2014.3.15
【農協のタブーへの挑戦!第2弾】農協に関して質疑を行いました
3月13日、参議院農林水産委員会で林農林水産大臣に農協の内部統制と農協改革について質疑を行いました。
農協を取り上げること自体がタブーとも言える農林水産委員会で農協の不祥事を取り上げるとあって、今日はかなりの緊張感の中での質疑となりました。
JAバンクでの横領などの不祥事は過去9年間で861件、被害額は187億円に上ることが2月24日の農林中金のプレスリリースによって明らかになりました。ところが、億単位での横領も少なくないこれらの不祥事に対して行政処分が行われた件数は、過去10年間でたったの34件です。
農協から支持を得ている議員がこれらの点を指摘しづらいことは理解できます。しかし、農協が真の農業従事者のための組織となり、「自立」していくための改革を今しなければ、日本の農業は取り返しのつかないことになってしまいます。
そして、自己改革も重要ですが、それでも不十分な場合は外から強く改革を促す必要があると私は思うのです。質疑後ある出席議員から「山田さん、聖域に踏み込みましたね・・・」の一言。それでも、4月にも最終発表される農協の自己改革案については、引き続き注視し随時指摘をしていくつもりです。
この質疑に関して、2日に渡って朝日新聞に取り上げられました。
3月13日 朝日新聞
3月14日 朝日新聞
あわせてご覧ください。
議事録
○山田太郎君
みんなの党、山田太郎でございます。
今日は、大臣に対する一般質疑ということで、幾つかの質問、質疑させていただきたいと思います。
今回、大臣の所信表明を拝見させていただきまして、課題非常に網羅的でありますし、まさに日本の農業の置かれている現状、それから攻めの農林水産業ということを大変理解したわけでありますが、残念なのが、二点ほど欠けているなというふうに思っておりまして、その辺りを少しお聞きしていきたいと思います。
一点目は、農協に関することが一言も触れられていなかったということでありまして、これは先日の予算委員会でも少しやらせていただいたんですが、今日は少し踏み込んでその質疑させていただきたいと思っています。
もう一つ、ちょっと質疑通告していないんですが、一言だけいただきたいのは花粉病対策でございまして、私も農林水産委員になってから花粉病を積極的にやっておりまして、大臣とも何度か質疑しておりますので、まずちょっと最初一言ですね、花粉病対策、今回所信表明に入っていないんですが、これも大変な今の現代型の病気だということで、農水省の役割もあるかと思いますが、一言いただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
これは、山田委員の多分この委員会でのデビュー戦で取り上げていただいて、たしか私もうっかりうちの家庭内事情も少ししゃべってしまったわけでございますが、そろそろやっぱりうちの妻によりますと花粉が出ていて、その影響がもう既に出ていると。雪害がこれだけやっているときにもう出ているのかと、こういう、私なんか鈍感で、全く花粉症ないものですからそう思ったわけですが。
やはりこれ、ちょっともう林野庁帰ってしまいましたけれども、いろんな対策を総合的にやっていくことによって、今年も、この間申し上げたと思いますけれども、苗木の安定供給推進事業、八千二百万円ほどを確保して、こういう中でしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
○山田太郎君
それでは、本題の農協の方に少し入っていきたいと思いますが、まさに農協の存在は農業政策においても切っても切れない大切な存在であるというふうに思っています。
まず、誤解がないように私どもの立場をお話ししておきますと、農業協同組合は非常に重要なものだと、農業生産者にとっては非常に重要なものだということの認識はありますし、より農協の経済事業に関してはしっかりやっていっていただきたい、こういう立場でございますが、ただやはり、その農協においても今はいろんな問題を抱えているのかなと。特に、農業が大きく変わらなければいけない状況下の中で農協の役割が大きくなったからこそ、今日は是非質疑させていただきたい。
それから、農林水産委員会、やはり農協さんから支持を得られている先生方も多いということでなかなか言いにくいこともあるかと思いますが、ここは積極的に、今後の農政のために、農業のために、生産者のためにということで質疑させていただきたいと思っております。
