2013.5.10

花粉症を政治の力で何とか出来ないか!?

2013年5月9日、参議院農林水産委員会にて少花粉杉の供給や花粉発生源であるスギの木材促進等、花粉症対策の戦略について質疑いたしました。

議事録

○山田太郎君

 みんなの党の山田太郎でございます。

 本日の質疑の内容は、国民病とも言われております花粉病についてお伺いしたいなと思っています。政治の力でこのうっとうしい病気、症状を何とかできないだろうかということで質疑させていただきたいと思います。

 実は、過去、当委員会の議事録を拝見させていただいたところ、林大臣の奥様が随分花粉病で苦しまれていたということなんですけれども、今もまだ大変な状況でおられるんでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 余り、うちの中のことでございますが。

 この間申し上げたときも、たしかその前に、和歌山の方で飛び地の村がありまして、そこでじゃばらじゃばらという、かんきつが取れるんですね。これが効くんだと言われてそれをいただきまして、私も朝飲んでいるというような話をしたんですが、その中でそういう話を申し上げたかもしれませんが、やはりなかなか一杯飲んだら治るという状況でもないようでございまして、引き続きまだ患っておると、こういうような状況でございます。

○山田太郎君

 奥様、大変気の毒なんですけれども、実は私の妻もひどい花粉症状態でございまして、いつもこの時期はいらいらして我が家も大変な状況でございます。そういう意味で大臣と私と問題を共有できるかなと思っておるんですが、実は一昨年の予算委員会で、参議院予算委員会の方で、民主党内閣が百億円から二億円に予算を減らすと、こういうことで、随分この件に関しては林大臣の方が当時の菅総理に花粉症対策をもっと重要視してやるべきだと、こういうことをおっしゃられていたと思います。

 まさにこの花粉症の実態は、厚労省からも実は今回資料をいただいたんですが、有病率でいきますと平成十年が二〇%から何と平成二十年には三〇%になっておりまして、それから花粉症に関する医療費は、簡易ではございますが、一千六百億円掛かっていると、こういうデータもございます。まさに国民的な非常に深刻な状態だと、こう言えると思うんですね。しかし、残念ながら、一千二百億円もの森林整備事業をして有花粉杉を植えているという実態もございまして、じゃこの花粉症対策の予算はどれぐらいかといいますと、非常に少ないということであります。

 そこで、まず少花粉杉の育成ということについて少しお話ししていきたいと思うんですが、最近少花粉杉が開発されておりまして、植林も進んでいるということです。そこで、一年に植えられるこの杉の苗がどれぐらいで、そのうち少花粉杉の割合はどれぐらいなのか、基本的な数字で恐縮でございますけれども、大臣、お答えください。

○国務大臣(林芳正君)

 この少花粉杉でございますが、苗木の生産、これが、生産が始まった平成十一年度約三万本から、平成二十三年度には百四十二万本とかなり増えてきております。それから、この供給量ということだと思いますが、例えば首都圏で強い影響を与えている杉林、これ五・五万ヘクタールと推定しておりますが、この中で少花粉杉林、供給量を増大させるために、平成二十九年度には年間供給量の三分の二に当たる一千万本の供給を目指しております。

 実際にどれだけ植えているかというのはなかなかイグザクトな数字はないわけでございますけれども、新たに植栽される杉の苗木は全て少花粉杉ということでございますけれども、植林の面積の方が大体年間三百ヘクタールというようなことになっておりますので、そういう数字で植え替わっていると、こういうことでございます。

○山田太郎君

 今のを事前にデータをいただいていましたので、計算しますと、今植えている杉の約一〇%弱が少花粉杉でありまして、いまだに九〇%は杉花粉をまき散らす杉の苗ということなんですね。

 今大臣おっしゃられましたが、年間一千万本の少杉花粉を植えると、大変林野庁さんとしても努力されているというのは理解できるんですが、首都圏の、仮にじゃこの一千万本をやっているということで、今のペースでもし全て入れ替えていくということになったらば、仮説になるかもしれませんが、どれぐらい掛かるのか、試算いただけますでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 これは、したがって、現在の状況が継続されたと、こういうふうに仮定をいたしますと、全てこの杉がこの少花粉杉に転換するには百年以上を要すると、こういう計算になるわけでございまして、関係都府県の協力を得ながら、少花粉杉や広葉樹といったものなど花粉の少ない森林への転換を加速していきたいと、こういうふうに考えております。

○山田太郎君

 まさにこのペースじゃ全然我々が生きている間に花粉病というのは治らないと、なくならないということだと思っています。そこで、対策について考えていくということだと思うんですが、もっと少花粉杉の苗を増やすと、まさに少花粉杉をつくるという入口の戦略が重要だというふうに考えています。

 最近、これ林野庁にお伺いしたんですが、少花粉杉の種が取れる親木が少ないということで、注目されていますのがミニチュア採種園というもので、そのミニチュア採種園の中にジベレリンという成長ホルモンを入れまして一気に成長させると、通常十三年掛かるものを四年に短縮するということだそうです。まさにこれは、少花粉杉対策でたくさん苗を作って、一千万本どころかもっと桁を変えて対応していく取っかかりになるのではないかと思います。

