2013.5.21

山田太郎の質疑により、中国の虎網漁船が290隻であることが明らかになりました。

5月21日、参議院農林水産委員会での山田太郎の質疑により、中国の虎網漁船が290隻であることが明らかになりました。政府が隻数を公式見解として示したのは初めてです。中国側とよく話し合っていくという前向きな答弁を引き出しました。

議事録

○山田太郎君

 みんなの党の山田太郎でございます。
 本日は、農林水産の一般質疑ということで、農地集積バンク、それから中国の虎網の話を少しさせてもらおうと思っています。ただ、農地集積の方は先ほど幾つか質問も出ていましたので、私の方は、東シナ海の中国虎網漁船についての、特に日中漁業協定に関してお話をいただければと思っています。

 この中国の虎網に関しましては、先日のNHKの番組でも随分報道、特集がございまして、乱獲によってこの東シナ海の地域、魚も減ってしまうということが報告されておりまして、日本の漁業の皆さんも何とかしてほしいという声も大きくなっています。

 そこで、まず農林水産省さんにお伺いしたいんですけれども、この虎網漁船、又は虎網のこの実態を今どのように把握されておるのか、特に、中国の虎網漁船は一体どれぐらいあると把握されているのか教えてください。

○副大臣(加治屋義人君)

 中国虎網漁船については、昨年の日中漁業共同委員会等において中国側に情報提供を申し入れたところです。その結果、中国側から許可船リストが提供されたことから、これを基にして取締り船により虎網漁船の照合を進めておりました。また、本年二月に拿捕した虎網漁船の船長等から様々な情報を得てきました。今回の日中漁業取締実務者協議において中国側から、国レベルで管理している虎網漁船は約二百九十そう、主要対象魚種はサバ、アジなどの情報を得たところでございます。
 今後とも、あらゆる機会をとらえて虎網漁船の実態把握に努めてまいりたいと思います。

○山田太郎君

 そうしたら、農水省の把握としては中国全体では二百九十そうであるという理解でよろしいんでしょうかね。ちょっと数が少な過ぎるのではないかというふうに余りにも思うわけなんですけれども、その辺ももう一度ちょっと御答弁いただきたいと思います。

○国務大臣(林芳正君)

 今、副大臣から答弁をさせていただきましたように、中国側からの情報、国レベルで管理していると、こういうふうに言っております。したがって、よく日中の間であることでございますが、中国の中央政府はこういうことをやっているけれども、現場若しくは省レベルといいますか、のところがなかなかそういうところに入っていないというようなことも、この件というよりも全体的にあることでございますので、あくまで、この今中国側から得られた情報というのは、国レベルで管理している虎網漁船が二百九十だという情報を得たということですので、委員御指摘のように、これが全部かと言われると、まだそこまでの全体の像を、これしかないというふうに言い切れるだけの情報はないということでございます。

○山田太郎君

 先週の木曜日と金曜日に二日間、東京で日中漁業協定の第十四回日中漁業共同委員会の準備会がされたというふうにお伺いしています。この虎網対策で日本側はどのような提案をされたのか、教えていただけますでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 五月十六日、十七日と、日中漁業共同委員会の第一回準備会合、開催をされました。相互入漁の操業条件、また暫定措置水域の資源管理等、こういったことについての事前協議を行いまして、引き続き協議を行っていこうということになりました。中身につきましては交渉事でございますので差し控えたいと思いますが、あらゆる機会をとらえて、この虎網漁船の隻数や漁獲高、今お話ありましたように、そういうものも含めて情報提供をしてもらう、それから管理をきちっと強化するように求めていくと、こういうふうに考えております。

○山田太郎君

 今大臣お話ありました日中漁業協定の暫定水域では、日中両国が操業する漁船名ですとか、それから魚種の種類をあらかじめお互いに通知するということになっているかと思います。この通知された漁船等、魚種の中、特に漁船ですね、虎網漁船が入っているのかどうかということもお伺いさせてください。

○副大臣(加治屋義人君)

 日中漁業協定によって、中国の虎網漁船は我が国の排他的経済水域では入漁が認められておりません。一方、日中暫定措置水域等においては我が国の法令等が適用されないことから虎網漁船の操業が可能としております。

 虎網漁法は巻き網と底引き網を組み合わせたような漁法で、漁獲能力が高く、我が国水産業界に、水産資源に大変悪影響を与えるとの声が上がっているのも承知をいたしております。

 日中両国は日中暫定措置水域で操業する漁船名簿の交換を行っており、その中で漁船名及び漁業種類について通報をしております。御指摘の虎網漁船について、中国側の名簿上、巻き網にまとめて通報され、虎網と巻き網の区別が付けることができないところでございます。

