2021.10.1

ICTの活用でこども政策が変わる!

9月17日、私(山田太郎)が事務局を務める第22回目の「Children Firstのこども行政のあり方勉強会〜こども庁の創設に向けて〜」を開催しました。

今回は盛りだくさんの4つの議事で行いましたが、どれについても大変重要な議論ができました。

  1. 「こども医療を担うオンライン診療」(外房こどもクリニック院長 黒木春郎さんより)
  2. 「子ども政策におけるICT活用事例産婦人科・小児科オンライン」(株式会社Kids Public代表取締役/医師 橋本直也さんより)
  3. こども政策の推進に係る有識者会議について(内閣官房こども政策推進体制検討チームより)
  4. GIGAスクール構想に関する教育関係者・子どもへのアンケートの結果及び今後の方向性について(デジタル庁より)

令和3年、現代の子育て世代にとって「子どもを産み育てたい」「相談しやすい」環境とはどのようなものか、コロナ禍という影響もあり、社会全体で変革を起こしていく必要があると改めて認識しました。

写真)司会を務める自見はなこ議員(右)と私(山田太郎)

■こども医療を担うオンライン診療

最初に外房こどもクリニック院長の黒木春郎さんより、小児医療や子育て支援においてのweb技術活用について講演がありました。黒木さんは、現在のコロナウイルス感染症流行以前の2016年よりweb上でのオンライン診療を実施されてきました。

写真)外房こどもクリニック院長の黒木春郎さん

オンライン診療は、年々利用者が増加しており、子育て世代の方や妊娠と子育てを両立しているご家庭にとっての医療アクセス負担軽減に繋がるものとして抵抗なく受け入れられています。

黒木先生の病院では朝6時よりオンライン診療を実施されており、現在のコロナ禍においても感染の心配なく、家族揃って受診することができるため、感染拡大防止に大変有効的な方法です。

資料:こども医療を担うオンライン診療(外房こどもクリニック)

資料:こども医療を担うオンライン診療(外房こどもクリニック)

コロナ禍における小児のメンタルヘルスの問題も大きくなっており、日本でも児童生徒の自殺者数は過去最悪となっています。

資料:こども医療を担うオンライン診療(外房こどもクリニック)

オンライン診療は、web上での診察という特徴からこのメンタルヘルスへの利活用が期待されています。実際に対面するよりもプライベートな空間であるためメンタルの話をしやすいことや、不登校・引きこもりの子どもへのアクセスも可能であることから、遠隔心理相談との組み合わせが期待されます。

この特性から、オンライン診療は子どもと家族の日常的なヘルスケアや、コロナ禍においての家族支援に有効であると言えます。子どもの暮らしの中でI Tはごく自然なものであり、現在の子育て世代はデジタルに抵抗がありません。

そういった視点からも、医療・福祉・教育の領域を横断する施策と検証が必要であり、それが「子どもを中心とした社会」の土台づくりになっていくと考えておられる黒木さんから、こども庁へのご期待を寄せていただいたこと、横串を通すことを目指す私たちにとっても大変心強く感じました。

■子ども政策におけるICT活用事例 産婦人科・小児科オンライン

次に株式会社Kids Public代表取締役/医師の橋本直也さんより講演がありました。

橋本さんは医師として3歳の女の子の虐待事例と出会ったことをきっかけに、「病院でまっているだけでは健康は守れない」と、子どもたちを守るためにオンラインで子育て世帯との接点を持つことを目指し事業を立ち上げられました。

写真)株式会社Kids Public代表取締役/医師の橋本直也さん

コロナ禍において、日本では虐待件数・D V件数ともに過去最悪となり、出生率もマイナス14.6%で「少子化が10年前倒しとなったのでは」と言われています。

資料:子ども政策におけるICT活用事例 産婦人科・小児科オンライン

しかし、こうした課題はコロナウイルス感染症の流行以前から存在していました。

つまり既存事業だけでは届かない不安・課題を解決するための新しい取り組みが必要であるとして、I C Tを活用した24時間365日受付可能な相談窓口を開設されました。

