2015.4.3

郵便法違反で逮捕!?信書問題、本当にもらえるか不安ばかりの年金問題を予算委員会で取り上げました

3月27日、予算委員会質疑を行いました。今回はクロネコメール便廃止に関わる信書問題、本当にもらえるのか不安ばかりの年金問題を取り上げ、安倍総理・塩崎厚労大臣・高市総務大臣対して質疑しました。
まずは、多くの方が利用しているメール便。同封する書面の内容によって法違反のリスクとなるケースを懸念して廃止を決めたヤマト運輸社ですが、そもそも複雑な法規制のもとで恩恵を受けている企業があります。規制改革をうたっているアベノミクス第三の矢で、まずは国民生活に近い問題から規制緩和をしなければいけないと強く訴えました。
そして、より国民生活に多大な影響を与える年金問題は、政府試算は、楽観的な指標に基づいていることを訴え、事実を適切に国民に伝えるべきだと強く迫りました。安倍総理も、国民には老後の生活にむけて貯蓄の必要性があることを初めて発言しました。


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議事録(未定稿)
○山田太郎君 日本を元気にする会・無所属会の山田太郎でございます。
 まず最初に、郵便法の信書問題、ちょっとその辺りを触れていきたいと思っています。
実は、二月二十二日に、クロネコヤマトは、ヤマト運輸さんがクロネコメール便というのを廃止しました。結構便利なんで、議員の先生方も使っていらっしゃった方は多かったと思うんですけれども、実は、法律違反の認識がないお客さんが罪に問われるリスクをこれ以上放置できないということでやめたわけであります。
 ちょっとパネルを見ていただきたいんですが、私も信書というものに関して実は当初詳しくなかったんですが、調べれば調べるほどびっくりしてしまったんですが、議員の先生方も、多分テレビを見ていらっしゃるお茶の間の方々も、例えばのケースなんですけど、おじいちゃんとかおばあちゃんがお孫さんに、太郎やと、元気に暮らしていますか、たまには遊びに来てね、おばあちゃんよりというお手紙を入れて宅急便で送るとどういうことになってしまうのかと。こういう辺りなんですが、実はこういうケース、どういうことになってしまうのか、総務大臣、お答えいただけますでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 今のパネルのケース、郵便法第四条第三項のただし書におきまして、信書であっても、貨物に添付する無封の添え状又は送り状については宅配便やメール便などによる送達が認められております。その添え状には貨物の送付に関して添えられる挨拶のための簡単な通信文も含まれますので、その場合には全く大丈夫でございます。

○山田太郎君 実は、お手紙という形でもって、じゃ、これに、同窓会もあるという手紙が届いていたから、それについても知っていたということを例えば入れたら、もうこれは完全に信書という形になって駄目だと、これは総務省の方に確認しているんですが。つまり、ちょっとしたお手紙、添え状ではなくて、お手紙を宅急便に入れて送り届けますと、何と郵便法違反で三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金ということになるわけであります。
 もう一つ、これがびっくりしますのが、例えば、ある企業に対して履歴書を応募するために送りますよね。この履歴書というのは信書に当たるので郵便でないと駄目だと。要は、宅急便とかメール便と言われるものでは送れないんですが、逆に、企業がその応募者に対して送り返す場合はオーケーということなんですよね。同じものをやり取りしているんですが、何で帰りはオーケーかというと、差出人の意思の表示も事実の通知も終わっている文書であるため、応募者に返送する場合は信書に該当しないと。
 こういうことでありまして、非常に分かりにくい。下手をすると、ちょっとしたことで、おじいちゃんもおばあちゃんもびっくりと、犯罪者になっちゃうんじゃないかという、こんなケースがあるということであります。
 実はこれ、ヤマトさんが調べた関係だけでもこの五年間で八件の要は警察による捜査が行われまして、事情聴取並びに書類送検が三件あったと。いずれも不起訴ではあったということなんですが、こういうことが今でもありまして、もう一つ、実はこれが、ある千葉の選管の委員長から私の事務所の関係者に宛てられたということなんですが、これ何で送られてきたかというと、ゆうメールであります。宅急便の類いなんですが、この中身、実はこの文書は事前に総務省の方には、何に当たるかと言われたらこれは信書に当たるというふうに聞いておりまして、ちょっとこれはやっちゃったかなという感じでありまして、これを確認したところ、千葉県の方は二千通を実はこれで送ってしまったと。
