2022.1.6

年金の仕組みと種類について

山田太郎事務所では、皆さんの年金に関するギモンを解決するため、複数の特設ページを設けています。

このページでは、年金の種類について説明していきます。

なぜ公的年金制度が必要なのか

私たちの人生には、自分や家族が年を取ったり、重い障害を負ったり、死亡したりなど、さまざまな要因で、自立した生活が困難になるリスクがあります。こうした生活上のリスクは、予測することができないため、個人だけで備えるには限界があります。そこで、これらに社会全体で備える仕組みが、公的年金制度です。公的年金制度は、あらかじめ保険料を納めることで、必要なときに給付を受けることができる社会保険です。

もし、公的年金制度がなかったら、私たちは、親の老後を仕送りなどで支えたり、自分自 身の老後に自分だけで備えたりする必要があります。しかし、自分が何歳まで生きられるの か、長い人生の間に、経済の状況や社会の在り方がどう変化していくのかは予測できません。個人や家族だけで対応しようとしても、必要な額の貯蓄ができなかったり、貯蓄のために必要以上に生活を切り詰めたり、家族や子どもに頼ることができなくなったりすることも起こるでしょう。これらに対しては、社会全体で対応した方が確実で効率的です。世代を超えて支え合うことで、その時々の経済や社会の状況に応じた給付を実現することができます。

このように、公的年金制度は、予測することができない将来のリスクに対して、社会全体 であらかじめ備え、生涯を通じた保障を実現するために必要なものです。

年金の仕組み

さて、次はいよいよ年金の仕組みについてです。

日本の公的年金制度は、「国民皆年金」という特徴を持っており、①20 歳以上の全ての人が共通して加入する国民年金と、②会社員や公務員等が加入する厚生年金による、いわゆる「2階建て」と呼ばれる構造になっています。

また、私的年金制度と呼ばれる、③公的年金と別に保険料を納め、公的年金に上乗せして給付を行う企業年金などの制度もあります。「私的」の名のとおり、企業や個人がそれぞれのニーズに合わせて活用するもので、いわば年金制度の「3階部分」に当たります。

なお、山田太郎事務所の年金アプリでは、公的年金制度のみを対象としており、私的年金制度は対象としておりません。

保険料は、働き方や暮らし方に応じて変わります。自営業者など国民年金のみに加入している人は、毎月”定額(2021年度では16,610円)”の保険料を自分で納めます。一方、会社員や公務員で厚生年金に加入している人は、毎月”定率(月収の18.3%)”の保険料を会社と折半で負担し、毎月の給料から天引きされます。専業主婦(夫)など扶養されている配偶者は、厚生年金制度全体で保険料を負担しているため、個人として保険料を負担する必要はありません。

老後には、全ての人が老齢基礎年金を、厚生年金に加入していた人は、それに加えて、老齢厚生年金を受け取ることができます。なお、老後だけでなく、重い障害を負ったときの障害年金や、一家の大黒柱が亡くなったときに残された家族に支給される遺族年金があります。(より詳しい年金の種類と計算方法については最後尾に記載しています)

保険料を納める:被保険者のタイプ

日本の制度では、原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は全員、公的年金制度に加入する必要があります。また、経済的な理由などにより、国民年金保険料を納めることが困難な場合には、保険料を免除する制度などがあります。

保険料を納める3タイプをおさらいしておきます。

① 第一号被保険者

日本国内にお住まいの20才以上60才未満で、第二号被保険者や第三号被保険者に該当しない人を指します。例えば、自営業者(フリーランスの人を含みます)、農業者・漁業者、学生及び無職の人とその配偶者(厚生年金保険や共済組合等に加入しておらず、第三号被保険者でない人)が対象となります。

② 第二号被保険者

一定の要件を満たす会社員や公務員、私立学校の教職員などを指します。この人たちは、国民年金の加入者であると同時に厚生年金の加入者にもなります。

③ 第三号被保険者

第二号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(主に年収が130万円未満の人)を指します。

年金給付の種類

〇老齢基礎年金・・・・第一号、第二号、第三号被保険者のどれに該当していたか関係なく、すべての人がもらえる老齢年金です。

保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、原則65歳から受け取ることができます。

<保険料について> 2021年度の保険料は月に1万6,610円です。賃金や物価の変動率に応じて、毎年改定されます。

〇老齢厚生年金・・・・厚生年金の加入歴がある人は、老齢基礎年金に上乗せして受給することができます。

<保険料について> 給与の18.3%を労使折半(会社が9.15%、被保険者が9.15%)で収めます。

〇障害年金・・・障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金で、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。病気やケガで初めて医師の診療を受けたときに国民年金のみに加入していた場合は「障害基礎年金」のみを請求でき、厚生年金に加入していた場合は「障害基礎年金」に上乗せして「障害厚生年金」も請求できます

