2025.3.9

「こどものSNS利用禁止」の目的とは

この「こどものSNS利用禁止」は、その目的が何か考える必要があります。「こどもの性的表現による人権侵害防止のため」という目的なら、こどもは人権を守られる側であり、大人を含む侵害をする人が禁止の対象であるべきです。

 さらに、こどもがSNSで発信する表現の自由を制限することは、こどもがSNSで受信する知る権利をも制限することになります。 

日本国憲法21条1項は、大人だけでなくこどもにも、表現の自由を保障していますし、知る権利も保障しています。 

こどもの権利条約13項1項では、「こどもは、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。」と明記しています。 

これらの人権・権利を法律で制限しようとする場合には、必要性(なぜその制限がなければならないのか)だけでなく、許容性(その制限を課してもよいのか)についても深く検討することが必要です。 こどもの性的表現による人権侵害を防止するためにもっと他の手段はないのか、困難を抱えるこども等が情報を取得したりSOSを発信するツールを奪うことにならないのか、大人の人権・権利制限が伴う場合にそれをやむを得ないといえるのか等々、まだまだ検討すべき課題があります。 

新しい法規制を否定はしませんし、こどもを守る為に他に手段がなく必要であれば検討されるべきかも知れません。しかし、新しい法律が作られたとしても執行されなければほとんど意味はありませんし、憲法上の人権を制限する法律を作ってしまえば社会の混乱をもたらし、後に違憲無効となる場合もあります(韓国の「インターネット実名制」のように)。 こどものSNS利用禁止については、諸外国の事例で本当に効果があるかを見極めつつ、性的表現による人権侵害防止のためには、何よりもまず、国民全体へのリテラシー向上と現行法違反への粛々とした法執行を行っていくべきと考えています。

引用  日テレNEWS NNN

https://news.ntv.co.jp/category/society/2f6dcc13bc854db6958f508f7