2026.2.24
ネット・ゲーム使用に関する久里浜医療センターの最新調査報告書について
【ネット・ゲーム規制、特にSNS規制に結び付く久里浜医療センターの最新調査報告書と関連報道を受け、その内容・信頼性を確認するとともに、政府に対して科学的根拠に基づくEBPMを進めるよう要請しました】
2月19日、ネット・ゲーム使用に関する久里浜医療センターの最新調査報告書についてレクを受けました。 この調査は、厚生労働省「令和6年度 依存症に関する調査研究事業」として4000万円の国費が投じられて行われたもので、ネット使用に関して「インターネット依存スクリーニングテスト診断質問票(DQ)」、SNS使用に関して「ソーシャルメディア障害スケール(SMDS)」、ゲーム使用に関して「ゲームズテスト(GAMES Test)」及び「10問版インターネットゲーム障害テスト(IGDT-10)」を実施したものです。 いずれのテストでも、全体ではほとんどが「疑いなし」となっています。しかし、対象を若年層(10~29歳)に限定するとDQでは14.5%、SMDSでは6.0%、GAMES Testでは10.3%、IGDT-10では2.4%が「疑いあり」となったとのことです。 若年層では、ネット使用とゲーム使用の疑いが高く出ていますが、読売新聞は特にSNS使用の疑いを全面的にとりあげ、「今回明らかとなった病的使用の実態や海外の動向も踏まえ、検討を急ぐことが求められる」と報じています。 ところが、SNS使用の調査であるSMDSは、SNS依存の定義もない中で行われている主観的・抽象的な質問(客観的・具体的でない質問)によるスクリーニング調査であり、多分に過剰反対のリスクがあります。
その点は、政府も理解しており、レクの対応をしてくださった省庁のSNSに関する方針は以下のとおり。
厚生労働省 「規制という議論は進んでいない」
文部科学省 「リテラシー教育の議論は進めているが、規制の議論は行っていない」
こども家庭庁 「青少年インターネット環境整備法の在り方等に関する検討WGで議論を行っているが、規制ありきではない」
総務省 「青少年保護WGにおいて「課題と論点の整理」がなされているが、規制という議論は進んでいない」
油断することはできませんが、今のところ、日本では、SNSをめぐって慎重な議論が行われていると言えます。
今回の調査報告書は「インターネットおよびゲームの利用は社会全体に広く定着しており、若年層では依存傾向や長時間利用が増加していることが明らかとなった。スマートフォンや SNS の普及、デジタルメディアへの接触機会の低年齢化がその一因と考えられる。今後は、年齢に応じた適切な利用教育や、家庭・学校・地域が連携した予防的介入体制の整備が求められる。」と結論付けていますが、厚生労働省は、これを受けて直ちに規制の議論を進めることはないとも回答。
しかし、そうであるとすれば、何のためにこういった調査を行うのか、こういった調査を今後も続けるべきなのか、立ち止まって検討することも必要ではないでしょうか。 国費を投じて科学的な調査を行うこと自体は全く否定しませんが、特定の組織に対して、そもそも定義も存在しない依存症に関して、主観的・抽象的な質問によるスクリーニング調査を実施させ続けることが正しいのか等については、真摯に向き合うべきです。 仮に、このような調査を続けるのであれば、例えばGAMES TestやIGDT-10で「疑いあり」となった対象が、ICD-11に収載されたGaming disorderに該当するのかどうかの確認等を行い、効果的なスクリーニングテストとして機能しているのかどうかの検証も必要なはずです。 この点について、厚生労働省はじめ関係省庁に対して、国費を投じる調査である以上はEBPMの科学的根拠たりうるものとなるよう、強く要請を行いました。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260215-GYT1T00435/#google_vignette





