2015.2.4

「ヤマト運輸株式会社クロネコメール便の廃止に係る信書の郵便法問題に関する質問主意書」を提出しました

「ヤマト運輸株式会社クロネコメール便の廃止に係る信書の郵便法問題に関する質問主意書」を参議院議長に提出しました。今後は内閣に送られ閣議決定を経て回答されます。

郵便法の目的は、「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進すること」(第一条)である。また、「民間事業者による信書の送達に関する法律」(以下「信書便法」という。)の目的は、「郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)と相まって、信書の送達の役務について、あまねく公平な提供を確保しつつ、利用者の選択の機会の拡大を図り、もって公共の福祉の増進に資すること」(第一条)である。しかし、信書便法施行後、約十二年が経過しようとしている中、全国全面参入型の一般信書便事業に参入する事業者は現れていない状況である。この結果、この分野における「公共の福祉の増進」は図られていない状況となっている。
 一方、万国郵便条約は加盟国に対し、郵便のユニバーサルサービスを義務付けている。このうち、国内小包郵便物については、郵政民営化法等により郵便物の概念から除外された。その理由として、日本国内において小包に関しては民間の宅配便事業者が既に全国集配ネットワークをおおむね完成させているとの認識が示されるとともに、日本郵政公社から郵便事業を承継する郵便事業株式会社について、①民間事業者とのイコールフッティングを確保した上で、民営化後の郵便事業株式会社の経営の自由度を拡大する、②公正な競争を更に促進し、一層のサービス改善等が図られ、国民の利便性が向上するとしている。
 こうした中、去る平成二十七年一月二十二日、ヤマト運輸株式会社はクロネコメール便の廃止を決定した。その理由は、メール便を利用して信書を送達したことにより顧客が郵便法違反とされた事例が発生し、企業としての責任をとったとのことである。メール便は、平成九年にヤマト運輸株式会社がクロネコメール便の取扱いを開始して以降、新規参入が続き、取扱実績は増加しており、国民の間に定着したサービスであると言える。このような状況の下、サービスを開始した民間事業者が自らこれを廃止することは異例であり、この背景には郵便、信書便、メール便等の概念の混乱があると考えられる。
 そこで、このような状況を前提として、以下質問する。
一 信書便法によれば、信書と非信書の混在物も信書便として扱うことが明記されており、現行法の解釈としては無理であることは承知している。しかし、国内において民間事業者によるサービスが定着していることから、政策論として国内小包郵便物を郵便物の概念から除外し、ユニバーサルサービスの義務を課さないこととした論理を適用し、郵便事業株式会社を引き継ぐ日本郵便株式会社の安定経営の確保の観点及びユニバーサルサービスの確保策は別途の検討として切り離すとし、信書と非信書の混在物の送達について、民間事業者が取り扱うことも可能な環境にあると考えるが、いかがか。
二 一般信書便事業への参入障害とされているのが、約十万本の信書便差出箱の設置義務である。これを改め、信書便事業者の事務所、大口については引取り範囲の全国保証をした電話受付等において引き受ける方法は考えられないか。
三 現在の信書の定義では信書と非信書の区別が困難な事例が多数生じている。誰でも判断できる外形基準(大きさ・重量等)に改める必要があるのではないか。かつて総務省に設置されていた研究会等において、外形基準に拠るとメール便事業者に対する規制強化になるとの反対論があったが、ヤマト運輸株式会社が撤退した後は日本郵便株式会社がメール便市場における主たる事業者となる。したがって、日本郵便株式会社が同意すれば、外形基準の採用は可能となる状況になったのではないか。
  右質問する。

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