2022.4.25
こども政策の充実とこども基本法の制定に向けて決意をあらたに
3月29日、日本財団主催の「平井伸治鳥取県知事とともに考えるシンポジウム ーこどもの視点にたった政策とはー ~こども政策の充実と、こどもの基本法の制定に向けて~」に登壇しました。
鳥取県を皮切りに山形県、福岡県、岐阜県の4都市で開催される本シンポジウムは、国会議員、地方議員、自治体、こども支援を行う民間団体と共に、こどもの権利を基盤とした施策の内容や、こども家庭庁に期待することなどについて議論する予定です。初回の今回は、鳥取県でこどもの貧困対策やヤングケアラー対策に取り組む民間の方に加えて、地域のこどもたちがビデオ登壇し、自身の経験から意見を述べてくれました。
当日のシンポジウムはこちらから御覧いただけますので、是非ご覧ください。
https://youtu.be/2lmTZ9GSi98
冒頭の基調講演では、自見議員が今まで実施してきたこども家庭庁創設に向けての取り組みの紹介と今後に向けた「こども真ん中社会」実現への想いを語りました。
自見議員の基調講演の一部を紹介します。
「子どもたちを取り囲む負の課題とその関連省庁が様々に分かれ、一元的に司令塔になる省庁がないという問題は、勉強会でも折に触れ示してきました。その中で、特にコロナ禍により浮き彫りとなった子どもたちの課題として、児童生徒の自殺者数が統計開始以来過去最多の499人であること、妊産婦の死因1位が自殺であること、ひとり親世帯の貧困率が50%であること、そしてOECD38カ国のうち身体的幸福度は1位であることに反し精神的幸福度は37位です。こうした課題が浮き彫りになったにも関わらず、日本は諸外国と比べて子ども予算は対GDP比1.5〜1.7%と非常に少ないことがわかっています。
「これでいいの?」という大きな疑問を解決するために、こども家庭庁創設に動き出しました。2021年の2月2日、第一回のChildren Firstの子ども行政のあり方勉強会実施から、「政局ではなく政策だけを考えたい」という想いを持ち、専任大臣、強い権限、予算倍増の大きな3つの目標を掲げてきました。
私たちの勉強会の特徴は、毎回必ず専門家や当事者の話を聞くこと、一般市民や地方議員、地方公務員の声を聞くこと、問題意識を国ではなく子どもがいる市区町村であり都道府県であるということを見失わないようにするために、市区町村から実施していき良ければ国が認めるというような逆のPDCAサイクルを回していくことを提案してきたことです。
Children First勉強会の第二次提言では、目指すべき社会像として「すべての子どもたちが愛されてすくすく健やかに育ち、のびのび活動し、自己表現し周囲と連携しながらたくましく生きていく」、愛育・育成・成育の視点を基盤としたものであることを示してきました。そのために縦割り・横割り・年代割りを廃していきます。
また自民党総裁選に先立ち4名の候補者と公開討論会を実施した際には、平井知事が全国知事会長としてもご参加くださり、次を担う政権に何を求めるかという提言に「こども庁を作ってください!」という内容を盛り込んでくださいました。地方からも求められているということが示された、非常に大きなポイントでございました。
岸田総理の内閣総理大臣施策方針演説の中では、「こども政策を我が国のど真ん中に据えていくため、こども家庭庁を創設します」と明言され、こども家庭庁の組織図案や文科省との密な関わりについてもグラデーションで切れ目のない支援の実現に向けたイメージを示されました。
またこのシンポジウムと同日にまさにこども基本法の条文審査を実施しておりました。こどもまんなか社会の実現のための基本理念となること、こども政策の一元化を目指して検討を進めております。」
次のパネルディスカッションでは平井知事、鳥取県議会議員の松田正さん、ワーカーズコープさんいんみらい事業所長の株本俊夫さん、NKCナーシングコアコーポレーション合同会社代表社員の神戸貴子さん、基調講演もいただいた日本子ども虐待防止学会理事の奥山眞紀子さん、自見議員、そして私山田太郎がパネラーとして参加いたしました。
ワーカーズコープさんいんみらい事業所長の株本さんからは、鳥取県東部での放課後児童クラブや児童館、こども食堂等の取り組みについて発表がありました。取り組みの背景には地域の大きな課題があり、事業所内の連携はもちろん、“他人事にしない“地域との支援連携が重要であるとの提言がありました。
また、こども庁に対しては「子どもたちの声を聴くこと、手を差し伸べ成長を応援できる仕組みづくりについて期待している。特に子どもたちの貧困については、子ども自身の問題だけではなく背景にさまざまな阻害要因があるが、そこを複合的・横断的に支援していく機関であってほしい、官民問わず関係機関・支援団体との連携を図るハブとなるような機関であってほしい」との提言をいただきました。