まず、立場というか方向感なんですけれども、今後の日本の農業の在り方、補助それから保護をしていくのか。一方で、自立を促さなければいけない。もしかしたら、このバランスの中に立っていかなければもはや日本の今後の農協はあり得ない。もしかしたら、今回の改革が、今度こそ、今度こそといって最後のチャンスになるかもしれない。こういう危機感を持って、是非質疑したいと思っておるんですけれども。
そのときに、特に自立を促す場合に、農業協同組合というのは非常に農業生産者の大きな役割を果たしていると、こういうふうに考えているわけであります。ただ残念ながら、その農協が今おかしくなっているんではないかという指摘も一つあるかと思っておりまして、先日、農協の不祥事に関してJAバンクさんの方から、これ農林中金ですね、JAバンクの不祥事に関する取組ということでプレスリリースが自ら出されております。二月二十四日のことでございます。内容は、JAバンクの横領事件、不祥事等、九年間で八百六十一件と、被害総額は百八十七億円に及ぶという記事を自ら出されております。
本件に関して、昨日レクをさせていただいて農水省の御担当の方にお伺いしたところ、昨晩になってやっとその記事を手に入れたという状況でございますが、果たして大臣の方はこのプレスリリース、いつ御覧になられたのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
二月二十四日付けで農林中央金庫がJAバンクの不祥事に対する取組についてと、こういうのを出されております。
委員が御質問していただいたので、この御質問に対するレクのときに読ませていただきました。
○山田太郎君
まさにこの報道が事実なのかということも把握したいわけでありますが、この農林中金が過去発表したという九年間又は十年間の間に不祥事としての全体像はどのように農水省として把握されているのか。これは農林中金さんが発表されたプレスリリースでございますが、農水省さんとしてはどんなことを把握されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
農協においても、銀行や信用金庫等と同様に職員の横領等の不祥事件が発生した場合には所管の行政庁に届け出ると、これが法令で義務付けられております。
農協の所管行政庁は都道府県ということになりますので、農協を所管する都道府県において当該届出を受理することによって農協の不祥事件の状況を把握し、行政処分等の必要な対応を取ると、こういうことになります。
農林水産省においては、都道府県に対して不祥事件の届出を農協から受けた場合は速やかに農林水産省に報告をしていただいているところでございますが、公表しないことを前提として報告を受けているものであるということ、それから金融庁においても所管する銀行等の金融機関の不祥事件について集計して提供するということは行っていないと、こういうことから、当省としては農協の不祥事件の件数を提供することは差し控えることとしております。
金融庁においても、公にすることにより法人等の権利、それから競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものに該当する等々の理由で不祥事件の件数等は公表をしておりませんが、所管する金融機関の行政処分事例は公表をしておりまして、農林水産省としても、都道府県知事が農協の不祥事件について行った行政処分について都道府県から聞き取りを行って、山田議員のところに提出をさせていただいたところでございます。
○山田太郎君
随分質問の先までお答えいただいちゃったんですけれども。その中で御質問したかった、それでは、これだけの不祥事があるということで、このこと自身は農水省又は農水大臣の下に情報が上がっているはずだということになるわけですが、さて、じゃ、この行政処分というのがどれぐらい行われたのかということにおいて、過去十年間の数字を教えていただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
農林水産省が、先ほど申し上げましたように、農協を所管している各都道府県、これに聞き取りを行った結果によりますと、平成十六年度以降の十年間において都道府県が農協の内部管理体制の不備を理由として農協に対し業務改善命令等の行政処分を行った件数、これは公表されているもので三十四件であると承知しております。
○山田太郎君
今回、農林中金さんが自ら発表したのが九百件弱で、行政処分を行ったのは三十四件というのは、余りにも数が合わないというか腑に落ちないというか、そんなところがあるわけでありますが、ちょっとその辺りを少しこれからきっちしやっていかなきゃいけないのかなというふうにも思っております。
