2015.4.21
「日本郵便株式会社における郵便物の放棄等の不祥事に関する質問主意書」に対する答弁書
先日提出しました「日本郵便株式会社における郵便物の放棄等の不祥事に関する質問主意書」に関して、閣議決定を経て、答弁書が参りました。
■答弁書のポイント
- 政府は日本郵便が配達する郵便(一般信書=民間企業の参入に大幅に制限あり)の不祥事(放棄・隠匿・窃取・横領・紛失等)は発生都度報告があるのではなく、報道発表などを通じて把握している。
- 日本郵便は年間200~400件程度のそういった不祥事を起こしているが、政府が報道を通じて把握しているのはそのうちの10件程度。さらに、誤配送の件数は郵便(信書)単体では把握できていない。
- 政府は日本郵便の不祥事について、リアルタイムで把握できるのは日本郵便の報道発表だけであるが、その報道発表する際の「具体的基準」は日本郵便では作成していない。
- (日本郵便は通信の秘密を守るという建前のもと、事実上独占的に一般信書業務を行っているが)政府は、一般信書の不祥事について不祥事の全件を把握し公表することは現時点では考えていない。
参議院議員山田太郎君提出日本郵便株式会社における郵便物の放棄等の不祥事に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「不祥事」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、郵便物の放棄、隠匿、窃取及び横領並びに記録郵便物(交付時に受領の証印又は署名を受ける郵便物をいう。以下同じ。)の紛失(以下「郵便物の放棄等」という。)については、総務省において、主として日本郵便株式会社の報道発表を通じて把握しているほか、必要に応じ、同省において、日本郵便株式会社法(平成十七年法律第百号)第十六条第一項の規定による検査等を行うことにより把握することとしている。二について
日本郵便株式会社によれば、平成二十二年度から平成二十六年度までの各年度における
①郵便の業務に従事する者による郵便物の放棄等の事案が発覚した件数及び
②放棄、隠匿、窃取又は横領された郵便物の通数と紛失した記録郵便物の通数との合計は、次のとおりとのことである。平成二十二年度①百八十四件②約六千九百通
平成二十三年度①二百三十八件②約九千通
平成二十四年度①二百八十三件②約二万九千七百通
平成二十五年度①二百六十八件②約一万九百通
平成二十六年度①四百二十件②約二千五百通また、同社によれば、郵便物の放棄等に係る事案が発覚した年度に当該事案に係る郵便物が引き受けられたものであると仮定した場合の各年度における
①放棄、②隠匿、③窃取若しくは④横領された郵便物の通数又は⑤紛失した記録郵便物の通数の当該年度の郵便物の総引受通数に占める割合(小数点第九位を四捨五入した数字)は、次のとおりとのことである。
なお、同社によれば、平成二十六年度については、現時点で郵便物の総引受通数が判明していないためお尋ねの割合を示すことは困難であり、また、お尋ねのうち郵便物の「誤配送」については、郵便物以外のものと区分して把握しておらずお答えすることは困難であるとのことである。平成二十二年度
①〇・〇〇〇〇〇二一五パーセント
②〇・〇〇〇〇三一六六パーセント
③〇・〇〇〇〇〇〇一一パーセント
④〇・〇〇〇〇〇〇〇二パーセント
⑤〇・〇〇〇〇〇〇九三パーセント平成二十三年度
①〇・〇〇〇〇〇八九八パーセント
②〇・〇〇〇〇三六四五パーセント
③〇・〇〇〇〇〇〇〇四パーセント
④〇・〇〇〇〇〇〇〇六パーセント
⑤〇・〇〇〇〇〇一六一パーセント平成二十四年度
①〇・〇〇〇〇六五八九パーセント
②〇・〇〇〇〇八九六八パーセント
③〇・〇〇〇〇〇〇一一パーセント
④〇・〇〇〇〇〇〇〇二パーセント
⑤〇・〇〇〇〇〇一六三パーセント平成二十五年度
①〇・〇〇〇〇一〇七四パーセント
②〇・〇〇〇〇四三七五パーセント
③〇・〇〇〇〇〇二八七パーセント
④〇・〇〇〇〇〇〇〇一パーセント
⑤〇・〇〇〇〇〇一四三パーセント三について
お尋ねの「不祥事」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、総務省において、日本郵便株式会社又は旧郵便事業株式会社の報道発表を通じて把握した郵便物の放棄等の件数は、平成二十二年度は七件、平成二十三年度は九件、平成二十四年度は十六件、平成二十五年度は十二件、平成二十六年度は五件である。四について
日本郵便株式会社によれば、郵便物の放棄等に係る個別事案の報道発表は、「お客様へおかけした迷惑の度合い」及び「社会的な影響の大きさ」を考慮して行っているが、お尋ねの「「迷惑の度合い」及び「社会的な影響の大きさ」の具体的な基準」は作成していないとのことである。五及び六について
郵便物の放棄等については、利用者の信頼を損なうものであり、遺憾であると認識している。総務省としては、事案が重大と認められる場合には、必要に応じて個別に指導し、再発防止策の報告を受けるなど、日本郵便株式会社に対して適切な監督を実施しているところであり、同社において社員教育の強化を始めとした再発防止策に取り組んでいると承知していることから、現時点で同省において「不祥事の全件を把握し、公表」することは考えていないが、今後とも、適切な監督に努めてまいりたい。