2014.12.3
議員立法「リベンジポルノ法案」に関して、平沢勝栄議員等に質疑を行いました
11月18日、総務委員会にて質疑を行いました。
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。
本日は、差し替えまでさせていただいて発言、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
この手の話になると私が登場するケースがすごく多くて、表現の自由等、いろいろな観点、それからもう一つ、社会秩序系の法律でもありますので行き過ぎないようにというところもあって、少しその辺りの質疑をさせていただきたいと思っております。
私としても、そもそもいわゆるリベンジポルノ、内容が性的であるないにもうかかわらず本人が望まないという画像に関して拡散していくことはよろしくないということでありますので、おおむね法案に関しては賛成の旨でありますが、ただ、何点かきちっと注意して見ていかなきゃいけない点があるかと思っております。
これは、知らずにリンクを貼った場合といったところを少し質疑させていただきたいんですが、児童ポルノの禁止法の質疑を前回やったと思うんですけれども、児童ポルノが閲覧できるURLを一般の人が見える掲示板に貼ったことでそれが公然陳列罪に当たるという、これ実は平成二十四年の七月九日の最高裁判決があります。一般的には、第三者が本法に該当する映像だけを見た場合には、その画像が本人が第三者に見られることを許可した上での映像なのか、あるいは許可していない画像なのか、なかなか分からないという点があるかと思っています。
そこで発議者にお伺いしたいと思いますが、特に刑法三十八条の一項の中でも故意犯の原則といった部分があるかと思うんですが、このインターネット上にある私事性的画像記録物を本人の許可がないままに画像とは認識せず掲示板等にURLを貼った場合、本法によって罰せられることがあるのかどうか。若い子が知らずにURLをただ貼っただけで罰せられてしまうというのは私は行き過ぎだというふうに思っておりますが、その辺り、教えていただけないでしょうか。
○衆議院議員(山下貴司君) 山田委員、御質問ありがとうございます。
ただいまの御質問は二つに分けてお話しさせていただきます。知らずにやった場合、そしてリンクを貼った場合、これがどうかという。
まず、リンクを貼った場合につきましては、委員御指摘のとおり、最高裁が平成二十四年七月九日、大阪公判の判決を是認している判決がございます。リンクを貼った場合でもわいせつ物陳列罪になるという部分につきまして、この法案においても同様の論理が当てはまるかどうかにつきましては、これは、不特定多数人に対する提供とリンクを貼る行為がですね、画像自体を提供する行為とリンクを貼る行為が同価値性を持つのかということと、あと、例えば相当ウエブの中で階層が重なっているところのリンクをわざわざ本当にみんなが見るようなところで貼り付けるような、そういった新たな別個の公表と言えるような場合、そういった場合にはやはり新たな法益侵害があるということで本法においても罰せられることになろうかと思います。
ただ、本法は過失犯は罰しておりませんで、一般に流布しているものにつきまして、これは私事性、例えば公開について第三者が閲覧することを許可しているかどうかということについて故意がなければ、この本法に定める犯罪は成立しないということでございます。
いずれにしましても、その適用においては、当局においても謙抑性を持って慎重に適用されるものと私も期待しておるところでございます。
○山田太郎君 今の部分は非常に重要なポイントでありまして、例えば若い子が何となく、こんなサイトにこんなとんでもないものが載っているぞというようなことで、中身の実態をさらさずとも、その貼ってあるリンク先のリンクを貼っただけで、それが当該のいわゆる対象の罰せられるものがその先にあれば当然罰せられる可能性があるということですので、これは周知、まさに先ほど藤末議員の方からも言っていましたけれども、周知徹底をしていただかないと、かなりな部分で若い子たちにとってもあらぬところの落とし穴になる可能性があるというふうに思っておりますので、是非、その辺り、この施行に当たってはよろしくお願いしたいと。
ただ、故意かどうか分からないというところは過失の問題がありますから、これについては後で附帯決議の方でも私の方、特に挙げさせていただいておりますので、この委員会でも後で附帯決議で決議を要求していきたいということでやっていきたいと思っております。
さて、次に、本法が、画像が、第二条の一項の各号で定められているように、例えば際どい性的な画像に限定されているんですね。そういうような形に定義した理由、特に本人が嫌であれば本来はリベンジではないかといったところもあると思いますが、その辺りも発議者の方、お願いできますでしょうか。
○衆議院議員(山下貴司君) 御質問ありがとうございます。
