2016.3.19
TPPによる日本国内の著作権法の変更について
TPPの大筋合意を受けて、政府から著作権法の改正案が提示されました。数年間に渡り、この問題に取り組んできましたが、やっと安心出来るところが見えてきました。
特に、著作権の非親告罪化については、TPPの合意書では「原則非親告罪化、例外的に親告罪あり」だったものを国内法では「原則親告罪、例外的に非親告罪あり(海賊版)」としているところが秀逸です。
法定賠償制度についても、現行の著作権法で定められていたライセンスの条項を補足する形(現行の裁判などで用いられている手法を法律として明文化)で追記されているだけですので、実務上の影響はないと思われます
皆さんからの後押しもあり、文化庁もこの著作権の問題は簡単に考えてはいけないと理解したのです。ありがとうございました。
いや、それにしても資料に「コミケ」ってという単語が出てきたことにはびっくりしました(笑)
改正の概要
原本→http://www.cas.go.jp/jp/houan/160308/siryou1.pdf P3~
それぞれ、以下の項を参照ください
B.著作権等侵害罪の一部非親告罪化
E.損害賠償に関する規定の見直し
非親告罪化関連の条文(関連部分抜粋)
新旧対照表原本→http://www.cas.go.jp/jp/houan/160308/siryou4.pdf P108~
著作権法第百二十三条 第百十九条、第百二十条の二第三号及び第四号、第百二十一条の二並びに前条第一項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 前項の規定は、次に掲げる行為の対価として財産上の利益を受ける目的又は有償著作物等の提供若しくは提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益を害する目的で、次の各号のいずれかに掲げる行為を行うことにより犯した第百十九条第一項の罪については、適用しない。
一 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。次号において同じ。)を行うこと(当該有償著作物等の種類及び用途、当該譲渡の部数、当該譲渡又は公衆送信の態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。)。
二 有償著作物等について、原作のまま複製された複製物を公衆に譲渡し、又は原作のまま公衆送信を行うために、当該有償著作物等を複製すること(当該有償著作物等の種類及び用途、当該複製の部数及び態様その他の事情に照らして、当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合に限る。)。
3 前項に規定する有償著作物等とは、著作物又は実演等(著作権、出版権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権、出版権又は著作隣接権を侵害するもの(国外で行われた提供又は提示にあつては、国内で行われたとしたならばこれらの権利の侵害となるべきもの)を除く。)をいう。
※赤字部分が今回追加された箇所
法定賠償制度の条文(関連部分抜粋)
新旧対照表原本→http://www.cas.go.jp/jp/houan/160308/siryou4.pdf P108~
著作権法 第百十四条 (略)
3 著作権者、出版権者又は著作隣接権者は、故意又は過失によりその著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に対し、その著作権、出版権又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として、その賠償を請求することができる。4 著作権者又は著作隣接権者は、前項の規定によりその著作権又は著作隣接権を侵害した者に対し損害の賠償を請求する場合において、その著作権又は著作隣接権が著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)第二条第一項に規定する管理委託契約に基づき同条第三項に規定する著作権等管理事業者が管理するものであるときは、当該著作権等管理事業者が定める同法第十三条第一項に規定する使用料規程のうちその侵害の行為に係る著作物等の利用の態様について適用されるべき規定により算出したその著作権又は著作隣接権に係る著作物等の使用料の額(当該額の算出方法が複数あるときは、当該複数の算出方法によりそれぞれ算出した額のうち最も高い額)をもつて、前項に規定する金銭の額とすることができる。
※赤字部分が今回追加された箇所
※太字部分の非親告罪と親告罪の記述が逆になっていたため修正しました。その他誤字修正(20160322)