 行政の方も非常に多分分かりにくいんじゃないかなと、こんなふうに思うわけでありまして、これが今後、こういう形で、じゃ、行政がやったものが捜査されるのかと、こういう議論になるんだというふうに思っております。
 いずれにしても、こういうところこそまず規制改革の私は本丸なんじゃないかなと、こういうふうに思っておりまして、これは是非安倍総理にもお伺いしたいと思うんですけれども、まさにアベノミクス第三の矢、規制をどんどん改革して、こういったものを民間に開放する、こういうことで経済を循環軌道に乗っけていくと、こういうことではこれは非常に典型的なケース。あるいは、普通のおじいちゃん、おばあちゃんが犯罪者にならないようにするためにも必要な改革の第一歩だと思うんですが、これ是非総理の方にお答えいただけないでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 信書を送る事業は、かつては公営事業体の独占とされていましたが、信書便法の制定による規制緩和を行い、民間事業者による信書の送達が可能となりました。現在、特定信書便事業者には四百者以上が参入し、創意工夫による様々なサービスが提供されています。
 現行制度において、これらの民間の信書便事業者は、御指摘の信書と非信書の混在物を取り扱うことが可能であります。一方で、信書の取扱いについては、通信の秘密と信書送達のユニバーサルサービス確保のため、一定のルールが必要と考えています。
 このため、信書便制度を廃止することは困難でありますが、政府としては、民間事業者の一層の民間参入を促すため、規制緩和を更に進めていくとともに、制度に関する国民からの疑問に対して丁寧に応じていくなど適切に対応していきたいと考えております。

○山田太郎君 確かに、今総理がおっしゃったとおり、特定信書と言われる一般信書ではないものについては一部開放されているというのは事実なんですが、これはまた四キロと重たいものだったり、九十センチ以上大きいものだったり、運ぶのに三時間以内で運ぶということだったり、千円以上するものだったり、下手をすると、どうも日本郵政さんがやりたくないような事業だけ譲っちゃったのかなと疑われかねませんので、この辺りはもうどんどんドリルで穴を空けていただいて、安倍総理から是非改革の矢を放っていただきたいなと、こういうふうに思っております。
 さて、次は、年金の話を少しいきたいと思っております。
 予算委員会の方で、私、連日、年金等もやらせていただいておりますが、まさにもらえないんじゃないかという疑問がやっぱり国民、有権者の間からも広がっている。若い人たちなんかも、年金大丈夫なのかと、将来幾らもらえるんだろう、年金制度は破綻しないのかと、こんなような心配をする向きがあります。
 そこで、ちょっとパネルの方を見ていただきたいんですが、ちょっと分かりにくいんですけれども、簡単にまずこのパネルの方を解説させていただきますと、政府の方は、いろんな経済事情に基づいて、いろんなパターンで年金がどれぐらいもらえるかということを提示してきました。
 実は、AからHまで八パターンあったんですが、これまでGパターンということについてはマスコミ各位含めて具体的な数字を出してきたんですが、Hケースという、一番ボトムというんですかね、なかなか経済の改革が進まなかった場合の年金のボトムのラインというものについて出していただけなかったんですが、かなり今回私も粘りまして厚労省に作っていただいて、今回、Hケースというのが初めて出てきたわけであります。
 ちょっと見ていただきたいんですが、びっくりするのは、この二〇五五年、右側の方、真っ白というふうになっておりまして、これは一体何じゃと。初めてこの三分の一のところが白くなっていて、何か抜けているんじゃないかというふうに思ったんですが、よくここの注意書きを私見てみましたら、年金額の改定ルールが定まっていないため年金の見直しを作成することができないと、こういうふうに書かれているわけであります。
 こうなると、そもそも、年金の設計は百年安心プランというふうにやってきたにもかかわらず、下手をすると、二〇五五年以降、特に国民年金に関しては、そのいわゆる積立金がなくなってしまうためにもう計算ができないと。これは一種計画自身が破綻しているんじゃないかと、こういうふうにも心配しちゃうわけでありますけれども、この辺り、厚生労働大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今先生お配りをいただいているパネル、そこに掲げていただいているパネルですけれども、実は、お配りをいただいている資料の次のページを御覧いただくと、今先生いみじくもおっしゃったように、ケースHというのを初めて作ったということでありますが、次のページを見ていただいて分かるように、このケースHというのはどういうケースなのかということを見ていただくと、一番右側に成長率があります。これ、マイナスの〇・四%という成長が言ってみれば百年続くという前提、つまり失われた二十年がずっと続いてしまうというケースを想定した場合のケースであり、この一番左の縦の数字が並んでいるやつで、全要素生産性というのは、これは極めて重要なんですが、これ見ても〇・五という、これはまさに失われた二十年の間の実績でございます。
