2025.3.13

自殺対策基本法改正へ!こどもの自殺対策を明記!改正で何が変わる?

本日3月13日、自民党厚生労働部会で、自殺対策基本法の一部を改正する法律案(議員立法)の条文審査が行われ、無事に了承されました。この法律は参議院で先に審議する「参議院先議法案」で行う予定です。なんとか今国会で通過させ、1日でも早くこどもの自殺対策の強化が図られるようにと、上月良祐議員、鈴木貴子議員、自見はなこ議員とともに私も必死の思い取り組んできました。今回の改正で何が、どのように変わるのか、ぜひ、多くの人に知っていただきたいと思います。

〇改正の背景
平成18年に自殺対策基本法が施行されて以降、日本の自殺者数の全体の数は、減少傾向にあります。しかし、こどもの自殺者数の増加は過去最多を更新し続けています。令和6年度のこどもの自殺者数は暫定値で527人に上りました。10代における死亡原因の死因の1位が自殺であるのは、G7で日本だけです。
 私は、この状況は緊急事態であると考え、こども庁の創設を提案し、実現しました。こども家庭庁ができる前までは、厚生労働省内で、大人とこどもの自殺対策が一緒に行われてきました。しかし、こどもの自殺の要因は大人と全く異なります。大人の場合は、健康問題、経済・生活問題、就労問題などがあげられますが、こどもの場合は、進学や学業の問題、学校問題(いじめ、教員や友人との人間関係)、家庭での親との不和、心の発達過程にあるメンタルヘルスなど特有の問題があります。
そこで、こども家庭庁では、こどもの自殺対策専門部署をつくり対策にあたるようになりましたが、「こどもの自殺対策」は法律的担保もなく、人員や予算も限られたものでした。
こうした深刻な状況に対処するため、こどもに係る自殺対策を推進するための体制整備・措置についても定めています。
 
〇改正の概要
 改正のポイントは大きく6つあります。

1, 基本理念の追加
・自殺対策は、デジタル社会の進展を踏まえ、AI等の適切な活用を図りながら展開するとともに、自殺防止については、インターネット等を通じて流通する自殺に関連する情報が及ぼす影響への適切な配慮を促す取り組みを推進することを明記。
⇒人手不足が深刻な自殺対策の相談窓口等には、AI技術を適切に活用するとともに、木村花さんのような痛ましい事件を二度と繰り返さないよう、インターネット上の情報に対して、自殺対策の観点で適切な配慮を促す取り組みを一層推進することができるようになります。

2, こどもの自殺防止の国の責務、学校の責務追加
・こどもの自殺対策について、内閣総理大臣、文部科学大臣及び厚生労働大臣は、自殺対策の実態を踏まえて効果的に策定され、実施されるよう、関係行政機関の長と緊密な連携協力を図り、施策を推進することを明記。
・学校については、基本理念にのっとり、関係者との連携を図りつつ、こどもの自殺対策防止に取り組むよう努めることを明記。
⇒こども自殺対策を総理、関係大臣が取り組むこと、合わせて学校での責務も明記!これで、法的担保がなされた状態で、こども家庭庁や文部科学省がこどもの自殺対策に取り組むことができるようになり、予算や人員の確保が促進されます。これは、非常に大きな前進になります。

3, 基本施策の拡充
・学校における心の健康保持の健康診断等の措置を規定
・精神医学者等の研修機会の確保を規定
・自殺発生回避のための適切な対処に必要な情報が、関係機関等に提供されるための措置
・自殺の助長につながるような情報、物品、設備等についてお適切な管理、配慮等に関して注意を促すための措置を規定
・自殺未遂者等への継続的な支援を明記、自殺者の親族等の支援について、総合的な支援を規定
⇒諸外国では、学校でのこどものメンタルケアが非常に充実しています。一方で、日本では身体の健康度は諸外国の中でも常に上位ですが、心の健康度は最低レベルです。心のケアを学校段階からおこなっていくことで防げる自殺が多くあるはずです。法改正によって、学校への心理職の常勤配置などの予算事業のより後押ししやすくなると考えます。

4, 協議会
・地方公共団体は、第19条(自殺発生回避のための体制の整備等)及び第20条(自殺未遂者等の支援)の施策でこどもに係るものを実施するに当たっては、学校、教育委員会、児童相談所、精神保健福祉センター、医療機関、警察署等の関係機関、自殺対策に係る活動を行う民間団体等をもって構成する協議会を置くことができることとし、協議会はこどもの自殺の防止等について情報交換及び必要な対処等の措置の協議を行うこととする旨を規定
⇒これも非常に重要です。要保護児童対策地域協議会のように、地域の医療機関や学校、警察、NPOなどの関係機関がこどもに関する情報を守秘義務、罰則規定を設けた上で共有し、適切な連携のもとで対応していくことができるようになります。

5, 状況の変化を踏まえた検討
・自殺に関する状況の変化、自殺対策に係る諸施策の実施状況を踏まえて、必要な見直しの措置が講ぜられるよう規定

6, こども家庭庁の所掌事務の追加
・こども家庭庁の所掌事務として、こどもに係る自殺対策を規定

私からは、「法律をつくって終わりではなく、ここがスタート。この法律に魂をいれ、効果のある施策をしっかりと進めていくために、党でも常にレビューをすることが重要。引き続き、全力で取り組んでいく」ということを宣言。何とか、今国会で成立させられるよう、気を引き締めて臨みます。