2014.4.8

袴田事件、北朝鮮のミサイル発射、貿易保険の借金、目的税の目的外使用について質疑を行いました

3月31日、参議院決算委員会にて質疑を行いました。

議事録

○山田太郎君
みんなの党の山田太郎でございます。
 最初に、袴田事件の件、ちょっと質疑の順番を変えまして、これ、即時抗告されるかどうかという際どいところでございますので、少しその辺りもお話し、質疑したいと思っております。
 検察庁、今回の再審の決定に対して即時抗告を主張されています。本日がその期限ということでありまして、私自身は、しっかり議論するべきだと、再審そのものを阻止するような即時抗告をやめて堂々と再審を受け入れるべきなんじゃないかなと、実はこういうふうに考えております。
 今回、検察又は警察の捜査の在り方ということでも問題になっている当事者でもありますから、是非そういった意味ではきちっと再審を受け入れるべきではないか。また、それについて、これは谷垣法務大臣の方にお伺いしたいんですが、国民目線で、人の命が今懸かっております、また国の正義が懸かっておりますので、これは例えば検事総長に指揮権発動してでも何か指示をしていただけないかどうか。ここで、時間がありませんから、携帯電話を使っていただこうと私の質疑の後で退席していただこうと、対応していただければと思っておりますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君)
指揮権を発動せよということでございますが、これはやはり個別の事件でございます。それで、基本的な制度の立て方として、まず、検察がどうするか、これは法と証拠に基づいて判断する。それで、私は、もちろん今おっしゃったように指揮権というものも最終的に持っているわけでありますが、指揮権をどうするというようなことは私は今議論するつもりはございません。これは、するとかしないとかいうことではなくて、検察のまず法と証拠に基づいた判断をまず第一義に考えていると、こういうことであります。

○山田太郎君
まだ間に合います。実は谷垣法務大臣は私の高校の先輩でございまして、大変、人権人道派だということも承知しておりますので、期待しておりますので、よろしくお願いします。
 さて、もう一つ法務大臣にお伺いしたいんですが、死刑判決が確定した死刑囚からの再審請求は現在どれぐらいあるか、教えていただけますでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君)
ちょっとお待ちください。
 今、三月二十七日現在でございますが、法務省で把握しておりますのは、死刑判決確定者人数が百三十一名、そのうち再審請求中の人数は九十名であります。

○山田太郎君
そうなんですね。この辺りも実は御感想をいただきたいと思うんですが、これまで死刑から無罪になった案件は免田事件、財田川事件、それから島田事件、松山事件ともう四例がございます。今日も一つ、飯塚事件の件もありまして、これは再審は棄却されたということでありますが、この百三十一名の死刑確定者に対して九十件の再審請求に関しての数というのか内容というのか、是非、法務大臣の方から御感想でもいただきたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君)
これは、再審請求される方は様々な、何というんでしょうか、思いあるいは様々なことからされるんだと思いますが、個別のそれをどう論評するかは差し控えたいと思います。
 それで、もちろんこういう再審請求、多分次の御質問、先に飛び越えちゃうかもしれませんが、この頃よく寄せられますのは、再審請求をしている以上執行すべきではないのではないか、差し控えろという、こういう御意見はしばしば伺うところでございます。これは、法文上、法務大臣が死刑執行の、死刑の執行停止を命ずる事由には当たらないものとされておりますが、しかし、一般論として申し上げれば、死刑執行に関しては、まず関係記録を十分に吟味しなきゃなりません、そして、その中で刑の執行停止あるいは再審事由の有無等についても慎重に検討して、これらの事由等がないと認めた場合に初めて執行命令を発するということになっております。

○山田太郎君
是非、死刑が確定したにもかかわらず再審で四件も無罪になったという事実を重く受け止めて、是非対応していただければというふうに思っております。
 この件、実は総理にもお伺いしたいんですが、四十八年間という長きにわたって刑務所に閉じ込められてきました袴田さんに対して、死の恐怖にもさらされてきたと思います。何かおっしゃることですとか掛けられる言葉とか、ないでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)
先ほど法務大臣からもお答えをさせていただいたことでございますが、個別の事件における裁判所の判断について、内閣総理大臣として所感を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

