2015.5.15
もはや橋下派vs反橋下派のイデオロギー論争!?大阪都構想の本質に迫る【第38回山田太郎ボイス】
私も昨日、大阪都構想の件で、大阪に行き橋下市長の話を聞いてきました。大阪市内では賛成派・反対派の街宣カーや自転車などがひっきりなしに走っており、思った以上に大阪では盛り上がっているこの大阪都構想、今日はこの問題に触れたいと思います。
この、大阪都構想については、賛成・反対両者のキャンペーン合戦になっており、実際の中身がなかなか見えてこない方も多いのでは無いでしょうか。大阪市民に大阪の将来を問うのであれば、○○党や○○さんがやるから賛成/反対ではなく、中身がきちんと分かる大規模な公開討論会などを何回か開催しても良かったのではないでしょうか。
■橋下市長が提唱する「大阪都構想」そのメリットは?
5月17日、2010年より大阪府知事の橋下徹氏が提唱してきた「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が行われます。この大阪都構想というのは、大阪市をなくし、5つの特別区を設けようというもので、二重行政の無駄をなくすことと基礎自治体のあり方を問うことを最大の目的としています。いわば東京府と東京市を廃止し東京都をつくったときと同じ構想であるといえるでしょう。この23区からなる東京都のメリットを知っている私は、大阪都構想に賛同していますので、その根拠、及び反対派の方々の意見などを整理したいと思います。
橋下氏の主張は「現在268万人もの人口を抱える大阪市は、地方自治体としては大きすぎるため、5つの区に分けて区長を置き、市民に近い行政を行う」というものです。大阪市(268万人)は京都府(261万人)や広島県(283万人)とほぼ同じ人口規模です。京都府の市長、町長、村長が合計26人、広島県は23人という構成を考えると、大阪市長1人だけで全てを見るのは難しいと思われます。そういう意味では、大阪市は大きすぎ、区という単位で行政のトップを選び運用していくのが良いと思います。
まず、現在の行政についてご説明しましょう。もっとも小さい基礎自治体、次に広域自治体、そして国ごとに役割が決められています。基礎自治体の場合、それぞれの問題点が異なることが多く、やらなければならない課題が全く違うため、きちんと住民の意志を継いで反映していくことが求められます。つまり、「ある程度の単位、地域に分割しながら、かつ選挙を経ることによって、地域ごとの問題を住民と一緒に考えていくこと」これが基礎自治体のあるべき姿だと考えます。しかし、大阪市は、268万人もの人口を抱えているので、細かい対応が難しくなってしまうのです。
また、大阪市がやる仕事なのか、大阪府がやる仕事なのかがわからない部分が多々あり、結果的に両者が同じ業務を行うなど、現在二重行政による無駄も生じています。基礎自治体、広域自治体、国がやるべきことが明確になっておらず、重複しているからです。民間に業務委託で依頼するという選択肢を加え、もっときちんと仕訳をすれば、確実に無駄はなくなるはずです。現状、政令指定都市の今の大きなサイズでは、基礎自治体に対して大きすぎるので、基礎自治体の単位を見直し、二重行政を解消する必要があるでしょう。
■一方で、反対派の意見は!?
反対派の意見についても考えてみたいと思います。
★特別区は自主財源が少なくなる。
→橋下市長は、財政調整制度があるから大丈夫だと述べています。自主財源が少ない区と多い区において調整をする制度です。ここにはやはり、一定の問題は残ると思います。しかしながら、東京都では問題を残しながらも実際には運用できています。今は、大阪市の内部の見えないところで行われている調整制度が可視化され、それぞれが切磋琢磨する点ではメリットもあると思っています。
★住民投票が大阪市民の大切な権利であることはいうまでもありませんが、法律には、議会の承認を得た上で、住民投票を実施すると明記されています。その議会の承認が、議論前から結果ありきですすめられ、住民投票に全てをゆだねることは、議会そのものの否定です。(民主党チラシより抜粋)
→この内容は、住民投票より議会の方が上位にあるということを意味し、住民投票をやることは、「議会そのものの否定」と主張しています。しかし、議会は、誰によって選ばれたものなのでしょうか。住民によって選ばれたものではないのでしょうか。議会が住民投票に拘束されるのは当たり前のことだと思います。
住民の問題を個別に聞いていくことの何が悪いのでしょうか。コストがかかるというのであればある意味仕方ない部分もありますが、そもそも議会が上位という考え方はおかしいと言わざるを得ません。このような考えは、日本を元気にする会の理念とも反するものです。
★大阪市域の自治は格下げに
→大阪市を解体してできる5つの特別区は、権限も財源も現在の大阪市より小さくなります。しかしながら、今までの大阪市が広域住民の為の仕事もやっていたために、地域住民に即したサービスができなくなっているのであれば、権限は小さくなって当然なのではないでしょうか。残った広域住民のためのサービスは大阪都(大阪府)が引き継ぐからです。小さくなるから権限が減るといっていますが、減らすためにやっているのですから当然です。
ただ、東京都では、地域に根ざしたサービスを必要以上に東京都が握っているという問題もあります。ここは権限をできるかぎり区に委譲するべきではないでしょうか。市民にとって重要なのは、広域自治体・基礎自治体のトータルでどのような行政サービスが提供されるかということです。
以上、賛成反対両方の意見を整理してみましたが、いずれにせよ、最終的には、大阪市民の皆さんが決めることになります。論点をしっかりまとめたうえで、結論を出していただくことを願っています。今週末はいよいよ投票日です。大阪市の皆さんは街の将来にかかわる問題です。是非投票にいってください。