2021.6.5
自民党「こどもまんなか」改革の実現に向けた緊急決議!!
私(山田太郎)が幹事を務める、自民党の総裁直属組織『「こども・若者」輝く未来創造本部』の会合が今日6月3日に行われ、『こどもまんなか』改革の実現に向けた緊急決議が取りまとまりました。
私が事務局長を務める自民党有志の「Children Firstの行政のあり方勉強会」で取りまとめた提言もかなり反映いただきました。自民党内で、子どもたちのためにこの決議が取りまとめられたことは大変大きな意味があります。しかし、これはスタートです。今後は、この決議の内容が前進するよう邁進していきます。
決議の全文は下記の通りです。是非ご覧ください。
写真)会合の様子
写真)記者会見の様子
写真)記者会見の様子
写真)自見はなこ参議院議員、私(山田太郎)
「こどもまんなか」改革の実現に向けた緊急決議
自 由 民 主 党 「こども・若者」輝く未来創造本部
こども・若者を取り巻く状況は、深刻さを増している。児童生徒の自殺者数 は過去最悪となり、児童虐待やいじめの問題は益々悪化している。出生数の減 少は予想を上回るペースで進行し、人口減少に歯止めがかからない。新型コロ ナウイルス感染症は、こうした問題をより顕在化させた。 こうした強い危機感に基づき、自由民主党においては、「こども・若者」輝 く未来創造本部を設置した。本部では、「こどもまんなか」という考え方の下、 行政や事業者の立場からではなく、こどもの視点、こどもの目線で、こどもた ちが生まれる前の段階から、産まれ、育ち、学ぶ、それぞれの段階ごとに光を 当て、こども政策を作り直すために議論を進めてきた。 これまでも政府は様々な少子化対策等を講じているが、残念ながらその成果 が表れているとは言い難い。この点は責任与党としても真摯に反省しなければ ならない。少子化対策担当大臣経験者にもヒアリングを行い、これまでの取組 みについての振り返りも行った。この結果も踏まえ、もはや我が国社会の存続 が危機的状況にあるという認識の下、こどものための政策のあり方を、抜本的 に改革しなければならない。これは政治の責任であり、役割である。 1996 年の省庁再編時には、「国家の4つの機能」として、「国家としての存続 機能」「国富の拡大・確保機能」「国民生活保障機能」「教育・文化継承醸成機 能」が前提とされていた。まず私たちは、現下の我が国社会の危機に際し、国 家の5つ目の機能として「社会の存続支援機能」を加えるべきであると考える。 具体的には、こどもをまんなかにおき、こどもの権利を尊重し、こどもの命 や安全を守る政策を強化する。さらに、家庭、地域、保育所、幼稚園、学校、 自治体、さらには親や養育者の就労環境や社会におけるジェンダーギャップ解 消への取組みも含め、こどもを取り巻くあらゆる環境も視野にいれる。こうし たこどもの成育、成長過程の全体について、国としての責任の所在を明らかに し、予算や人材といった資源を思い切って投入する。 そして行政・政治・社会全体に「こどもまんなか」という考え方を浸透させ ることにより、全てのこどもがすくすく健やかに育ち(愛育)、のびのび学び 活動(育成)し、たくましく生きていく力を身につける(成育)ことができる 社会を目指す(イメージ図参照)。
図:「こどもまんなか」改革のイメージ (出典:Children First の子ども行政のあり方勉強会)
その成果として、温かい家庭を築きたいと願う人々の想いに寄り添い、長ら くの課題である待機児童問題を解消し、児童虐待やいじめはすべて隠すことな く、速やかに対応する。こどもの貧困や、その他こどもが直面するさまざまな 課題も解決し、我が国に生まれくる全てのこどもたちの幸福につなげる。 政府に対しては、「こどもまんなか」の実現に向けた強力な総合調整機能を 有する行政組織としてこども庁(仮称)を創設することを含め、下記について 「骨太方針2021」に盛り込み、速やかに実現することを求める。
1. こども政策に関するデータ収集分析能力を向上させ、EIPP を確立すること