○山田太郎君
もうちょっと、一政治家ですから、少し国民目線で御発言いただきたかったなと、こういうふうに思いますが、残念であります。
 さて、もう一つ、ちょっと質疑順を変えさせていただきまして、北朝鮮のミサイル問題。今、日朝の政府間協議をやっております。
 先週、二十六日未明に北朝鮮から放されましたミサイル、日本海に落ちたということでありますが、これをアメリカと韓国はノドンのミサイルだというふうに断定しております。我が国の政府の方はいまだ分析中で分からないと、こういうふうな発言いただいております。もう発射されて六日たつんですが、何かこのミサイルの分析というのは分かりましたでしょうか。これは防衛大臣。

○国務大臣(小野寺五典君)
委員が今御指摘ありましたが、三月二十六日水曜日、北朝鮮による弾道ミサイル発射による自衛隊の具体的な対応については、これは今様々な対応を取らせていただいておりますが、御案内のとおり、実は今回の飛んだ状況については把握をしております。ただ、少し具体的にお話をすると、例えば飛んだ距離というのは、スカッドの改良型の場合も考えられますし、またノドンの途中で燃料をカットした場合も考えられるということでありますので、あくまでも断定という形のことにつきましては精査が必要だというふうに承知をしております。
 現在、我が方としてもしっかりとした警戒監視に留意をしていきたいと思っておりますし、一部報道出ておりますが、今日昼頃、北の方から砲撃があり、南の方がこれに対しての対応をするというような状況も緊迫をしております。私どもとしては、今現在も起きている内容でありますので、しっかりと警戒監視を続けていきたいと思っております。

○山田太郎君
いよいよ脅威が現実的なものになってきたんだと思っています。このミサイルの問題、日本の防衛においても非常に大切な問題だと思っておりまして、もう一つ突っ込んでお伺いしたいんですが、これは日本海にそもそも予定どおりに落下されたものなのか、それとも日本を狙ったものなのか、あるいは、これは日本に届いて、いわゆる命中するはずのものだったのか、その辺に関しての見解、分析は、防衛大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君)
三月三日にも北は発射をいたしました。今回のことにつきましても、私どもとしては、速やかに情報収集そしてまた公表をさせていただくという対応を取らせていただきました。
 北の意図につきましては、私どもとして明確には判断する場合ではありませんが、少なくとも、今回の発射した内容、状況につきましては、これは我が国の直接的な脅威に直ちになるというものではないという判断ではあります。
 ただ、発射した方向その他を勘案しますと、これは決して看過される内容ではないということで、国際社会を通じて、これは日本だけではなくて関係諸国もそうですが、今回の北朝鮮のミサイル発射につきましては外交的にしっかりとした抗議をしているということを承知をしております。

○山田太郎君
もしあのミサイルが日本まで届いたとしたらばこれは迎撃できたのかどうか、この辺りも是非教えてください。

○国務大臣(小野寺五典君)
私どもとしては、様々な情報収集をしながら、しっかりとした対応をこれからもしていきたいと思っております。

○山田太郎君
やっぱり国民の皆さんは、日本の防衛力というものがどの程度なのか、これは決算でもありますが、お金を使ってここまで防衛力を強化してきたんだと思いますけれども、実際にあのミサイルは日本の今の国防能力で落とせたのか落とせなかったのか、もう一度答弁お願いします。

○国務大臣(小野寺五典君)
どのような形でどう対応しということにつきましては、私ども自衛隊の具体的な対応ということになりますので、我が方の手のうちを明らかにするということは差し控えさせていただきたいと思いますが、少なくとも、ミサイル事案が発生して直後に私どもの方には様々な情報も入っておりますし、私の方から警戒監視をしっかりするようにという対応もさせていただいております。これからも万全の体制を取っていきたいと思っております。

○山田太郎君
是非、きちっと迎撃できますというふうに力強く国民の前に言っていただきたかったと思いますが。
 もう一つ、仮に、これに対する対応が当時どうだったかということもお伺いする必要がありますが、これをもし迎撃する場合には自衛隊法の八十二条の三のミサイル破壊措置命令というものが必要だと思っておりますが、今回はその命令が出ていたんでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君)
破壊措置命令を出したか出さないかということにつきましても、これは我が方の手のうちを明らかにすることでありますので、お答えは差し控えさせていただきます。