実際の不祥事事件というのも一つ一つが、実は拝見させていただきますと、これ過去十年間にわたっていろんな記事を集めさせていただいたんですが、かなり巨額でございまして、鹿児島県で三千八百万使い込み、東京で一億三千万横領、鹿児島県で四千万円着服、新潟県で一億二千万円横領、こんな形でもって、数を挙げるともう億単位のお金が次々とこの横領だとか不正事件で起こってしまっているわけですね。
ガバナンスという問題がどうなっているのかということに触れざるを得ないと思うんですが、多分、金融検査というのか、この農協を所轄しておりますのは農林水産省になりますので、農林水産省さんが金融検査をしているという、農協さんの場合は特に信用事業に対してはそういう構造があるのかと思っています。
そこで、例えば金融機関であればいわゆる金融庁さんがやっていると思いますが、農協は都道府県の職員が農水省の指導の下に金融検査に行っていると。この金融検査のマニュアルは、金融庁も農水省も実は同じものを使っているということだそうです。
ただ、残念ながら、まさに金融庁さんと違って、農林水産省さんの特に都道府県の職員はこの金融検査をするのに余り慣れていないんではないかと、こんな危惧もありまして、そこで、どんな教育を受けて、どんな研修プログラムなのかということで、これについても資料をいただきまして、いろいろ見ていったんですけれども、年間六回、合計二十六日間行っているということでありまして、特に金融庁の職員がレクチャーするのはそのうち一回だけだそうであります。まさに金融のプロが説明するのは一回ということなんですが、具体的に何時間の講義を受けているんでしょうか。その数も分かれば教えていただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
先ほどお話をしていただいたように、金融庁が来ているわけでございますが、実際には、この三日間で日程をやっている中で、金融庁の職員の方に最近の金融検査と検査結果事例ということがありますが、何時間というのはちょっと御通告なかったものですから手元にございません。
○山田太郎君
まさに二十六日間やっている研修の中の三日間のコースの中の一日だけということでありまして、是非、これ都道府県の職員に教えるだけではなくて、金融庁のプロの職員を講師に据えた研修をもうちょっと増やして、きちっと検査していただいて、農協の信頼回復というか、こういった不祥事を、巨額不祥事なかなか後を絶たないようですので、是非なくしていっていただきたいなと。そうすることによって、やっぱり農業生産者にも改めて支持されると、こういうふうになってくると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
さて、もう一つは、農協のいわゆる信用事業に対する在り方というのも少し触れたいと思っています。多くは予算委員会の方でもやらせていただきましたので、その他の部分で少しお話をしていきたいと思いますが、まず、農協の貸出資金は、集めたお金で八十八兆円、貸出資金は二十四兆ということで、六十兆は系統の上部構造、農林中金に向けて預託されるということになっています。
問題は、このJAバンクそのものがいわゆる貸し出している二十四兆円のうち、農業部門に対する融資というのが僅か一・五兆円しかないと。二十四兆扱っている中の、平成二十三年度で一・五兆円しか行っていないということなんですね。まさに貸出しの六・四%にすぎないということであります。
これは予算委員会の方でも少し質疑させてはいただいたんですが、大事な点だと思いますので、こういう状況下の中で、農協法の第一条における、まさに農協の意味というんですか、社会的立場ということが本当に趣旨からして健全な状態と言えるのかどうか、この辺りも少し大臣からコメントいただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
今委員がお話しいただいたように、この八十八兆のうちの二十三兆、これが貸出金ですが、このうち、また農業融資が一兆五千億ということで六・四%にとどまっているということでございます。
農協系統の金融機関においては、こういう状況を踏まえて、やはり将来の地域農業、こういうものを支えていく担い手の確保、育成をサポートして、持続可能な農業を支えていくための農業メーンバンク機能の強化、こういうものを目指して、この担い手となる農業者への訪問活動、地域商談会、こういうことに対する支援活動を強化しようとしているという方向だと、こういうふうに承知をしております。
