2020.4.21

花粉症対策、総合的な取り組みに向け一歩前進!小泉環境大臣に直訴! 【花粉症対策ブログその②】

4月3日、小泉進次郎環境大臣に、環境省大臣室で直接、花粉症対策についての提言をしました。先日のブログでも述べましたが、私が「政府横断的な取り組みがされていない現状を踏まえ、今後は環境省が主導し、各省庁の取り組みを加速化すべきだ」と主張していたところ、小泉大臣から私に、直接面会の申し込みがありました。

私から小泉大臣に提言したことは、以下の2点です。

①曝露対策の必要性
②環境省が主体となった取り組みの推進

この提案に対して、小泉大臣からは「まずは省内で、山田先生の提案について、しっかり勉強していく。そして本年度から、花粉症対策担当省庁連絡会議の事務局担当が環境省になった。このチャンスを生かし、連絡会議の充実と、環境省として何ができるのかをしっかりと検討していく」という力強い約束をもらいました。

また、「山田先生は、国会のなかでも花粉症について一番詳しい。花粉症対策について熱心に取り組む、おそらく唯一の国会議員だ。花粉症を政治の力で解決するために、省内で固まり次第、また相談させて欲しい。」という言葉ももらいました。

各省庁の課題としてあげられる、「花粉症の有病者数と実態調査を国として早急にすべきであること(厚労省)」、「花粉症緩和米は食品として実用化に向けた調整が必要なこと(農水省・厚労省)」、「花粉症治療研究予算の増額が必要なこと(厚労省)」についても、現状を具体的に伝えました。国としての総合的な対策が加速化するよう、環境省とは引き続き意見交換をしていきます。

今後は自民党内で花粉症対策のプロジェクトチームを立ち上げ、政府に花粉対策を進めるよう強く求めていこうと思っています。

中央)小泉進次郎環境大臣

そして、私が小泉大臣に提案した曝露対策の必要性についても、詳しく説明しておきます。そもそも、「曝露(ばくろ)」という言葉を聞いたことがない方もいると思います。疫学では「問題となる因子に、それぞれの個人がさらされ取り込むこと」を総称して曝露と呼びます。問題となる因子とは、環境汚染物質や病原微生物(細菌・ウイルス)、薬物、化学物質,物理的要因などが含まれます。今回の、新型コロナウイルス感染症対策では、『曝露を防ぐことが重要』という疫学専門家の指摘が、メディアでも多く報道されています。


花粉症も、花粉というアレルギーの因子にさらされることで起こす、アレルギー症状の一種なので、曝露という言葉が使われます。私たちは、花粉という因子に曝露しなければ、感作(繰り返される刺激によって、それに対しての反応が徐々に増大していく学習プロセス)はされず花粉症は発症しないのです。

つまり、

・曝露を防ぐことで、現在発症している人の症状を、医薬品を使わずに軽減させることができる。(即効性が期待されていた花粉症ワクチンの研究は終了している。)
・幼少期から曝露を防ぐことで、子どもが花粉症を発症しなくなる。

という効果が期待できます。発生源(林業分野)対策は50年から100年単位の時間が必要で、現在花粉症で苦しむ人をすぐに救うことができないことからも、曝露対策は極めて必要であると思います。

このような理由がありながら、現在、花粉の曝露対策に取り組む府省庁は存在しません。衛生用品(マスク等)は厚労省、花粉症対策製品(家電など)は経産省、住環境は国交省の所管であり、環境省は大気汚染や公害でなければ対策はできない。という行政の縦割りの弊害があるからです。そこをなんとか乗り越えて、環境省が曝露対策に取り組んでほしい。と強く訴えました。

図)内閣委員会で提案した国の花粉症対策グランドデザイン

そして、小泉大臣には、私が官民合わせて20回以上おこなったヒアリングの中でも、特に重要な曝露研究の最新情報についても共有しました。
具体的には、以下のような曝露対策を行ってほしいと伝えています。

花粉症を発症させない生活(マスク、眼鏡、衣服、換気をしない、うがい洗顔等)の曝露対策の啓発。
・花粉を無力化する化学的アプローチ研究の促進。
・民間企業の曝露対策製品(空気清浄機、漆喰塗料、化粧品等)の促進と民間企業の知見収集。

花粉症対策はイデオロギーの問題ではありません。現在も症状に苦しむ国民のため、そして、まだ花粉症を発症していない子どもたちや、これから生まれてくる未来の世代のためにも、今政治の力で解決すべき問題です。引き続き、尽力していきます。
次回のブログでは、農水省、林野庁の発生源対策の視察について報告します。


写真)花粉の飛散測定や曝露、大気汚染の研究などを行う、埼玉大学 王青躍教授からのヒアリング。


写真)アプリ「アレルサーチ」使って花粉症に関するデータ解析、飛散状況の提供などを行う、順天堂大学 猪俣武範准教授と東京大学 中村正裕特任助教授からのヒアリング。

写真)曝露を中心とした花粉症対策に取り組む民間企業が主体となった団体「花粉症問題対策連絡協議会」からのヒアリング。