2025.7.5

新サイバー犯罪条約による表現規制との闘い

~概要~

2024年12月に国連総会で新サイバー犯罪条約が採択されました。
この条約の本則では、実在・非実在を問わず児童の性的な描写を規制することとし、文章や音声も含むと定めています。
そして、それらの所持やアクセス等についても犯罪化しなければならないとの条項があり、そのままではマンガ・アニメ・ゲーム、小説等の創作表現の規制が一気に進む懸念がありました。

~新サイバー犯罪条約の問題点~

サイバー犯罪に関する既存の国際条約としては、EUや日本やアメリカなど表現の自由確保派が締結しているブダペスト条約がありました。しかし、2019年から中国・ロシアを中心とする表現の自由規制・インターネット規制派の勢力が、新しいサイバー犯罪条約の策定を国連で提案したのです。そして、一定の性的表現が含まれているものは、創作表現であっても犯罪化することを各国に義務付けようとしてきました。
条約交渉の中で、中国等は、日本のマンガ・アニメを犯罪化するべきであるとの主張を行ってきました。

既存のブダペスト条約では、創作表現を規制するかどうかについては留保規定があり、各国の判断に委ねられていました。しかし、中国・ロシアの主導による新サイバー犯罪条約の議論では、こうした留保規定をなくし、全ての条約締結国に一律に創作表現の犯罪化を義務付けることを求めてきたのです。条約草案の交渉に負けて留保規定がなくなってしまえば、日本は創作表現規制を受け入れるか、条約締結を拒絶するかを選ばなければならない難しい状況に追い込まれてしまうという状況でした。

~山田太郎の動き~

新サイバー犯罪条約の問題に対処するため、山田太郎は外務省との打合せを繰り返し緊密に連携。2023年の国会質疑において総理大臣と外務大臣から「新サイバー犯罪条約において表現の自由が不当に制約されることがないように条約交渉を進めていきたい」という旨の答弁を引き出しました。この答弁が外務省への後押しとなり、マンガ・アニメ・ゲームの表現の自由を守る、インターネット空間の自由を守るという姿勢で条約交渉を行うようになりました。

また、山田太郎は2024年の条約草案の最終案の決定前に国連本部を訪問し、国連側の取りまとめの責任者とも会談を行い、表現の自由を謳っている既存の国連条約との整合性がとれた内容とすべきと要請。事前にアメリカの表現規制反対団体などとも連携をして、世界中の表現の自由、インターネットの自由を守ろうとする人たちからの期待を背負っての国連本部訪問となりました。その結果、犯罪化の対象を「実在する人物の描写」、「視覚的な描写」に限定することができるという条項(留保規定)を勝ち取ることができたのです。

~これからの闘い~

この「留保規定」によって、新サイバー犯罪条約を締結しても創作表現の自由を守ることができるようになりました。
しかし、本当の闘いはここからです。「留保規定」を用いず本則に従って創作表現規制を行う国内法整備をすべきだと主張する国会議員や各種団体の動きが活発化しているからです。参院選後の2025年秋から、新サイバー犯罪条約の締結をめぐる国会議論が本格化する見通しです。舞台が国連から国会に移りますが、山田太郎は引き続きマンガ・アニメ・ゲームの表現の自由を守り抜きます!