自社の売上高や負債の額を基準として、それに伴う一定の義務が生じているものでございます。こういったものにつきましては、当該事業者自身の売上高でありますとか負債の額というのは、その事業者にとりまして容易に把握することができるというふうに考えてございます。

 一方で、下請代金法の場合は、親事業者が書面交付義務を負うかどうかという問題がございまして、これを判断するに当たりましては、親事業者自身だけではなく、取引先である下請事業者の売上高や負債の額についても把握しなければ規制法の対象になるかどうかが確定しないといった事情がございます。

 また、中小企業の中には、売上げや負債の額みたいなものにつきまして公表に消極的な事業者も存在すると考えられますところ、こうした数字につきまして、非公表の売上高や負債の額の開示を強制をさせるということになれば、下請事業者の利益に反するのではないかというふうな問題もあると考えてございます。

〇山田太郎君 実はこれ私もずうっと党内含めてこだわってきたところでありまして、やはり今回のフリーランス新法は一人事業主にとっては非常に重要ですので、その趣旨もありますし、是非これは通したい法律だというふうに思いますが、一方で、先ほど冒頭にも述べましたように、一人以上でやっているとか一人だけ雇っているとかいう人たちには全く適用のものがなくて、下請法をどういわゆる発注者から見た場合に解釈するかということになっちゃうんですね。

 これ、ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、そういった意味で、次ですね、フリーランスというのも多様な形態があります。フリーランスが徐々に大きくなっていく可能性もあります。そういう場合に、たった一人だけ雇っていたらもうこれに適用にならない、だけど、発注側が一千万円だと下請法がいわゆる適用にならないといったようなケースもカバーしていく必要があるんだというふうに思っています。

 是非、後藤大臣、このちょっと空白になってしまった、しかも、ここの人たちを最も守らなければいけない、将来の可能性もUCGの時代にある中で、大臣としてこの辺りどうお考えか、御答弁いただけますでしょうか。

〇国務大臣(後藤茂之君) 本法案が成立すれば、これまで下請代金法による保護の対象外であったフリーランスに関する取引の適正化が図られることに加えまして、ハラスメント防止などの個人の就業環境整備が図られることによりまして、フリーランスの方々が不当な利益を受けることなく安定的に働くことができる環境の整備が大幅に促進されるものと考えております。

 今回の法律は、そういう意味でいえば、組織、個人であっても、人を雇っていない、そういうフリーランスというものを、から出発点にして、取引規制で構築している法律だというふうに考えています。

 他方で、議員御指摘のように、本法案が成立したとしても、依然として本法案、下請代金法のいずれの対象ともならない取引が存在することは事実であります。例えば、本法案第五条の禁止行為、これは継続的取引のみを対象としているほか、フリーランス同士の取引は書面交付の取引以外は対象外としていると、そういう実態上の問題等を踏まえた対応もしているところであります。

 このため、まずは本法案をしっかり運用するとともに、本法案附則の検討規定に基づいて法施行後もフリーランスをめぐる取引状況の分析や様々な業種における課題の把握などに努めるほか、幅広く関係者の意見を確認していくことによりまして、施行後三年をめどに検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

○委員長(古賀友一郎君) 時間ですので、まとめてください。

〇山田太郎君 はい。

 是非、このまだ保護されない部分というのを、これをスタートにというふうに大臣おっしゃられたので、検討をスタートしていただきたいと思います。それから、多くの相談が弁護士さん宛てにという、まだまだ、ガイドラインでサポートするのか、この法律がきちっと捉え切れていないところもあるというふうに思っていますので、今後引き続きお願いしたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。