2025.7.5

スクショ違法化阻止と2020年著作権法改正

~概要~

何気なくネット上の情報をスクリーンショットで保存しただけで犯罪に問われる――そんな法案がかつて閣議決定直前まで迫っていたことをご存じですか?
2019年に政府が国会に提出しようとしていた著作権法改正案では、たとえば誰かのX(旧Twitter)の投稿を保存した際、その投稿に無断使用のアイコン画像が含まれていた場合、スクショを撮っただけの人まで犯罪者になり得る内容でした。この改正案はネット上で大きな議論を巻き起こしました。

~2019年著作権法改正の経緯~

このような厳しい規制が提案された背景には、「漫画村」等の悪質な海賊版サイトの問題がありました。2018年、政府は海賊版サイト対策としてブロッキングやダウンロード違法化等を検討しました。しかし、ブロッキングについては、「通信の秘密」の侵害や「検閲」の問題が指摘されて断念。他方、静止画やテキストのダウンロード違法化については検討が進み著作権法改正案提出の流れとなりました。
しかし、この改正案にはマンガ家やマンガ研究者をはじめとした様々な関係者や多数の国民から疑問・反対の声が相次ぎました。そもそも、他者がネット上に公開している情報が著作権を守ってアップロードされたものかどうかを見ただけで判断するのは困難です。いわゆる「海賊版」の利用に禁止対象を限定しないのであれば、普通のSNSやブログに掲載された文章やイラストを保存するだけで罪に問われる可能性を心配しなくてはなりません。
また、二次創作の活動にも大きな影響を与えかねません。二次創作のスクショも違法であるということになってしまえば、二次創作文化そのものを萎縮させてしまう懸念がありました。

~山田太郎の動き~

2019年3月、自民党・政務調査会で著作権法改正案が議論され、与党審査が通れば国会提出を行うための閣議決定がなされるという状況でした。しかも、議論をリードしてきた知的財産戦略調査会の会長は、自由民主党選挙対策委員長でもあり、この改正案を通すべきとの立場。当時、山田太郎は落選中で、参院選で自民党公認を得たばかりでした。このタイミングで選対委員長の意向に逆らう行動をとれば公認の取消しもあり得る状況でしたが、それでも、MANGA議連で培った人脈を活かし、自民党議員や官邸へ積極的に働きかけた結果、総務会で差し戻されることとなり、当面はスクショ違法化の危機を回避することができました。
同年7月、山田太郎が参院選で当選すると、知財調査会の著作権法を扱う小委員会の事務局長に就任。これにより、著作権法改正案の原案作成における現場責任者としての役割を担いました。以降、「海賊版被害への効果的対策」と「表現の自由の保障・正当な情報収集に対する萎縮防止」という2つのバランスを重視し、党内議論をリードしました。

~その後~

最終的に、全会一致で可決された2020年の著作権法改正案は、スクショ違法化や二次創作への萎縮効果を排除した内容となり、表現の自由と創作文化を守りつつ、海賊版対策としての実効性を両立させる法整備が実現しました。