2014.11.12

地方創生2法案に関して、本会議にて安倍総理に質疑を行いました

11月7日、本会議にて安倍総理に対して質疑を行いました。
(未定稿)

○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。
 私は、ただいま議題となりましたまち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案、いわゆる地方創生二法案並びに関連事項につきまして、みんなの党を代表し、安倍総理に質問をさせていただきます。
 まず、冒頭申し上げますが、私たちみんなの党は、この地方二法案の衆議院議決に当たっては反対とさせていただいております。その理由は、まず、政府提出の地方創生二法案には道州制に関する規定が一切盛り込まれていないことがあります。
 我が国が地域から新しい成長を目指すのであれば、霞が関から権限、財源、人間の三ゲンを地方に移し、地方のことは地方で決める仕組みをつくることが当然の課題であります。私たちみんなの党は、そうした観点から、地域主権型道州制を制度化する道州制への移行のための改革基本法案も国会に提出してまいりました。しかし、今回の地方創生二法案には道州制の言葉すらないのは誠に残念であります。
 また、政府提出の地方創生二法案は、政府がまち・ひと・しごと創生総合戦略を作り、それに従って都道府県が総合戦略を作り、さらに市町村が政府と都道府県の総合戦略に沿った総合戦略を作ることになります。そして、地域再生計画も最後は国が認定します。これは、国に右に倣えの中央集権体制、国が地方に補助金や交付金を配分するという地方の疲弊のもととなった仕組みを温存するにほかなりません。
 さらには、地方創生二法案は、特別委員会を設置したにもかかわらず、対政府質疑は十七時間ほどしか行われなかった、審議不十分という問題点もございます。
 本院における地方創生二法案の審議に当たっては、十分な時間を取っていただき、中央集権的な法制度を改め、道州制の導入に向かって我が国の地方自治制度が少しでも前進するよう、建設的な審議ができるよう、政府・与党の皆さんにお願いさせていただきたいと思っております。
 では、地方創生二法案について幾つかの質問をいたしますので、安倍総理には是非とも前向きな御答弁をお願いしたいと思っております。
 まず、法案提出の前提となる事柄について質問させていただきます。
 従来、地域再生関連の政策は様々なものが進められてきましたが、こうした従来の地域再生関連の政策、政府はどのように検証、総括した上で今回の法案を提出されたのでしょうか。屋上屋を重ねることなく、スクラップ・アンド・ビルドの精神で政策を進めるべき点は地方創生というテーマにもちろん当てはまるものとは考えますが、総理の御見解をお願いいたします。
 また、今回の地方創生の二法案は、我が国の人口減少に歯止めを掛けられるということが一番の大目的であると伺っております。
 政府等の試算によれば、合計特殊出生率が現状のままでは二〇六〇年には人口が八千七百万人にまで減少するが、二〇二五年までに合計特殊出生率が一・八、二〇三〇年までに合計特殊出生率が二・〇七まで回復すれば、二〇六〇年には一億人程度の人口が維持できるとしております。
 今回の地方創生二法案は、まさに五十年後に我が国の人口一億人を維持することを目指したものと伺っておりますので、それには、二〇二五年には合計特殊出生率を一・八、二〇三〇年までに二・〇七にまで回復させる必要があります。
 そこでお伺いしたいのですが、この地方創生二法案の対策を進めると、どうして合計特殊出生率が現在の一・四三からあと十年で、たった十年で一・八、あと十六年で二・〇七まで高まるのでしょうか。この二法案が成立するとどうして飛躍的に出生率が高まっていくのか、そのロジックがさっぱり分かりません。合計特殊出生率が一・八を下回ってからもう三十年以上もたちますが、そんなに早く回復するものなのでしょうか。総理、分かりやすくお答えください。
 では、次に法案の具体的な内容について幾つか伺ってまいります。
 まち・ひと・しごと法案の心臓部となるまち・ひと・しごと創生総合戦略についてです。
 この戦略は、まち・ひと・しごと創生に関する目標を定めることになっておりますが、この目標は何を定めるのでしょうか。何を目標にするかによっては、もちろん我が党も前向きに取り組むべき場合もあると考えております。この目標には、例えば出生率や失業率、中小企業の廃業率といった数値目標が掲げられているのですか、総理、明確にお答えください。
 また、都道府県及び市町村のまち・ひと・しごと創生総合戦略は努力義務とされておりますが、都道府県や市町村は、総合戦略を定めると例えば補助金がもらえるなど、何かメリットはあるのでしょうか。単なる努力義務であれば中央集権的な色合いは薄まるとは思いますが、補助金などで誘導するのであれば逆に中央集権的な色合いは強くなると考えています。この法案の目指すところは中央集権なのか地方主権なのか、それを含めて、総理、分かりやすくお答えください。
 そして、地域再生法改正法案の関連では、百億円の地域再生戦略交付金の創設が予定されているようであります。この交付金は地方自治体にとって大変使い勝手が良い地域主権的な交付金と伺っておりますが、どのように使い勝手が良い交付金なのか、総理、分かりやすくお答えください。
 さらに、地域再生法改正では、地方公共団体の長は、地域再生計画の作成等で必要があるときは、内閣総理大臣に対して、内閣府その他関係行政機関の職員の派遣を求めることができるという規定が今回新たに盛り込まれることになっております。
 国家公務員は、定員削減や世間の評判の悪い天下りの代替措置として様々な独立行政法人などに在籍出向するようになっており、国家公務員の定員や人件費が不透明になってきているのはゆゆしき事態でありまして、今回のこの職員派遣の規定が新たな在籍出向先の開拓につながるようでは誠に残念な結果になることだと思います。