 したがって、こういうケースが百年も続くようなときに一体どうなるのかということは、まずそういうことあってはいけないし、あっては、実は今の制度のままで、なかなか年金制度でやるには難しいねと。したがって、今どういうことになっているかというと、五年に一遍経済の諸条件を見直して、そしてもう一回計算をし直すということをやるのが財政検証ということでやっているわけでありまして。
 今先生お配りをいただいているこの右側三列に何も書いていないじゃないかと、こういうことでございますが、これは一体どういうことになっているかというと、要は、これはいわゆるマクロ経済スライドというので、将来の世代の人たちの受取が余りにも低くならないように、今のもらっていらっしゃる方々の年金の受取、そして今の保険料を払っていらっしゃる方々が払う保険料が余り上がらないようにするために調整をしていくという仕組みがざっくり言えばマクロ経済スライドなわけですけれども、こういう形でずっといくんですけれども、今のHのケースでいきますと、マクロ経済調整は、今の前提では三十年先に終わることになっていますが、残念ながらこれでいくと止まらないんですね。
 結局、ここの時点で真っ白けになっているのは、要は、いわゆる完全賦課方式といって、要は今百三十兆あるGPIFの積立金というのがゼロになって、もう完全に現世代が払ってくれる保険料をそのまま高齢者に手渡すということをやらなきゃいけないという、そういうことが起きてしまうというのがここから先の状況なんですね。そうなると、これはもう、完全賦課方式ということになれば、調整も何もなく、やっぱりこれは法律を変えていかないとなかなかいけないぐらいになってしまうわけでございますので、そういうことでこういうことはやっていない。
 結局、何が大事かというと、これは、年金のスキームというものそのものは、実はそこの、お配りをいただいている資料の次にあるように、様々なやっぱり経済条件、特に賃金と物価、これがどうなるかということで全て変わってしまうわけでございますので、この年金制度をきちっと維持をして約束どおりの年金を受け取っていただけるようにするためには、やはりこれは経済をちゃんと成長させていき、なおかつ保険料をなるべくたくさん払ってくれるようにするためには労働参加率を高くしていくということが大事でありますので、そのことを念頭に入れていただいて、それが、ここまでの極端なことはやっぱりちょっとあり得ない経済ケースということで出していなかったということで、御要望だったので出したということです。

○山田太郎君 何か塩崎大臣の方に一生懸命解説してもらったんですけど、私は余り本件についてはアグリーできない、合意できないわけでありまして、これどういうことかというと、じゃ、このHケースという経済状況は果たして極端なのかどうかと。
 こういうことはあっちゃいかぬということを塩崎大臣はおっしゃられたんですが、ちょっとそういう意味で、次のHケースはどういうケースだったかというと、物価上昇率が〇・六%、賃金上昇が〇・七なので、名目賃金上昇は一・三ということになるわけであります。ちょっとグラフを見ていただきたいんですが、線を私の方で入れさせていただきました。
 消費者物価上昇率〇・六というのはどこなのか、これは青い点線であります。名目賃金上昇率一・三というのはどこなのかというと赤い点線なんですが、何と、見ていただくと分かるんですが、まず名目賃金上昇は、これ、一・三をぎりぎり超えているのは一九九七年ぐらい。これ、何があったかというと、消費税が増税されたというところなんですよね。
 それからもう一つ、青のところは何だったかというと、これ、直近は二〇〇八年にちょろっと超えているんですが、これ、実はガソリンの値段がすごく上がっているし、食品も一時的にすごく上がっているところでありまして、平均をしてみると、現実的には〇・六ってタッチなかなかしていないのがこの二十年間以上の実態だったんじゃないかなと。何も別に社会不安を呼び起こしたいでこういうことを言っているわけじゃないんですが、決して、このHケースというのはもしかしたらボトムの計算ではないというふうにやっぱり見て取れるわけなんですよね。
