2025.6.27

サイバー犯罪条約(プタペスト条約)と新サイバー犯罪条約(国連)、児童ポルノと創作表現等の関係に関する誤解について

新サイバー犯罪条約(国連)は、日本の創作文化を破壊する危険性を有しています。その理由について、繰り返し説明させていただいていますが、そもそも児童ポルノとそれぞれの条約との関係について誤解があり、その危険性が伝わっていないようですので、まずは正しい認識を持っていただければと思います。

そもそも、児童ポルノと国際条約に関しては、私が2016年2月29日に質問主意書を提出して政府見解を確認しています。質問主意書への答弁書は、同年3月8日に受領しています。

この質問主意書と答弁書は、以下より閲覧可能です。
https://sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/190/meisai/m190067.htm

閣議決定された政府見解が示されている答弁書の内容は、要約すると以下のとおりです。

1)
日本が締結している国際約束において「児童ポルノ」について定義しているものは、①児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書、②サイバー犯罪条約(プタペスト条約)の2つのみである。

2)
①児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書の「児童ポルノ」には、およそ実在しない児童を描写したものは含まれない(ここでの「児童」は実在する児童)
②サイバー犯罪条約(プタペスト条約)の「児童ポルノ」には、およそ実在しない児童を描写したもの(マンガ・アニメ等)を含む

3)
しかし、日本は、留保規定によって、およそ実在しない児童を描写した児童ポルノについて、②サイバー犯罪条約に規定する義務を負うものではない

以上より、結論として、現在の日本は、条約上、創作表現を児童ポルノとして規制する義務を負っていないということになります。

新サイバー犯罪条約(国連)は、このような現状を大きく変え、日本が、条約上、マンガ・アニメ等を含む創作表現を児童ポルノとして規制する義務を負うことになるおそれがあるものであり、去年までは国連の条約交渉において、今年からは国内の締結手続において闘ってきています。

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