2016.2.3

女子差別撤廃委員会への日本政府からの回答(2016/3勧告関連分)

昨夏に女子差別撤廃委員会より質問のあった件について、日本政府が回答した文章が内閣府のHPに公開されましたので、漫画やアニメ・ゲームに関する部分を抜粋します。

いずれにしても、ブキッキオさんの件とは別でも国連(女子差別撤廃委員会)より漫画・アニメ・ゲームに関する勧告が出ることは間違いないです。まだ、もう一度、実際に反論する機会がありますので、言われもない勧告が出ないように働きかけて行きたいと思います。

女子差別撤廃委員会からの追加の質問

問7
女性に対する暴力に関する委員会の一般勧告第19号に従い、女児や女性に対する強姦や性暴力を内容とするテレビゲームや漫画の販売を禁止し、そうした作品の製作者の認識を高めるために、講じられた措置について示されたい。また、女性が性的暴力、及び女性の性的対象としての商業的イメージ描写の対象となる、ポルノ映像の大量生産や販売、使用に対処するために、講じられた措置について示されたい。

日本政府からの回答

○ テレビゲームソフト及び映画については、業界の自主審査機関による性表現、暴力表現、反社会的行為表現等の審査に基づくレーティング等を通じ、倫理水準に照らして適正でないソフト及び映画が流通しないよう自主規制が行われている。

○ 46都道府県においては、条例を制定し、「有害図書類」を指定するなどして、青少年への閲覧・販売等の規制を行っている。

○ プロバイダ責任制限法やリベンジポルノ防止法によって、プロバイダの免責要件の明確化を図っている。ISP等関連事業者に対して児童ポルノ掲載アドレスリストが提供されており、流通防止措置が講じられるよう、ISP等との意見交換を通じた自主的な取組を支援している。

○ 警察では、低年齢児童ポルノ愛好者グループによる事犯やファイル共有ソフト利用事犯等に重点を置いた捜査を強化した結果、2014年中の児童ポルノ事犯の検挙件数は1,828件(被害児童は746人)と過去最多となった。

○ 2014年中に検挙したコンピュータ・ネットワークを利用したわいせつ事犯の検挙件数は850件、わいせつDVD等の販売事犯の検挙件数は185件であり、検挙に係る報道発表は適切に行っている。

○ 刑法175条において、わいせつ図画の頒布、公然陳列、頒布目的所持等が処罰されているほか、児童ポルノについては、児童買春・児童ポルノ禁止法(報告パラ189参照)において、その所持、製造、提供、公然陳列等が処罰されており、これらの犯罪についての厳正な処分及び科刑の実現に努めている。上記法律は2014年6月に改正され、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持・保管する行為及び盗撮により児童ポルノを製造する行為が犯罪化された。

○ 青少年がポルノ映像を含む有害情報をインターネット上で閲覧する機会を少なくするため、フィルタリング利用の促進等を内容とするインターネットリテラシー向上のための情報提供・普及啓発活動を実施している。

原文:Treaty bodies Download
仮訳:第7回及び第8回報告審査に関する女子差別撤廃委員会からの質問事項に対する回答<仮訳>

当初の国連からの勧告

35.委員会は,「児童買春・児童ポルノ禁止法」の改正によって,この法に規定する犯罪の懲役刑の最長期間が延長されたことなど児童買春に対する法的措置が講じられたことを歓迎する一方,女性や女児への強姦,集団暴行,ストーカー行為,性的暴行などを内容とするわいせつなテレビゲームや漫画の増加に表れている締約国における性暴力の常態化に懸念を有する。委員会は,これらのテレビゲームや漫画が「児童買春・児童ポルノ禁止法」の児童ポルノの法的定義に該当しないことに懸念をもって留意する。

36.委員会は,女性や女児に対する性暴力を常態化させ促進させるような,女性に対する強姦や性暴力を内容とするテレビゲームや漫画の販売を禁止することを締約国に強く要請する。建設的な対話の中での代表団による口頭の請け合いで示されたように,締約国が児童ポルノ法の改正にこの問題を取り入れることを勧告する。

資料 女子差別撤廃委員会の最終見解(仮訳) | 内閣府男女共同参画局より