2014.3.10
【農協のタブーへの挑戦!第1弾】予算委員会にて農協改革に関する質疑を行いました。
3月7日、参議院予算委員会にて質疑を行いました。
議事録(未定稿)
○山田太郎君
みんなの党の山田太郎でございます。ありがとうございます。
本日は、参議院予算委員会一般質疑ということで、ナベノミクスに関して取り上げたいと思っております。
先日、安倍総理の方にも、ナベノミクス、私どもの代表から渡させていただきましたが、総理は、我々の政策としてやらせていただきますと、笑顔で受けていただきましたので、是非それを推進していただきたいと思って、その関連についてやりたいと思っています。
その中でも、本日は、予備費の有効活用による独法や特会の剰余金の見直しと、それから岩盤規制、既得権益のいわゆる農協価格の問題、ちょうど今日、全中の方でも改革案が出ているようですから、そこを含めて少し取り上げていきたいなと思っております。
実は、今回、参議院の予算委員会の質疑に当たりましては、私どもの党、政調のメンバーでチームを組みまして、ナベノミクスシリーズということでやらせていただいています。中西議員の方が第一、第二の矢、私の方が第二の一部と第三の矢ということで、担当としては農業、独法、それから特会分野ということでやらせていただきたいと思います。
さて、まず、スタートは予備費についてやりたいんですが、平成二十六年の予算案でも三千五百億円の予備費が計上されています。これをうまく活用いたしまして、独法や特会分野の剰余金をなくしていくことでまさにナベノミクスの財源がしっかり確保できるんじゃないかと、こういう観点で質問をさせていただきたいと思います。
まず、その予備費に関して少し法制局長官にお伺いしたいと思います。
本当にお病気で、間に合うのかどうかということをはらはらしながら待っておりましたが、本当にそういう状況の中でお越しいただきましてありがとうございます。
予備費を使える場合の要件ということでお聞きしたいと思います。集団的自衛権のようなちょっと厳しい質疑にはなりませんので、忌憚なくお答えいただければと思いますが、まず、その予備費については、憲法八十七条に、予備費は予見し難い予算の不足があった場合に使えるという趣旨のことが書かれています。
そこで、長官にお伺いしたいと思いますが、この予見とは、いつの時点で、誰が予見するという解釈なのか、お願いします。
○政府特別補佐人(小松一郎君)
お答え申し上げます。
今委員が御指摘されたとおり、憲法第八十七条第一項は、「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、」、これから後が重要だと思いますけど、「内閣の責任でこれを支出することができる。」と規定しているわけでございます。
したがいまして、この予見し難いとは誰が判断をするのか、どの時点で判断をするかということでございますが、これは、まさに内閣の責任でこれを支出する必要があるかどうかということを決めるわけでございますから、この予見し難い予算の不足があるかどうかということも含めまして、予算編成の時点において内閣が判断をするというふうに解されると考えます。
○山田太郎君
予算編成の段階ということなんですが、これ、最終段階としては閣議決定が予見の最後の時点ということでよろしいでしょうか。
○政府特別補佐人(小松一郎君)
内閣は合議体でございますので、内閣の意思決定を最終的に行うと。これは、予算については通常、閣議決定で行っているということで、仰せのとおりと考えます。
○山田太郎君
次に、その閣議決定後なんですが、国会で決議して成立した予算の各項目の金額が多分予見し得た予算ということになると思いますが、その金額を超える支出、不足が予見し難い不足という解釈で、これ、よろしいんでしょうか。
○政府特別補佐人(小松一郎君)
これは、基本的に予見し難い予算の不足に充てるためでございますので、そういう不足があって、その上で、内閣がその支出する必要があると内閣の責任において決定を行って予備費の支出が可能になるということでございます。
○山田太郎君
済みません、ちょっとしつこくここは確認させていただきたいんですが、そうすると、国会の決議を経て成立した予算の各項目が例えばいろんな状況の変化によって足らなくなった場合に、原則としてなんですけれども、予算の予見し難い不足に当たって予備費を使用できると憲法上解釈できるということでよろしいんですよね。
○政府特別補佐人(小松一郎君)
仰せのとおりでございます。
○山田太郎君
実は、今日、ちょっとこの大事なポイントでございまして、と申しますのは、各省には特別会計とか独立法人がありますが、そこには何千億という剰余金が埋め込まれています。例えば農水省さんなんかでは、食料安定供給特会に二千億円、独立行政法人の農畜産業振興機構には三千億円ぐらいの剰余金があるんですね。先日、みんなの党でプロジェクトチームが調べましたところ、独立行政法人には合計四兆円以上の剰余金があるのではないかという指摘もされています。さらに、平成二十三年度の決算でいきますと、国債整理基金を除いても約十二兆円の剰余金があって、これが各特別会計に埋め込まれているという構造になっています。
