2020.11.16

デジタル山の登り方 第2弾!!~山田太郎事務所の独自調査と3自治体からのヒアリング~

10月30日に開催された「行革改革推進本部 役員会」において、京都府、兵庫県神戸市、富山県射水市の3自治体から、地方自治体の情報システム運用の実態についてヒアリングし、これからのデジタル山の登り方について議論を行いました。

京都府からは市町村の基幹業務システムの共同化について、兵庫県神戸市からはシステム標準化に向けた対応について、富山県射水市からは共同利用型自治体クラウド導入について、それぞれどのような取組みをおこなっているのか話を伺いました。

いずれも職員の業務効率化と住民の利便性向上を目的としたものであり、大変参考になりました。しかし、私がどれくらいRPA(注1)によって業務の効率化ができたのかを質問したところ、3自治体のいずれにおいてもRPAできたのはあくまでも一部であり、ドラスティックに効率化できているわけではないとのことでした。それは、業務量が多い分野については以前から各自治体においてそれぞれの業務ごとに独自のシステムが導入されてきており、システムの共同化等によってRPAできる余地が残っている業務がそもそも多くないこと等が要因のようです。また、業務プロセスが法令で決められてしまっているために、システムを導入してもRPAできていない業務も少なくないようであり、改めてシステムにあわせて業務を見直していく重要性を実感しました。

(注1)RPA:Robotic Process Automationの略。業務自動化による生産性向上のこと。

地方自治体の情報システムのうち住民記録システムについては、山田太郎事務所の独自調査(注2)を行っています。その結果、回答のあったすべての自治体においてベンダーのパッケージが導入されていること、そしてその半分以上の自治体でベンダーのパッケージがカスタマイズされていることが分かりました。

(注2)山田太郎事務所の独自調査

ベンダーのパッケージ自体が多数存在する中、それを各自治体が独自にカスタマイズしていますので、日本に存在する住民記録システムは本当に多種多様なものとなってしまっています。それらを短期間で標準化・統一化することは至難の業です。独自のカスタマイズがなされている背景には、自治体ごとに業務プロセスが異なっていたり扱っているデータ自体も異なっていたりすること等があるようです。業務プロセスとデータが違えば、違うシステムになるのは当然です。

今回の山田太郎事務所の独自調査では、1700市区町村のうち、人口がおおよそ500位、850位、1450位、1700位を対象としました。このうち、850位というのはちょうど人口規模が真ん中になりますが、その人口は約2万人です。しかし、人口が10万人くらい(約300位)でないと、システムによる生産性向上の効果が出にくいとも言われています。そのため、1700市区町村のシステムを一気に標準化・統一化しても、少なくとも当面の間は恩恵をほとんど受けられない自治体が多数出てくる可能性があることに注意が必要です。

また、情報システムのレイヤー(層)には、UI(ユーザーインターフェース)のレイヤー、業務プロセスのレイヤー、システムのレイヤー、データのレ4つのイヤーがありますが、全てのレイヤーを一気に標準化・統一化することは、実現可能性が極めて低いと言わざるを得ません。そのことは、山田太郎事務所の独自調査と、3自治体からのヒアリングによって、より確信に近づきました。

4つのレイヤーのうち、国民と直接関係するのはUIのレイヤーとデータのレイヤーです。業務プロセスのレイヤー、システムのレイヤーは、主に役所の職員の仕事に関するものであって、直接には国民と関係しません。

国民のためのデジタル庁、国民のためのデジタル化ですので、これからの日本のデジタル化においては、まずは可能限り速やかにUIとデータの標準化・統一化から行って国民に恩恵を感じてもらいつつ、業務プロセスとシステムについてはその後ある程度時間をかけながら行う、そういったことを真剣に考えなくてはなりません。

10月30日の「行革推進本部 役員会」では、デジタル山の登り方として、そのことを強く訴えました。日本のデジタル化・行政改革を着実に前進させるために、これからも全力で取り組んでいきます。