 そうなったときに、大臣はこういうことはあってはならぬということだったんですが、私は、こういうこともある可能性はあるということで、政府も我々国会議員も、この年金制度をどういうふうにやっぱりつくっていかなきゃいけないのか、こういう議論をしないと、単に何かいいところの数字だけを持ってきて、はい、大丈夫ですよと、それはかえって私は政府に対する信頼がなくなったり社会不安につながるんじゃないかなと、こんなふうにも思うわけであります。
 それからもう一つ。さっきのHケースに戻ってもらいたいんですけれども、もう一つ読み込まなきゃいけないのは、今後、年金がどれぐらいもらえるかという設計、これは法律で決まっているということでありますが、今大体厚生年金の受給者は、二人の夫婦の標準世帯で、現役の男子の給与の三分の二ぐらいを設計されてもらっています。それが徐々に減っていって半分になるという設計であります。
 ただ、このマクロ経済スライドを実行していって均衡する、つまり、保険収入と積立金を使って給付を行うという構造を維持していこうと思うと、何と三五から三七%にならなければ均衡しないと。つまり、所得代替率というふうに言いますが、今もらっている、あるいは現役の夫婦がもらっている給料の三分の一にならないと均衡しないということでありまして、そういう年金設計で本当に食っていけるんだろうかというやっぱり心配はあるわけなんですよね。
 その辺りも是非、大臣の方に、こういう設計、もちろん政府は五〇%を切る段階においては見直すというふうに言っているんですが、既にHケースは五〇%を切るということを見込んでつくっているということは、最初から安心じゃないんじゃないかと、こういうふうにも思うわけでありまして、この辺り、是非教えていただけないでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) いわゆるこのマクロ経済スライドの調整というのは、モデル年金の受給開始時点で所得代替率五〇%までということを限度に行うことにして、そして、財政検証の結果、所得代替率が五〇%になっても、給付と負担が均衡しない場合には給付と負担の在り方について必要な見直しを行うということになっているので、それで先ほどのような極端なことが起きたときにはそうせざるを得なくなってくるということがあり得るということでありまして、高齢期の生活の安定という要請に配慮をして常にいるということでございます。
 それで、今のようなことが起き得るのかということでありますけれども、それは、先ほど申し上げたように、こういう経済情勢が続いた場合、百年間、そうなればそうなってしまうということを申し上げているので、そして、先ほど先生お示しをいただいたこの消費者物価、名目賃金率のことを言っていただきました。まさに、デフレから脱却しないといけないと今、安倍内閣が言っているのはそのことであって、デフレから脱却をしなければこういう状態がずっと続いてしまうと。
 それでは将来の年金は大変心配になってしまうなということであり、また、成長を回復しなければ、先ほど申し上げたように、何といっても、マクロ経済スライドというのは、言ってみれば保険料の上限を固定をして入ってくるものを一定と仮定をして、それを今度人口の推計をしながら受取をどうしていくかということで調整をしていくということでございますので、今先生御指摘のように、確かに極端なケースでこういうことが起こり得ないとは言えないかも分からないけれども、ですからこそ我々正直に今回AからHまで、極端なケースまで出したということでございますので、したがって、さっき結論付けたように、やはりこれは経済政策全体をしっかりやってそうならないようにするということが大事なので、このケースを御覧をいただいて、我々は大体この真ん中辺辺りを一番想定をしながら、目的をこの辺に置いて今経済政策を運営をしているということだというふうに思います。

○山田太郎君 そういう意味では経済政策を絶対に失敗させるわけにはいかないと、そういう意味で安倍内閣の期待は高まっているとは思うんですが、ただ、私もずっと経営者をやってきていますので、やっぱり逆の見方もあって、必ずしもHケースは私は極端なケースではない、今回よく出していただいたと思うんですけれども、そうなった場合にどうなるかということも備えとしてはきちっと案があるんだということは、やっぱりこれは安心につながると思っておりますので、そういう論点でもって、もらえないということはないということを、これからの財政検証、今年やるということですから、是非、塩崎大臣中心に少しこの辺り検討していただければと思っています。