※この年金アプリでは障害年金受給額の計算はしておりません。

〇遺族基礎年金・・・被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき、死亡した者によって生計を維持されていた、(1)子のある配偶者、(2)子に対して、780,900円+子の加算(子の加算 第1子・第2子 各224,700円、第3子以降 各74,900円)が給付されます(それぞれ2021年度の給付額)。

※この年金アプリでは遺族基礎年金受給額の計算はしておりません。

〇遺族厚生年金・・・被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき、あるいは、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したときに、死亡した者によって生計を維持されていた、妻子、孫に対して、本来の厚生年金受給額の3/4が給付されます。

※この年金アプリでは障害厚生年金受給額の計算はしておりません。

〇加給年金・・・厚生年金における扶養手当のような仕組みであり、厚生年金受給者が65歳になった時に、65歳未満の配偶者や18歳未満の子の生計を維持している場合に支給されます。

①本人の厚生年金加入期間が20年以上

②配偶者が老齢厚生年金や障害厚生年金を受給していないこと

③配偶者が65歳未満で生計維持関係にあること

④配偶者の年収が850万円以下であること

の4つを条件に、配偶者と第1子、第2子には年224,700円、第3子以降は年74,900円が支給されます。(それぞれ2021年度の給付額)

※この年金アプリでは加給年金受給額の計算はしておりません。

〇特別支給の老齢厚生年金・・・老齢厚生年金は、原則65歳から支給されます。しかし、生年月日や性別によっては、厚生年金の加入期間が1年以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、経過措置として60歳から64歳までであっても老齢厚生年金が特別に支給される場合があります。これをいわゆる特別支給の老齢厚生年金といいます。なお、経過措置として設けられた制度であり、男性は1961年4月以降、女性は1966年4月以降に生まれた人には支給されません。

※この年金アプリでは特別支給老齢厚生年金の計算はしておりません。

〇付加年金・・・国民年金第一号被保険者ならびに任意加入被保険者は、定額保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納めることで、受給する年金額を増やせます。

※現時点でこの年金アプリでは付加年金受給の計算はしておりません。

年金の計算方法

〇基礎年金の計算方法

〇厚生年金の計算方法

2002年度以前の年金額は、賞与を含まず、月給のみをベースに算定を行う仕組みになっています。この年金アプリでは、賞与は月給の3か月分と仮定した上で年金額をシミュレーションしています。一方、2003年度以降の年金額は、月給と賞与の年間合計額、つまり総報酬をベースとして、算定を行う仕組みになっています。

厚生年金は月給・手当などから算定される標準報酬月額、賞与から算定される標準賞与額をベースに保険料が課されますが、それぞれ上限額が定められています。標準報酬月額については65万円、標準賞与額については150万円が上限とされているため、高額所得者であっても納める保険料には上限が存在することになります。この年金アプリでは、標準報酬月額は65万円、標準賞与額は年間195万円(65万円×3か月分)という仮定の下、年間の総報酬額を上限975万円としてシミュレーションを行っています。

※平均標準報酬額とは、被保険者であった期間の標準報酬月額と標準賞与額の合計を被保険 者であった期間の月数で割った額です。

〇年金の繰上げ受給・繰下げ受給

老齢年金は、原則として65歳から受給することができますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間でも繰り上げて受給することができます。これが「繰上げ受給」です。しかし、繰上げ受給の請求をした時点で減額され(月単位)、その減額率は一生変わりません。減額率は1月ごとに0.5%(2022年4月以降は0.4%)で、60歳から受給する場合は30%(2022年4月以降は24%)減額されます。

一方、希望すれば66歳以降に繰り下げて老齢年金を受給することができます。これが「繰下げ受給」です。繰下げ支給の請求をした時点の年齢に応じて年金額が増額され(月単位)、その増額率は一生変わりません。増額率は、1月ごとに0.7%で、70歳から受給する場合は42%増額されます。なお、現在は70歳までしか繰り下げることができませんが、2022年4月からは繰下げ受給の上限年齢が引き上げられ、75歳まで繰り下げられることになります。

山田太郎事務所の年金アプリでは、様々な選択肢を知っていただくべく、60歳から受給する場合、65歳から受給する場合、70歳から受給する場合のシミュレーション結果を自動で表示します。なお、このアプリでは60歳から繰上げ受給する場合の減額率を0.4%として計算しています。

関連記事