2014.2.22

政府開発援助等に関する特別委員会にて質疑を行いました。

2月20日、参議院政府開発援助等に関する特別委員会にて質疑を行いました。

議事録

○山田太郎君

 みんなの党、山田太郎でございます。
 私も政治家になる前は海外で随分仕事をしておりまして、世界五十か国ぐらい、中国、アジア、アフリカ、実は中南米等も行っておりまして、そこで随分国際機関の方々、特にJICAですね、あるいはジェトロというところに助けられましたので、大変尊敬しているところであります。また、本当に今日初めて数字を知りましたが、二百名もの命を懸けて、命を賭してやっている国際機関だということでもありまして、大変敬意を払わなければならないと思いますが、ただ、ここは国会ですので厳しいことも言わなきゃいけないということで、その観点の質問を幾つかさせていただきたいと思います。
 一つは、実はこれ、去年の岸田外務大臣に対しても質疑をしたところなんですが、ODAの債権が過去累積で一兆円実は債務免除されているということであります。国民としては、貸したつもりのお金がいつの間にか贈与になっていると、こういった現実もありまして、その辺を今後、国民、国会へどういうふうに説明していくのか。今日、参考人の中からも、一つ、このODAの役割が金融としての役割も担っているし、民間も参加していかなければならない。であれば、特にこの説明は極めて重要なことになるだろうと思います。これは、もしかしたら政府になると思いますので、木原政務官の方が適任かと思います。
 併せてなんですが、先日、IDA、国際開発協会の方の法律の改正案がありまして、継続ということで審議しておりますが、これ四百二十億ドルの、これ四兆二千億円に日本円はなりますけれども、また拠出があるということですが、実際お聞きしたところ、この拠出も返済のめどがないと、こういうお話を伺いました。
 本当に人道的な立場ということにおいては確かに必要だということは分かるんですが、であれば、こういった国際機関を通じた途上国への融資というものは全体でどれぐらいの規模になっていて、かつまた返済のめどはどれぐらいないのか、はっきりしておいた方がいいかと思っておりますので、その辺り、数字をお持ちであれば、なければ後で教えていただきたいんですが、まず政府の方に教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○大臣政務官(木原誠二君)

 後半の部分につきましては事務方の方から数字を含め、あれば御説明させたいというふうに思います。
 委員御指摘のとおり、過去において私どもが提供いたしましたローンについて、リスケあるいは債務免除といったことが起こっていることは事実でございます。とりわけ、HIPC諸国、最貧国の諸国に対する国際社会、同時の債務免除という措置もあったこともございまして、私どものローンもそれに当たっているという現状がございます。
 もとより、これは全て国民の税金、血税でございますので、御指摘は重々踏まえながら、これから一つ一つのプロジェクト、また被援助国の状況等をよく勘案しながら、なるべくそういうことがないようにしっかり取り組ませていただきたいという決意だけ、まずは述べさせていただきたいというふうに思います。

○政府参考人(石兼公博君)

 今、木原政務官から御答弁申し上げたとおりでございます。今、手元にちょっと数字はございません。これは後ほどまたきちんと御報告申し上げたいと存じますが、いずれにいたしましても、債務免除等々をするに当たりましては、IMF等、国際機関等、よく連携をしていきながら、その国がどういう形で今後経済成長、あるいは経済を立て直しをしていけるのか、財務状況を改善していけるのか、ここら辺をきちんと見定めながら、債務の免除をし、今後のことを考えていかなくてはならない、このように考えております。
 政務官から申し上げましたとおり、やはり国民の税金を使わせていただいたものが残念ながら返ってこなかったということは、我々は重く受け止めなくてはならない。その上で、円借款がやはり今後の日本の投資あるいは民間資金を呼び込むための触媒となるというこの機能をしっかりと発揮できるようにしていきたい、このように考えております。