○山田太郎君
ちょっとその件、総理にもお伺いしたいと思うんですけれども、今、集団的自衛権の議論もされています。その話は非常に重要だと思いますが、こういう個別具体的な事案に対して、国民に対する安心というものをどうやって防衛力として考えていくのか、このことがまず前提として極めて重要だと思っております。
 今防衛大臣の御答弁のように、手のうちを明かす、分からない、結果としてもどうだったかというようでは、集団的自衛権の複雑な事案に関して結局国民は分からないという猜疑心のまま進んでいってしまうんではないかと。具体的にどういうふうに、じゃ、集団的自衛権が議論され、それが使われということが結局はこういう有事の際に曖昧になってしまうんではないかと、こういう危惧さえあるわけであります。
 そういった意味で、こういったことが起こった後、是非、総理としても、どう考えて、特に今東アジアを取り巻く有事について検討されているのか、是非御答弁いただきたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)

 ただいま防衛大臣からは、個別の案件でありますから、我々がこの個別の案件にどう具体的に対応しているかということについては、まさに我が方の手のうちでありますから答弁を控えさせていただいたわけでございますが、一般論として、ノドン型のミサイル攻撃につきましては、これを迎撃するために海上発射のSM3というものをイージス艦から発射するわけでございまして、現在我が方には六隻のイージス艦があるわけでございますが、この四隻から迎撃のミサイルを発射できるわけでございますが、将来これを六隻ともこれは迎撃可能にしていこうということであります。さらに、ここで撃ち漏らしたものにつきましては、PAC3、地上発射のものでこれを撃ち落としていくわけでございます。
 そして、その際、こうした情報につきましては、まずは、発射したという情報につきましては、これは早期警戒衛星、これは米国のものでありますが、そこから我々に対しまして情報が入り、そしてさらに軌道計算等々をしながら対応していくわけでございますが、その間においても、これは日米で緊密に連携なしにはこのミサイル防衛システムは動いていかないわけでございます。そして、そういう状況が事前にある程度把握をされている状況におきましては、米国もイージス艦を配備をしているわけでございます。
 そこで、集団的自衛権の話に今議論が及んだのでございますが、集団的自衛権に関しましては、例えば日本海側に配備されている米国のイージス艦と連携して対応するということが可能になってくる上においては、つまり、我が方はイージス艦全部で六隻で、対応能力があるのは四隻でありますが、米国は全部で七十隻を持っていて、その半分ぐらいは、例えば太平洋であれば、そしてその中の何割かが迎撃可能なイージス艦ということになってくるわけでございますが、その一部を日本海側に配備をしていく。
 つまり、これ、いつ撃つか分からないけれども、ある程度それをあらかじめ配備をしているということであれば、これはPAC3で、SM3で対応できるわけでございますが、その際、十分なこれは連携が可能となっていれば、米国がこの迎撃に当たると。しかし、迎撃に当たる際は艦の周りに対するイージス機能は手薄になるわけでございますので、その手薄になったところを我が方の自衛艦がそれをカバーできるのであればより一層我が方の守りは堅くなると、こういうことになるわけでありまして、それは抑止力の向上につながり、結果としてそれを打ち破ろうとする国はそうしたことをしない可能性が高まってくると、こういうことではないかと、このように思います。

○山田太郎君

 防衛大臣よりもはるかに詳しい御説明をいただきまして、結構いつも私がこういう委員会で総理に質問するとかわされちゃったりするんですけれども、かなり突っ込んだ具体的な話をいただきました。
 今総理の方からもお話がありました日米の間の情報協約というか、あるんですが、一方で日韓の間の日韓秘密情報保護協定というものについても少し触れたいと思っています。
 パネルの方を用意しておるんですけれども、(資料提示)ミサイル防衛に大きな効果があるというのは、情報戦でありますので、この日韓秘密情報保護協定ということだと思います。今、韓国とアメリカの間、それから日本とアメリカの間には軍事情報をやり取りするための協定がありますが、残念ながら、日本と今韓国の間にはその協定がありません。そうすると、北朝鮮のミサイルの情報なんかはアメリカ経由で日本に来るだけでありまして、韓国がその情報を捉えたとしても間接的にしか聞けないということになるかと思っています。
 この協定、実は一昨年前に署名寸前まで行ったんですが、韓国側の都合で延期されたということで、もう二年たっております。こういった協定を通じて東アジアの軍事事情に対応していく、特に日米韓の足並みをそろえていく必要があるだろうと。
 先日も、総理、韓国の大統領とうまくコミュニケーションされていたようですから、一刻も早く署名が進むよう、韓国とうまくやっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君)