何で、じゃ、各省がこれだけ特別会計や独法に剰余金を埋め込むかというそのちょっと言い分をいろいろ聞かせていただきましたら、災害など不測事態が起きたときに使える予算を確保しておく必要があるからと。
そうであれば、じゃ、そういうときのために予備費という制度があるんだから、特会という自分の財布にお金をためるんではなくて、余った予算は一般会計に返還して有効活用すると、予算が足りなくなったら予備費で助けてもらえばいいじゃないですかということをいろいろ委員会なんかでも提案したんですけれども、役所の方から、いやいや、予備費を出してもらうには時間が掛かりますと、間に合わないんですとか、予備費は予見できない場合のものだから、予見した予算が足りない場合には使えないんですというふうにおっしゃっているわけです。
そこで、今回、その小松長官に示していただいた解釈を踏まえて、実際どんな運用がされているかということについて、これからちょっと財務大臣に伺っていきたいと思います。
まず、予備費の使用には時間が掛かるんだという話がありますが、実際の予備費使用の手続にはどれぐらいの時間が掛かるのか、最短でどのぐらいの時間で使用できるようになるのか、財務大臣、教えていただけますでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君)
十日間ぐらいだったかな、平均ではそんなものだと思いますが。最近で一番早かったのはアルジェリアかな、あれは二日間ぐらいでやったと思います。
○山田太郎君
昨日のレクでは最短で三日でしたというお答えをいただいていたんですが、まあそんな程度で出るということだと思います。
では、予備費は足らないのかということもあるので、最近五年間の使用状況等についても教えていただけますでしょうか。
○副大臣(愛知治郎君)
一般会計予備費の使用状況についてお尋ねがありましたので、お答えします。
二十一年度については六百二十六億円、二十二年度については千六百四十九億円、二十三年度については七百四十八億円、二十四年度については千百三十二億円、二十五年度については、本日現在でありますけれども、二百五十四億円となっております。
○山田太郎君
三千五百億円に対しては、不測の事態が起きたときにはすぐ使えるし、ある程度余裕もあるんだなということが確認できたと思います。こうなってきますと、各省が特別会計や独法に剰余金を蓄えておく理由というのもなくなってきたかのように思います。
ただ、昨年の参議院の農水委員会の方で当時の山口財務大臣の方が気になる答弁をされておりまして、これ一枚目の資料にございますけれども、食料安定供給特会の剰余金は予見できる予算だから予備費になじまないというような御趣旨の答弁をされています。小松長官の御答弁で確認しましたように、閣議決定した予算を上回る支出が必要な事態になったら制度的に予備費が使用できるということでありますから、この答弁は是非財務大臣の方から訂正していただきたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君)
これは昨年四月の二十五日の参議院農水委員会における山口財務副大臣の答弁のことだと理解しておりますが、農作物の収入減少緩和対策費、いわゆるナラシ対策と言われる予算について、予備費の使用を当然の前提として少なめに予算を計上するということは適切ではないという趣旨を述べたものだと考えております。
したがって、適正な予算額を計上していたにもかかわらず、年度中に実際に予算が不足したような場合であっても予備費を使用することは難しいといった趣旨を答弁したものではないというように理解をしておりますが。
○山田太郎君
分かりました。
もう一つ、林大臣の方も、この資料に載せさせていただいたんですが、やはり何かがあったときのために交付を遅滞なく確実に実施できること、それから、予備費というのはなかなか予見し難いということですから、ある程度予見されているという意味でないと難しいということで、よく財務省と相談していきたい、この制度を見直して相談やっていきたいということだったんですが、その後どんな相談をされていますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
今、委員会で委員から御指摘があったことについて、先ほどそういうやり取りを御紹介していただきました。
したがって、これ毎年予算を折衝して決めていくわけでございますので、その都度その都度、今財務大臣から御答弁がありましたように、どれぐらいのものをきちっとこの特会なり独法なりに積んでおくことが適正な規模かということをしっかりと毎年毎年詰めてまいりたいと、こういうことでございます。
○山田太郎君
そういう形でそれぞれの特会、独法にやはり剰余金というかお金を積んでおきますと、トータルでは物すごい大きな生きていない我々の血税がたまっていると、こういうことだと思うんですね。