資料:子ども政策におけるICT活用事例 産婦人科・小児科オンライン

自治体がこのシステムを導入することにより、住民は産婦人科医、小児科医、助産師170名に相談ができるというものです。育児不安の強い方、虐待の恐れがあるような事例については自治体担当課による対面サポートに繋ぐための連携体制をとっているそうです。

資料:子ども政策におけるICT活用事例 産婦人科・小児科オンライン

LINEを用いたメッセージチャットや動画通話にて相談をすることができ、利用住民からも大変好評であるとのことでした。

各自治体での導入事例についてもご紹介があり、地方自治体での多部署にまたがる産婦人科・小児科オンラインの発展的な連携の先進的な実績をお示しいただきました。

現代の子ども政策にICT活用は必須であり、その実現には府省庁の垣根を超えた横串連携が必要不可欠であることから、こども庁の創設にご期待を寄せていただきました。

■こども政策の推進に係る有識者会議について

2月2日に本勉強会を立ちあげてから、7月7日には内閣官房こども政策推進体制検討チームが正式に立ち上がりました。この検討チームのもと9月16日に第1回の有識者会議が開催されましたので、その内容について報告をもらいました。

この会議は関係省庁の審議会座長や各分野の支援に携わっている方、当事者で構成されています。私がこれまでヒアリングをおこなってきた方々も多く構成員として参画されています。

キックオフである今回は子どもを取り巻く現在の状況整理や各現場での事例を交えたプレゼンテーションが行なわれました。

子どもアドボカシーや子どもの権利擁護、困難を抱える子ども・家庭へのアウトリーチでの包括的な支援、子どもたちが安心・安全に暮らすためのジェンダー教育の推進などの重要性について、当事者の意見を反映させていくこと、子どもや若者の参画が必要であるという議論がなされているとの報告でした。

資料はこちらで公開されていますので、是非ご覧ください。

■GIGAスクール構想に関する教育関係者・子どもへのアンケートの結果及び今後の方向性について

デジタル庁からは、コロナ禍におけるリモート授業等、GIGAスクール構想に向けての実態調査の結果についての情報報告してもらいました。

この調査では教職員や保護者などの大人4.2万人と、児童生徒21.7万人からのアンケート回答を分析した、大変画期的なデータです。

資料:GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート取りまとめ(デジタル庁)

GIGAスクール構想とは、2019年12月に文部科学省が打ち出した「児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想」のことです。

教育のデジタル化の目的は、デジタルを手段として、加速度的に変化する社会の創り手となる子ども達の可能性を解き放ち、多様な子ども達1人1人のニーズに合った教育を提供することです。

また、現下の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の局面において、ICTを活用した遠隔・オンライン教育は、「非常時にあっても子ども達の学びを止めない」ために極めて重要です。

アンケートの結果では、様々な課題が明らかになりました。

子どもたちの情報モラル・I Tリテラシーや教職員のI C T教育の不足、デジタル教科書の導入推進についての課題や、コロナ禍によるオンライン学習の重要性と「端末の持ち帰り禁止」など喫緊の課題への対応について多く意見が寄せられました。

資料:GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート取りまとめ(デジタル庁)

こうしたデータから、デジタル庁の今後の施策について、非常にスピーディーに方向性を示しています。

資料:GIGAスクール構想に関する教育関係者へのアンケート取りまとめ(デジタル庁)

この勉強会でもたびたびアウトリーチの支援の重要性についての提言をいただたいています。

SNSをはじめとするICTの利活用でより支援を身近に感じていただき、包括的なサポートをしていくためにこども庁の創設が必須であると強く思います。また、現場の医師や行政がI C Tを活用して子どもへの支援を行なうことの情報共有をする今回の勉強会のような機会も、今まで非常に少なかったのではと思います。引き続き党内からしっかりとこども政策を進めて参ります。