 北朝鮮問題を始めとするこの東アジアの厳しい安全保障環境を考えますときに、日米韓、この三国の安全保障分野における連携が重要であるということ、言うまでもありません。そして、御指摘の先日行われましたハーグでの日米韓首脳会談におきましても、緊密に連携していくことで一致をしております。
 そういった観点から、御指摘のこの日韓秘密情報保護協定ですが、これは適切なタイミングで署名できることが望ましいと我が国は考えております。是非、引き続きまして韓国と協議をしていきたいと考えています。

○山田太郎君

 時間もありませんので、ちょっと決算委員会らしい質疑に私も戻って、次は、消費税の前にやるべきことがあるだろうということで、貿易保険関係の隠れ借金の問題、それから目的税の目的外使用の実態という辺りについて少し質疑させていただきたいと思います。
 これもパネルを使って御説明したいと思いますけれども、貿易保険のまず隠れ借金といったところを少しやっていきたいと思います。
 貿易保険に関しては、お茶の間の皆さん、余りおなじみがない方も多いかもしれませんが、日本企業が海外に対して輸出したり、海外で工場を建てたり、プラントを造ったりする場合に、現地でテロだとか火災、戦争が起こった場合にそれを補填していく保険だということでありまして、今これは政府が運営している一種の損害保険みたいなものであります。大変重要な、我が国貿易を輸出する、海外でプラントを造っていくという意味においては大切な制度だというふうに思っております。
 この保険、現在、独立行政法人の日本貿易保険が日本企業との契約、保険の販売というのをやっておりまして、この独法に払った保険料は、経済産業省さんが所轄する貿易再保険特別会計に対して再保険という形で契約され、この特別会計に入るわけですね。
 最近、独法とか特別会計とかいう言葉が出てきますと、例のJEED、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の不正入札の件なんといって、何かにおってきたなとか怪しいんじゃないかということもお茶の間の皆さんはお感じ始めた頃なんじゃないかなというように思っておりますけれども、まさにこの独法、例えば相手国の政府、問題を起こした現地の企業なんかに一定の割合を請求すると、こういう仕組みになってお金を回収するということでありますが、保険でありますから、災害とかテロ、戦争のリスクなんかを関係者みんなで分かち合ってやっていこうと、こういうものなんですね。
 ただ、ここに政府間交渉というのが入りますと、回収する場合の債権がODA債権という形に変わってきます。このODAの債権の件なんですが、平成十一年にケルン・サミットというのをやっておりまして、イラクとかナイジェリア、当時の最貧国というふうに言われたところの途上国を救済しようという目的で、言わばこのODA債権を放棄するという形になっていますね。簡単に言うと、借金をチャラにしたということだと思います。
 その金額がどれぐらいになっているかといいますと、今回これが初めてになるんですが、昨年九月現在で何と九千六十六億円にもなります。この九千六十六億円のうち、算定式がありまして、八九%を国民の負担で穴埋めをするということになっておりまして、その金額はまさに八千六十九億円と、こういう債権がたまっているわけであります。これまで、実は何回かにわたって一般会計からこれについての補填がされておりまして、平成二十五年までで二千五百十七億円が補填されました。つまり、国民の税金がこの貿易保険の損失の穴埋めに使われてきたと、こういうことであります。
 そもそも、この貿易保険の仕組みは、貿易や国際投資のリスクを貿易や投資に関わる関係者間で分かち合う制度だと、こういうふうに認識しておりますので、そうしますと、貿易に関係ない一般国民の税金で貿易保険の損失穴埋めをするのはどうかという議論もあるかと思っております。そういった意味で、この穴埋めに関して、どうして税金で穴埋めをしてきたのか、この辺りも教えていただけますでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君)