ただ、各省がもしこの剰余金をためる理由がなく予備費が使えるということであれば、困ったときは財務省に助けてもらえばいいじゃないかと、こういうことにもなるんですが、ただ、各省の中には困ったときには財務省は助けてくれないんじゃないかという不信感もあるようでございまして、ここは財務大臣が仲よく話をしていただいて、困ったときは予備費で助けるから特会、独法の剰余金は一般会計に返してくださいということで信頼関係をつくっていただきたいと思うんですけれども、是非、財務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君)
これは、今言われていますのは、何となく財務省に対するかなり劣等感的な思いのある方の言われたせりふかなと思いながら聞いていたんですが、少なくとも、あくまでも予見し難い予算の不足に充てるのが予備費でありますので、あらかじめ予算が足りなくなることというのを前提として少なめに予算を計上するというのは、これはちょっと適切じゃないのではないのかという感じがいたしております。
結果として、予算が余った場合も剰余金として翌年度に繰り越された後、その翌年度の一般会計からの繰入れを減らすことができるので、無駄になるというわけではないんだと理解をいたしております。
○山田太郎君
実は、麻生大臣も昨年の財金の委員会の方で特別会計改革を積極的にやっていこうということをおっしゃられています。間仕切りのない選挙事務所は風通しがあってよろしいというような答弁をされておりまして、まさに塩じいことさきの塩川財務大臣の、母屋でおかゆ、離れですき焼きという名言に負けじと劣らずだというふうに思っておりまして、我々もそれを是非進めていただきたいなと思っています。
今の御答弁等を受けて、それでは、全て返せというのが乱暴な議論でありましたら、剰余金を、一定の積立て限度の仕組みをつくると、こういうことがもう一つ必要なんではないかなと。それを上回る部分については一般会計に返すと。勝手に現場でため込んでおくということじゃなくて、各省庁と特に財務省が信頼関係をつくってそういったルールをつくってもらえないものかどうか。その辺についても、財務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君)
これは基本的には予算の執行官庁もよく知っているはずだと存じますが、予備費の使用をなかなか認めてもらえないので特別会計や独立行政法人が剰余金をため込みがちになっているとの御指摘というのは、私は必ずしも賛同しないんですが。
特別会計における毎年の剰余金について、特別会計法に基づいて一般会計に繰り入れるということは、これは可能ということになっております。したがって、行政改革推進法が制定されました平成十八年度から二十五年までの八年間に約三十兆円以上を一般会計に繰り入れられてきているというのが現実だと思っておりますので、何となく今の話を聞いていると、ううん。
○山田太郎君
うんということで終わっちゃったんですけれども、是非キャップというか、これは私も、財務省さんがもうひいひい言いながら毎年ない中をやりくりして審査されていると思いますので、そういったところを後押しする意味においても、是非、制度というか、やはりこれやらないと、官僚の方々はやっぱり何かあったとき、何があったときということでため込みがちだと思っておりますので、もう一度是非その辺、財務大臣の方、所見をいただけないでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君)
これは山田さん、波長が合ったり合わなかったり、いろいろ難しいと思いますよ、これは、現実にやってみて。主計をした、主計の方にしてみれば、何となく、まあこの人だったら大丈夫だろうなというようなのもいれば、何となくとか、いろいろな感情論もこれは人間ですから否定はできぬと思いますね。それまできちっと全部やれるなんというほどみんな立派な人たちばかりだと思ったこともありませんし、そういった意味ではある程度のことは起きると思いますけれども、でも、今言われましたように、基本的に、こういったようなものがいざというときに、別に私腹を肥やすためにやっておるわけではありませんので、いざというときにスムーズに金が下りるようにしていくということが結果として国家利益というか国民のためになるんだと、私もそれはそう思います。
○山田太郎君
波長が合い過ぎてため込み過ぎても困ると思いますので、またこれは引き続きやらせていただきたいと思います。
次に、ナベノミクスの重要課題であります農政改革、その中でも農協改革の問題についても触れていきたいと思っております。
世間では、今年に入ってアベノミクスが息切れとか、又は腰折れなんじゃないかという声も出ていますが、やはり我々としては、原因はやっぱり農業、医療、電力といった規制、岩盤規制の改革がなかなか進んでいない、こんなところが大きいように思っております。そういった意味で、農業、それを支配しています農協について少し考えていきたいと思うんですが。
