2020.3.28

花粉症対策、徹底調査! 総合的な取り組みを推進します!【花粉症対策ブログその①】

スギ花粉症もピークを迎え、症状に苦しんでいる方が多くいらっしゃると思います。私は、『花粉は政治の力で解決すべき』だと、「花粉症撲滅プロジェクト」を公約に掲げてきました。今回参議院議員に就任し、改めてこれまで国が取り組んできたことを各府省庁から急ピッチでヒアリングし、日本全国の研究機関、民間の花粉症対策の実状について調査し、それらを併せ全体の課題を洗い出しました。

3月10日、参議院・内閣委員会(質疑議事録)では、私から竹本直一大臣はじめ政府に花粉症対策のグランドデザインを提案し、政府一丸となっての花粉症総合対策のとりまとめを強く要請しました。そしてこの度内閣委員会の質疑に立ったこともあり、皆さんに逐一調査の詳細をお伝えできなかったのですが、これまで調査をした花粉症対策の詳細と、今後政治で課題をどう解決していくのか、お伝えします。

結論として、花粉症対策を政治の力で解決するには、あらゆる側面から花粉症を軽減していくアプローチをとる「総合的な取り組み」が不可欠です。そして、国全体の花粉症対策は環境省が主導で進めていくのが良いのではないか、と考えています。

 図)政府に提案した国の花粉症対策のグランドデザイン

 ここで、私の提案する「総合的な取り組み」という意味合いについて説明します。花粉症は単に「花粉を飛ばすスギを伐採すれば解決する」という単純なものではありません。一例を挙げれば、林野庁が取り組んでいる伐採や花粉を出さない花粉症対策苗への植え替えには、大変な時間がかかります。そして、国民の期待が大きかった根治治療法の花粉症ワクチンは研究が終了していました。

そこで私は、花粉の「生成」という川上から、「発症」という川下までを以下のような4つのフェーズに分け、総合的な花粉症対策を推し進めていきたいと思います。

1.生成(育種・森林管理)⇒ 花粉飛散量を減らす

2.飛散(測定、予報、情報提供)⇒ 花粉飛散情報を流す、知る

3.曝露(除去、防護、阻止)⇒ 花粉に接しない、花粉を除去する

4.発症(検査、予防、治療)⇒ 快適な生活を送るようにする医療、医薬品

 

現地調査や研究機関のヒアリングをしたデータをカテゴライズし、この4つのフェーズを更に以下の表にまとめました。そして、今回浮き彫りになった重要課題として、「曝露」についての国の取り組みが一切ないということが判明しました。

こうなっている原因には、「所管の省庁がない」ということが一つです。そこで、それぞれの省庁に曝露を取り組むこができないか、話し合いを重ねましたが、どの省庁も難しいという回答でした。

林野庁による見解では、「花粉の発生源対策しかできない」、厚労省は、「発症前の段階では取り組むことはできない。衛生用品(マスク等)は厚労省の所管だが、花粉症対策製品は経産省。住環境は国交省である。曝露まではできない。」とのことでした。

環境省は「公害であれば環境省の管轄だが、花粉は公害ではないので、環境省でも何もできない。」とのこと。こういった管轄がバラバラに取り組んでいる状況を整備することは、今後花粉症対策を政治主導で取り組む上で必須でしょう。

◎これまでの国全体での取り組み

これまで、国を挙げて花粉症対策を取り組もうとしたことは、ゼロではありません。これまで、国における花粉に関する会議は2つ存在しており、実際成果がでていない会議についても経緯と現状を突き止めました。実はこの調査にはかなり時間がかかりました。

1つは、「花粉症に関する関係省庁連絡会議」で、もう一つは、内閣府の「花粉症対策研究会」です。残念ながら、「花粉症に関する関係省庁連絡会議」は、目立った成果はありません。この会議では「花粉症の実態把握」が取扱事項となっていますが、国として、30年たった今も、花粉症有病者数は把握できていません。この会議は平成2年から開かれていますが、年に一度しか開催されていません。担当省庁は毎年持ち回りだそうです。2度要求し、ようやく所要時間と会議資料についても回答させましたが、なんと所要時間は30分、会議資料もHPに掲載されている程度の各省の取り組みをまとめただけのものでした。

「花粉症対策研究会」は、平成17年(2005年)2月4日と同15日の2回だけ開かれました。成果として、以下の表にある3つの柱を基に「花粉症対策研究のロードマップ」を示しました。

今回の内閣委員会で、「内閣府からはこのロードマップは内閣官房の「健康・医療戦略室」に引き継いだと聞いたが、健康・医療戦略室からは引き継ぎを受けていないとの話だった。現在、どこが責任をもって総合的に「花粉症対策研究会」のロードマップを推進しているのか」と質疑したところ、「花粉症に関する関係省庁連絡会議に引き継いだ」という答弁が返ってきました。各省庁合計で5回以上行なっていた事前のレクでも、そのような話は全く出ていませんでした。事実上、省庁をまたいで全体で行なっている取り組みは、年に1度の30分の会議だけだったのです。せっかく国で「花粉症対策研究のロードマップ」を示したのに、それらを責任をもって総合的に推進する部署がないのは大問題です。

これは私がしつこく調査しなければ、はっきりしなかったことです。このように、これまで省庁をまたがって政府全体でとってきた対策は成果がほとんどでていない状態だという課題が、はっきりと浮き彫りになりました。

◎今後の進め方

 花粉飛散量自体を今すぐ減らすことは、現実的に時間がかかる。それならば、国民の花粉症の症状を少しでも軽減するよう働きかけていくこと「防曝」という観点が非常に重要であるということが、今回私が学んだことです。花粉を無力化する空間ができれば、室内で快適に過ごすことができますし、一人一人が花粉を体内に侵入させない対策をすれば、花粉症の発症自体を防ぐことができます。防曝をすれば、自然物である花粉が大気中に飛散していること自体はあまり問題にならなくなります。

生成、飛散、発症の対策を加速化することはもちろんですが、国民のみなさんが花粉症で苦しむこと自体を減らしていく「曝露」の部分をどのようにすすめていくか。そして、国全体の花粉症対策は環境省が主導で進めていくのが良いのではないか、と思っているので、そのために、現在さまざまなアプローチを検討しています。

次回は、「防曝」でどのように花粉症を防ぐことができるのか、お伝えします。

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