 もう一つ、国民年金の方もいろいろ議論がありまして、現在、月大体六万四千円ぐらいというのが国民年金であります。なかなかこれだけで食べていけないという声もすごく大きくて、国民年金にしか入っていない人は暮らしていけるのかなと。現実的に高齢者の今生活保護世帯というのも非常に増えておりまして、この十年間で四十六万世帯から七十一万世帯まで増えてしまったと。
 先ほどの、結局、厚生年金ですら給付は半分又はもしかしたら三分の一になるかもしれない、国民年金に入っている人は五、六万しかもらえない、これもマクロスライドでは五万円台に落ちていっちゃいますから。そうなってくると、もはや年金だけでは暮らしていけないから貯蓄を持てというこれはメッセージなのかどうか。これはもう隠し事なく、政府はそうであればはっきりそういうふうに言っていただいた方が我々は腹をくくって何とかするということなんですけれども、そういった辺り、是非、大臣いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) ちょっと今日手元にございませんけれども、先ほど右側三列がブランクになっている厚生年金の将来の予想がございましたけれども、それの国民年金版というのがございまして、この間衆議院の方の予算委員会の審議の際に、これはEを中心に三パターン出していただいた、これは実は民主党の前原さんが出したんですけれども、そこにもありましたけれども、今御指摘のように、六万ぐらいしかもらえないというお話がありましたけれども、これも実は賃金の上昇率でスライドを決めていきますから、結局、経済成長が高ければ、例えば七万円で止まるとかそういうことになるのであって、そして成長率が高ければマクロ経済スライドを短期間で、より短期間で終わらすことができるということにもなるので、今先生が御指摘のように、平均的には今六万五千円前後ということで国民の皆様方に御理解いただいていますけれども、それを少しでも増やしていくということは、経済成長をきちっとして賃金が上がっていく経済に変えていくということが国民年金についても受取をより確実なものにしていくということでございます。

○山田太郎君 もう一つ、そもそも年金とは何なのかという議論もあると思うんですね。要は、一番の不満というか不安というか分からないところは、自分で支払ったものが将来取り戻せるというか、戻ってくるのかなというような最低のボトムラインをやっぱり皆さん考えているわけであります。払ったものがもらえるんだったらこれは保険的要素なので、積立方式というか、積立てなんじゃないかなと。でも、現役世代が高齢者をいわゆる見る、面倒を見るということではこれは賦課方式だと、税金的要素が強いんじゃないかなと。そういう意味で、年金というのは保険なのか税金なのかといったところも多分議論があると思っております。
 私も、この厚生年金等を含めて年金を調べてまいりましたら、元々一九四二年、戦時中ですね、積立方式として設立したんですが、戦後のインフレとか被保険者の負担能力が低下したということで徐々に積立と賦課方式の混合になっていったという歴史を持っているということは確認できました。
 ただ、最近、実は、要は日本年金機構さんが漫画で一生懸命この辺りの説明をしていらっしゃいまして、ちょっと漫画の絵を見ていただきたいんですけれども、お手元ですね、ちょっと飛ばしていきますが、要はこう書いてある。
 もしかして今もう年金を支払うお金が足りないのか。つまり、積立金がどんどん今削られてなくなっているんじゃないかと。GPIFの議論なんかもあるんですけれども、そうじゃないんですと。公的年金の役割を考えると積立方式にはリスクがあるんですということで、何かこういう論調でもって、要は、賦課方式は良くて積立方式は駄目だというような漫画自身は全体の論調になっているわけであります。
 ちなみに、一つ、この漫画は随分ネットの中でも話題になっておりまして、あんたが結婚してたくさんの子供を産めばいいんだということに対して、公務員であるお姉さんが、大丈夫、私が頑張って子育てしやすい町づくりをしてあげるからと。こんな感じでもって炎上物漫画というところなんですが、この年金に関しても随分踏み込んで、どちらかというと賦課方式なんだという話をされています。
 ちょっと次のパネルを見ていただきたいんですが、この辺りもよく最近言われていて、皆さんの疑問に思うところだと思いますが、肩車社会という構造ですね。要は、賦課方式というのは今の現役の人たちが何人の高齢者を支えていくのかと。これが、かつて一九六五年は胴上げ方式ということで九・一人に一人の高齢者を支えていた。これが、二〇一二年、最近ですね、二・四人で一人を支えている、こういう構造だと。二〇五〇年にはとうとう一・二、ほぼ一人で一人を支えるような状況になっていくと。こんな中で賦課方式をやっていくということになりますと、高齢者が例えば二十万必要だということになれば、いわゆる労働者は二十万そのまま払うようなイメージですよね。それはかなり重たいよねというような話で。