 今後、中国側の漁船管理状況等を調査しつつ、引き続きあらゆる機会をとらえて中国側に対し虎網漁船の総数や漁獲高等の情報提供、管理強化等を求めていく所存であります。

○山田太郎君

 その日中漁業協定の話も見ていきたいと思うんですけれども、資料三の方を御覧いただけますでしょうか。

 日中暫定水域の漁獲の実績を今回お伺いしましたら、上限の漁獲量が中国が約百七十一万トン、それから日本が約十一万トンと。余りにも日中の間で大きな差がありまして、この数字を見てびっくりしたんですけれども。

 ただ、もう一つ、よく見てみますと、実際の漁獲の実績は中国が百七十一万トンで、これは上限の九九・九%を捕っているということになっているんですね。一方で、我が国は三万八千トンということでありまして、上限の十一万トンに対して三五%しか実際には捕っていないと。どうして日本の漁船はせっかく十一万トン捕れるという交渉をしているのに三万八千トンしか漁獲がないのかと。

 いろんな情報、報道によりますと、虎網漁船が日本の船を漁場から締め出していると。一列にこの水域に張り付いて、入れさせていないんじゃないかと、こんなこともありますけれども、この辺り、見解いただけますでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 今お話をしていただきましたように、この暫定水域では、協定発効時の漁獲実績と、これをベースにして、二〇〇二年から今おっしゃっていただいたような数字を上限目標値ということで設定をしてございます。

 日本側の操業実績を確保しながら中国側の漁獲量を抑えるように協議はやってきたところでございますが、二〇一一年の操業実績は、今御指摘いただいたように、日本側三万八千二百七十八トンと。中国側も実は、上限目標値二百十三万トンですが、実績は百七十万トンということで、実績は下回っているということでございますが、数字を見れば分かるように、うちが三万八千に対して向こうは百七十ということですから、数字的には圧倒的に向こうの方が大きいと、こういうことであります。

 虎網の大きなものがそこにいて我が方のものがなかなか入っていけないというような今お話がありましたが、そういうことも含めてしっかりと我々の方で、せっかく枠を持っているわけですから、漁業がそういうことに煩わされずにきちっと操業していけますように、この日本漁船の安定的な操業確保ということ、そのためにこういうことをきちっとつくってやっているわけでございますから、しっかりと中国側と協議してまいりたいと思っております。

○山田太郎君

 安倍総理の方も、農林水産物の輸出を一兆円にするということで目指されています。水産物でいえばブリとかサバ、特にこの暫定水域、サバが多く捕れるということで、非常に重要な漁場だと思います。

 ちょっと今回の農水省さん又は水産庁さんの交渉を見ていますと、尖閣のこともあるんでしょうか、どうもちょっと弱腰というか、もうちょっと頑張ってもらいたいなと。少なくとも状況がどうなっているか、中国側からの数字しか分からぬということではなくて、例えば空中から写真を撮って把握するとか、いろんなまず方法が必要だというふうにも思いますし、この上限漁獲量に関しても日本の枠をできるだけ広げていくと、そもそも水産大国日本というのの復活のためにはここのところが非常に重要だというふうに考えております。

 そういった意味で、今後の水産行政、特にこの問題に関してもうちょっと踏み込んで、どんな方針を出されようとされているのか、また、先ほどは交渉事だというふうにお伺いしましたが、非常に今回の漁業協定、重要なことだと思っています。せめても国民の方にメッセージというか、これは非常に報道もされていることですので、是非、大臣の方、並びに関係者の方から強いメッセージと方針、それからその中身、対策、教えていただきたいと思います。

○国務大臣(林芳正君)

 大変大事な御指摘だと思います。

 先ほど数字の話は、今、副大臣からお話しした数字はそういう性格だと申し上げましたが、それはもちろんそれだけにとどまる、交渉がですね、向こうからいただいてそれで終わりということではなくて、今後とも中国側の漁船管理状況、これは調査しなきゃいけないというふうに思っております。

 委員がおっしゃったようなやり方が予算上できるかどうかは別として、向こうの状況をやはり調査をする。漁船同士でいろいろそこにやっているわけですから、そういう方々からもいろんな情報をいただくということもあるいはあろうかと思いますが、そういうことをやりながら、おたくはこういうふうになっているではありませんかということをきちっとこの協議の場で相手に示して、厳しい交渉というものをやってまいらなければならないというふうに思っておりまして、そのことは交渉担当者にも徹底しておきたいというふうに思っております。

○山田太郎君

 そろそろ時間が来ましたので、是非、この問題、勇気を持って中国始め諸外国に対して日本の国益をしっかり主張していただいて、まずは状況の把握をしっかりしていただくと。それで、きちっと、今漁業協定は始まっているわけですから、そこで日本の権利を勝ち取っていく。それから、現場での乱獲防止、せっかく日本は守っているわけですから、中国にもそのことを国際的に守らせる強い姿勢で水産行政やっていただきたいと思って、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。