 お示しいただきましたパネル、隠れ借金とか表に出さない借金とかいうと、何かいかがわしいような感じはいろんな事例でするかもしれませんけれど、本件については全くそんなことはございません。
 まず、重い債務を背負います国に対する貿易保険関係の債権の放棄につきましては、国の援助政策の一環として国際合意に基づいて行っております。この債権放棄につきましては、独立採算で運営されている貿易保険に影響を及ぼさないよう、一般会計から御指摘のように繰入れを行ってきているところであります。
 これまで放棄しました金額の累計、御指摘のように九千六百六十億円でありますが、貿易保険に対します削減相当額、これあくまで推計という形になりまして、過去の回収実績を勘案して計算する、発生率というよりも回収率であります、そこから計算をしますと八千億円程度と、こういった形で見込んでおります。
 他方で、貿易保険の財務基盤、これを考えてみますと、貿易保険特別会計及び日本貿易保険には現在合計で一兆二千億円の積立金がありますので、直ちに一般会計から繰入れを行わなければその運営に支障が生じるような状況ではございません。
 いずれにせよ、国の援助政策に基づく負担を貿易保険の利用者に背負わせないようにすると、こういう基本的な考え方の下、今後の具体的な繰入れにつきましては、貿易保険また一般会計の財政事情等を踏まえて、毎年の予算編成過程において決定をしてまいりたいと考えております。

○山田太郎君

 今、経産大臣からは隠れ借金でもないし隠してはいないという御答弁だったんですが、ただ、そうであれば、この税金を補填に投入するに当たって国民なり国会なりにきちっと御説明いただけていたのかなと、こういうことは残っているかと思っております。
 国会に提出される予算書とか決算書には一応毎年の会計年度からの繰入れ金額というのが書いてあるわけなんですが、実はどういうお金なのか詳細については詳しく書いてないんですね。これでは分からない。しかも、残額が債権債務含めてどれぐらいあるか分からないという状態になっています。特別会計法でも、もちろん貿易保険に関する債権で国際約束で放棄したために必要なお金を一般会計から繰り入れられると、こういうふうには書いてありますけれども、実はそのまま二千五百十七億円を繰り入れてよいとは書いてないんですね。そんな決議もこれまであったわけではありません。
 国民が負担する、まだまだこの穴埋めに対してお金を負担しなければいけないということであれば、国会又はもしかしたらこの決算委員会、これ債権債務の話でもありますから、きちっと説明するべきだったんじゃないかなと。今回初めて貿易保険の損失が国民の税金で穴埋めされていると明らかになったということでもありますので、その辺りはいかがなんでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君)

 全体の構図につきましては先ほど私の方から答弁をさせていただきましたが、例えば何億円借りてそれを何回で返すとか約束したのに返していないという問題とはこの問題というのは違うと、そういうふうに考えておりまして、国の援助政策の一環として国際合意に基づいて行った債権放棄、これにつきまして推計的に幾ら貿易保険の削減相当額が出てくると。
 ただ一方で、この貿易保険の財務基盤そのものにつきましては、直ちに繰入れを行わなければならないような状況にないという中で、この貿易保険と一般会計の財政事情を勘案して毎年の予算編成の中で決定していくということであります。

○山田太郎君

 そうすると、これももう少し突っ込んでお伺いしたいんですけれども、先ほどの八千億円に対して二千五百億円ぐらい返したということですから差引き五千五百億円は残っているということなんですけれども、問題はこれをどうしていくのかということだと思っております。
 まさにこれが毎年毎年幾ら返されるのか、どれぐらいの本来債権債務として残っているのかが分からない状況の中で、これ全額をここに繰り入れて一般会計からまさに国民の税金で返していくという方針なのか、それとも、今経産大臣がおっしゃられましたけれども、この保険自身が実はそんなに危機的な状況にあるわけではないと、十分な積立てもあるということであれば、この繰入れをやめて新たな考え方を取るのかどうか、その辺り、いかがでしょうか。

○山田太郎君

 今私が質問しましたのは、この残った五千五百億円を総額全部返していくのかどうか、それとも返さずに途中でやめるのか、その辺り、いかがなんでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君)

