2022.12.12

消費者問題に関する特別委員会:消費者契約法、法人寄附不当勧誘防止法(2022年12月9日)

○山田太郎君 自民党の、自由民主党の山田太郎でございます。  私自身、二〇二〇年頃からこの宗教二世の問題というのは取り組んでおりまして、児童虐待の一類型ということで積極的に関わってまいりました。これまで、実は小川さん も何回かお会いさせていただいて直接何度もお話しさせていただきましたし、十五名以上の二世の方々と接してきていました。

そんな中で、やはり今回の法案、急ピッチでいろいろ議論をしてきたんですが、確かに課題もすごく多いですし、今日、参考人の皆さんの方からは、本当にこれで子供が救えるのかということの御指摘があると思います。そういった意味で、その辺りをしっかり、今日、質疑で皆さん、参考人に聞いていきたいと、こういうふうに思っております。

まず、問題意識としては、多分、マインドコントロールというか、信者のこどもというのは親権の下にいるので、どうやって保護すればいいのか。今回は、財産を取られたものを取り返すということが中心で議論をされたんですが、本来は、子供の場合ではまず保護されなければならないのではないかと、こんな問題意識もあると思います。

そこで、そういった意味で、今回の、消費者生活相談協会さんが、示唆として是非、増田理事長からお話しいただきたいんですが、そういう子たちからの相談というのはどこにどうつないでいくのかと。  現実的には、こどもを親権の下から一旦切り離そうと思うと、児福法の三十三条というような非常に限られた状態、しかも、児相が協力しなければ非常に難しい、弁護士も関わっていかなければならないということだと思いますが、現実的に、その相談員がきちっと宗教のそういった問題や親権に関して理 。

○参考人(増田悦子君) 御質問ありがとうございます。  現状では、その辺りの連携が不十分、ほとんどないというふうに考えております。消費生活相談という枠組みから離れることになりますので、それをどういうふうに対応するかというところが全国のセンターの方には周知徹底はされていませんので、そういう連携を、受け止めるところをきちんと案内できるような整備をしていただくこと、それから、相談員の方にそういう意識付けを研修などでするということが必要だというふうに思っております。

○山田太郎君 あっ、失礼しました、もう一つ、個人情報保護との関係というのも非常に大きいと思っておりまして、いわゆる個人情報に当たるケースが多々あると思うんですね。その場合に、その相談センター、それから、その内容を行政につなぐとか、行政とも協力していく、要対協みたいな形になって、もう要保護児童という形になれば何とか対応できると思いますが、宗教虐待に遭っているのではないかという状態の中で、その情報を自治体等も含めて、あるいはNPO等の関係も含めて、いわゆるその情報を連携するというのは非常に難しい状況にあると思いますが、その辺りも教えていただけますでしょうか。

○参考人(増田悦子君) 今、高齢者の見守りネットワークという制度がございます。それは、高齢者の被害を自治体とそれから見守りネットワークの方で共有して見守るということをしておりますので、その枠組みの中に、そういう子供の虐待の情報とか、そのようなものが入ってくるということはできるのではないかなというふうに思っております。そこでは、やはり法律を踏まえた個人情報の問題というのもきちんと整備されておりますので、そういうことがあればできるかなと思っております。

○山田太郎君 次に、阿部弁護士にお伺いしたいというふうに思っております。

実際に裁判をしなければこれは救えないんじゃないかということだと思いますが、阿部弁護士の方からも御指摘がありましたように、こどもは非常に裁判を起こすのが難しいということだと思います。現実的に、保護された場合にどういうふうにして裁判を行うのか、これまでもそんなケースが現実的にあったのかどうか、そこをしっかり整えないと難しいと。しかも、先ほど申し上げましたように、債権者代位権の問題というのは、親との関係もありますし、親権との関係もありますので、非常に複雑だというふうに思います。保護されたこどもがいろんな状態にあると思いますが、例えば親戚に預けられているケースもあれば、もしかしたら児相に保護されているというケースも幾つかあると思います。

具体的なケースで、実際にこの法律を使って債権者代位権等を含めて子供たちを守っていく、将来の養育費をきちっと担保させるということは現実的に可能なのかどうか、その辺りの今の実務。それから、もしそれをやっていくためには、改めて、見直し規定も今回置いているんですが、何に迫らなきゃいけないのか、教えていただきたいと思います。