お手元の資料二ページを見ていただきたいと思います。これ、農協の組合員の推移でございます。正組合員が減って、准組合員が増えていると。つまり、農業をやっていない組合員が増えているということであります。結果として、日本の農業人口が減る中で、しかし農協の組合員数は増えているという状況なんですが、農協法の例えば第一条によりますと、その法律の目的として、農業の協同組織の発展を促進するということが規定されているわけですから、こういった実態はもしかしたら農協法の趣旨に反する状態ではないかと思いますが、この辺、農林水産大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
これは農林水産委員会でも、あるいは委員とだったか、ほかの方だったかちょっと覚えておりませんが、議論したことがある件でございます。
基本は、農業者の自主的な協同組合という立て付けで、農協法で規定された枠内で、この農家組合員の選択により定款で組合員資格というのを定めております。農協の中には、今御指摘のあったように、准組合員が正組合員を上回るようになっているものも多くなっているわけですが、准組合員には議決権がないと。農協の事業運営についての意思決定は農業者である正組合員により行われており、准組合員の増加により農協の性格が直ちに変わるというものではないということであります。
したがって、法律違反ということではないんですが、本来農業者の協同組織でスタートしたというのが農協の経緯でございますので、こういう状況が必ずしも胸を張って適切だと言える状況でもないと、こういうふうに考えておりまして、自己改革を、原則として改革をしてまいらなければならないと、こういうふうに思っております。
○山田太郎君
確かに、農協は民間任意団体ということでありますが、ただ、農協法によって、もう一つ農協には独占禁止法の適用除外規定というのが認められております。
独占禁止法の適用除外の趣旨について、これ一般論で構わないので、公正取引委員長の方から御説明いただけますでしょうか。
○政府特別補佐人(杉本和行君)
独占禁止法の趣旨についてのお尋ねでございます。
独占禁止法二十二条という規定がございまして、協同組合の一定の行為について、同条所定の要件を満たしている場合には原則として独占禁止法の適用が除外される旨規定されております。この結果、中小企業協同組合、消費者協同組合、農業協同組合、水産業協同組合、こういったものが適用除外とされております。
この適用除外の趣旨でございますが、以下のように考えております。
すなわち、単独では大企業に伍して競争することが困難な小規模な事業者等が相互扶助を目的とする協同組合を組織して活動する場合、これは市場において有効な競争単位として位置付けられるということで除外しているものでございます。
したがいまして、農業協同組合につきましても、その構成員が大宗が家族経営ということで小規模でございますので、そういったことから独占禁止法の適用を除外しているものでございまして、こうした場合、共同販売とか共同購入、こういったものに独占禁止法の除外が適用されるということでございます。
ただし、農協においても、農協自体が事業体として活動するという面を捉えますと、やはりこの場合におきまして不公正な取引方法を用いる場合、それから不当な取引制限等を行う場合もございますので、こういった場合においては独占禁止法に反することになりますので、公正取引委員会といたしましても、そういった事例に対しては厳正に対処することとしておるところでございます。
○山田太郎君
まさに大企業から零細の企業だったり小さい事業者を守るという趣旨でつくられていると思いますが、もちろん、農協さんが販売とかそれから共同購買とか一生懸命やっていく、それが独禁法には違反していないという趣旨は分かりますが、ただ、JA連合会という巨大事業体というふうに考えていきますと、本当に、それ自身も実は農協法の中では独占禁止法の適用外を受けるということで、しかし、このJAの市場が実は、御案内だと思いますが、米で五〇%、野菜で五四、牛肉で六四%、農業資材で、肥料で七七%、農薬で六〇、農業機械で五五%ということなんですね。力の強い企業に対抗できるように認められたのが独禁法の適用除外だとは思いますけれども、実態は大手の商社さんなんかよりもはるかに市場支配力は勝っていると言えると思います。しかも、商社とは違って、JAさんは銀行も保険業務もできるわけであります。銀行とか保険の分野でも実は第二、第三の地位を争う、まさに農協というのは日本最大の巨大事業体だと言っても間違いだと思いません。
そんな中で、いま一度、これに独禁法の特例というか、を適用するのは果たして妥当なのかという議論もあるのかと思っております。
是非、その辺り、農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林芳正君)
先ほど公取の委員長から答弁がありましたように、全て、全部適用除外かというとそうではなくて、事業体としてやる部分については独禁法の適用があると、こういうことがまず一点ございます。