深刻化しているこどもの貧困や児童虐待、重大ないじめ、こどもや産後の 母親の自殺といった課題に対する行政の対応は、必ずしも成果に繋がってい ない。その原因として、こどもに関する施策の立案や実施において、厚生労 働省・文部科学省・内閣府などのタテ割りの壁、各省庁・各都道府県・各市 町村のヨコ割りの壁、さらには妊娠・出産・産後や、就学前後、成人前後に 見られる年代割りの壁があり、こどもや家庭の目線に立った相互の連携や情 報共有、評価などを困難にしていることが指摘されている。 こどもを取り巻く喫緊の課題に迅速かつ適切に対応するためには、そうし た課題に関するデータの収集、分析能力を飛躍的に向上させ、統計を充実さ 3 せるとともに、これをPDCAに確実に活かし、エビデンスに基づく政策立案と 実践(EIPP: Evidence Informed Policy and Practice)を確立することが必要 である。政府の施策の改善に活用するのみならず、こどもに身近な自治体や 施設のレベルにまで適切にフィードバックする体制を構築しなければならな い。この実現に向けては、イギリスにおける教育水準監査局(Ofsted: Office for Standards in Education) の取組み等を研究すべきである。 また、「こどもまんなか」実現に向け、こどもの視点からの施策の展開お よび評価ができるよう、こどもやケアリーバー(社会的養護経験者)など当 事者から直接意見を聴くため、こども会議やこどもヒアリング、こどもコミ ッショナー等といった手法を含めて検討すべきである。また、子育て中の保 護者をはじめこどもの周囲の方々の意見を聴き施策に活かす方策も検討する。
2. こどもや子育て世代が抱える様々な課題1に早急に対応すること
女性の健康、結婚、妊娠・出産、産後ケア、そしてこどもの成育過程まで を含むすべての段階において、こども、女性、男性、子育て世帯への包括的 な支援を充実させる。不妊治療の保険収載や支援拡充を図る。産後ケア事業 の全国展開や普及啓発等を通じ、こどもとその保護者等(里親を含む)との 間の愛着の形成を促進する。男女が望むだけのこどもを持ち、女性が安心し てこどもを産めるよう、家事育児の分担や仕事と家庭との両立など、あらゆ る障害を取り除くための政策を強化する。母親に限らず、父親を含め身近な 養育者への支援も必要であることについて、社会全体で理解を深めていく。 外あそびの環境整備やさまざまな体験活動の推進を通じ、こどもがのびの びと遊び、学ぶことができる環境を充実させる。待機児童問題を解消する。 幼稚園、保育所、認定こども園の施設類型や、それらに通っていないこども も含め、就学時の学力や育ちの格差を生じさせず、全体として底上げする方 策を検討する。 こどもの貧困、児童虐待、重大ないじめ、自殺、孤独・孤立などこどもが 抱える課題は早急に解決を目指すべきである。さらにこれらの課題が結果的 に教育格差につながるとともに、教育格差が新たな問題を生む負のスパイラ ルの要因ともなる。これを断ち切るためには、全てのこどもに教育および福 祉の政策の効果を行き渡らせなければならない。 まず学校現場において、課題を抱える児童に対するチームアプローチ、ア ウトリーチ、ICTやAIを活用したアプローチを導入するほか、スクールカウン セラーやスクールソーシャルワーカーの育成と配置を急ぎ、予防、早期発見、 相談・支援の充実などにより、より実効的にこどもの悩みなどの解決につな がるような取組みを促進する。それらにより、学校の教員が教育そのものに より専念できるようにする。同時に、児童相談所を含めたこどもや家庭等の 福祉的な支援体制を抜本的に充実強化すべきであり、自治体や現場を含めた 人員・体制を強化する。現場におけるさまざまな相談窓口を連携させ、ワン ストップで必要な支援に繋げられる体制を目指す。