2025.10.20

宮城県名取市で復興の現状を視察

 2025年10月10日、宮城県名取市に東日本大震災以来14年ぶりに現地を訪れ、復興の現状を視察しました。 港町として栄えた閖上(ゆりあげ)地区と、農業地域だった下増田地区は、津波によって一瞬にしてまちが消滅しました。 現地に立つと、静かな風景の中に、あの日の爪痕と、そこに生きた人々の記憶が確かに息づいていることを感じます。 実は、私は震災直後、まだ民間人だった頃にボランティアとして現地に入り、支援物資の分別作業などに参加しました。その時の経験は、私が政治家として防災政策に取り組む原点となっています。今回、再び名取を訪れ、あの時からどれほどの年月が経っても、決して忘れてはならない現実がそこにあると痛感しました。  

 名取市では約1,000名もの尊い命が失われました。 震災メモリアル公園の「祈りの広場」には、東日本大震災慰霊碑が建ち、空に伸びる「芽生えの塔」は、津波の高さと同じ8.4メートルに設計されています。 亡くなられた方々の名前が刻まれたその前に立つと、一つひとつの命の重みが心に迫り、胸が締めつけられる思いでした。 そのすぐ近くにある「名取市災害復興伝承館」も訪ねました。 「閖上の記憶」を後世に伝え、防災・減災の意識を育む拠点として整備されたものです。震災当時の写真や資料、そして街並みを再現した模型が展示されています。わずか30センチの浸水でも歩行が困難になる体験展示を通して、津波災害の恐ろしさと、備えの大切さを改めて実感しました。

 今後の災害対応では、デジタル技術を徹底的に活用し、「救える命を最大限に救う」防災DXの推進が不可欠です。私は、2021年から、大規模防災対策として発災現場をデジタル技術で支える仕組みを党デジタル本部防災DXの実務責任者として構築してきました。現状の防災ネットワークは課題が多く、デジタル庁や党内でも対応する組織やシステムをどうするか議論し、これまで実行に移してきましたが、まだまだ不十分です。 南海トラフ地震や首都直下地震など、想定を超える巨大災害に「想定外」という言葉は通用しません。どんな状況下でも命を守り抜く。そのための制度、体制、技術、そして人材を整備する。それが政治の責任です。 この地で見た現実、感じた思いを胸に、私は防災・減災の政策をさらに前へ進める決意を新たにしました。