2025.4.27

ブロッキング導入の議論

ブロッキング導入の議論が、また急浮上。私はブロッキング導入に反対です。 海賊版対策で物議を醸した際、ブロッキング導入に私は反対して党内で阻止しましたが、今度はオンラインカジノ対策として議論が開始されました(図1)。 以下の3点を主な理由として、ブロッキング導入に反対です。 ①通信の秘密の侵害である ②実効性に疑問があり重大な副作用もある ③最優先課題はクレジットカード等の資金決済である 憲法21条2項は、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」と定めています。 この「通信の秘密」は、国民のプライバシー保護にとどまらず、国民の表現の自由や知る権利を保障するために重要なものと位置付けられているものです。 インターネット上の匿名表現の自由は、少数意見の表明や内部告発にとどまらず、萎縮したり忖度したりせずに自由に表現するために重要なものですが、通信の秘密が保護されてこそ保障されているという側面もあります。 インターネットで情報を取得する場合、①URLを入力すると、②DNSサーバーからIPアドレスが回答されので、③そのIPアドレスのウェブページを要求し、④対象ウェブサーバーから情報を取得するという流れになります(図2)。 通信の秘密においては、URLやIPアドレスも通信の構成要素として保護の対象となります。 ブロッキングは、ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)が、無断でURLやIPアドレスを検知し遮断する行為(ユーザーの意思に反して通信の構成要素を「知得」し「窃用」する行為)であり、通信の秘密の侵害するものです(図2)。そして、誰が何を見ているか分かってしまいます。 もちろん、通信の秘密も絶対的に無制約ではありませんが、上述した重要性に鑑みれば、真にやむを得ない場合でなければ制約を許すべきではありません。 更に、ブロッキングは、サーバー側(運営者側)でもユーザー側でも回避策が存在するため、実効性に疑問が呈されています。 しかも、意図してないウェブサイトまで遮断されるといった重大な副作用のリスクもあります。こうなれば表現の自由にも抵触します。 このような深刻な問題が解消できないのであれば、通信の秘密を制約してまでブロッキングを認めるべきではありません。 そもそも、オンラインカジノは、現金・電子マネー・暗号資産等を賭けて行われているからこそ賭博罪が問題となっています。 オンラインカジノの運営者とユーザーとの間において掛け金のやり取りができない場合、賭博罪が問題となることはありません。 しかし、クレジットカード会社等が掛け金の決済を可能化・容易化しており(図3、図4)、このことによってオンラインカジノ問題が広がってしまっていると考えられます。 そのため、最優先課題は、オンラインカジノの運営者とユーザーとの間において、掛け金の決済をできなくすることだと考えます。 オンラインカジノにおける掛け金の決済は、賭博罪が成立するための不可欠の要素ですので、クレジットカード会社等の刑事責任(共同正犯や幇助犯としての責任)も問題となってくる可能性があります。 クレジットカード最大手の国際ブランドは、本社訪問した際、私に対して、「取引については、合法、非合法の法的判断は行っているが、合法であるコンテンツなどに対する価値判断は行っていない」と明言しています。 日本では、オンラインカジノは明確に非合法ですので、この点をしっかり対応してもらわなければなりません。 政府はキャッシュレス決済を推進していますが、オンラインカジノのように非合法な取引の決済を野放しにしてきたり、一方、合法であるコンテンツの決済を不透明かつ恣意的に禁止してきたりと、クレジットカード会社等をめぐる問題が顕在化・深刻化してきております。 デジタル時代・グローバル時代において、消費者が安全・安心にキャッシュレス決済を行えるよう、非合法な取引でのキャッシュレス決済を規制し、合法な取引でのキャッシュレス決済を保障する、そのような新しい制度が必要であると考えています。 そういった制度によってオンラインカジノ対策を推進するとともに、リテラシー教育や違法性の周知徹底を行えば、ブロッキング導入など不要と考えます。 不要なブロッキング導入によって、通信の秘密ひいては表現の自由が侵されることがないよう、しっかりと対応してまいります!

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