NKCナーシングコアコーポレーション合同会社代表社員の神戸さんからは、ヤングケアラーLINE相談窓口を設置されている中での現場の状況をお伝えいただきました。LINE相談窓口では、年中無休で毎日18時〜23時まで開設し、看護師やケアマネージャーが対応されています。
ヤングケアラーの問題について「相談窓口の存在がわからない・相談しても解決しそうに感じられない・相談したくないという3つの問題から介護支援・社会保障の情報が得られず、深刻な悩みを家庭内に抱え込んでしまう。そこで、介護負担を地域で分散するような施策を考えるため、学校教育に“ライフプランニング“を入れること、ヤングケアラーや若者ケアラー家庭を対象とした訪問ヘルパー事業を充実させることが必要である。という発表がありました。そうすることで介護離職者もヤングケアラーも減るのではないかという取り組みです。
また、周囲の大人の価値観で子どもたちにケアを強制するような例も散見されています。「昔と今の近隣・親戚づきあい等環境は変わっているのだからこうした大人への啓発活動は重要なものであるが、同時にやはりこども自身も自分の力で情報を取りにいく力を育む必要がある。こども政策で必要なのは、学校教育の中で社会保障制度を学ぶことができたり、自分のライフプランニングができるような子どもへの教育だ」とのご指摘がありました。
松田県議からは長らく地元で議員としてChildren Firstの政策を掲げて活動をしてこられた経緯についてお話がありました。未来を担う子どもたちを守りたいという想いから市政に挑戦され、保育園・小中学校のセキュリティー向上や防犯ブザーの配布、子ども関連施策のワンストップ化、子ども総本部の改組を推進され、こども庁創設に向けてはChildrenFirstの勉強会地方議員連絡会の中国ブロックの世話人として参画いただいておりました。
原点をChildren Firstに据え、ぶれることなく進まれてきた松田議員からも、こども庁創設に向けて「特にベビーシッターや児童相談所でわいせつ事件が未だ発生していることから、日本版DBS制度を実施検討することに大きく期待している。諸外国の先進事例に倣い、子どもたちを狙った凶悪犯罪を根本的に解決すること、被害にあった子どもの権利を何より守っていくことを目指していきたい」という提言をいただきました。
私からは、イギリス・ドイツ・北欧・フランス等の先進的な仕組みを学んだ経験から、日本の児童養護施設や児童相談所の仕組みの遅れを実感し児童養護に関わってきたこと、日本財団さんと行なってきた障がい者の就労支援について、現在国立国会図書館のデジタル化を推進しておりそこで障がい者の方の自立・就労支援を実施しようとしていることを紹介しました。
こども庁の創設に関しては当時の菅総理のもとに私自身が「こども庁の私案」をもっていったことから始まりました。菅総理含め官邸にて大変興味を持っていただき、後日改めて直接ご説明にいきました。このチャンスを逃してはいけないという強い思いから、自見さんと相談し昨年の2月2日に第1回目の「Children First こどもの行政ありかた勉強会」を開催し、合計30回の勉強会の中で地方議員の方々と一緒に、こども庁の中身を議論し作りあげました。
こども庁創設に向けてこれだけスピード感を持って進めてこられた背景には、48,000件(17,000人)の方からのアンケート結果が大変大きく、党内でも話題となりました。こども庁は市政の皆様と創り上げてきたと言っても過言ではない仕組みです。
また、鳥取県内の子どもたちから将来の夢や、県・こども庁に期待することについてのビデオメッセージをいただきました。夢に向かっていく手前の心配事・不安事や大人への期待を子どもたち自身の言葉でそれぞれの挑戦を目指して届けてくれた素晴らしいものであったと思います。
最後に、子どもど真ん中の社会を実現するために、4都市共通の宣言をおこないました。
- わたしたちは、こどもの権利を基盤とします。
- わたしたちは、こどもの最善の利益を第一に考えます。
- わたしたちは、子どもの声に耳を傾け、その意見を尊重することに勤めます。
またそれぞれのパネリストからの宣言も紹介しました。
改めて、子どもたちは市区町村、都道府県にいます。
国だけで議論をしても意味がありません。現場である市区町村、都道府県がどのように子どもと向き合っていけるのかを考えていく上で、地方地域で今回のシンポジウムのような機会を設けることの大きな意義を実感しました。今後も全国で実施していきますので、一人でも多くの皆様にご参加いただきたいと思っています。
【今後の予定】
山形市 5月14日(土)13時~15時 山形テルサアブローズ
申し込みはこちら https://nf-kodomokatei.jp/news/220421.html
福岡市 5月30日(月)10時~12時30 福岡市科学館サイエンスホール
岐阜県 4月~5月頃 未定
※詳細はこちらをご覧ください
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