 そこで総理に伺いますが、この職員派遣の規定で派遣される職員の派遣期間や官職はどのようなものを想定されているのか、天下りとはどこが違うかも含めて明確にお答えください。
 また、地方自治体が地域再生計画の認定や事業実施の見返りに職員を引き受けさせられるようなことはないのか、どのような歯止め措置が講じられているかも、総理、お答えください。
 では、最後に、地方創生二法案の関連事項について幾つかお伺いいたします。
 まず、道州制についてであります。
 冒頭述べましたように、私たちみんなの党は、地域主権型道州制の導入が我が国の新しい成長を生み出す大きな力になると考えております。他方、安倍総理は、平成十八年の第一次安倍内閣では道州制担当大臣を置かれておりましたが、現在の第二次安倍内閣にはこの道州制担当大臣という方がいらっしゃいません。総理は道州制への思いを捨ててしまったのでしょうか。なぜ道州制担当大臣を置かないのか、その理由と総理の道州制の実現へ向けた決意をお聞かせください。
 次に、消費税についても伺っておかなければなりません。
 今、地方の経済は疲弊しており、ここで更に来年の十月に消費税を一〇%に上げたら、地方経済は破綻するところが出てくるのではないかと危惧をいたしております。私たちみんなの党は、もとより消費税の八%への引上げにも反対であり、一〇%への引上げを凍結する法案も衆議院へ提出したところであります。
 安倍総理は、来月初めにも消費税増税の判断をされると伺っており、有識者からの意見聴取も始められました。総理には是非とも消費税増税の見送りという判断をしていただきたいのですが、消費税増税見送りという判断は、失業率、賃金上昇率始め、どんな経済指標がどんな状況であれば消費税増税の見送りの判断をされるのか、お答えください。
 最後に、補正予算についてお伺いします。
 報道では、総理は、消費税増税も視野に今年度の補正予算を編成する方針を固められたやにも伺っております。消費税増税のために補正予算を編成するのは本末転倒のようにも思いますが、その検討状況と規模感について教えていただきたいと思っております。
 今回の臨時国会は、何か野党は揚げ足取りばかりをしているという世間の批判もあるようですが、みんなの党は、小さなこともやりますが、しっかりと大きな政策議論も重ねていきたいと考えております。安倍総理には真摯な御答弁をお願いいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山田太郎議員にお答えをいたします。
 地域再生関連施策の検証、総括についてお尋ねがありました。
 今般の法案提出に当たっては、各省の地域活性化策に関する施策について関係閣僚会議で検証を行い、各種の施策をワンストップで運用できるように制度整備することとしたものであります。また、今後の政策の立案に当たっても、関連施策の検証、総括を行い、各省の縦割りを排除し、効果的、効率的な施策を実施してまいります。
 出生率の回復についてお尋ねがありました。
 政府においては、五十年後に一億人程度の安定した人口構造を保持することを目指しているところです。人口減少克服は待ったなしの課題であり、本法案に基づく総合戦略において、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえるという観点から、効果の高い施策を盛り込み、力強く推進してまいります。
 まち・ひと・しごと創生総合戦略と地方版総合戦略についてお尋ねがありました。
 数値目標を含めた総合戦略の内容については、現在、創生会議等の場で議論を進めているところです。また、実効性のある地方創生のためには地方の発意が不可欠であり、各地方公共団体自らが危機意識を持って地方版総合戦略を策定していただく必要があります。国としては、地方版総合戦略の実施のために必要な支援策を検討してまいります。
 概算要求中の地域再生戦略交付金についてお尋ねがありました。
 御指摘の交付金は、既存の補助制度と一体的に活用することで効果が高まる事業を支援するものとして概算要求を行ったと承知しております。今後、予算編成過程において、地域の創意工夫による地域活性化策の実現を後押しする仕組みについて政府内で検討を進めてまいります。
 国家公務員の派遣についてお尋ねがありました。
 地域再生法改正案に盛り込んだ職員の派遣については、実際に現場を見ながらアドバイスなどを行うことが有効であることから、地域再生計画の作成から事業の実施に至るまでの各段階で、地方公共団体からの自主的かつ自発的な要請に応じて国の職員を地域に短期間出張させるものであり、御指摘のような事態になることはないと考えております。
 道州制と担当大臣についてお尋ねがありました。
 道州制の導入は、地域経済の活性化などを目指し、国と地方の在り方を根底から見直す大きな改革です。現在、与党において精力的に検討が重ねられており、議論が集約されていく過程において、政府としても、道州制を含め、地方に関するあらゆる政策を集中して所管する地方創生担当大臣を中心に連携を深め、取り組んでまいります。
 消費税率の一〇%への引上げ判断についてお尋ねがありました。
 消費税率の一〇%への引上げについては、冷静な経済分析を行った上で、どれくらい経済が回復しているか、さらに将来の見通しはどうか等について、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断するということに尽きると考えています。
 補正予算についてお尋ねがありました。
 補正予算については、まずは本年七―九月期のQEなど、各種の経済指標をよく見ていきたいと考えています。現段階で補正予算の編成を決定しているわけではありませんが、いずれにせよ、経済の状況等に慎重に目配りしてまいります。
 消費税率の一〇%への引上げについては、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断してまいります。
 以上であります。