それから、大規模農業法人等については、農林中金が中心ですが、この大規模農業法人等向けに低利運転資金を融通する農業法人サポートローン、これ二十五年の四月が創設でございます。それから、アグリビジネス投資育成会社を介して出資する担い手経営体応援ファンド、これは出資でございますので直接融資というわけにいきませんが、金融サービス。もう一つ、六次化ファンド、これは例のA―FIVEの子ファンドを農協系統でつくったと。こういう取組を行っているところでございますが、数字ではまだこういう取組、先ほどの六・四%が倍、三倍になっていくという状況ではございませんので、やはり担い手農業者の期待に応えられるような金融サービスがしっかりと提供されるような体制、これを支援していくとともに強く期待をしたいと、こういうふうに思っております。
○山田太郎君
まさに農業は確かに設備産業型の産業であることもよく理解しています。機械も必要ですし、土地の改良のためにはお金が掛かるということで、かつ、農地法等によって必ずしも農地が担保にならないんで、一般金融機関がなかなか貸し出せない、そんな中で農業系の専門銀行が必要だという存在自身もよく理解しております。ただ、残念ながら、農協の役割というところから考えた場合には、少しこれは考え直すというか、是非農業事業にもうちょっと集中していただきたいなと、こんなふうに思うわけであります。
一方で、大臣の方からいろんな農業に対する金融施策についてお伺いしましたが、もう一方、資料の方を皆さんのお手元にお配りしておりますけれども、実は日本政策金融公庫も農業分野に関してのいわゆる融資を行っております。規模としては一兆四千六百億ということでありまして、実は農協さんとほぼ同じ額の金額が実は融資されているわけであります。
こういう状態になってきてしまいますと、果たして、厳しい言い方をすれば、農協さんの信用事業というのはこのまま農協事業の専業、専門として必要なのかどうかと。私どもの立場から言わせていただけば、この金融事業は分離することによって分かりやすくしていこう、そんなふうにも議論せざるを得ないわけであります。
ただ、今度そうなってくると、金融部門がないと農協の経済事業は成り立たない。実は経済事業、御案内のとおり、かなりな赤字を出しておりまして、それも理解しているわけであります。じゃ、今度そういった意味で、本来の、農協の本来業務と思われるこの経済事業、どうしてこんなに赤字なのかと、さっき言った自立ということを考えた場合に、農協さん自身がこの経済事業で何とか自立していかなければ非常に難しいだろう。
もう一つ、これは農水省さんも自らの農協改革について平成十七年度まとめている資料の中から指摘している事項ですが、農業者、特に担い手の中から、農協から購入する資材は割高ではないか、手数料を高く取られているではないかという不満の声も多いんだと、こういうことの、いわゆるこれは農水省さん自らがレポートの中でまとめられている農協に対する一つの声があるよということなんでありますが。つまり、この経済事業自身が改善していかなければ、当然割高ないわゆる飼料であったりだとか、販売も、有利に買ってくれない、手数料も高く取られているんじゃないかと、こういうことは払拭できないわけであります。
どうしてこんなに経済事業が赤字で成り立たないのか、この辺り、農水省さんとしてはどう把握されているか、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
まず、このお配りいただいた資料でございますが、委員多分御承知だと思うんですけれども、この政策金融公庫をつくったときに幾つかの政策金融機関を一つにしました。そのうちの一つが実は農林漁業金融公庫というのがあったわけでございまして、そもそも、じゃその農林漁業金融公庫と中金の関係いかにと、こういうこともあろうかとは思いますけれども、そういう経緯もあって、この政策金融公庫が全くゼロのところから来たわけではなくて、そもそもそこが行ったという背景があるということは御理解をいただけておると思っております。そういう前提で、この信用事業についてもお話がありました。
やはり組合員の設立をした、農業者が自主的に設立した協同組合ということで、この事業範囲も農家組合員の選択ということでございます。したがって、信用事業、共済事業は行わなければならないということにはなっていないわけでございますが、組合員の必要とするサービスを総合的に提供するという観点でこういうことをやっていると。
まさにこの分離等を強制しますと、経済事業の強化に必要な投資ができなくなったり、それから農村地域社会における金融サービスの提供が難しくなると、こういうところが懸念をされるわけでございます。しからば、農協の経済事業、なぜこう赤字なのかと、こういうことでございますが、全国平均で見ますと赤字なんでございますが、私の両脇に座っていらっしゃる副大臣、政務官のお地元の北海道、これは黒字なんですね。したがって、経済事業が必ずしもどうやっても赤字になるということではないということをこの北海道の例は示しているんではないかと、こういうふうに思っておりまして、やはり総合農協においては、収益の上がる信用事業等に職員を振り向けていると、こういうことから、農産物販売に十分な工夫がまだできていないケースがあるんじゃないかというふうにも考えておるところでございます。