 先ほども答弁をさせていただきましたが、全体の額につきましては九千六十六億円であります。
 そこの中で、貿易保険としての削減相当額、これはどういった推計をするかによって変わってまいります。過去の回収率、これが八九%、こういう前提に立ちますと八千億円程度ということでありまして、そこで、委員の場合は、これまでにその額について一般会計から繰り入れた残額を引いて、その分についてがあたかも隠れ借金であると、こういう表現をされておりますけれど、そこの部分は冒頭申し上げましたように適切な表現ではない、このように考えておりまして、ただ、この貿易保険としての財務基盤を健全に保つ、さらには保険者の皆さんにとって更なる負担が増えないと、こういう観点からの検討も必要でありまして、そういった観点から、貿易保険並びに一般会計の財政状況等々を勘案しながら、毎年度の予算編成過程におきまして決定をしてまいりたいと考えております。

○山田太郎君

 何でこんなにしつこく聞くかというと、実は、この特会が二十八年度末までに廃止されるということが実は決まっているんですね。これは日本貿易保険、NEXIに統合されまして、日本貿易保険という独法はNTTとかJTさんと同じように民営化されちゃうということなわけであります。そうなった場合に、その民営化された会社に対して、日本国が決算として債務がどれぐらい残っているのか残っていないのかということは、これは大事な決算委員会ですから、確定しておく必要があるではないかと、こういうふうに考えているわけであります。
 そういった意味で、もしこれが債務として確定していれば、この新たにつくられる民間法人に対して、我が国は一般の皆さんの税金でもって五千五百億円をこれから返していかなければいけないと、こういうことになりますし、いや、そうではないと、保険の趣旨からいって、ある程度積み立てられていたお金の中で采配を振るうということであれば、まあこれぐらい返して積立金状況を見ながら決断をしようと、こういうふうにもなるわけでありまして、しかもこれ、予算措置から考えると、多分今年の夏ぐらいまでに政府としては考えなきゃいけないので、もう検討する時間が四か月ぐらいしかないと。この決算委員会やっている段階を過ぎてしまいますと、国民的な議論というのができないままに政府の中でこのお金がどういう形で処理されるのかということが密室で決まりかねないと、こういうふうな問題意識を持って質問をさせていただいております。
 さらに、突っ込んで言わせていただければ、この現在の独法の日本貿易保険なんですけれども、理事長さんも代々経産省の天下りの方なんですね。二人いる理事のうち一人はずっと経産省の天下りだということであります。そして、これは職員の給料も、総務省さんの調査でも平成二十四で百三ある独法から見て上から二番目と、こういう水準のものなわけであります。
 経営内容もいいですし、政府の保証付き、天下り付き、給与最高水準の独法を民間化するのに、あとまた我々の血税を五千五百億円負担して追加していく必要があるのかないのか、この辺り、しっかり御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君)

 まず、正確を期ささせていただきたいと思うんですが、この日本貿易保険、現在の独立行政法人から、今後、政府全額出資の特殊会社、これに移行することが定められております。
 恐らく、担っております業務からしまして、民間では引き受けられないような極めてハイリスクな保険の引受けを行うということでありますから、純粋な民間会社になるということではないということはまず御理解いただきたいと思っております。
 また、特会については廃止をいたしまして、この資産、負債を日本貿易保険、これが継承することになるわけですが、これらの大きな二点の変更によりましても、貿易保険を独立採算で運営するということは変わりません。また、国の援助政策の一環として行われてきた債権放棄の影響を貿易保険の利用者に負わせるべきではない、また貿易保険の財務基盤の健全性を確保する、こういった基本的な考え方は変わっておりません。
 その上で、委員、今年の夏までにと、こういう表現を使われておりますけれど、こういった新しい形態への移行、また特会の貿易保険への継承、これの必要条件としてこの額を定めなければならない、このような形にはならないと、それは、先ほどからるる答弁申し上げておりますような今の貿易保険の財務基盤の状況等々を考えてもそのような状況ではないというふうに考えております。