○参考人(阿部克臣君) まず、こどもが弁護士のところにたどり着かなければならない、特に小さいこどもですね。小さいこどもが弁護士のところにたどり着けるのかという問題がありまして、特に小さいこどもですね、小さいこどもが自分で気付いてというのはなかなか難しいと思いますので、こどもに接する立場にある方、学校とか医療関係者とかそういう方々が最低限のこの宗教被害の理解を持っておくと、そういうことが必要じゃないかなというふうに考えておりまして、そういう方が気付けば、弁護士会の子供相談窓口とかそういうところにつないで弁護士につなぎ得る可能性があると、そういうふうに考えております。  

今回の家族被害を救う制度、債権者代位権、これを使った場合にその子供を救えるかということですけれども、正直なかなか難しいところがあると思っておりまして、まず、特にその信者、両親二人とも信者の場合ですね。  

両親二人とも信者の場合は、子供が債権者代位権を行使しようとしても、その親権者として同意しないだろうというふうに思われまして、その場合どういう手続を取るのかということになると、ちょっとそこら辺よく分からないんですけれども、恐らくは家庭裁判所に未成年後見人の申立てをするということになると思いますが、そうすると、その要件として、親権者がいないか、又は親権者が管理権を有しないということが要件になって、ただ、親権者というのは現にいますから、そうすると、その親権者の親権の停止とか喪失の申立てを恐らくすることになるのかなと思うんですけど、そうすると、その親権の停止とか喪失の申立てというのは一般的に虐待とか遺棄とかそういうことが想定されていると思うので、親権者として代位行使に同意しないということがその親権停止の要件に当たるのかと、そこら辺がなかなか難しいんじゃないかなと思いまして、あとは、特別代理人の選任の申立てというのもちょっと想定されているようなんですけれども、具体的な手続としてはよく分からないところがありまして。  

いずれにしても、家庭裁判所ないし裁判所の手続というのが前提段階として必要になるということになりますので、かなり現実的には使うのが難しくなってくるというふうに考えています。

○山田太郎君 実は、本件は党内でもかなり議論をしたんですが、多分、代位権を行使しようというふうに思うのであれば、一旦は保護されて切り離されていないとなかなか難しいだろうといったことがあります。そうなると、今度シェルターみたいな問題になるんですけれども、御案内のとおり、親権がありますから、単に民間のシェルターでは誘拐の扱いになってしまうと。おじいちゃん、おばあちゃんですら、信者が二人、お父さん、お母さんの場合には難しいだろうということで、是非これは我々国会で早急にまた改めて議論しなければいけないんではないかと。今回の法律の議論ののりは越えてしまっていますので、もうちょっと児童福祉法の観点であったりとか、あるいは親権ということであれば民法にまで抵触する問題でありますので、その辺りを今後の議論を併せてする必要があるんじゃないかという問題意識も持っております。

それからもう一つは、これは是非、宮下先生の方にもお聞きしたいというふうに思いますが、逆に、かなり今回頑張った部分もあるとは思っているんですが、やはり憲法の問題からは財産権の問題であったりだとか、あるいはNPOの方から、今回の寄附が非常に、寄附行為ということが結局いろんな幅広く問題になってしまうのではないかということで、一方でバランス取れているのかどうかという指摘もありましたが、その辺りの論点も含めて評価を是非いただきたいと思っております。  

特に、そのバランスを今度、逆に行き過ぎた法律になっているのも問題でありますので、ここに関してはきちっと注意しておかなければならぬのだということを指摘いただければと思います。

○参考人(宮下修一君) 御質問ありがとうございます。  今お話がありましたように、この法律というのは、やはり法人、それから団体ですね、全体的にカバーする法律であると。そのところで、やはり一般的に禁止行為というのを広げてしまうと、これは寄附というのも今団体を支える文化ということであるわけですから、それを全て制約するということになってしまうとなかなかこれは動きが難しくなると。  

そういう意味で、今回、三条で配慮義務と、四条で禁止行為ということで、勧誘という場面でこの禁止ということを限定して取りあえずはやりつつも、しかし、それを補完する意味で配慮義務という形で導入している。  