特に、農協自身が独自の販売ルートというのを持たないで、ただ市場への出荷を中心とする委託販売、こういうものを行っている場合は、価格が結局その需給で決まってしまうということで、有利販売のためのなかなか工夫ができない結果、販売を委託している農業者の方も手数料を取っている農協にもメリットが出ないと、こういうような形になっていると。こういうことでございますので、やはり原点に返って、農協が有利で安定的な販路を自ら確保して、買取り販売、こういうものを拡大していくと、手数料でなくてですね、こういうことを真剣に検討していく必要があると考えております。
○山田太郎君
私もまさに大臣と同じ問題意識を持っておりまして、農協さん、是非、在庫責任を持って、販売責任を持って買い取って自らの責任でもって市場に売ると、こういうことを少し乗り出していただいてもいいのかなと。
実は、このことは、今の国会の中でも大事だと思っていますのは、いわゆる六次産業化の問題であります。私、六次産業化に関しては確かに必要だとは思いますが、このままで行くと、下手すると流通支配になりかねない。流通業、非常に大きなバイイングパワーを持っています。私なんかは、仕事上、製造業のサポートをずっとやってきましたので、いかに部品メーカーや下請がどういうふうな構造になっていっちゃうか。もし農業が生産者として六次産業化をどんどん進めていったときに、流通支配の下に入れば、これは部品メーカーのように、農業生産者、非常にもっと厳しい、コスト削減どころか、工夫ができるような農作物が作れるのかということまで至ると思っています。
そのときに、やっぱりあえていわゆる農業協同組合、まさに生産者の団体の役割というのは非常に大きいというふうに思っておりまして、この六次産業化に関しても、私自身は、農協さん、是非考えていただいて、今変革の中でまさに大臣が問題点として指摘したような販売事業に関する積極性というのを是非発揮していただきたいなと、こんなふうに思っているわけであります。
さて、そういったちょうど話も受けて、確かにJAさんも何もしないわけではなかったようでありまして、七日のちょうど予算委員会をやっている裏側で、全中の萬歳会長がJAグループの営農・経済革新プランというのを出されました。抜本的に農協をどういうふうに改革していくのか、大臣の言葉で言うと、自己変革のプランを農協は自らが出されたということであります。是非これについてもコメントと御評価を大臣の方からいただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
今まさに委員がおっしゃっていただいたように、農業者の協同組織であります農協は、やはり農産物の有利販売、それから生産資材価格の引下げ、これによって農業者の所得を向上させて地域農業を発展させていくと、これが基本であると考えております。
三月七日に、まさに委員が予算委員会に立っておられるときに、まだ見ていないけれども今日発表された、ちょうどあのぐらいの時間だったと思いますけれども、自己改革案なるものが発表されましたが。四月の取りまとめに向けてこれから組織内で討議をされるということでありますので、担い手を始めとする農業者から評価をされ、農業の成長産業化に資するものとなるように更に検討を深める、また具体化されると、こういうことを期待をしたいと思っております。
○山田太郎君
その残念ながら農協なんでありますが、これまで組織力というか組織化率も下がってきているのが実は現状だと思っています。まさに農協さんが生まれ変わるためにはそういった不断の改革というのはこれから重要だと思いますが、実はこの改革案、今回が初めての話ではございません。平成十五年にも実は経済事業改革指針という改革案を全中さんの方で作っておりまして、同じようなことをと言うと怒られちゃうかもしれませんが、訴えているんですね。
特に、構造的な赤字対策の経済事業の収支を確立しなければならぬということを力強く訴えているんですが、この当時のプランと今回のプランとどこがどう違うというふうに見ているのか、もちろん農協にそれは聞けというふうなことかもしれませんが、大臣として、是非、御評価、またコメントいただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