 ただ、残念なのは予算の件なんですが、この事業が国費で僅か一千四百八十五万円ということなんですね。林大臣が菅総理とお話ししたときは百億が二億だったんですが、二億が一千四百八十五万ということですので、非常に少ないんではないかと。この予算がどうして少ないのかということを今度逆にまた林野庁に聞きましたらば、いや、そうじゃなくて先方からの要望が少ないということでありまして、都道府県からの要望に応じて作っているというのが現状だということであります。

 それでは大臣、是非、要望がないんではなくて、こういうことこそ国民のためにやらなきゃいかぬということで都道府県に対する働きかけを積極的にやっていただきたいなと、こう思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 私が野党時代にやったやつはこういうことも全部含めた予算のたしか全体像であったと、こういうふうに記憶しておりますので、このミニチュア採種園の予算ではなかったかとは思いますが、今委員がおっしゃるように、これ大変苗木の生産を促進するために早期に採種できる、これ非常にいい取組だと、こういうふうに思っております。

 特に、茨城とか栃木、群馬、やはり首都圏を中心なんですね、この少花粉杉のミニチュア採種園の整備が進んでいるということでございまして、先ほど申し上げましたように、こういうこともあって苗木の生産量というのは約十二年間で四十七倍と、こういうことでございまして、逆に余り予算を消化できない場合はまた後でお叱りも受けるというところもございますから、そこはバランスはいろいろあると思いますけれども、今回、この予算を計上させていただきましたので、しっかりとミニチュア採種園等の整備の拡大を図っていって、少し、こういうことがありますよということを更に広めることによってもっといろんなところから要望が出てくるように、そういう運用を心掛けてまいりたいと、こういうふうに思っております。

○山田太郎君

 まさに叱られないように、多分出口の戦略というのが重要でありまして、この少花粉杉の苗を植えるには今の花粉杉を伐採せないかぬと、植え替えるということになってくるかと思います。そうなってくると、この切った木が売れるようにするということが非常に重要だと思っておりまして、まさにこれが出口側の戦略だというふうに考えております。

 先ほど長谷川議員の方からも似た質問があったんですが、地方自治体の公共建築物木材利用促進法というのがあって、ひとつ努力されていると思うんですが、私の手元のデータによりますと、地方自治体としては、全体で一千七百四十二の市町村に対して百十四ということで、六四%にとどまっている。特にひどいのが、東京が六%、神奈川一五%、大阪二八%とした具合なんですね。まさに首都圏で非常に花粉病が騒がれているにもかかわらずなかなか進んでいないという状況だと思っております。そういった意味で、この部分を是非強化していくと。先ほどあの説明では頑張ってやっているよということだったんですけれども、強化していくということが必要だと思っています。

 そこで、今回、文科省にも来ていただいておりまして、その一つの、もう一つの手だてとして、公共施設の中、特に学校なんですけれども、公立の学校の施設が大口の木材利用先として期待できると思います。今日は文科副大臣も来ていただいておりますので、副大臣の方から、公立学校施設等における木材利用促進の取組について、是非教えていただければと思います。

○副大臣(谷川弥一君)

 木材は柔らかで温かみのある手触りと吸湿性が高いために教育環境に優れ、また、ほかの材料に比べて二酸化炭素の排出量が少ないので地球温暖化防止に大変役に立っていると思っております。

 それと、平成二十二年に施行された公共建築物等における木材利用の促進に関する法律第四条により、地方公共団体は、学校施設の整備に当たり、木材の利用に努めなければならないとされています。

 文部科学省では、校舎の木造化を始め、学校施設への木材利用を推進するため、木造校舎の整備に対して国庫補助を行う際に補助単価をかさ上げするとともに、学校施設への木材利用のための手引書や事例集の作成、講習会の開催を通じて地方公共団体への支援に努めています。

 今後とも、林野庁などの関係省庁と連携して、地方公共団体が学校施設への木材利用に積極的に取り組めるよう、支援に努めてまいりたいと思っております。

○山田太郎君

 ただ、まだ残念なのは、新しく建てましたこの校舎の木材が、平成二十三年度でいいますと一五%と。一定の評価はしたいと思いますが、実は公立学校全体の施設で見ますと一〇%で、直近三年間ではこの比率が下がってしまっているんですね。

 更に対策を進めていただきたいと思うんですけれども、どんなところに問題があるのかという辺り、それから今後の取組をもうちょっと突っ込んで、是非、大事な問題ですので教えていただければと思います。

○副大臣(谷川弥一君)

 地方公共団体へのアンケート調査によれば、学校施設への木材利用にかかわる課題として、腐朽やシロアリ対策のために維持管理に手間が掛かること、計画、設計内容により建築費が割増しになる場合があること、防火上の制限への対応が必要であることなどが上げられていますが、それぞれについて今後とも関係省庁、協議しながら、もっと力強く対策を打たなきゃならぬと思っております。