また、不登校やひきこも りへの支援の拡充、放課後児童クラブおよび放課後子供教室の一層の連携と 充実等の「小一の壁」対策の推進、こどもの安全を守るためのスクールバス の導入促進、包括的な家族政策の充実、こども食堂・こども宅食への支援の 充実やあらゆる場や機会に応じた食育の充実、ヤングケアラーの支援のため 相談や支援体制の充実、当事者やこどもの意見を専門的な見地から聞くアド ボケイトの導入など一時保護の見直し等を図るべきである。 こうした課題の解決に向けては、NPOをはじめ民間法人の工夫を活かすこと も考慮すべきである。 欧米の先進事例を踏まえ、こどもを性犯罪から守るための府省庁横断的な 日本版DBS(無犯罪証明書:Disclosure and Barring Service)等の導入や、こ どもの死因の究明を行い事故等の予防につなげるためのCDR(Child Death Review)の導入、ネウボラ等について早急に検討する。 また出産前から妊婦に寄り添うLMC(Lead Maternity Carer)の導入、小児 のホスピス、包括的性教育(CSE: Comprehensive Sexuality Education)とい った事例についても参考にすべきである。
3. こども政策を実現するために十分な予算を確保すること
こどもに関する困難な課題に直面する現場の方々を勇気づけ、こども政策 を着実かつ機動的に進めるためには、そのための予算を十分に確保する必要 がある。こどもへの支出は未来への投資であり、社会を健全に維持するため に必要であることを広く国民に理解を求め、安定的な財源を確保しつつ、こ ども政策への支出を欧州並みに大幅に拡充すべきである。 その際には、「こどもまんなか」の考え方の下、こどもの貧困や、ジェンダ ー対策、障害がある児童や医療的ケアが必要な児童の支援、教育に要する費 用を含めた子育て中の家庭の負担の軽減といった点にも幅広く目配りをし、 これらを支援する十分な予算を確保することが必要である。 また、住んでいる地域や自治体によって、格差が生じたり、取り残された りすることのないよう、国と地方自治体が一体となって現場の取組みを積極 的に支援する方策についても検討すべきである。 国、都道府県、市町村の連携、自治体間の連携の強化を図り、こども政策 に関するデジタル化を進めることも重要である。 なお、安定的な財源のあり方については、かつてわが党で議論された企業 も含め社会・経済の参加者全員が連帯し公平な立場で広く拠出する枠組みの 検証や、その他の手法も含め、幅広く検討を行うことは重要である。
4. 「こどもまんなか」の実現に向けた強力な総合調整機能を有する行政組織 として、こども庁(仮称)を創設すること
以上に記したような政策について、「こどもまんなか」の実現に向けて効果 的に推進するためには、現在、各府省が個別に実施している政策、予算、法令 について、網羅的・一元的に整理・把握する必要がある。医療・保健・療育・ 福祉・教育・警察・司法等の各分野における子ども政策について、タテ割りを 打破し、省庁横断で推進すべきであり、妊娠前から、妊娠・出産・新生児期・ 乳幼児期・学童期および思春期の各段階を経て、おとなになるまでの一連の成 長過程を通じ、こどもの視点に立って、困難を抱えるこどもや、家庭をはじめ とするその環境への支援が抜け落ちることなく実施され、子どもの権利条約を 基盤とし、かつ責任の所在が明らかにされる体制を構築すべきである。「小一 の壁」等の年齢による切れ目や、自治体間または地域間の格差等の解消や是正 についても取り組みが必要である。 このため、「こどもまんなか」の実現に向けた強力な総合調整機能を有する 行政組織として、こども庁(仮称)を創設する(イメージ図参照)。こども庁 には、その責任の所在を明確にするための担当大臣を置くことを前提とし、地 方自治体の意見にも留意しつつ、政府において実現のための検討体制を早急に 設け、ただちに検討を開始すべきである。
(出典:Children First の子ども行政のあり方勉強会)
図:こども庁(仮称)イメージ
以 上