2022.11.22

カルト宗教2世救済に関する私の意見

■現在議論されている、旧統一教会被害者救済法について

  現在、「霊感、悪徳商法等の被害救済に関する消費者契約法」の改正が、政府から提出される方向で調整されています。この法律は、あくまでもマインドコントロールが解けた後の人を救済するための法律です。一歩でも前に進めるためには必要な法改正だと思いますが、これは、カルト宗教2世のこども達を救済できる法整備ではありません。私は、「今困っているこども達を救える法律が不可欠だ」と党内でも強く訴えてきました。

 改正の内容は、悪質な勧誘に基づく寄付の取消権やその行使期間の伸長、国民生活センター(ADR)の役割強化などが含まれていますが、これと併せて議員立法の与野党協議が進行しています。

▲2022年11月10日自民党「内閣第一部会、消費者問題調査会、霊感・悪徳商法等の被害救済に関する小委員会合同会議」で提示された資料

■私が「カルト宗教2世」の問題を取り組み始めた経緯

 2020年8月に『子ども虐待防止策イベント in 東京 2020』に参加し、カルト宗教2世の当事者の方から、宗教虐待の経験について直接話を聞く機会があり大きな衝撃を受けました。それをきっかけに様々な宗教虐待当事者に会い、実態を調査してきました。教義による日常的な暴行、進路の強制(大学進学の禁止等)、恋愛の禁止、結婚の強制、実態としての児童労働(幼少期から個別訪問への強制)、信仰上の目的のための養子縁組等、話を伺えば伺うほど、深刻な状態が見えてきたのです。

宗教2世の虐待の問題は、家庭という環境の中で、親の教育方針や信教の自由とこどもの権利が齟齬を来すという難しい問題の1つです。政治としても、極めてセンシティブなイシューだけに、どう扱うべきかタイミングを見計らっていましたが、旧統一教会の問題が表面化したことをきっかけに、宗教2世の子ども達の問題に対処していくことを決意しました。

そして2022年9月28日、自民党として初めて私が主催するChildrenFirstのこども行政のあり方勉強会で宗教2世の問題を扱い、当事者の方々に登壇いただきました。顔出しでご自身の経験を語られるという大きなリスクを負いお話いただいたことに、改めて感謝しています。自民党内ではじめて宗教2世の問題を取り上げた勉強会は、大きく報道されました。この勉強会の発表資料報道記事はリンク先にまとめています。


写真)右から、登壇いただいた三森みささん、ちざわりんさん、私(山田太郎)、小川さゆりさん、小川さんのご主人

■カルト宗教2世の救済のために必要なこと

■現在の問題点と解決方法

①家庭に居場所のない宗教2世が相談・避難できる場所がない問題
②学校、児童相談所、警察に相談しても、児童虐待に該当すると思われるケースであっても「家庭内の宗教のことは対応できない」といわれ、話を聴いてもらえない問題 

⇒ChildrenFirst勉強会で取り上げてから、厚労省・文科省・法務省より、宗教2世の子ども達の問題に対処すべき通知が、地方自治体・教育委員会等に発出されました。「各種相談に応じる際、その内容が宗教に関係することのみを理由として消極的な対応をしないこと」と明記されており、今回の児童相談所・学校等への周知徹底がなれされたことは確実な一歩です。

しかし、通知にとどまることなく、児童福祉法を改正し「行為者の意図等のいかんを問わず適切に対処されるべきことを明確化」したり、「子ども虐待対応の手引き」で、特別な配慮を要する場合の方針や視点を例示すべきことを求めていきたいと思います。

また、ヒアリングからも、宗教2世は家庭に居場所がなく交友関係も制限され、精神疾疾患を患い、自殺未遂をするケースが多くある実態が分かりました。これは児童相談所だけで対処できる問題ではないため、支援機関と適切に連携できる体制や、緊急避難できるシェルターの整備、拡充が必要です。現在日本の法律では、子どもの親が持つ「親権」が強く、私人が子どもを保護することは、親権侵害、誘拐や監禁と訴えられてしまうリスクがあります。弁護士集団が運営するこどもシェルターもありますが、数・量・認知ともに不足しています。

③組織内で子の最善の利益に反する養子縁組が濫用されている問題

ヒアリングから、信者の信仰上の目的のために、子どものいる信者からいない信者へ、子どもを養子に出すことを強く推奨している宗教団体が存在することが分かりました。団体の公式動画でも、「子どもを4人出産した信者が、養子を欲しがっている信者の存在を知り、その信者へ養子に出すことを目的に5人目を妊娠出産した事例を、称賛事例として紹介している場面があり大きな衝撃を受けました。この養子縁組は子どもの最善の利益を考慮しているとは言い難いのはもちろん、民間あっせん機関等の認可が無ければ養親組あっせん法違反になります。これらは、ブラックボックスになっており行政がまったく把握できていません。私は党内でもこれらの実態調査の必要性を強く訴えています。中長期的な視点では、ベビーライフ事件から何度も必要性を訴えている「養子縁組データベース」を構築し、出自を知る権利を保障していくが必要です。

カルト宗教2世の問題は、長い間置き去りにされてきた社会全体の問題であり、政治が責任をもって解決すべき重要な問題だと思います。子ども達のために、一つずつ確実に前に進めていまいります。

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■山田太郎略歴
参議院議員(2期目)

◇経営者として
 ・ネクステック株式会社 代表取締役社長(CEO・創業社長)
 ・パラメトリック・テクノロジー・コーポレーション米国本社副社長(米国NASDAQ上場企業)等

◇教育者として
 ・東京大学 大学院工学系研究科 非常勤講師
 ・早稲田MBAスクール客員准教授(早稲田大学 大学院商学研究科ビジネス専攻)
 ・東京工業大学 大学院社会理工学院研究科 特任教授 等

◇政治家として
 ・参議院議員(2期目)
 ・内閣委員会 委員
 ・政府開発援助等に関する特別委員会 委員
 ・国民生活・経済に関する調査会 理事
 ・議院運営委員会 委員
 ・議院運営委員会委員図書館運営小委員会 委員

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