 じゃ、長期的に見ると、私も厚労省さんが出していらっしゃる資料を見てこれまたびっくりしたんですが、この国会でもさんざん人口減とか少子化とか高齢化とかという議論をやっているんですが、こういうふうに収れんするだろうということで資料を出していらっしゃいます。
 労働力人口と、それから六十五歳人口、高齢者と働く人たちがほぼ一対一の形でずっと日本国はそのまま緩やかに人口を減らしていきながら収束していくと。まさに、本当に一人を一人が背負う肩車方式になってしまうんだと、こういうことになるわけであります。こうなってくると、要は、昔は九人で一人を支えていた負担が、今のいわゆる労働者は一人を一人で支えるということは、これ税金方式になったらかなり重たいんじゃないかと。そうなってくると、次に起こる議論が、やっぱり世代間格差とか、本当にこの少子化での制度で、要は単純な賦課方式でこの年金システムというのは成り立つのかどうか。
 昨今議論になっておりますGPIFの百三十兆というお金も、二〇四二年の高齢化のピークに向けて本来は維持するべきなんじゃないかな、こんなふうにも思うわけでありますが、この辺り、本当に賦課方式に行くのかどうか、あるいは大丈夫なんでしょうかという辺り、厚労大臣、お願いできますか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先生おっしゃったように、我が国の公的年金というのは、昭和十七年にスタートしたときは積立方式が採用されたというふうに聞いておりまして、事後的に様々な経済変動等に対応する中で次第に賦課方式に変わっていって、今は修正賦課方式と、こう言われているわけでございます。
 アメリカやドイツなどの諸外国でも、創設時に積立方式でスタートしたものの、予測できない社会や経済の大きな変化があって事後的に賦課方式に変わっていくということになって、アメリカは完全賦課方式とも言えるような格好になっているわけでありまして、これは、将来が不確実な中で長期の保障を行うという、この年金の長いスキームをつくらなきゃいけないということの必然の結果であるわけでありますが。
 問題は、今先生御懸念をお示しをいただいたように、賦課方式でいくべきか、あるいは積立方式でいくべきかということはよく言われるんですが、また、特に今先生お配りをいただいた肩車型に行った場合に重過ぎるんじゃないか、負担がと、こういうことでありまして、そうならないようにするためにいろんなことを実はやっていて、その一つがマクロ経済スライドであり、そしてもう一つは、今、安倍内閣挙げてやっている地方創生で、人口が減り過ぎないようにするということを今から早く手を打って確保しておくということが、先ほど先生御指摘のとおり、労働力人口が減らないようにして労働参加率が増えれば、保険料の支払が増えるという中で年金が守られるという格好になるわけであります。
 それで、いずれにしても、さっき、冒頭申し上げたように、仮に今、賦課方式をじゃ積立方式にしますということになって、自分は何か安心したような気分になられても、実はすぐお隣には自分の御両親がいて、この方たちは今までは賦課方式でもらっていた、年金をいただかなきゃいけないのに、これ誰がじゃ払うんだということになると、やっぱりそれはなかなかそう簡単にはいかない。いわゆる二重の負担というのが起きてきてしまうわけでありまして、結局、これは賦課方式であろうとも積立方式であろうとも、実はやっぱり経済がきちっと伸びていかないとどっちもうまくいかない、どちらにしたとしてもうまくいかない。二重負担の問題はなしにしたとしてもうまくいかないのであって、結局、我々としては、年金制度を調整するメカニズムは我々一応つくっていると。
 その中にあって、どうやってそれをその想定どおりに持っていくかというと、経済成長とそれから労働参加率であって、決して私たちの両親や先輩たちの今受け取る年金をもう払わなくなるような積立方式に、自分たちの分だけやるというわけにはいかないということがございますので、是非その辺は経済政策とセットで年金は守っていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。

○山田太郎君 確かに、これ以上重たい保険料を支払わせるということは、これは勤労意欲にもつながってくることになると思っていますが、とはいうものの、政府の方はいつもいわゆる給付調整という言葉を使いますが、これはもう現実的に言うと、抑制していわゆる支払を減らしていくと、五〇%以下に、あるいは五〇%にしていくということなので、これはメッセージとしては、もし足りない分があったらば、しっかり蓄えは蓄えでしておくべきだということは、もうこれはちゃんと言った方がすっきりするし、そういう危機感を持って、そうならないように政府は経済を立て直すけれども、まあ、それはもう生き物ですからなかなかうまくいかないこともあるよというふうに私はメッセージしてもらった方が、百年安心だとか何だとかというふうに言われるよりも政府の信頼は高まるんではないかなと。
