2025.7.6
新サイバー犯罪条約に留保規定を入れるために山田太郎は何をしてきたのか
【新サイバー犯罪条約 に留保規定を入れるために山田太郎 は何をしてきたのか】
私がどのように政府(外務省等)に働きかけ、それに応じて政府がどう動いたのか?今後の締結に向けての国内での対応は?それらの概要をお伝えします。
⚫新サイバー犯罪条約のアドホック委員会での議論の概要【資料1】
<2021年6月>
これまでも何度も情報発信していますが、第1回アドホック委員会よりも前に、この条約策定の主導者であるロシアが条約案を示しました。そして、その条約案には、留保規定がありませんでした。
https://taroyamada.jp/cat-expression/post-46285/
<2022年3月>
また、外務省から2022年3月1日に提供された「国連サイバー犯罪新条約策定交渉開始」という資料においては、直接に「留保規定」を求める旨は記載がありませんでした。
https://x.com/yamadataro43/status/1940735051425264039
<2022年3月~6月>
そのような状況を受けて、山田太郎から外務省に対して、何としても留保規定を勝ち取るよう繰り返し要請してきました。【資料2】
<2022年7月>
その結果、第3回アドホック委員会に先立ち、2022年7月1日に日本が提出したインプットでは、「留保規定を設けること」が明記されました。【資料3】
<2022年11月>
統合交渉草案が提示され、留保規定が入りました。【資料4】
以上が、新サイバー犯罪条約の草案に留保規定が入ったことに関して、私がどのように政府(外務省等)に働きかけ、それに応じて政府がどう動いたかの概要です。
⚫ 留保規定を死守した概要
<2023年1月>
しかし、第4回アドホック委員会で、複数の国から留保規定の削除が主張され、それに対して留保規定の維持を主張したのは日本のみという状況になりました。
https://taroyamada.jp/cat-expression/post-46285/
<2023年3月>
山田太郎が、参議院内閣委員会において、留保規定を勝ち取ることを政府に要請。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121114889X00320230309
<2023年4月>
岸田総理(当時)と林外務大臣(当時)に対して、新サイバー犯罪条約についてはマンガ・アニメ・ゲーム等の創作表現の自由が守られるよう条約交渉を行うよう要請。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/121114103X00220230403
国会質問の準備等の際、外務省に対して、諸外国を説得し、中露等の多数派工作に対抗できるように何度も要請。
<2023年6月>
議長草案が提示され、何とか留保規定が維持されました。
<2023年8月>
しかし、第4回アドホック委員会で、またしても複数の国から留保規定の削除が主張されました。
これに対して、今度は、日本だけでなくブラジル、イギリス、アルジェリア、フィリピン、オーストラリアが留保規定の維持を主張しました。
<2024年8月>
山田太郎が訪米。サンフランシスコでの電子フロンティア財団での打合せ後、ニューヨーク国連本部にて、アドホック委員会ビューロー副議長を務める割澤広一氏(外務省国際安全・治安対策協力室長)及びジョン・ブランドリーノUNODC条約局長と面会し、新サイバー犯罪条約が、表現の自由をはじめとするグローバルでの人権保障に資する内容でありつつ、文化の多用性の保護・促進にも資する内容であることを要請。
その後、再開最終会合の中で、留保規定の削除要求がなされ事前採決がなされる事態になりましたが、削除賛成51、削除反対94で、留保規定が維持されました。
そして、最終的にアドホック委員会で承認された条約草案に留保規定が入りました。
<2024年12月>
アドホック委員会で承認された条約草案が、国連総会本会議で採択されました。
以上が新サイバー犯罪条約が国連総会で採択されるまでの大まかな流れですが、上記のような私の取組みは、少なくとも、以下のさんちゃんねる等で随時ご報告してきました。
【第485回】新サイバー犯罪条約、日本への影響は!?表現規制は起こるのか!?(2022/03/02)
https://youtube.com/watch?v=mGfL5wz9b5c
【第498回】さまざまな国からも表現規制案が!どうなる?新サイバー犯罪条約の行方!(2022/06/08)
https://youtube.com/watch?v=R0E6zXSRPQY&t=4064s
【第518回】ヤバい事実・・・・再来年の国連総会に提出予定の新サイバー犯罪条約。日本が誇る表現の自由はどうなる!?(2022/12/28)
https://youtube.com/watch?v=BBHqpdrR_bs
【第528回】続報!新局面へ!?新サイバー犯罪条約〜次回会合に向けて日本は何をすべきか!?〜(2023/03/15)
https://youtube.com/watch?v=NYz8aB86yqY&t=3268s
【第558回】最新情報!新サイバー犯罪条約(2023/11/22)
https://youtube.com/watch?v=SeX8GVTrnPk
【第568回】今週の山田太郎〜新サイバー犯罪条約、セキュリティクリアランス、尊厳死・安楽死〜(2024/2/14)
https://youtube.com/watch?v=84zgv0c5QPw&t=740s
【第592回】緊急報告🚨新サイバー犯罪条約、クレカ規制、昨今の表現規制。責任者と直接交渉!(2024/08/14)
https://youtube.com/watch?v=Xo4N4zn327c
2021年の終わりごろからずっと新サイバー犯罪条約について取組んできて、具体的に動き出した第1回アドホック委員会からは一生懸命情報発信をしてきました。
これからは、この条約を締結するのか?(日本の外務省は、「多くの国が締結できる条約を作成することがサイバー犯罪のセイフヘイヴンをなくすために重要である」との考えのもと、副議長を送り出してアドホック委員会に臨んできましたので、締結する前提で準備をしています)、締結する場合は、そのための国内法整備の際にしっかりと「留保規定」が用いられるのか?もうひと勝負あります。



