2015.5.1
「児ポ法への質問に対する答弁書」ずさんな内容とは【第35回山田太郎ボイス】
■閣議決定を経て返されたとは思えない「答弁書」に不信感あり!
昨年7月15日、改正児童ポルノ禁止法が施行されましたが、この施行1年後から、罰則が適用されます。それに伴い、4月15日に「改正児童ポルノ禁止法施行に関する質問主意書」を参議院議長に提出しました。この児ポ法の運用や罰則に関する問題点などについて、政府に質問を投げかけたのです。
(詳細は →https://taroyamada.jp/?p=7012)
この質問主意書に対し、内閣から答弁書が返ってきましたが、閣議決定を経たものであるにもかかわらず、信じられないようなずさんな内容となっていました。投げかけた7つの質問に対し、きちんとした回答がひとつも述べられていなかったのです。そこで、答弁書の内容を具体的にご説明したいと思います。
■児ポ法施行に関する質問主意書に対する「答弁書」のポイントは?
1.【質問】単純所持の罰則適用にあたっての告知は?
【回答】法務省のHPなどで公開
→今年の7月15日以降は、児童ポルノを単純所持しているだけで逮捕されることになります。これは、国民の皆さまにとって、とても大きな不安のひとつです。しかし、法務省に直接電話をかけて告知内容について聞いてみると、即答できず、たらいまわしにされた挙句、折り返しの電話となりました。担当課ですら把握できていない場所に、「特に単純所持に絞った説明ではなく、法文の説明として公開されているだけ」という事実は問題ではないでしょうか。
このように、国民に周知徹底されていないという事実は、まさに「一罰百戒」、今のままでは、単純所持により誰かが逮捕されることでしか、国民に認知されることはないのではないでしょうか。
2.【質問】CG画の技術進歩で児童が実在か非実在かは区別出来ないのでは?
【回答】およそ実在しなければ児童ポルノではない
→現在のCG技術は、驚くほど高性能であり、その精密さは、写真に写っているものがゼロから作られたものなのか、実在する人物なのかが判断できないほどです。このような場合はどうするのでしょうか?
・実在する人物が特定できなかった場合はどうするのか?
・実在する人物をCGで作った場合は、写真とみなされるのか?
・実在する人物の正確な年齢が不明な場合はどうするのか?
今回の回答では、上記などの問題を解決することはできず、現在も多くの曖昧さが残っています。そもそも、実在するか分からない場合はどうするのか、と聞いているのに、実在しない場合は児童ポルノではないというのは全く回答になっていません。
3.【質問】時代変化で児ポの範囲に変更は?フィギアスケートの写真集を性的目的で所持したら?現在合法書籍が将来違法になる?合法時代の入手リストで単純所持捜査はある?など
【回答】個別には答えられない
→今後、法改正で児童ポルノの定義が変わるたびに、質問したような問題が生じる可能性があり、これは国民にとって直接身に降りかかる大きな問題です。にもかかわらず、「個別には応えられない」という回答は、「勝手にやるよ」といっているのと同じであり、あまりにも誠意がないと言わざるを得ないでしょう。
4.【質問】法文の児童ポルノと「一般社会で用いられている児童ポルノという用語」が意味するところは一緒か?
【回答】「一般社会で用いられている児童ポルノという用語」の具体的な意味が明らかでないので答えられない(!!)
→児ポ法の改正案が提出された際、解釈の食い違いを防ぐため、「児童ポルノ」という名称を「子どもの性的虐待の記録」に改めるべきではないか?という意見を投げかけましたが、その際、この法律を作った議員は、「一般社会では、児童ポルノという言葉は法文の意味で既に認知されているため問題ない」という回答でした。今回、再度政府に聞いたところ「一般社会でどういうときに使われているのかがわからない」という内容の回答では、やはり名称を変更した方がいいのでは無いでしょうか
今回返ってきた答弁書の全文はこちら
https://taroyamada.jp/?p=7028
今回の答弁書は、日本国の内閣が閣議決定をして返してきた回答です。しかし、実際は何も答えられていない、ということがおわかりいただけたのではないでしょうか。総理大臣が回答したとしては、不十分な内容であるし、不信感を持たざるを得ません。ぜひ、皆さんも、答弁書の原文をご覧いただき、一緒に考えてほしいと思います。今後も引き続き、上記の曖昧な点や不明な点を追求していきますので、皆さまにも改めてご報告したいと思っています。
また、本件については、再質問主意書も提出することを考えています。Twitter「#表現規制反対」で頂いた意見を参考にさせて頂きますので、ご意見等どしどしお寄せください。