○山田太郎君

 いや、国のこういう会計というのは確かに公会計じゃなきゃまずいなというのは今日明らかに分かるんですけど、バランスシート上、つまり、将来にわたってこの五千五百億円が返すべき金なのか返すべき金じゃないか分からないというのが今日の質疑の内容だったかなと思っておりまして、私もちょっと決算委員会残念だなというふうに思っていますが、引き続きこれはまた改めてやらせていただきたいと思います。
 いずれにしても、ODA債権の問題、今後もいろいろあると思います。前回、米債権の問題でも追及させていただきまして、借金、これは五百七十七億円に対して利子が百四十四億円付いたということで大臣が陳謝するなんてケースもありましたが、今後こういうことがないように、是非しっかり対応していただきたいと思っております。
 さて、時間がなくなってきましたが、目的税のいわゆる流用という話について、少し話を変えていきたいと思います。
 パネルにあるんですが、今目的税いろいろある中で、例えば電源開発促進税、石油石炭税、牛肉等関税、電波利用料、こんなものが例えば挙げられています。電源開発促進税は電力会社さんから、石油石炭税はそれを販売する業者さん、牛肉等の関税は牛肉を輸入する業者さんから、電波利用料は携帯電話とか放送会社さんから徴収される税金、賦課金でございます。最終的には、賦課金といっても電気料や電話代に対して国民に転嫁されているわけでありますから、最終的に国民が負担するといった税金であると言っても間違いがないのかなというふうに思っております。
 ところが、これも今回初めて国民の皆さんに御覧いただくんですが、国会に提出されている予算、決算の帳簿とは別に、もしかしたらないしょの帳簿が財務省にあるんじゃないかなと。これを留保金額という形で記録されているということであります。
 この留保金額なんですけれども、これまでに国会に対して明らかにしてきたことがあるんでしょうか。財務大臣、お答えください。

○国務大臣(麻生太郎君)

 目的税、特別減税について、収入に合わせてということで各年度の支出を決めるという硬直的な運用ということを行えば無駄な歳出を生じさせないということなんだと、これまでの経緯はそうなんだと思いますが、今、目的税として電源開発とか、何ですかね、石炭とか石油かな、今大きいのは、そういった税収は一般会計で受け入れるという一方で、これは特別会計においてエネルギー対策特別会計のいわゆる歳出というものを精査いたしますので、その上で財源として必要な額のみを一般会計から特別会計に繰り入れる仕組みとされております。
 これは御存じのように、これはたまり過ぎるとまた道路特定財源みたいなことになりかねぬということも考えられたんだと思いますが、結果的に税収が繰入額を上回る場合にはその分が一般会計に留保されるということになっております。逆に、税収減が生じたり歳出を増加させるような必要というものがあったりした場合は、その都度、税収だけでなく、必要額で賄えないという場合には、特別会計の規定に基づいて、過去に一般会計で留保していた金額もエネルギー対策特別会計の財源として用いるということになります。
 例えば、平成二十五年度の補正後の予算ベースで見ますと、エネルギー特別会計への繰入額に対して石油石炭税収が五百三十九億円不足をいたしておりますので、その分、過去に一般会計に留保した金額から繰り入れられたという例がございます。

○山田太郎君

 ちょっと説明が長くなっちゃって時間がなくなってきましたが、実は平成二十四年度の決算段階で一兆千百四十七億円もの巨額なお金があるんですね。これ、今どうなっているかというと、一般会計の中に戻されているのはいいんですが、目的税以外に使われてしまっている、まさに現金として取っておくわけじゃないと。私の考えとしては、これは目的税なんですから、実際には国民に返す、そもそも事業者に例えば返して電話代安くするとか、それから石油代とかガス代を安くするとか、こういう形に使われた方がいいのではないか、本来の目的税の趣旨に合うんではないかというふうに思っております。
 まさに、こういった問題、今回これで一兆円、先ほどの隠れ借金でも……

○委員長(金子原二郎君) 時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。

○山田太郎君 八千億円という大きなお金がたまっていますので、是非、こういった辺り、国民に返すのが筋じゃないかと思いますが、最後、財務大臣の方にこの方向性についてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) これは、ゼロゼロになって質問する方がちょっとそもそも無理なんで、あらかじめ時間を取っておいて聞いていただいたらきちんと御説明できると存じますので、次回にでも質問していただければお答えいたします。

○委員長(金子原二郎君) 時間が来ております。

○山田太郎君 残念ながら、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。