2022.5.16
精神障がい、発達障がい者もIT人材で活躍、インクルーシブな現場がここにある!デジタルハーツ視察報告
2022年4月13日、知的障がい者の特性を生かして協業社会を実現する企業「デジタルハーツ」の視察に行ってきました。この「デジタルハーツ」は私が目指す「協働社会」の事例となる取り組みをしていますので、皆さんにもご報告をいたします。合わせて、私が公約に掲げる「ハートフルポイント制度」について紹介します。
■デジタルハーツとは?
株式会社デジタルハーツとは、デバックテスト、サイバーセキュリティを行う東証一部上場の企業です。デバックとは、ゲームやデジタル機器をユーザー目線でチェックする仕事のことです。若者のゲームのチェック機能の才能を発掘し、国内ゲームのデバックシェア1位、全国13拠点、海外5拠点に拡大しています。そして、ゲーマーはサイバーセキュリティに必要なスキルを備えていることを活かして、正義のハッカーを発掘、育成しています。
資料)株式会社デジタルハーツ
経済産業省「未来の教室」実証事業では、約250名の高校生を対象にサイバーセキュリティ研修を実施し、高校生ハッカーも誕生したそうです。
資料)株式会社デジタルハーツ
■精神障がい、発達障がい者をIT人材へ
発達障がいは見えない障がいなので、気づかれないまま、社会になじめず、引きこもりになってしまうケースやうつ病等の合併症になってしまうケースも存在します。現在、我が国において引きこもり状態にある人材は、15歳から39歳で54万人、40歳から64歳で61万人に上ります。また、精神障がい者も増加傾向で、2002年は140万人でしたが2017年は206万人に増加しています。精神障がい者の方は環境が整えば活躍できる可能性も十分にあると思いますが、その環境や選択肢は決して十分とは言えません。
写真)意見交換の様子
そのような人材が眠る中、現在日本のIT人材は80万人不足していると言われています。デジタルハーツでは「IT分野は知的障がい者の方がパフォーマンスが高いのでは?」という仮説から、異能が輝くことを証明しよう!と法定雇用義務達成に向けた制度である、特例子会社「デジタルハーツプラス」を設立しました。現在30名程度の従業員のうち、精神・発達障がい者23名(ASD、ADHS、うつ、双極性障害、統合失調症)、身体障がい者1名の方がIT人材として活躍しています。
今回視察した場所は、ひきこもり等、就労困難なIT未経験者にサイバーセキュリティ研修をして定着サポートを行いながら、ウェブサイトやアプリケーションの診断業務に従事することができる新拠点です。セキュリティの関係から写真は掲載できませんが、みなさん大変高い集中力で黙々と仕事をされていました。
■私が考えるビジョン、ハートフルポイント制度
現在の日本では、障がい者は弱者視点で、施される存在とされています。しかし、私が目指すべき社会は、「協働社会」(インクルーシブ社会)です。これまで川崎の日本理化学工業(チョーク工場)や、東京コロニー、AlonAlonなどを視察させていただき、知的障がい者の方の特化した才能を発揮できる企業環境に大変感動しました。私は、まさにこれが目指すべき社会だと思います。
そこで、私は「ハートフルポイント制度」という仕組みを提案しています。現在、障がい者雇用については、一定の企業には2.3%以上の法定雇用率が設けられています。しかし、障がい者を雇うのが得意な企業とそうでない企業や職種があるのも事実です。実際、多くの民間企業や官公庁で未達であったことが報告されています。また、環境が整っていない企業での労働は障がい者にとってもストレスになります。
そこで、障がい者の雇用が得意な会社が不得意な会社の雇用を補う分、得意な会社の生み出したサービスや商品を買ってもらう仕組みが実現できないか、と検討しています。具体的には、障がい者が提供する商品やサービスを、法定雇用率が不足している企業が購入するとポイントが付与され、そのポイントが不足している法定雇用率の計算に考慮されるという制度です。障がい者が働きやすい環境である業種・業態の職種の企業は、製品やサービスの提供に力を入れ、売上が上がることで、より障がい者の雇用や賃金上昇等へつなぐことができます。また、障がい者には厳しい職種・職場環境の企業は、それらの製品やサービスを優先的に購入することにより、障がい者雇用を間接的に支えます。この制度を私が「ハートフルポイント制度」と呼んでいます。障がい者雇用を、企業・社会全体で支える仕組みを実現するために、具体的な方策を探っています。