○山田太郎君

 ありがとうございます。公立学校の木造化は花粉対策の大きな出口戦略になると思っていますので、これからもよろしくお願いします。

 さて、もう一つ、この花粉症を除去するというか、対処する決定打として、菌類の利用というのがあります。少花粉杉の出口と入口に関して即効性がある対策として、杉やヒノキの雄しべに菌類を付着させて花粉を出さないようにさせようと、こういうものがあるんですね。これは森林総合研究所が今開発中ということで、これがほぼできたということを実はお伺いしております。

 この森林総合研究所は農林水産省所管の独立行政法人でありますが、ここのすばらしい技術に対する予算、どれぐらい付いているのかなということを調べましたらば、農林水産技術会議という農水省さんの中の省内の組織から、今応募をして三千万ぐらいの予算を取ろうと、こういうふうにしているそうです。この審査が通らないと予算も付かないということなんだそうです。

 そこで、他の独法が一千億近く予算を取っていろいろ努力したりするわけですから、是非ここを、桁違いでもありますし、国民的な病気でもありますから、ここにしっかり予算を充てていただいて、この審査をスムーズに通していただけないかなと。これも林野庁の方にお伺いしましたら、審査も本件認可のために二年ぐらいは普通掛かってしまうということですので、ここは、大臣来ていらっしゃいますので、ひとつ大臣の政治判断、それから問題意識というところで進めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(林芳正君)

 山田先生からこの質問があったので、私も改めて聞いてみたんですが、非常にすばらしい技術だなと、こう思いました。既に実験レベルでの試験なんですが、成熟した雄の花ですね、これに処理液を一回だけスプレーすることで八〇%以上、雄花、雄の花が枯れてしまうと、こういうことでございまして、シドウイア・ジャポニカとかいうカビの一種らしいんですが、これを添加した処理液を用いてそういうことをやるのを昨年度開発したと、こういうことでございます。

 今後、実はこの技術に関する詳細な薬効試験、それから環境影響調査、人や動物への影響調査等の実施、それから効果的な散布技術の開発ということで、本技術の実用化に向けた研究を進めたいと、こう思っております。それは、本当にこれでまくことになると、今の杉雄花は枯死しましたと、しかしその周りにも飛び散りますから、そこで何かほかのことがいろいろ起こってしまうということも困るわけでございまして、そういうことをきちっと詰めて、そしてこの研究を進めるということがあると思いますので、農林水産省として、うちの奥さんのためということではなくて、花粉発生源対策の一環として、このような杉花粉飛散抑止技術の実用化に向けた研究を支援していきたいと、こういうふうに思っております。

○山田太郎君

 ありがとうございます。本当に、私もうちの奥さんのためじゃなくて、国民のために是非というふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

 最後になりますけれども、今回、本件に関して相当林野庁の方には協力をいただいて、いろいろな資料も用意していただいています。ただ、花粉症のこの対策プロジェクトチームが複数の省庁にまたがっていたりとか、特に、今、林野庁又は農林水産省の中に対策室というのはないそうです。是非ここは、これだけの国民的な病気ですし、本当に大きなお金が掛かっている、悩んでいらっしゃる方もたくさんいるわけですから、杉花粉対策室等の対策室をしっかり省庁の中につくって大臣が力強く進めていただきたいと、多くの国民は大変喜ぶと思っておりますのでよろしくお願いしたいと思っているんですけれども、最後にお考えをいただければと思っております。

○国務大臣(林芳正君)

 まさにおっしゃるように、私がちょうど初当選したぐらいから自民党の中にハクション議連というのができて、実はその花粉症対策について議員連盟をつくって取り組んでいこうと、もうそんな前からあった話でございます。

 今まさに委員がおっしゃっていただいたように、我が省に室をつくるということもあるのかもしれませんが、今文科省来ていただいていますし、厚労省、それからほかの省にもかかわるところでございまして、やはり一丸となって取り組んでいかなければならないということで、厚労省、環境省、それから文科省、それから気象庁ですね、ここの関係五省庁で花粉症に関する関係省庁の担当者連絡会議と、これを設置しております。この連絡会議で連携を図りながら、先ほど御指摘いただいた少花粉杉の苗木の生産、供給の拡大とか、それからまさに御指摘いただいた国産材の需要拡大、それから技術の開発ということで、川上から川下まで対策に取り組むということと、もう一つ、少しPRになりますが、花粉症治療米というものもございまして、この研究も進めていかなければならないと、こういうふうに思っておりまして、この担当者連絡会議を軸に、関係省庁が一丸となってこの花粉症対策を総合的に推進してまいりたいと、こういうふうに思っております。

○山田太郎君

 今日は大変、大臣、花粉症対策について力強い発言と前向きな御答弁、具体的な内容を伺いました。私も初当選で花粉症の話をさせていただきましたので、ハクション議連があれば是非入らせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 本日はありがとうございました。