まず、本法案の保護法益は、個人の性的名誉及び性的プライバシーでございます。こういった性的名誉や性的プライバシーを侵害する行為というのは様々なものが含まれるわけでございますけれども、本法においては侵害行為に対して罰則が掛かる、あるいは侵害する画像については削除の対象になるということで、やはり慎重に、この定義の中核である姿態という言葉を規定するに当たっては明確でなければならないということで、外縁等、適切に確定する必要があるということでございます。
確かに、こういった性的なものについてはわいせつという概念があるわけでございますが、このわいせつというのは健全な性風俗や公衆の性的感情という社会的法益を保護する観点であって、これを中核に据えるということになると、本法の保護対象としては狭過ぎるということでございます。
そして、翻って考えますと、児童ポルノの定義というものは、これまで児童ポルノ法の運用の積み重ねによって、文言のみならず、その運用、適用まで相当程度適用場面が明らかにされているということでございますので、そういった姿態が公表された場合について、これを罰則あるいは削除の対象にしようということで規定しているものでございます。
○山田太郎君 今、発議者の方、山下先生がお話しされたように、要は、社会法益なのか個人法益なのか非常に微妙なところなのかと思っています。法の立て付けとしてはあくまでもリベンジポルノに対する防止ですから個人法益でなければならないんですが、出口としてはポルノの内容を定義しているということで、じゃ、ポルノでなければ防止できないのかという問題は残っているかと思っております。
そういった意味で、こういうケースは罰則に当たるのかどうかということも少し確認していきたいんですが、例えば、ベッドの上で二人が下着姿で殊更に性的な部位を強調しているわけではないけれども、本人の意図に反して掲示板等にアップロードされた場合、もちろん本人は望んでいない場合でございます。そういう場合はこの法律の処罰の対象に当たるのかどうか、教えていただけますでしょうか。
○衆議院議員(山下貴司君) 委員御指摘の事例につきましては、もちろん個別具体的な事情によるわけでございますけれども、第三者が画像を閲覧することを承諾していない場合というふうに考えられますので本法の対象になるということです。性的画像になるということに考えております。
○山田太郎君 もう一度確認しますが、殊更に性的な部位を強調していない場合の写真でどうなのかということでありますが、もう一度よろしくお願いできますでしょうか。
もう一度、じゃ、確認のために聞きます。ベッドの上で二人が下着姿で殊更に性的な部位を強調していない写真であるけれども、本人の意図に反して掲示板にアップロードされていると、もちろん本人は望んでいない場合でございます。お願いします。
○委員長(谷合正明君) 簡潔に願います。
○衆議院議員(山下貴司君) 失礼いたしました。
下着姿ということで、それはならないというふうに考えております。
○山田太郎君 そうなってくると、ポルノであるかどうかということが結局出口になるということで、何となく、いわゆるこれがどこまでの個人法益なのかということは一つ問題として残るのかなというふうには思っております。
これ、法律もリベンジポルノ法とも呼ばれているようですが、例えば、本来は本人が拡散されていることを望んでいないものも直接処罰の対象にならないと、それをポルノという形で名前を付けてしまったために非常に、矮小化されたと言うと怒られるかもしれませんが、なかなか、いわゆる個人法益として何をどの程度守っていくのかということにはまだ疑義というか、未完成な部分は残るかと思っております。
そういった意味で、この法律に本当に最終的に実効性があるものなのかどうか、この辺りも発議者の方から発言いただけないでしょうか。
○委員長(谷合正明君) お答えは簡潔に願います。
○衆議院議員(平沢勝栄君) 既存の法律では必ずしもカバーできないところが、例えば名誉毀損とかあるいはわいせつ物頒布罪等ではカバーできないところを埋めるのが今回の目的でございまして、ただ、かなり狭められておりまして、今委員が御指摘の点は、フランスなんかでは当然、あるいはドイツなんかでは当然適用になるんです。だけれども、日本の場合は、全裸又は半裸の状態でそして特別に性的部位を強調していると、こういったものが適用になりますので、今のようなケースは適用になりませんけど、外国によってはそういうところも適用しているところもあるわけでございまして、これらについては、まずは最初ですから限定的にやりまして、今後、運用の実態を見ながら、三年後に見直しの規定を置いておりますので、そういったところでしっかり検討していきたいと思います。
○山田太郎君 時間になりましたのでまとめますが、まず、この法律があらぬところで暴れてしまわないように、是非きちっと適用に当たっては正しく運用していただきたいということで質問させていただきました。
もう一つ、平沢先生がおっしゃられたとおり、見直しのところも含めて、運用してみて、これが個人法益として資するものなのかどうか、そういったところを考えて今後運用も考えていっていただければというふうに思っております。
以上です。