○山田太郎君

 次に、このODA六十年目の節目、特にODA大綱が十年ぶりに改正されるということで、今後どういう検討状況なのかということもお伺いしたいんですけれども、一つ、先ほどからお話をお伺いしていまして、経済成長重視と、これが、人命の方が先ではないかというような質疑もあったわけでありますが、やはり経済成長というものもベースメントとしては重要だというふうに我々も考えています。
 特に、その中でもタイド、アンタイドの問題、実はこの職になってODAの委員になりましたので、実は去年もいろいろ夏、個別に海外を回らせていただいて、地元の日本大使館にその話をお伺いしたところ、水面下では一生懸命ODAで提供されたお金を日本の、まあ国益と言っていいのかどうか分かりませんけれども、是非日本企業に落ちるようにというようなことで頑張っているという話をいろいろ伺わさせていただきました。
 これに関しては、多分少し意見のトーンが違うのかなと思って、それぞれの御意見をお伺いしたいというところで、これは平野さん、それから高橋さんにお伺いするのがいいのかもしれませんが、そういったタイド、アンタイドの問題、もちろんOECDの定義では、いわゆるODAは基本的に政府に対する支援ということでありますから、根本的にはこれはアンタイドということでありますが、今後、もしかしたらそういう定義も変わってくるのかどうか。あるいは、先ほどお話のあった、民間のお金も併せて活用して、足りない規模を足して、現地の経済成長に資するという意味においては、やっぱりその辺りも少しもう考慮していかなければ、現実問題としては規模を大きくできないんではないかと、こんなふうにも思っているわけであります。
 そういった意味で、今後の日本のODAの在り方を、ちょっとタイド、アンタイドということも含めた上で、あるいはOECDの定義見直しという動きも含めた上で、まず多分これは平野さんからお伺いした方がいいのかと思いますが、平野参考人、それから高橋参考人の方からも是非御意見いただきたいと思います。

○参考人(平野克己君)

 御質問、ありがとうございました。
 日本はOECDのメンバーであり、先進国でありますから、既に約束をしているファシリティーについてアンタイドであるということは、恐らく破ることはできない。ただ、私、申し上げましたけれども、新興ドナーがどんどん増えているという現状の中で、中国それからインドもそうですが、新興ドナーの援助というのは全てタイドですから、その目でいうと、同じサービス、建物あるいは物財がより貧しい国に供与されるという観点から見れば、タイドとアンタイドで一体その現地の国に開発効果はどれだけ違うんだというのは違う観点からも見なきゃいけない。そうじゃないと、恐らく新興ドナーの方は納得をしないんではないかと私には思えます。
 最近、問題、御指摘の問題というのは、これは無償援助のところもアンタイド化していこうという議論のことだというふうに推察をいたしますけれども、その観点からいっても、同じサービス、例えば今でいいますと、インフラが、道路や橋やあるいは鉄道がそういった形で提供される場合、実際現地にもたらされるサービスや機能というのは、それは金額の問題ではなく物財の問題ですから、そういう観点から、高橋さんも指摘されましたけれども、開発効果から実はその援助国のアクティビティーを測ってみるというアイデアもあると聞いています。
 そういうふうに考えてみると、私は、新しい議論の仕方も可能だと思いますし、日本の貢献もそれによってもっと広げる、そういった可能性もあるというふうに思っております。

○参考人(高橋基樹君)

 ありがとうございます。
 非常に極端な議論をしますと、技術協力さえひも付きをやめるという議論もヨーロッパにはございました。すなわち、協力隊員もイギリス人であるかもしれない。非常に難しい問題でございます。それは国民が決めることではないかと思いますが、日本人が培ってきた知というものをもし技術協力で伝える場合、これはひも付きでやらなければならない部分もあるかと思います。
 他方、例えば食料援助を考えたときに、アメリカで作られた食料をエチオピアに持っていって貧困な人たちに配る、これは何者かを傷つけています。それはエチオピアにおける食料を作っている農民の利益を侵害しているわけですね。こういう場合、エチオピアで食料を調達すればいいので、こういった形で、ひも付き、あるいはひも付きでないということは簡単に決めるのではなくて、それぞれの状況に合わせてきめ細かく考えていくべきというふうに考えます。
 以上です。

○山田太郎君

 ありがとうございました。