2021.6.1
【緊急対応】同人誌即売会やイベント型エンターテインメント産業等への支援強化を関連省庁に要請しました
5月7日、自民党・文化立国調査会事務局長・橘慶一郎議員とともに、文化庁、経済産業省、新型コロナウイルス感染症対策推進室の担当者らと、アーティストや文化活動への支援について打合せを行いました。私からは、各担当者に対して、同人誌即売会やイベント型エンターテインメント産業等への支援の充実を強く要請しました。
この点、各府省庁がすでに支援策を打ち出してはいますが、申請が煩雑であるなど設計上の課題も多く、また、広報も足りず支援が行き届いていないのが現状。急拵えの制度であったこともあり、いずれにせよブラッシュアップが必要です。
今回の要請に先立って、私の方では、漫画家の赤松健先生に協力いただき、同人誌即売会主催者や印刷所、舞台運営会社、アーティストなどの方々に現場の状況をヒアリングしていましたので、そこで出た現場の声を支援策に反映できるよう、あらかじめ課題をリストアップして、実務担当者に改善が必要な点を伝えました。たくさんの課題を伝えていますが、以下、大きな点ポイントを3つ記載します。
まず1点目。エビデンスに基づいた規制及び緩和を打ち出すこと。政府の打ち出す方針がエビデンスに基づいたものなのはっきりしないために、その一貫性のなさが現場での混乱や不公平感を生む大きな要因になっています。
劇場やイベント主催者の中には、感染症の専門家を呼んで、しっかりと感染症対策を行なっているところもあります。現実にクラスターも起きていないのに、「とにかく閉めろ」というのは乱暴です。参加者数に対する感染率の高いものは制限を厳格化し、低いものは緩和・解除するなど、根拠のある対応が必要です。
2点目、規制をするにしても、事前の周知をきちんとした上で、計画的に実行すること。
今回の緊急事態宣言で特に問題となったのは、発令が急であったこと。エンタメの多くは、長い準備期間があって当日を迎えます。準備に半年以上かかることも普通にあります。荷物の発送手配など物理的な問題もあるので、いきなり「明日のイベントは中止!」と言われて対応できるものではありません。
特に緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置の後一定期間取られる「経過措置期間」については、イベントを開催していいのか、するとしたらどのような基準で収容人数または収容率を決めたらいいのか、現状の表記ではかわかりにくいとの声が多く上がっています。
そもそも経過措置の期間が、あるときは1ヶ月、あるときは2週間と、その時によって不安定であることは事業者にとって大きな問題であると私はかねてから指摘していましたので、改めて新型コロナウイルス感染症対策推進室に、明確なルール化および明文化を要請しました。
3点目、一貫性のあるはっきりとした情報発信をすること。行政として、クリアなメッセージが発信されていないことは、私もかねてから指摘していました。
舞台やイベントなどエンタメを主催する方々は、限られた条件の中でも、規制をきちんと守った上で、できることを模索しています。しかし行政側が情報をわかりやすく発信できていないため、現場が混乱する事態が起きてしまっています。例えば、イベント主催者は万が一感染が起きた時のために、イベント会場へ入場する際に個人情報を集めていますが、それをいったいいつまで保管すればいいのか、実際に感染が起きた際にはどこにどう提出したらいいのか、その問い合わせ先も明確でない状態です。行政が縦割りで情報発信が一本化できていないのが原因のひとつなので、改善を要請しました。
■イベント開催制限についての整理
今回改めて各省庁に確認と要請をしましたが、ここで現状のイベント開催制限について説明します。
まず、前提として、イベントは「大声での歓声・声援等がないことを前提としうるもの(以下、大声なし)」と「大声での歓声・声援等が想定されるもの(以下、大声あり)」に大きく分けられます。
前者には、クラシックのコンサートや、現代演劇、歌舞伎などの伝統芸能や、コミケを含む各種展示会などが分類されます。詳しくは下記の表の通りです。
イベント開催時の収容人数について、5月12日からの最新の取り扱いでは、「緊急事態宣言対象地域」「まん延防止策重点措置」以外は、「人数の上限が5,000人又は収容定員50%以内のいずれか大きい方」となっています。これはつまり、会場の収容人数が5,000人で「大声なし」のイベントを開催する場合、定員一杯の5,000人入れることができるということです。結局何人入れることができるのか、この表記では非常にわかりにくいので、表記の改善を指示しています。
【参考】感染状況に応じたイベント開催制限等について[5/12〜の取扱](2021/5/14付)
問題は、上記の表にある、緊急事態宣言及びまん延防止等重点阻止期間中の収容率50%、そしてそれらが終わった後の大声ありの収容率50%という数字です。そもそもこの数字にエビデンスがありません。
そしてこの書き方では、結局いつまで50%の収容率でいる必要があるのか、見る人にクリアに伝わっておらず、実際に誤解が起きていて、経過措置が明けても自主的に収容率を50%にして開催するイベントもあります。
