2019.10.31
自民党本部・競争政策調査会
本日10:00から予定されていた参議院・内閣委員会が、急遽、中止となりました。
時間前に委員会室に着いたのですが誰もおらず不思議に思っていると、事務方から「今日の委員会は中止になりました」と聞かされ、とても驚きました。
現時点で、次回の開催は未定だそうです。
委員会はなくなりましたが、そのおかげで、やむなく欠席することになっていた、11:00からの自民党本部・競争政策調査会に出席することが出来ました。
本日のテーマは、「デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査報告書(オンラインモール・アプリストアにおける事業者間取引)」についての公正取引委員会からのヒアリング。
この報告書及び概要版は本日公開されており、こちらからご覧頂けます。
https://www.jftc.go.jp/…/pressrelease/2019/oct/191031_2.html
今回の調査は、デジタル・プラットフォーマーが多くの取引先に対して優越した地位に立ちやすいこと、デジタル・プラットフォーマーから取引条件の変更等を迫られ不満の声を上げている企業が増えていること等から、公正取引委員会が行ったものです。
報告書の概要版は、分かりやすく良いものだと思いました。
概要版14頁の「アプリ内課金手数料の設定とアプリ外決済の制限」の問題は、私のところにも多数寄せられています。
現在、スマホのアプリストアは、原則としてアプリ内決済しか認めず、ユーザーから支払われる代金の30%はアプリストアに手数料として取られています。
クレジットカード決済の手数料が5%程度であることと比べると、非常に重い負担です。
報告書には、「アプリ外決済を禁止してアプリ内課金の利用を不当に強制する…ことは、独占禁止法上問題(拘束条件付取引)となるおそれがある」と明示されましたので、今後の動きを注視したいと思います。
スマホのアプリストアについては、巨大デジタル・プラットフォーマーによる、さらに悪質な問題があります。
それは、取引の途中から、優越的地位に基づいて一方的で強制的な取引ルールの変更が行われていることです。
これは不意打ちであり、まさに優越的地位の濫用です。
概要版8頁にその記載があります。
このケースについても、私のところにいくつか相談が寄せられています。
ある上場企業の例では、最初はアプリ外決済が認められていたのに、途中からアプリ内決済を強制され、決裁の手数料が突然5%から30%に上がり、毎月1億5000円も経費が増えてしまって、単月で5000万円以上の赤字になってしまいました。
アプリストアは、こういった取引ルールの変更を、アプリ利用者が増えた後、一方的な通知によって行ってきます。
その際、アプリストアは、それまでのやり取りや個別の事情を一切考慮しません。
そして、ルール変更に応じない場合、アプリストアから当該アプリを削除するという手段に出て、再度登録をするためにルールの変更に応じさせます。
極めて悪質であり、こういう問題にこそ公正取引委員会が出ていくべきです。
しかし、アプリストアに関するこれまでの独禁法による取締件数を質問したところ、0件とのことでした。
今回の調査及びその報告書は良い出来ではあるのですが、大切なのは独占禁止法の適正な運用です。
いくら調査を行い、分かりやすい報告書やガイドラインをつくっても、きちんと取締らなければ、取引の透明性や公正性を実現することは出来ません。
デジタル・プラットフォーマー全体で何らかの働きかけを行ったものは6件(うち確約手続が1件)とのことですが、アプリストアをはじめとするデジタル・プラットフォーマーの問題が一向になくならない現状を鑑みると、対応が甘いのではないかと思ってしまいます。
また、関連して、以前も指摘したカード決済会社による一方的で強制的な取引ルールの変更についても、改めて質問しました。
こちらについては、優越的地位の濫用になる場合には、しっかりと対処するとのことでした。
今日は、デジタル・プラットフォーマーに関する議論でしたので、内閣委員会で質問しようとしていたクッキー及び位置情報の収集・利用の問題にも触れました。
たくさんの議員から次々と発言が続き、本当に大きな問題であることを改めて実感。
公正取引委員会からは、クッキーや位置情報の収集・利用それ自体を問題視しているものではないとの回答がありましたので、ひとまず安心ではあります。
しかし、クッキーを使用せずユーザー属性を推定する特許技術を用いた広告配信最適化エンジンを開発した企業の株価がストップ高になるなど、誤解に基づく影響が広がっていますので、正確な理解を広めるための積極的な取組みが不可欠です。
パブリックコメントに付したガイドライン案自体が非常に分かりにくいという点や、そもそも競争政策上の対応の必要性が不明確であるという点については、公正取引委員会として反省して頂かなくてはなりません。
公正かつ自由な競争を促進することを使命とする公正取引員会が、二度と、新しいIT技術を用いた競争の萎縮に繋がるような文書を出すことのないよう、再発防止に努めて欲しいと思います。
内閣委員会の代わりに出席した今日の自民党本部・競争政策調査会は、非常に白熱したものとなりました。
残念ながら、海外の巨大デジタル・プラットフォーマーをめぐる問題は、まだまだ解決までは遠い状況です。
国内外企業のイコールフッティングも含め、公正かつ自由な市場を整備するため、全力で取組んでいきます!