2025.3.24

障がい児への幅広い支援はどうあるべきか?心身障害児総合医療療育センターを視察

2025年1月27日、東京都板橋区にある「心身障害児総合医療療育センター」に伺いました。障害の重度化と多様化に対応し、医療・教育・福祉のサービスを提供している日本の中でも有数の施設です。現場を見せていただき、障がい児やそのご家族のために温かくも必死に対応している姿がありました。しかし、現場からは予算や人手不足で厳しい現状も浮き彫りとなりました。私はこども家庭庁創設に尽力してきましたが、障がい児への支援はまだまだ不足しています。こども家庭庁はこうした、障がい児の支援こそに予算を使うべきだと主張しています。

センターの入口前で。今回の視察は参議院議員自見はなこさんと共に実施する予定でしたが、急遽国会対応で同席が叶わず、残念。

役所からは所管省庁であるこども家庭庁の中村官房長と障害児支援課長にも同席してもらい、具体的な課題についての議論を行いました。また、お子さんがこのセンターに通っていらっしゃる当事者として「こどもまんなか障害児福祉を望む親の会」の志村さんにも同行していただきました。

■心身障害療育センターとは?

このセンターは、障害を直すことだけに重きを置かず、障害を抱えながらも心豊かな生活を送ることができるよう、医療やリハビリ、地域サービス等、療育という指針を大切に運営されています。

以下のような幅広い機能と役割を担っています。

  • 障害のある子どもへの幅広い支援
  • 重症心身障害児者の在宅療育支援、医療
  • 虐待による障害児や家庭養育困難障害児への対応
  • 発達障害児、知的障害児への医学的な面を含む支援
  • 地域支援、地域機関のバックアップ・サポート
  • 研修・研究機能

これだけの機能を有する施設ですから、とても大きな建物です。施設全体を1時間程かけて小﨑所長に案内していただきました。

■視察内容

重点的に見せていただいた施設は以下です。

  • 整肢療護園3つの病棟
  • 放課後デイサービス
  • 通園の様子
  • リハビリテーション室

 整肢療護園では、母子共に入園をする母子入園、運動機能改善のための手術とリハビリテーション、家族支援のための短期入所サービスが行われています。リビングのような開けた空間と手術室のような病院空間を分けることで、安心感を持ってもらえるような工夫がありました。また、整肢療護園の手術病棟のプレイルームと処置室の一面に森や動物が描かれ、施設を利用する全ての方にとっても目や気持ちの保養となるヒーリングアートの環境がありました。

↑親子短期入所の場合のお部屋

←エレベーター内にも美術大学の生徒さんによる装飾が施されていました。こども達もリラックスできるような空間づくりが工夫されていました。

Ⅱ病棟は、保護者の不在や、育児拒否、虐待などの家庭の事情で養育困難なケースの長期生活支援が目的です。傷ついたこどもたちを、本当に温かく包み込む職員さんたちの姿が印象的でした。

本来であれば、家庭的養育原則に則り、小規模化施設への改装をしたいが、40億ほどかかり難しいとのこと。こども家庭庁はこうした予算こそ、充実させるべきだと考えます。同席した官房長にも強く要請しました。

放課後デイサービスでは、保護者の方同伴で子ども一人一人の特徴に合わせて運動をしたり、音楽家の方を招いての鑑賞会や移動動物園を設定し外出できない代わりのイベントを開催しているそうです。目的としては、「体動かす習慣」を身につけてもらうこと。

歩いている途中にはこどもたちの元気な挨拶や、レクを楽しむ様子を見ることができました。

←ボール遊びを楽しむ様子を見学

通園の様子についてもお話を伺いました。基本的には母子で通園している方が多く、医療ケアが必要な子どもが通っている現状です。地域にも通園施設が増えてきてはいるものの、対応に限りがあるので心身障害児医療センターで慣れてもらうところから支援を始めているそうです。また、保護者の方と離れて活動する時間を設けており自立支援も積極的に行われていました。

←こども基本法についての解説も掲載されていました。

 リハビリテーション室では、利用者とそのご家族が抱えている課題の改善、発達の促進や機能の回復、生活適応能力の向上など様々なことに取り組み、無理なく安心して自分らしい生活を送れるように支援を行っていると伺いました。

リハビリの様子も、こども達がとても楽しそうにしている姿が印象的でした。

←スケジュール管理の掲示

言語障害や身体障害など抱えている障害によって支援方法を変え、社会性を身につけられるようなトレーニングも行っていると伺いました。

■まとめ

生の現場を見ることで障がい児政策をより一層、充実させる必要性を痛感しました。こども本人だけではなく、障がい児を育てるご家庭にとってもなくてはならない施設が、予算不足ということはあってはなりません。こうした施設や、障がい児支援がより一層充実するよう、政府に求めていきたいと思います。

写真)療育センター所長他、理事や職員の方々、こども家庭庁職員を交えた意見交換。