2025.7.5

児童ポルノ禁止法改正と附則2条との闘い

~概要~
児童ポルノ禁止法(正式名称:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)は1999年11月に施行され、実在の児童の権利の擁護を目的として制定されました。しかし、2013年の改正案はマンガ・アニメ・ゲームの表現規制を含む問題のあるものでした。

~児童ポルノ禁止法改正案の問題点~
児童ポルノ禁止法が国会に提出された当時から事あるごとに、「児童ポルノ」の枠組みに被害者となる児童が存在しないマンガ・アニメ・ゲームなどを含めようとする動きがありました。2013年には自民党・公明党を中心とした議員により改正案を出そうという動きがあり、その中にはマンガ・アニメ・ゲームの表現規制推進が含まれていたのです。改正案の問題点は大きく分けて3つありました。「単純所持の禁止」「捜査機関への協力をネット企業に対して努力義務として課す」、そして最大の問題が附則2条と言われる「マンガ・アニメ・ゲームが、児童の性虐待と関係があるか調査する」という内容で、表現規制推進につなげるための布石とするためのものでした。
実は韓国には先行事例があり、2012年にアチョン法(児青法)と呼ばれる児童ポルノ禁止法が改正され、児童ポルノに創作物も含まれるようになりました。実在する児童の被害者がいないのにも関わらず、強姦罪よりも重い刑罰を科すという危険な法律で2000人以上の逮捕者が出て、表現活動が大きく委縮し韓国のマンガ・アニメ・ゲームの文化と産業に大きな傷跡を残しました。

~山田太郎の動き~
山田太郎は2012年12月に繰り上げ当選し国会議員になって初の通常国会でしたが、改正案に危機感を抱き、2013年5月に「表現の自由」に関する質疑を行いました。当時所属していたみんなの党には表現規制に慎重な議員もいて、附則2条は党内でも議論になりました。また、ネット番組「山田太郎のさんちゃんねる」や街頭演説で改正案の問題点を世論に訴え続け、有識者・業界団体への呼びかけも行ったことが功を奏し、与党議員のもとには改正案に反対する声が多数寄せられたようでした。世論の反発を受けてか、2014年に改正案の再修正案が提出された際には附則2条は削除されていました。しかし、議員の中には附則2条の復活を求める声も存在しており、附帯決議として附則2条の復活も予想されました。山田太郎はこの動きに対抗するための戦略として、こちらも附帯決議を用意。それは、児童ポルノ禁止法を本来の目的において運用し、表現規制や検閲に用いないようにするという趣旨の3項目で、最終的には全会派一致で通すことができました。附帯決議は、将来に再改正が提案された際にも、当時の実務者として山田太郎が審議に関わり、おかしな動きがあれば対抗できるという大きな意味を持っています。

~その後~
現在まで、マンガ・アニメ・ゲームの表現規制推進を児童ポルノ禁止法の改正により行おうとする動きは阻止できています。しかし、規制推進の動きは民間の自主規制や国際条約に舞台を変えて続いており、予断を許さない状況です。