それで、合併により大きくなりますと、今おっしゃったように大きくなって、中小事業者である農業者が自主的に設立したという当初のスタートのところと変わってきているのではないかと、こういうことですが、法人の性格としては協同組織というところが変わっていないということで、員外利用制限等の規制があるというところが株式会社と違っているということでございますので、今申し上げた理由で法人税の軽減税率や独禁法の適用除外、この特例が認められておりまして、これは先ほど冒頭財務大臣からお話がありましたように、農協だけではなくて協同組合という制度に付随している特例でございます。
ただ、先ほど申し上げましたように、このスタートが昭和二十二年でございますから、担い手農業者と小規模な兼業農家が混在を今しているということ、それから、先ほど御指摘があったように、やっぱり准組合と正組合が逆転していると、環境が変わっておりますので、やはりこの協同組合としての原点に立ち返って自己改革をやはり進めていただかなければならないと、こういうふうに思っております。
○山田太郎君
もう一つ、やっぱり農業が成長していくためにはある程度の競争と自由な参入というものを促さなきゃいけないと思っていますので、この問題、引き続き考えていきたいと思うんですが。
もうちょっとそういった意味で農協の中身も見ていきたいと思いますが、割と保護されている農協でありますが、給与なんかも少し見ていきたいんですが、農協職員の平均給与、賞与、見込みで幾らだか教えてください。
○国務大臣(林芳正君)
農協職員の平均年収は約四百六十三万円であります。販売農家の農業所得は、先ほど聞かれましたですかね。(発言する者あり)取りあえずいいですか。じゃ、四百六十三万円でございます。
○山田太郎君
御丁寧にありがとうございます。今聞こうと思ったんですが、平成二十四年度のまさに農業所得が五百二万なんですが、主業農家の関与者が二・五人ということなので、一人当たり二百一万ということになるわけであります。
まさに、農協職員が四百六十三万で、主業農家の一人当たりのお給料が二百一万円、それから一般の平均サラリーマンが厚労省の調査だと全国平均で三百七十六万円ということですから、かなり四百六十三万円のお給料がもらえる農協というのは地元じゃ優良企業なのかなと、こういうふうに思っております。
大臣、この辺りの給与水準の御感想をいただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
これは、委員今おっしゃっていただいたように、販売農家の農業所得が低いわけですが、主業農家で出していただくと先ほどのような数字になってくるということでございますので、それと単純にこのJAの方の職員の平均年収を比較というのは難しいと思いますが。
これは農協が、自主的な協同組織というのは農業者がつくられているということですから、農業者がそういう自らのためにおつくりになったという原点からすれば、この農協の事業運営、給与の水準も含めた事業運営ということですが、総会で決定された事業計画に基づいて行われて、その結果、人件費を含めた損益計算書として組合で承認を得ていると、こういうことがありますので、先ほどから何回か申し上げている自己改革というのは、こういう数字を見てどう思うかということをまず自己改革をするということがスタートではないかという趣旨で申し上げております。
○山田太郎君
では、その組織としての農協も見ていきたいんですが、農協の内部留保の金額なんですけど、直近年度と十年前の数字をお答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(林芳正君)
直近の額が四兆円、これは平成二十三事業年度総合農協統計表でございます。同じ総合農協統計表の平成十三年度が三・〇兆円ということでございます。
○山田太郎君
まさに巨大事業体だと。十年間で一兆四千億円も増加させたということであると思います。随分大きなお金が内部留保されていると思いますが、これほど内部留保を積み上げてきたのはどうしてなのかなといったこともあるかと思っています。
もう一つ、農協さんの財務体質を拝見させていただきますと、預貯金だけで六十一兆の流動資産があるんですね。いわゆる預金は八十八兆円ということでありまして、もう大手銀行にも伍すほどの規模であります。ただし、そんな中で、その金融部門、農業分野での貸付けは僅か一・五兆円なんですね。その他の貸付けでも二十二兆円ということでありますから、多くの六十兆円というお金は農林中金さんに向けて上部系統預金として六十兆円が上がっていっていると、こんな状況だと思います。
もう一つ資料を、お手元の最後のページのを見ていただきたいんですけれども、販売、購買、信用、共済というふうに個々の事業体のそれぞれ取扱高というのを見ていただければと思いますが、いわゆる貯貸率なんかを見て、二六・八%ということでこれ問題もあるかと思っていますけれども。
