2014.11.17

課税課税課税。その前に国はやるべきことを。(20141117)

■携帯電話税
今や殆どの方が使用している携帯電話やスマートフォン。この記事をご覧の方も、携帯電話を持っている方が殆どかと思います。この携帯電話に対して、自民党が中心となり、「携帯電話税」を徴収しようという動きがありました。
内容としては、1台あたり月に100円~1000円程の徴収で、自動車税の軽減の代替として考えられたようです。
この法案は今国会では見送られることになりました。多くの国民の反対の声があったからでしょうか。実はこの法案が見送られた理由は「反発の声が多かった」というわけではなく、「(徴収が)今すぐには技術的に難しい」ということだったのです。ですので、この話が無くなった訳ではなく、これからも議論される可能性が高いと思われます。

取りやすいところから取るという発想の強い、この「携帯電話税」は本当に必要なのでしょうか。私は、携帯電話の料金が高くなっている原因の一つである電波利用料の見直しを行うことがまずは必要であると考えています。

■消えた電波利用料
国は、電波を利用する事業主などから、年間700億円弱の電波利用料という税金を「目的税」(※)という形で徴収しております。このうち、8割にあたる500億円程は、各携帯電話キャリア(docomoやSoftBank、KDDIなど)からのものです。
(※目的税=その使途を特定して徴収される租税。特定財源とも呼ばれ、一般会計とは別の特別会計にて処理される。)
当然ですが、各携帯電話キャリアはこの電波利用料を、皆さんが使っている携帯電話の利用料から捻出し、国に納めています。そして、この電波利用料なるものが、一体何に使われているかというと、その半分以上は例えばテレビの「地デジ」関連への費用に充てられています。皆さんが使っている携帯電話料金が、各キャリアを通して税金として納めているのにも関わらず、それが携帯電話とは関係のない所へ消えていっているのです。更には、電波利用料で徴収された「目的税」の10%程は、毎年余っており、この余った税金は一般会計へと移動するため、他の財源と一緒くたにされ、その用途や内訳は分からなくなってしまうのです。本来の趣旨を考えれば、余る分については減税をすべきです。

因みに、全体の8割を負担する携帯電話キャリアに対して、テレビ業界の負担は約30億円程で、これはテレビ局の営業利益のたった0.1%程です。公共の電波を使って多大な利益を上げているのであれば、テレビ局により多く負担してもらうのが、筋と言えるのではないでしょうか。

私も以前この電波利用料の問題について、国会で追求しましたが、未だ解決には至っていません。「目的税」として徴収されたはずの税金が、目的以外のことに消えていっている。この問題を解決しないうちに、新たに「携帯電話税」なるものを検討しているとは、言語道断ではないでしょうか。

■パチンコ税
携帯電話税と共に話題に上がったのが「パチンコ税」です。
経験のある方はご存知かも知れませんが、現在のパチンコというのは「賭博」として認められておりません。
(三店方式という方法で、パチンコの出玉を特殊景品に交換。この特殊景品を景品交換所で現金に交換する。)
今回話が出た「パチンコ税」は、実質的にパチンコによって得た利益(現金)に対して課税する、というものです。
(パチンコによって得た現金の1%を税金として徴収するだけで、年間約2000億円もの税収になると言われています。因みにパチンコ業界は年間で20兆円規模の産業で、これは日本の自動車産業に匹敵します。)

現在は、厳密には賭博行為ではないとされているパチンコですが、課税するにはこれを合法化する必要があります。
この問題については、現在検討されているIR(カジノ合法化)についての議論とも重なり、なかなか前には進まないようです。

■課税・増税の前に国はやるべきことを
「携帯電話税」も「パチンコ税」も、今回の税制改正からは見送られましたが、いずれにせよ国民から直接徴収する税金に対して、国の認識が甘すぎるのではと感じています。

課税・増税の前に、現在の税制度やシステムを見直し、利権などにとらわれない適切な管理を行うことが必要です。
そうすれば、もっと効率的で合理的な「国民に還元できる」税金の仕組みを作れると、私は考えています。