2020.9.2

内閣委員会〜国立国会図書館のデジタル化・社会全体のデジタル化〜(2020年8月27日)

○山田太郎君 自由民主党の山田太郎でございます。

今日は、今般、コロナ、新型コロナ感染の拡大で特に日本のデジタル化というのが非常に遅れているということが明らかになったということで、大変私は深刻な状態にあるんだなというふうに思っていますので、この辺りのちょっと関連の質問をさせていただきたいと思います。

ちょっと質疑の通告の順番を変えまして、社会全体のデジタル化という話から少しお話をしたいと思います。

まず、社会デジタル化といったときに、今もう現場で最大問題になっていますのは個人情報の定義、ルールを定めましたいわゆる個人情報保護法、それが各自治体で違うと、いわゆる二千個問題と言われることが大変問題になっております。各自治体、全国千七百強ありますけれども、全部条例が違うために、それぞれの民間の企業は、この県はこういう管理をしなきゃいけない、あの県はこういう管理をしなければいけない、自治体同士もどういう情報を渡し合うのかと、こんなことが現場として起こっているわけであります。

これ、取引ばかりではありません。今後、防災のプラットフォームを例えばつくっていこうということになった場合に、どうやって日本全体、各地域住民を守っていくのか、こういったことも非常に問題になるんではないかということで、まさにこのプラットフォームの整備、そしてこのデジタルの情報の整備というのは命に関わるというか、そこまで政府は重たい責任があるということを考えるべきだというふうに思っています。

そこで、法律で販売を禁止されているものでもないのに各自治体それぞれで例えば電子商取引でルールを決めるというような動きもありまして、そういうことをすると、先ほど申し上げたように、商売上も非常に問題になるというふうにも思っております。

今、例えば足下ではどんな問題が起こっているかといいますと、一つは、香川の方ではゲーム規制条例みたいのを作って、これは香川県の方をどういうふうに現場で守っていくのかということにおいては確かに香川の判断あると思いますが、他の業者も、じゃ、そこに対して、香川の住民の方に売ろうと、何かを提供しようとすると、やっぱりその県以外の人たちも引っかかっていってしまうと、こんなような状況もあるわけであります。

一方、鳥取県も昨今、有害図書指定を指定するということで、その県そのものの問題としてやるに当たっては構わないんですが、他の県は全部条例とかいわゆる指定の決め方が違いますから、今後、下手をすると、各企業が全部、何県についてはどう売っていくのか、下手すると、住民が全部それを選んででしか買うこと、売ることができなくなると、こんな大変な状況になるんではないかなというふうに思っています。IT連盟の方々もそれに対しては大変反対をしていると、非常に危惧をしているという声明も出ています。

そこで、政府は電子商取引にとって、例えば国際ルールというのは一生懸命取組をしているんですけれども、この電子商取引の分野で新たな国内の二千個問題を生じさせないために政府統一をした国内ルールをしっかり作るというふうに取り組むべきだと思いますが、これ、特に経産省、まずどうお考えか、お願いします。

○政府参考人(三浦章豪君) お答えをさせていただきます。

経済産業省といたしましては、電子商取引などデジタル市場に係るルール整備について、さきの通常国会で成立した特定デジタルプラットフォーム透明性及び公正性の向上に関する法律など、市場の健全な発展に向けて取り組んできているところでございます。

お尋ねの地方公共団体が制定する条例については、当省の所管ではないためお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、デジタル市場に関し、基本的には関連するルールが共通であることについて、これは重要な要素であるというふうに認識をしているところでございます。

経済産業省としては、そうした観点から、WTO電子商取引交渉など国際ルール形成のための議論に参画をしていると、こういう状況でございます。

○山田太郎君 次に、来年、IT基本法の全面的な見直しをしたいということで、政府の中で検討、いわゆるデジタル基本法とか推進法とか言われたりもしますが、実は、電子商取引だけじゃなくて、域外の事業者の活動そのものに対しても責務を課す条例みたいなのが先ほどあるというふうに申し上げたんですけれども、本来、私は、代表を送って、特定の地域の代表である議員によって制定された条例で、そこの地域じゃないところに関してもいわゆる規制が掛かるというのは、やっぱり法的な正当性というのは困難じゃないかなというふうにも実は考えているんですね。

