2025.7.5

TPPによる著作権侵害 非親告罪化との闘い

~概要~

皆さんはTPP(環太平洋パートナーシップ)協定交渉でコミケに存続の危機が迫っていたことをご存じでしょうか?TPP協定交渉において、関税の撤廃が大きな注目を集めていた一方で、2015年には知的財産に関しても多大な影響を与える議論が行われていました。それが「著作権侵害の非親告罪化」です。従来、日本における著作権侵害罪は親告罪であり、それを前提とした寛容的利用によって活発な二次創作同人活動が行われてきました。そのため、非親告罪になってしまうことで、日本の二次創作文化が壊滅的な打撃を受けることが想定されました。

~著作権侵害の非親告罪化の問題点~

コミケで売られる同人誌の約7割が二次創作であると言われています。現在では二次創作文化に育まれてクリエーターとなった方が多数存在します。パロディ等の同人誌の中には著作権侵害となる可能性があるものもありますが、親告罪であったために著作権者が黙認している場合には問題となってきませんでした。それによって二次創作文化が発展したとも言えます。しかし、TPPによって著作権侵害の非親告罪化が条約上の義務となってしまうと、二次創作文化、ひいては二次創作文化を土台にして成り立っている日本のコンテンツ文化・産業全体を揺るがしかねなかったわけです。

~闘い~

山田太郎は早い段階からこの問題に取り組みました。初めは「コミケ」や「二次創作」という言葉すら知らない大臣や官僚ばかりでしたが、国会質疑で繰り返し説いていくうちにその重要性が認識されるようになりました。結果として、TPPにセーフガードが入り、非親告罪化しなければならない対象が限定されました。ポイントとしては海賊版については非親告罪化しなければならないが、二次創作は非親告罪化しなくともよくなったという点です。TPPに関しては、コミケなどの二次創作文化への規制は阻止できました。
ただ、条約の締結に際して国内法の整備がなされることになりますが、そこで著作権侵害の非親告罪化が行われてしまうとTPP協定交渉で勝ち取ったものが無意味となってしまいます。そこで、山田太郎は「MANGA議連」を通じて政府・与党に働きかけを試みました。この議連の幹事長でもあった馳浩さんがちょうど著作権法を所管する文部科学大臣として入閣したことも有利に働きました。議連として関係者を集めた会議を開催し、山田太郎が事務局長代行として司会を担うことになりました。会合には日本漫画家協会やコミケ準備会からキーパーソンたちを招き、馳大臣やTPP協定交渉の担当官などにも参加してもらったのです。その場で、山田太郎のシナリオ通り、文部科学大臣から著作権課長に対して、「二次創作、マンガ・アニメ・ゲームに影響しないように」という指示が行われ、これが大きな成果につながりました。

~TPP協定の締結に伴う著作権法改正~

その後、TPP協定の締結に伴う著作権法改正では、「原則親告罪」「海賊版のみ非親告罪」という内容となり、コミケなどの二次創作文化を守り抜くことができました。
そして、文化庁が発表した資料では、親告罪のままとなる行為の例として、「漫画等の同人誌をコミケで販売する行為」が明示されました。