 実は、各国は景気の動向によらない構造的な数値というのを必ず今出しておりまして、特にGDPに関してはそうなんですよね。ドイツそれからEUそれからIMFもそういうものを持っているんですが、なかなか日本は、やっぱりいい数字を言ってしまうのかなというふうに思いますが。
 時間もなくなってきましたが、最後に総理、この辺り是非、特に若者に向けてですよね、本当に年金百年大丈夫なのかどうか、本当にこの国、次を背負っていく若者がしっかり年金も払って、ああ大丈夫だと思えるようなメッセージというか施策あればここで明らかにしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 年金につきましては、まさに確実に給付をお約束をするためには、これは言わば負担を、しっかりと負担をしていただくと。そして同時に、運用を、安全な運用を、確実にお支払できるような運用を行っていくということなんだろうと思いますが、給付と負担は裏腹でありまして、給付を行うためには負担をしていただかなければいけない。同時に、給付を更に、言わば代替率を上げていくためには、例えばこれは負担を多く持っていただかなければならない。この中におきまして、世代間の公平性を確保するという意味においても、マクロ経済スライドを平成十六年の改正で導入し、かつ、これによって安定化を図ってきたところでございます。
 そこで、Hケースというのを出されたわけでございます。確かに、先ほど山田委員がお示しになったように、二〇一三年まではこういうケースが続いていた。それはまさにデフレであったわけでございます。ずっと、今私どもが取っている政策を取らなければ、これはあれがずっと続いていく危険性というのはあったわけでございますが、大胆な金融緩和も含めてデフレ脱却ということを大きな目標として掲げた結果、今二十一か月連続、消費者物価は上昇に転じているわけでございますし、名目賃金におきましても、総雇用者所得の名目賃金は、二十二か月ですかね、連続でプラスになっているわけでございます。
 そういう意味におきましては、あの状況ではない状況を今つくっているわけでございますので、Hケースにはならないようにしっかりと今の政策を進めていきたいと、こう思う次第でございます。
 そこで、厚生年金と言わば国民年金、基礎年金だけのケース、これはそれぞれ違う言わば姿になっているわけでございまして、国民年金の場合はそもそも低額で、これは低い負担でお願いをしているわけでございまして、いわゆる被雇用者という形ではなくて、自営業者を含め多くの、そういう働き方を選択をしておられる方もたくさんいらっしゃるわけでございまして、そういう皆さんにとっては、まさに六十五歳という定年制ではなくて、働き続けることもできる方々もおられるんだろうと、こう思うわけでございますが、同時に、国民年金をもらっておられる方々については、やはり同時に資産の形成においても、年金受給の段階に至るまでにおいて、これは当然努力をしていただくということの前提もこれはあるわけでございます。それは従来から政府としてもお話をしているところでございますが、いずれにいたしましても、我々は国民の皆様にしっかりと御説明をしていきたい。
 積立方式、賦課方式、もう既に我々、この方式で長い歴史が、五十年の歴史があるわけでございまして、新たにいきなり積立方式にゼロから切り替えるということではないわけでございますので、基本的には十六年の大改正により、より安定化した。その中におきまして、先ほど塩崎大臣が答弁をいたしましたように、女性の参加も含めて労働力人口を、生産人口を確保していく中において安定的なものにしていきたいと、このように思っております。

○山田太郎君 これで終わりますが、本当に今回、総理の方からやっぱり貯蓄もある程度は必要だよという少し踏み込んだ発言をいただいたので、少し信頼が持てるようになったかなというふうにも思っております。
 是非、年金の制度に関しては、リスクも徹底的に開示してみんなで考えていくということしかもうないわけでありますので、そういった形で頑張ってこの制度崩壊しないように、若者が夢を持てるような社会になるように頑張っていきたいと思います。
 ありがとうございました。

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