詳しくは全中の方に聞いていただくということもあろうかと思いますが、平成十五年に、今委員がおっしゃったように、全中が経済事業改革指針を決定をしております。それから、まさに今、三月の頭に決めた自己改革案、これは共に経済事業の改革方針を決めたものという意味では目指すべき方向は同じであろうというふうに拝見をしております。
この十五年以降の取組ですけれども、農家所得の向上を図るという本来の使命に照らしてこれで十分かといいますと、本当に十分ならこの改革ということも出てこないわけでございますので、今回、前に比べて、方向は一緒ですけれども、どこが新しいかという観点でいいますと、担い手サポート型を主力とした営農・経済事業方式の確立、それから新たな販売事業方式の確立と、こういうものを打ち出しているところが新しいところかなというふうに見ておるわけでございます。
先ほど申し上げたように、これを具体化して検討を深めていただきたいというふうに申し上げたいと思います。
○山田太郎君
全中さん、農協さんも四月に向けてまとめるということなので、この推移を見守りながら、是非、農協改革、まさに現場が中心となって農協を守り立てていく、いわゆる生産者のための団体というふうにもう一度かじを切っていただく、それができなければもしかしたら農水省さんもまた一緒になって改革に取り組まなきゃいけないと思うんですが、確かに自己改革というのは、まず自主的な協同組合だと思っておりますので、推移は見守っていきたいと思います。
ただ、一点、先ほどから御指摘しています気になる金融事業の在り方に関して、今後どのように考えていけばいいのか。私どもといたしましては、できれば分離をして、ほかの銀行と同じように競争していただいて、農協さんはいわゆる経済事業に集中されるというのが一番分かりやすいと、こんなふうにも思っているわけでありますが、その辺の大臣の所感もいただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
この農協の信用事業については、平成八年、それから平成十三年の農協法等の改正によりまして、単協、信連、農林中金、この三組が全体として一つの金融機関として機能するいわゆるJAバンクシステム、これが構築されて、健全性の確保が図られるとともに、銀行等と同レベルの規制、この前半で御質問いただいたようなことになったという改革が進んだところであります。
平成十五年、先ほど経済事業改革指針の中では、この農産物販売戦略の見直しとか生産資材価格の引下げ、拠点型事業、ガソリンスタンドとか生活購買店舗、こういうのの収支改善等を事業目標として改革に取り組むと、こういうふうにされておられたわけですが、今度の公表されたこのプランにも、十五年以降の取組が農家所得の向上を図るという事業の使命に照らして十分な成果が出ていないという状況にあることから、経済事業中心になってはおりますけれども、一方で、この連合会等による担い手へのファンド・融資の拡充、それから直接的な金融支援の実施等、農業支援機能強化に向けた信用事業に関する改革も盛り込まれているわけでございますので、この辺も併せて、先ほど来申し上げておりますように、検討を深めて具体化をしていただきたいと思っておるところでございます。
○山田太郎君
時間になりましたので質疑はこれぐらいにしたいと思いますが、本当に現場の生産者、私も回っていますと、もちろん半分は農協以外、直接やっている最近の強い農家、農業従事者は出てきていますが、やっぱり半分以上はこの農協に頼らなければ実際の売る先の確保、サポートをしてもらえないということであります。そういう意味で、この農協が元々協同組合として自ら自主的に産業組合としてつくってきた、これは前回の予算委員会でも、品川弥二郎さん、それから実は平田東助さんなんかも産業組合をドイツ等で見てきたということで立ち上げたというものでありまして、そこに頑張っていただかなきゃいけないと思っています。これは、もしかしたら、農水省さんに言うよりも、是非ここの支持を、農協さんの支持を得られてこられた議員の方々、厳しいようかもしれませんけれども、是非言っていただいて、本当に全農家から信頼され、農協が引っ張っていくような少し仕組みにできないか。
改革は何度もやっています。もう、この政府がやろうとしている改革に対して現場のことをサポートするの、もしかしたら農協ないかもしれない、それぐらいの気持ちで是非経済事業について取り組んでほしいということを厳しいようですけど言っていただければ幸いだと思っております。
本当に、農協と関係ない私なんかが農協の中を少し申し上げて、生意気なことを今日は言う質疑になったかもしれませんが、これは本当にみんなの農業のことを考えてやっていきたいと思っていますので、今日の質疑させていただきました。
本当にありがとうございました。