インターネットの世界というのは県境なんかは平気でまたいでいきますから、こういう問題は国全体で事業を行う、整備を行うということが当然だと。そうでないと、このデジタル化というのは非常に遅れていくのではないかという危惧があります。

そこで、まさに来年のIT基本法の全面的な見直しをしようということが盛り込まれたんですが、これは平副大臣にお聞きしたいと思っています。IT基本法の全面的な見直しに関して新たな二千個問題のような問題を生じさせないように、インターネットの世界においては様々なルールが乱立しないように手当てが必要だと考えますけれども、いかがでしょうか。

○副大臣(平将明君) 今御指摘いただいた二千個問題みたいなものは、デジタルガバメントや、あとIT化を進めていくときには必ずぶち当たる問題でありまして、今回もHER―SYSで大阪府がなかなかつなげられなかったのは、個人情報の手続を経なければいけなかったということであります。

今後、デジタルガバメントを進めていく上で、そういう個人情報がばらばらだという問題と各自治体がシステムがばらばらだという問題をこれ乗り越えていかなければいけないので、今回のIT基本法で、まあまだ骨格固まっていませんけれども、我々の目指すデジタルガバメントとかデジタル社会はこういうものだというものをちゃんとビジョンを作って、そしてその上で自治体とかと共有をしていきたいと思います。

なお、条例の制定に関するところなので、これ法律で全部その辺がカバーできるかといったら、これは厳しいと思いますが、一方で、デジタル化するということは地域性が薄まるということは委員御指摘のとおりなので、デジタル社会にふさわしいレギュレーションというか規制の在り方というのは当然あるんだと思います。

いずれにしても、目指すデジタル社会をしっかりと定めて、自治体の皆さんとまたそのIT事業者の方とデジタル社会にふさわしい規制の制度体系を検討してまいりたいと思っております。

○山田太郎君 改めて、これは平副大臣にも改めて御質問したいんですが、やっぱり私も異なるルールの乱立というのはもう何とか避けないといけないと。デジタルの配下においては、多分、外交とか防衛とかと同じ価値観ですよね。国のプラットフォームを整備して、住民に対するサービス、強いて言えばデジタル化がもしかしたらそれぞれの全国民の命を守るかもしれない、取引の自由をいわゆる保障するかもしれないというところに立っていますので、もう一度御答弁いただきたいんですけど、ルールの異なる乱立化ということを何としてでも避けるような手当てをいわゆる法整備として是非していっていただきたい。これは単なるシステムを統一するだけの問題ではないということで、改めてお聞きしたいと思いますが、いかがですか。

○副大臣(平将明君) 御指摘の点、よく分かります。国際戦略としても、例えばヨーロッパ、EUはGDPRでありますし、中国は比較的個人情報は国家が全部吸い上げられる仕組みになっているんだと思います。

そういった中で、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラストというのを去年のG20で出させていただいたわけであります。Eコマースは、国内のみならず、世界全体を覆うわけでありまして、その中で、事業者は各国のレギュレーションに合わせて多分ビジネスをやられているんだと思います。

ですから、そこでいわゆるデータ・フリー・フロー・ウイズ・トラストの大きな固まりを世界の中でつくっていくことも大事だと思いますし、日本の中でも、大体、ステークホルダーが大体コンセンサスを得られるところでデジタル社会に向けて前向きな規制の新たなデザインが必要だと、そういう方向で検討したいと思っております。

○山田太郎君 各地域ごとによってルールが違うということで、日本は最も商売がしにくい、国内にとっても足かせになるということでは何にもなりませんので、全体最適で国が責任を持って主導していくということが大切だということを確認させていただいたと思います。