また、感染防止のため一定のディスタンスが取れる環境は必要ですが、これまでクラスターを出したことがなく、徹底した感染症対策を行なっているイベントまでを、全て一律に数字のみで規定するのは乱暴です。
一方で、展示会のように、大きな会場を仕切り等で複数の区画に分けて使用するイベントの場合、会場全体での人数制限ではなく、区画ごとに人数制限を設けることで、全体としてはより多くの人数を入れることができるようにするなど、工夫が可能です。現状、一律に会場全体の収容人数で算出されてしまうため、大きなイベントを開催しようとしても、実際には会場の広さに対して非常に少ない人数しか入れることができないため、実質開催ができない状態になってしまっています。そのため、イベントの内容や会場に応じて柔軟に対応するよう、関連省庁に強く要請しています。
本件については、私の方ですでに提言にまとめ、首相補佐官を通じて総理に申し入れを行なっており、緊急事態宣言延長の際に、イベント開催制限等が一部緩和されています。
提言提出から本日までの間でも、例えばJ-LODlive2とArts for the future!のいずれも、キャンセルに伴う人件費や賃借料などの固定費に補助金を充当できるようになるなど、制度の中身に少しずつ改善が見られています。
■補助金交付までの間を繋ぐ、つなぎ融資制度
関連省庁も事務局を拡充する等、対応を急いではいますが、兎にも角にも、今現金が必要な状況に間に合わなければ意味がありません。急ぎ資金が必要な事業者に向けて、5月6日から経済産業省が「補助金対応POファイナンスサービス」を開始しました。
これは、J-LODlive2の交付決定を受けた事業者が、交付決定された補助金を電子記録債権として担保にし、つなぎ融資を受けやすくする制度です。
https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210416008/20210416008.html
■緊急事態宣言明け、日常を取り戻すため
非常時には後回しになってしまいがちですが、音楽もアートも伝統芸能もアニメも漫画も、それが仕事であっても趣味の楽しみであっても、全てが等しく私たちの生活に欠かせない大切なものです。文化は一度失われてしまったらもう二度と取り戻せません。
現状すでにエンタメは瀕死の状態です。補助金では間に合わない事態に来ているので、損失補償に移行できないか調整をしています。
そして、補助金や給付金は、一時凌ぎにはなりますが、今後のためにも中長期的な視点で、文化を絶えさせない制度を作っていく必要があります。
喫緊の課題にきめ細かく対応することと並行して、これを機に動画コンテンツを世界基準の最新技術に対応したレベルに引き上げる、配信のプラットフォームを整備するなど、未来に向けた中長期的な政策も打ち出していきます。
ここで著作権の問題など、新たな課題も想定されますが、そこは私の専門分野です。引き続き、責任を持ってしっかりと取り組んでまいります。
【イベント主催者等への政府の支援策一覧】
■Arts for the future!
https://aff.bunka.go.jp
■J-LODlive2
https://j-lodlive2.jp
■J-LODlive2キャンセル料支援
https://cancel.j-lodlive2.jp
■感染拡大予防・活動支援環境整備事業
https://www.bunka.go.jp/shinsei_boshu/kobo/92901901.html
■事業再生機構補助金
https://jigyou-saikouchiku.jp
■持続化補助金
https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/persistence/
■IT導入補助金
https://www.it-hojo.jp
■ものづくり補助金
https://portal.monodukuri-hojo.jp
■一時支援金(5/31まで)
https://ichijishienkin.go.jp
■月次支援金
https://www.meti.go.jp/covid-19/getsuji_shien/index.html
■雇用調整助成金(6/30まで)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
■住居確保給付金(6/30まで)
https://corona-support.mhlw.go.jp/jukyokakuhokyufukin/index.html
■資金繰り支援
https://www.meti.go.jp/covid-19/shikinguri.html
■緊急小口融資(6/30まで)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/index.html
■総合支援資金(6/30まで)
https://corona-support.mhlw.go.jp
■補助金対応POファイナンスサービス
https://www.meti.go.jp/press/2021/04/20210416008/20210416008.html