この配慮義務というのは、三条一号から三号までですね、やはりこれはどのような団体であっても、恐らくこれは寄附として、寄附を受けるときには注意しなきゃいけないということでありましょうから、そうすると、ここのところ、配慮義務という形で、今回、十分に配慮という形で、十分にという言葉も入りましたけれども、一段慎重にやらなきゃいけないというところでこういう義務が入っていると。

ここは、これについて直接法的な効果がないではないかという意見もあるかもしれませんが、私は、ここは、やはり団体とか法人の活動を支える上ではぎりぎりの線なんだろうというふうに思っております。逆に言えば、ここまでよく踏み込んでやったという部分もあると思うんですね。一号、それから三号辺りは、やはりなかなかそう簡単には今まではできなかったというところを踏み込んでやっている部分というのがある。これは配慮義務という形でありますけれども、ここは十分評価に値するのではないかなというふうに考えております。  以上でございます。

○山田太郎君 次に、小川さんにお話を聞きたいというふうに思っております。  小川さんからも、私、直接幾つかお話しさせていただいたり、いろんな提言を党内でも届けるために一緒に活動をやらせていただいたんですが、率直に今回の法律に関する評価をいただきたいのと同時に、やっぱり小川さんの場合は、脱会できたというか、両親が信者にもかかわらず、非常に難しい状況の中で今こうやってある種立っていらっしゃって、勇気を持ってここにも参加していただいているんですが、その辺りのコツ、コツという言い方がいいかどうか分からないんですけれども、やっぱりそうなれない方もいると思うんですね。  

それで、その人たちのために、経験から、何をその子たち救うためにやらなきゃいけないのか。逃げ場が必要なのか、相談するところが必要なのか、法律的な担保が必要なのか、弁護士さんが必要か、あらゆるものがあると思いますが、何から我々はやらなきゃいけないのか、その辺りも含めて、是非、小川さんの経験から教えていただきたいと思います。

○参考人(小川さゆり君) ありがとうございます。  まず、皆さんも申し上げているとおり、私も先ほど申し上げたとおり、宗教二世だったり未成年の方々、信者の方々が本当にちょっと救われない、ハードルが高い。裁判で未成年が訴えることはできるのかと、そこは私もすごくちょっと難しいなと疑問に思っている部分が正直あります。ただ、そこがやはり財産権の問題だったりとか、先ほども山田先生申し上げていた親権の問題、シェルターに行ったら誘拐扱いになるのかとか、いろんなちょっとハードルがあって難しい部分はあると思いました。  

なので、やっぱりせめて献金している本人を、しっかりとその返金が認められるようなものが作られてほしいと、そこだけでもと私は思うんですけれども、その上で、やっぱり配慮義務の部分、この一番、二番、三番の、自由な意思を抑圧し、適正な判断をすることが困難な状況に陥ることがないようにと、この三つなんですけれども、どれを見ても本当に違法な方法、悪質であることがもう明白で、やっぱりここをしっかりと禁止規定にしてほしいなと思いました。信者さんが訴えた際に、やっぱりここはしっかりと禁止されていることで、より裁判に実効性があるかなと思いました。  

そして、脱会するために、そういった被害を受けている方が、そして二世の方ですね、気付いて、何が必要なのかという部分なんですけれども、やっぱり自分が当時本当に一番つらかったのが誰も相談できる人がいなかったということで、社会的にもこの宗教の問題というのがやっぱり認知されていなくて、それで私は一応行政にも相談に行ったことはあるんですけれども、もう本当にちょっと首をかしげる感じで、分からないんですね、全く。そしてまた、その宗教に対しての本当知識がない。そして、じゃ、どこまで味方できるのかといっても、やっぱり、親はもう信者ですから、私の場合、両方が信者ですから、親を説得するのは難しいですし、宗教組織を、じゃ、その相談員の方が敵に回すこともできないですし、なので、やっぱり私自身も、この問題をもっとマニュアル化して、行政の方々、相談員の方が理解できるような、そういった理解のある社会の、そういった社会に変わっていってほしいなというふうには今も訴えております。  

なので、政府の方々には、そういった何か相談ができる支援体制の強化というか、理解というか、そういうものを充実させてほしいということですかね。  以上です。

○委員長(松沢成文君) まとめてください

○山田太郎君 我々、まだまだやらなきゃいけないこと、特に子供を救済するということでは早急にやらなきゃいけないことがまだあるんだということがはっきりしたんじゃないかなと思います。  以上です。ありがとうございました。