さて、最後の質問になりますが、国立国会図書館のデジタル化について少し質疑をさせていただきたいというふうに思っています。

国立国会図書館、一生懸命デジタル化を現場でしていただいていると思うんですけれども、実際、今どういう状態かということで、いろいろ国立国会図書館の方々とお話しさせていただいたところ、全体の所蔵物のうちデジタル化が済んでいるのが二百四十四万点ということで、実は全体の二〇%未満であると。八割が、所蔵されている書籍等に関してデジタル化されていない。しかも、一九六八年頃までのものが中心だということであります。

今回、コロナ禍で、日本全国の図書館が大学含めて閉まっている状態であります。ある調査によると、緊急事態宣言下においては全国の九二%の図書館が閉まっていたと。最後、制限を掛けても、抽せんで入れるというふうに聞いておりますけれども、何とか開けて、この知の結集体である図書館というのを維持してきたのは唯一国立国会図書館であったということでありまして、今後も、もしウイズコロナということを考えるのであれば、こういう状況は当然考えられるわけであります。

そういった意味で、何とかこれ、この国立国会図書館のデジタル化、そうすれば、いわゆる絶版のものについては、それぞれの図書館であったり、ひいては、今後、一般の方々もデジタルでそういった情報を得ることができるんではないかということで、大変、コロナ禍における非常に重要な部分ではないかなというふうに思っております。

そういった意味でも、八割以下のデジタル化であるということと、もう一つ、予算上の制約もあるとは思うんですが、毎回、毎年納本が四十三万冊ぐらい来るんですけれども、実際にそれがデジタル化できる力はたった五%未満だと、僅か二万点ということもお伺いをしました。そういう状況下の中で、デジタル化されていないと、例えばOCRの処理もされていませんし、ウエブに載ったニュースというのも、もはやこれも所蔵されていないので誰も見ることができない、こんなような状況下にあるわけであります。

そういう意味で、是非、国立国会図書館の今日館長に来ていただいていますので、お聞きしたいんですけれども、これまでのデジタル化がされていない過去の収集資料も含めて、強力にデジタル化を推進してほしいと私は思っております。年間二万冊しかデジタル化ができていない問題、これはお金がないからなのか、技術的な問題なのか、あるいは法律上の手当てがしっかりされていないのか、いずれにしてもこの立法府の責任だというふうにも思っておりますので、是非、国立国会図書館長の方にお答えいただきたいと思います。

○国立国会図書館長(吉永元信君) お答えいたします。

国立国会図書館では、資料の保存と利用の両立を図るため、所蔵する図書、雑誌等のデジタル化を行っておりますが、予算上の制約もあり決して十分とは言えない現状であると認識しております。今般のコロナ禍により全国の図書館の来館サービスが利用できなくなったこと等により、研究者等からデジタル化資料へのニーズが一層高まっていることを真摯に受け止めまして、これまでデジタル化できていない過去の収集資料も含めて、資料のデジタル化及び全文テキストデータ化を加速してまいりたいと考えております。

また、デジタル化資料の利活用の促進に向け、文化庁及び関係団体等とも十分に協議してまいりたいと考えております。

以上です。

○山田太郎君 ありがとうございます。

今の御答弁いただいて、主に予算の問題のせいがすごく大きいということでありまして、そうなると我々立法府の責任でもあるだろうと。

実は、この問題で与野党を問わずいろんな議員の先生方がこれまで、国立国会図書館のデジタル化は必要なんだと、コロナ禍でどうなっているんだということを言われてきました。こういう状況下で、我々国会議員がもう何もできないということでは大変問題が大きいというふうに思っておりますので、是非これは国会の問題として、今後予算のいわゆる策定というのもしていくというふうに思いますけれども、いずれにしても、何とかこのデジタル化を進めてほしいというふうに思っております。

以上、このデジタル化に関する私からの質問はこれぐらいにしたいと思います。

どうもありがとうございました。