ちょっとこの数字を見たときに、これひとつ財務大臣にもお伺いしたいんですけれども、まさに農協は、これは金融機関だというふうに思わざるを得ないんですけれども、これ、財務大臣の方からの御所見をいただけないでしょうか。引き続き、農水大臣からも御所見をいただきたいと思います。
○国務大臣(林芳正君)
農協は、信用事業、販売、購買事業と多様な事業を行っておりまして、今内部留保のお話がありましたけれども、やはり継続的にサービスを組合員に提供するために一定の内部留保は必要だと、こういうふうに考えております。
委員は御専門だと思いますが、金融業ということでありますと、自己資本比率というのを求められます。国際行八%、内国行四%、こういうものがございまして、これを計算するときのたしかティア1の方には内部留保も入るということで、一定のそういう要請も金融をやっている以上は要求をされているということでございまして、そういう意味では、内部留保だけをもってほかの製造業等と比べるというのはなかなか難しいと思いますが、一方で、自分のためにあるという、先ほどから申し上げるところでいきますと、やはり農家のための金融サービスと、これをやっぱり基本にするべきだというところは農協の基本精神としてあるべきところでありまして、やはりそういうところに、きちっと原点に立って自己改革をする必要があると、こういうふうに思っております。
○国務大臣(麻生太郎君)
山田先生、事業総利益一兆八千八百六十一、なかなかちょっと企業には普通にありませんな。これだけのあれ出している企業ってそう日本中にないですよと、私はこれ見て、へえと思って感心して見たんですが。これを見てどう思うかと言われても、うん、なるほどという以外に特に言うことはないんですが。
協同組合になっておりますので、これは基本的には、元々の生い立ち、法律ができた昭和二十何年にできた生い立ちは、組合員の、どのみち相互扶助とかいう目的になっていたと記憶いたしますので、そういった組織でありますので、その根拠法においてはこれは営利を目的としたものではないと。お互いのためにということで小さい農家が集まってお互いに共同防衛ということでやられたんだということなどを踏まえて、これはちょっと、その時代と今とを比べてみますと、随分その法律を作った時代とは状況が違ってきているので、先ほどの農林大臣の言葉を拝借させていただければ、自己改革という表現がいいのか、少なくとも今の現状に合わせた形に変えていく必要があるのではないかという感じが正直なところです。
○山田太郎君
BIS規制という自己資本の話も出たんですが、実は農業分野には一・五兆しか貸していなくて、六十兆が上部口座に上がるわけですから、じゃ預金を切り崩してもうちょっといわゆるバランスシートを改革していくという手だってあると思っておりまして、ちょっとその辺は構造を欠いていると思っています。
最後になりますが、農林水産大臣に是非、今日改革案出ています、私まだ見れてないのでこれから拝見させていただこうと思いますが、実は今年の一月二十一日、大臣は積極的に農協改革について御発言されています。まさに、先ほどおっしゃっていた昭和二十二年に作られた農協法には随分たがってしまっているのではないか。担い手農業と兼業農家が混在しているよね、それから正組員よりも准組員の方が多い問題点、協同組合の原点に立ち戻りましょう、営農指導しましょう、かなり積極的におっしゃっていますので、是非これ進めていただきたいと思います。
最後に、歴史をたどればということで、協同組合は品川弥二郎氏がドイツで見てきて民間の立場からつくったものだというふうにおっしゃられました。私も実は、協同組合としての農協は重要だと思っております。現場で農業をやって物を作る人が売るところまで、いろんなところまで全部できません。ただ、今の農協さんはどうかという問題はあると思っていますが、まさにその品川氏の見立てた農協、協同組合から見たときの、最後、大臣の御所感をいただいて、私の質問を終わりにしたいと思います。
ありがとうございます。
○国務大臣(林芳正君)
品川弥二郎は、私や総理の地元の長州の大先達でありまして、伊藤博文の子分格であったと、こういうことですが、明治維新のときに自分たちと一緒に戦ってくれた下級武士が報われないということを非常に心を痛めておった。後にドイツに行ったときに、ドイツでも製造業が出てきて大きな資本に小さい人が劣位に置かれている状況を見て、協同組合というのが出てきたと。そこで、彼は、これを一生の仕事と思い定めて、協同組合のための法律を、後に内務卿となって作っていくわけでございまして、まさに、小さい人たち、競争力のない人たちが集まってバーゲニングパワーを大きなものに対して対抗させていくというのがこの協同組合の原理原則だと思っておりますので、先ほど委員が御披露いただいたように、私も委員会で答弁をさせていただいたような、やはり原点に返って、本当に農業者、現代における農業者に評価されるような自己改革をきちっとやっていけるように我々も後押しをしていきたいと、こういうふうに思っております。
○山田太郎君
ありがとうございました。